キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
影人達四人はアイドルプリキュアへと変身すると四体のマックランダーと対峙する。そんな中、その様子を上から見ていたチョッキリ団の四人の中のチョッキリーヌが声を上げた。
「来たね!アイドルプリキュア!」
「……んん!?」
「誰ですか、あれ!?」
その瞬間、チョッキリーヌはズルリと滑ってしまう。やはり前回出てきた時は握手会の混乱やスラッシューの登場に気を取られたせいでチョッキリーヌには気づいてなかったらしい。
「随分と生意気な口を効くね!」
「だから誰だよお前は!まずは名乗れ!話はそれからだろ」
ソウルにもそう言われたチョッキリーヌは額に青筋を立てて苛立つ。完全に前回の戦いで空気化していたツケがここに影響してしまったらしい。
「このお方をどなたと心得るのですぞ!」
「こちらはザックリ言って、俺達のボス!その名も……」
「チョッキリーヌ様ですぞ!」
そんな風にカッティー、ザックリーがチョッキリーヌを紹介する。そんな中でチョッキリーヌは笑みを浮かべるものの、レイはそんな彼女を見て声を上げた。
「……いや、自己紹介くらい自分でしろよ」
「プリ!」
「プリルンもちゃんと最初は自己紹介してたんだ。ボスだからって偉そうにしないでちゃんと自分で名乗るくらい当たり前だろ?」
「なっ!?」
「れ、レイ君!?」
「それとも、自己紹介さえ出来ないって言わないよな?」
「ちょっと、煽りすぎだよ!」
レイがお得意の揶揄いをチョッキリーヌにすると彼女は失礼過ぎるアイドルプリキュアの面々に顔つきが歪んでいく。極め付けは……。
「ま、そうこれ以上悪口は言わない方が身のためですわよ。何を隠そう、チョッキリ団では私と同列ぐらいの立場ですわ。……ま、普段は完全に部下任せで殆ど何もしない彼女ですけどね?」
「ッ!?スラッシュー!アンタも態々私を煽って何がしたいんだい!」
「まぁまぁ、チョッキリーヌ様」
「落ち着くのですぞ!」
そんな風に味方同士のはずなのに口論になっているチョッキリ団側を見てアイドルプリキュアの面々は呆れた顔つきになる。
「ね、ねぇ。私達今からアレと戦うんだよね?」
「何だか拍子抜けって感じです」
「何しに来たんだかって所だけど、気は抜くなよ?」
「うん。むしろ、向こうがあの様子なら私達は力を合わせたら勝てるはずだから!」
すると向こうの言い争いは終わったのか、ようやく再度チョッキリ団の四人がこちらを見据えると声を上げる。
「とにかく!アイドルプリキュア。お前達の勢いを今日ここで止めてやるよ。チョッキリとね!」
「じゃあ、私も行きましょうか!クラクラ……ドレスチェンジ!」
スラッシューは装着していたローブを脱ぎ捨てると同時に戦闘用の姿へと変身。自身が呼び出したミキサー型のマックランダーの上に乗る。
「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ!マックランダー!」
そのタイミングで三体のマックランダーの中の一体が飛び出すと手にしたマイクから声を発し、そのエネルギーが体のスピーカーへと集約。音符型の赤いエネルギー弾を放つ。
「マックランダー!」
「任せて!」
それを止めるのは勿論ウインクだ。彼女は胸のブローチをタッチするとエネルギーのバリアを召喚する。
「ウインクバリア!」
三発の音符弾はウインクが展開したバリアに阻まれると完全に止められる事になる。
「ありがとうウインク!」
「こっちからも反撃行きます!」
「ふふっ。甘いね。スラッシュー!」
「あなたに指示される筋合いは無いけど……これも作戦通りの流れ。仕方ありませんわね」
するとスラッシューがトントンと自身のマックランダーに脚で指示を出すとマックランダーは目を光らせる。
「マックランダー!」
その瞬間、三体のマックランダーから伸びたエネルギーのコードがスラッシューのマックランダーの体にある差し込み口に挿入。しかもエネルギーのコードだからか、挿入された瞬間にワイヤレス接続に移行。見かけ上は先端だけ刺さったような形で直接繋がってないように見えながらも、接続は維持する形だった。
「ええっ!?何するつもりなの!?」
「まさかと思うけど……」
それと同時にスラッシューの体からいつもの音楽が流れ始める。そして、スラッシューはそれに合わせて当然のように歌い始めた。
〜挿入歌 DARK FLARE THR WORLD〜
「さぁ漆黒の世界で♪心燃やしていく♪希望、照らす光さえ♪消えていくのだから♪」
スラッシューが歌うとそれが共鳴するように彼女の纏ったオーラがミキサーのマックランダーへと移行。そして、ミキサーのマックランダーは三体のマックランダーの差し込んだ口に対応するダイヤルを半分ぐらいにまで増幅させる。
「私の心が叫んでく♪この、鼓動見失わずに〜♪(Blaze up in my soul)」
そして、そのエネルギーは三体のマックランダーへと付与。三体のマックランダーの体にもオーラが纏われ、マックランダーは三体同時に声を上げる。
「「「マックランダー!」」」
その瞬間、三体はスラッシューの歌によるブーストを上乗せした上でのエネルギー砲が充填。先程よりも更に巨大な音符弾へと変化する。
「ッ!?嘘だよね?最低でもさっきの倍はあるんだけど!!」
「これじゃあ、私一人じゃ……」
「諦めんな。俺もやる!」
「絶望の果てにある♪深淵の炎掴んでくの♪今、握りしめた力……♪天を闇に染めて♪熱く燃え立つ♪」
マックランダーが音符の弾丸を放つ中、ウインクは再度ウインクバリアを展開。それと同時にソウルもメガホンのダイヤルを青に合わせて技を使う。
「ウインクの力、ソウルアブゾーブ!」
「ウインクバリア!」
ウインクは正面の攻撃に対抗し、ソウルは双方からの攻撃を止めるべく二つのエネルギーバリアを左右に展開。それにマックランダーの音符弾が命中。
「「くうぅ……」」
二人は何とか攻撃を止めようと踏ん張る。そんな中、ソウルの体から一瞬バイオレットと黒が混ざったようなエネルギーがオーラとして出ると両側の攻撃を相殺し始めた。
「ソウル……そのオーラは……」
「ごめん……もうこっちは限界……きゃああっ!?」
しかし、ソウルは攻撃を止められてもウインクの方は限界に達してしまうとバリアが破られると同時にウインクは攻撃を喰らって吹き飛ばされてしまう。
「ウインク!?」
「でしたら!」
ウインクがやられたのを見て少しでも巻き返すためにキュンキュンがブローチをタッチして跳び上がる。
「キュンキュンレーザー!」
「絶対染めてみせる♪絶望の闇♪届かないHope♪胸踊る我が焔♪誰にも邪魔させない♪」
すると飛んできたキュンキュンレーザーに対して、ミキサーのマックランダーは手を翳すと三体のマックランダーを守るように炎の壁を地面から展開。レーザーの攻撃を全て吸収してしまうとマックランダーはそれを後ろから蹴り込む。
「やばい!」
「アイドルの力、ソウルソリッド!」
三発の火炎弾がお返しとして来る中で、ソウルは咄嗟に四人のプリキュアの足元から足場を上に迫り出すように出すとそれを利用して空中へと緊急回避する。
「ありがとう、ソウル!」
「でも、これでも全然ダメです」
「だったら、ウインク!連携には連携で!」
「うん!」
空中に跳び上がった四人の内、アイドルとウインクが両脚を合わせるとウインクはドロップキックをする形でアイドルを前へと押し出す。
「生み出される♪地獄への獄炎だから♪あなたの希望、燃やす♪歌うの誰かのため?違う、私自身のために♪」
「アイドルグータッチ!」
アイドルはウインクに押し出されるままに飛び出すとブローチをタッチした上でピンクの力を高めたパンチを繰り出す。それに合わせるようにソウルはこの状況を作り出している元凶であるスラッシューとミキサーのマックランダーを先に倒すために技を使った。
「キュンキュンの力、ソウルバレット!」
ソウルから放たれた紫の弾丸がスラッシュー達の方へと向かうとスラッシューは炎の斬撃波を使って軽く弾丸を両断。どうやら、歌い終わり直後でもある程度はパワーが維持されるらしい。
「「マックランダー!」」
「きゃああっ!」
そして、アイドルの方も二体のマックランダーが腕を交差させるようにして壁を作って迎え撃つ。そのためにアイドルはパンチが命中する直前に腕に激突してしまうとバランスを崩して叩きつけられてしまう。
「皆、頑張るプリ!」
「……これはヤバいな。今回のマックランダー。四体全部がちゃんと連携してる。しかも、その連携の起点になってるのは……あのスラッシューの歌。彼女の歌が、バラバラのはずの四体のマックランダーを完璧にユニゾンさせて力を何倍にも引き上げているんだ」
「さて、ここまではただの小手調べ。本番はこれからだよ!」
チョッキリーヌがそう言うと三体のスピーカーのマックランダーの内、一体は倒れているアイドルの前に降り立つ。それと同時に残る二体はウインクとキュンキュンの方へと走ったかと思うと彼女達の前でいきなり横へと逸れる形で逃亡する。
「「マックランダー!」」
「待ちなさい!」
「逃がさない!」
「ッ……これは。やってくれたな!」
ソウルは二人が別方向に行ったマックランダーを追いかけていなくなったのを見てこの状況の悪さを再認識する。
「ふふっ。やはりあなたは察しが良いわね。でも、もう遅いわ」
スラッシューはソウルの前に降り立つと笑みを浮かべる。それはまるで、自分の出したマックランダーを守るような形だ。
「というか、お前のマックランダーは直接戦闘しないんだな」
「ええ。あくまで私のはサポート専用。……そして」
その瞬間、先程終わったばかりの音楽が再度流れ始めると再びスラッシューや他のマックランダー達がオーラを纏う。
「はぁ!?ここでまた歌うのか!?」
だが、歌のイントロが終わって歌詞に入る部分になってもスラッシューは歌わない。だが、普通にスラッシューの声は出力されている。
「ふふっ。私が態々何度も歌うと思ったのかしら?……残念。ハズレよ」
「……なるほど、さっきの歌をそのマックランダーが内部で録音してたのか!」
あとは簡単だ。スラッシューの歌をミキサーのマックランダーがリピートで再生し続ければスラッシュー含めた他のマックランダー達は常時強化状態を維持できる。その上でアイドルプリキュアは四人がバラバラ状態。これが意味する答えは一つ。
「今回は全員揃って本気も本気って事ですわ!」
ソウルが悔しさを噛み締める中、アイドルはチョッキリーヌとそのマックランダー。ウインクはザックリーとそのマックランダー。キュンキュンはカッティーとそのマックランダー。三人はそれらに連れられる形で分散しており、プリキュアの戦力はバラけている。
しかもマックランダーは全員強化状態を常時継続と来た。ここまでは全員の連携で上手く立ち回ってきたアイドルプリキュアだが、連携が使えない上に相手は強化状態なので状況はアイドルが一人でマックランダーと戦っていたあの頃よりも最悪である。
「はぁ……」
ソウルは息を吐くと一瞬、ダランと体を楽にした。それを見たスラッシューは声をかける。
「ふふっ。それは降参のポーズかしら?」
「……降参?そんなわけねぇだろ。むしろ、お前ならよくわかってるはずだ。……俺達は諦めが悪いって」
「それもそうね。……なら、また見せてもらおうかしら。あなたの力を特等席で!」
「後悔だけはすんなよ!」
それからオーラによる強化状態のスラッシューを相手にソウルは真正面から彼女を迎え撃つ事になるのであった。
「だぁあああっ!」
二人の拳が激突し、衝撃波が駆け抜ける中。ソウルが召喚していない状態でどこかの空間に格納されているソウルメガホンに備え付けられているピンク、青、紫、白、黒の五つのダイヤルの内、アイドル、ウインク、キュンキュンのメンバーカラーである三色。
つまりピンク、青、紫の三色が共鳴するように一瞬輝きを強くするとそれらがソウルの心に僅かに強い光を伝達するのだった。
今回のラストでソウルメガホンの描写があったと思いますが、ピンク、青、紫……そして残りの二色は……つまりはそういう事です。
多分この描写した時点で察した人が殆どだと思うのでこれも敢えて先に公開しておきます。ただし今の所、ソウルはこの二つの色は使えません。果たしてこの状況をどう切り抜けるのか。
それはまた次回を楽しみにしてください。