キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
マックランダーの動きによって分断されてしまったアイドルプリキュア。そこにスラッシューの歌によるバフ状態が常時適用されている状態のため、プリキュア達は大苦戦を強いられていた。
「マック……ランダー!」
アイドルが相手するマックランダーは炎を纏わせた拳を叩きつけてくる中、ひとまずは回避に専念するアイドル。
「ッ……なんて威力なの」
「ふふっ。ちょこまか逃げるのは上手いみたいね。でも、いつまで保つかしら?」
するとマックランダーは地面を殴ると今度は地面が抉れて火柱が立ち昇っていく。アイドルはそれを見てチャンスと判断すると敢えて火柱の発生する直前の盛り上がりの場所に走り込んだ。その直後、火柱が起きることによってアイドルの姿は消えてしまう。
「ふふっ。自ら火柱に飲まれるなんて……」
「まだだよ!」
その瞬間、アイドルの声がマックランダーの横から聞こえてきた。どうやら、先程火柱が発生する瞬間に真横に飛び出す事で自分の動きを隠しておいたらしい。
「今度こそ決める!アイドルグータッチ!」
アイドルは自身の最高火力で攻撃するべく拳を繰り出すとマックランダーはそれを顔面に受けてしまう……のだが。
「マックランダー?」
「嘘……効いてない!?」
普段ならこれを喰らって吹き飛ぶはずのマックランダーはまるで無傷だった。アイドルがよくよく自分の腕が当たっている場所を見るとそこにはマックランダーの顔面との間に赤く丸いバリアがピンポイントで発生していたのだ。
「甘いんだよねぇ。さぁ、一筋の光さえもチョッキンするんだよ!」
「マックランダー!」
マックランダーは動揺するアイドルへと拳を繰り出す事になる。その頃、河川敷へと移動したウインクとザックリー、そして彼のマックランダー。
マックランダーは手にしたマイクをそのマイクから伸びて自身の体へと接続するために使われているコード部分を持って振り回す事でウインクへと猛攻を仕掛けていた。
「ッ……皆バラバラになっちゃった……」
「へっ、余所見してて良いのかよ!ザックリ言って隙だらけだぜ!」
その瞬間、マックランダーは隙ありとばかりにコードをカウボーイのロープ投げのように振り回すと土煙が発生。それによって出てくる場所が隠れてしまうとウインクへとマイクが投げられる。
「ッ!?きゃああっ!?」
ウインクは余所見をしていたせいで反応が遅れると直撃。地面に激突すると何とか立ち上がる。
「いやっふぅ!ザックリ言って、今日こそ俺達の勝利!世界は真っ暗闇だ!」
「ッ……そんな事……させない!」
ウインクは前に出るとマックランダーがそれを迎撃。しかし、ウインクは紙一重でそれを回避するとゼロ距離にまで肉薄する。この距離ならマイクを引き戻すのが間に合わない。
「はあっ!」
ウインクが縦回転つつ踵落とし繰り出す。しかし、それはマックランダーが咄嗟に放った騒音による音波攻撃で弾かれてしまう。
「ああっ!?」
アイドル、ウインクが押される中で、当然のようにキュンキュンもカッティーが指揮するマックランダーに一方的に攻撃されていた。
「マックラン……ダー!ダー!ダー!」
「あわわわっ!こんなの私一人じゃどうにもできませんって!」
マックランダーは炎を纏わせた音符弾を連発すると走りながら逃げるキュンキュンを遠距離から牽制。キュンキュンは周囲が着弾によって発生する爆風を何とか逃げに徹する事で回避しているが、それもいつまでも続くものでは無い。
「逃げてばかりでは勝ち目なんてありませんぞ」
カッティーがそう言った直後。キュンキュンの足元にも攻撃は着弾。彼女は吹き飛ばされてしまう。
「うわああっ!?」
キュンキュンは地面に叩きつけられると立ち上がる。何とか反撃したいが、同じ遠距離技では圧倒的に向こうの方が火力は上。そうなると彼女に取れる手は……。
「ッ……そうだ!」
キュンキュンは場所を移動すると近くに幾つもガラスやカーブミラーが存在する地点に移動するとブローチをタッチする。
「ここです!キュンキュンレーザー!」
するとキュンキュンレーザーの内、何本かをキュンキュンは操作するとミラーやガラスでレーザーが反射。そのままマックランダーを他方向から囲む形で包囲攻撃する。
「やった!……って……ええっ!?」
キュンキュンは一瞬喜ぶが、それがぬか喜びだと言わんばかりにマックランダーは体に炎を纏っていたせいでほぼ無傷。キュンキュンは絶望感を顔に浮かべる。
「自分達、今回はいつもとは大違いですぞ!」
カッティーの言葉と共にマックランダーはキュンキュンへと反撃の音符弾を再度放つ。キュンキュンはそれに反応できずに直撃を喰らってしまった。
それと同時にアイドルもマックランダーに手も足も出ずに吹き飛ばされてしまう。三人共マックランダーから受けたダメージが大きいのか、傷ついておりプリルンは目の前でやられるアイドルを見て不安に感じる。
「プリ……」
「大丈夫だ。……アイドルプリキュアは負けない。それに、何だかんだ言って、誰よりもアイドルプリキュアの事を考えてるアイツがこのまま黙ってるわけない」
その頃、ソウルはスラッシューと激しくぶつかり合う。ただ、前とは違って常時強化状態のスラッシューを相手にソウルは防戦一方を続けるしか無かった。
「どうしたのかしら?あなたの力はそんな物?」
スラッシューがそう良いながら高まったエネルギーによる強力な火炎斬を連発してくる。それは周囲に存在する木々を簡単に切り刻んでは次々と障害物が消えていく。
「やっぱりお前を相手に長期戦はキツすぎだな。歌のバフが消えるなら良いけど、このままだと無理そうだし!」
ソウルはソウルメガホンの技も細々と使ってどうにかスラッシューからの猛攻を捌いている。
「受けなさい!」
「ソウルバレット!」
スラッシューが放った火炎弾とソウルバレットが激突すると爆発。ソウルは真後ろに跳んでスラッシューと対峙。ただ、やはりソウルの消耗は激しい。このまま行けば確実に負ける。
「(どうにかバフを切らないと……となると)」
ソウルは一瞬チラッとミキサーのマックランダーの方を向く。今のスラッシューに時間制限無しのバフを与えているのは紛れもないあのマックランダー。そうなるとアレを何かしらの手段を使って止められれば勝機は見えてくる。
「色々考えるのは良いけど、私の所を突破しないと仲間達はいつやられてもおかしくないですわよ」
ソウルはそれを聞いて内心舌打ちする。正直な所、他の三人の戦況が全くわからないのが辛すぎるのだ。下手をすればソウルが知らない間にやられている危険もあるだろう。
「はあっ!」
そのタイミングでスラッシューが飛び出すと彼女は両腕に炎の斬撃波のエネルギーを高める。ソウルはそれを見てわざと前に出ると斬撃波が放たれる直前に拳を繰り出す。
「ッ!」
スラッシューは防御のためにそのエネルギーを使うと攻撃はキャンセル。少しだけ後ろに戻されたスラッシューとソウルはまた激しいラッシュの打ち合いとなった。
そんな中、いきなりソウルの耳にライブで使うインカムが装着されるとソウルは一旦足払いをかける素振りを見せてスラッシューが後退した隙を突くと距離を取る。
『皆、大丈夫!?』
『ウインクですか!?』
『キュンキュンも……無事なんだね!』
ソウルはインカムから聴こえてくるアイドル達他のプリキュアの面々の無事な声に安心感を覚えた。
「その感じだと今の所は全員大丈夫そうだな」
『うん。これを使えば離れていても話せると思って使ってみたんだ。……改めて皆で作戦を考えたくて』
ウインクの言葉を聞いてソウルは納得の気持ちとなる。現状、全員が格上の敵と一対一状態。このままでは各個撃破されて負けるのも時間の問題だ。何かしらの作戦は必要だろう。
『ッ!ありがとう!』
「悪いけど、俺の相手はスラッシューだ。彼女相手に考える隙はほぼ無い。出された案の修正ぐらいしかできないぞ!」
『それでも大丈夫です!作戦、考えましょう』
それから四人はマックランダー相手に程々に反撃しつつ体力を温存して持久戦の形で戦闘を継続。そんな中、纏まった案はこれだ。
アイドル、ウインク、キュンキュンの三人の内、二人がマックランダーを引きつけて、あとの一人がミキサーのマックランダーの支援が間に合わないように隙を突いて一体をキラッキランランにする。後はそれを二回繰り返して、逆に相手を各個撃破しようという事だ。
まともに三対三や一対一で格上の敵に圧倒されるよりもそれなりに可能性がある案である。
「……それは良いけど、今のマックランダーは強化のバフが常時入ってる。個人技で倒せるかは微妙だぞ」
ソウルはそう反論するとウインクとキュンキュンはそれも込みでどうするべきか頭を悩ませる事に。現にマックランダーが強化状態であるため、幾ら不意を突いても個人のステージ技で浄化可能かと言われたら厳しいかもしれない。
そんな時だった。アイドルは脳裏に昨日までの光景と先程、ソウル達に話そうとしたある話が浮かび上がる。そして、最後に出てきたのはカイトに相談した時に一緒に飛び立っていた五羽のカモメの姿であった。そして、彼女はある想いを胸に三人へと声をかける。
『……じゃあ、一緒にやろうよ』
「『『え?」』』
『私ね、夢を見つけた!大好きな歌う事、誰かにキラッキランランになってもらう事。それをウインク、キュンキュン、ソウルと四人で……アイドルプリキュアとしてやっていく事!それが今の私の夢だから!』
その直後、アイドルの方からマックランダーの拳を押し返す音が聴こえてきた。そしてそれと同時にソウルは口に笑みが浮かぶ。そんなソウルと同じ事を思ったのか、ウインクとキュンキュンからも声が聴こえる。
『アイドル……』
『心キュンキュンしてます!』
『だから、四人で作り上げたい!誰かをキラッキランランにする最高の歌を!』
「全く……アイドルならそう言うと思ってた。……だったら、俺にも一つ提案がある」
ソウルはそれから三人へと考えを話す。するとアイドルは目を見開く。それと同時に声を上げた。
『待ってよ、それって……』
「ああ。……多分アイドルの夢を完全に達成するのは難しい。……でも、俺はアイドルの夢を叶えられないとは思ってないよ」
『それはどうして?』
「俺はこのチームに出会えて、沢山変われた。あんなに暗かった自分の心が皆のおかげで今は沢山輝けてる。それに、夢は今すぐ達成できなくても良い。そんな簡単に達成できる夢だったら目指し甲斐が無いでしょ。夢は適度に高いからこそ達成するまで夢として追いかけられる。……だから、今は俺にできる事をやってみせる!」
「ふん。ごちゃごちゃと喋って……そんな暇あるのかしら?」
スラッシューが喋ってるソウルに隙ありとばかりに炎の剣を投げるとそれが一気に巨大化。炎の巨剣を後ろから炎を纏ったスラッシューが蹴り込む形で突撃する。
《
「はあっ!」
するとその瞬間、ソウルメガホンの光が具現化したのか、ソウルの周りにピンク、青、紫の光が飛び出すとソウルはそれを吸収。彼の体に黒とバイオレットのオーラが出現するとそれが体内に取り込まれ、ソウルはスラッシューの必殺の一撃を両手でしっかりと受け止めてしまった。
「ッ!?嘘、これを止めるですって!?」
「アイドル、ウインク、キュンキュン!俺の輝きはお前達の輝きだ。三人の眩い輝きを支えるために……俺はここにいる!そのために……俺は自分にできる事を頑張らせてくれ!」
ソウルからの言葉を聞いたアイドル、ウインク、キュンキュンは彼の熱い気持ちを受け取るとアイドルが口火を切った。
『……だったら、ソウル。いつか絶対に私達と歌おう!これは約束だからね!』
『その時は、ソウルだけを仲間外れにするなんて事。私達は絶対にしないから!』
『ソウルはソウルのやるべき事をやってくれるのでしたら……私達もそれに応えるだけですよ!』
三人はソウルの言葉を聞いてそれぞれが移動を開始。ソウルはインカムを装着して状況を耳に入れながらスラッシューの剣を押し留め続ける。
「何の会話をしていたのかわかりませんが、何をしても無駄ですわよ?あなたにこれは止められない!」
その瞬間、スラッシューは更に火力を強めるとソウルの足元が抉れて少しずつ後ろに下がっていく。しかし、ソウルは諦めない。そして、その動きは完全に止まると彼は口を開く。
「スラッシュー、お前は強い。俺だって一人じゃ絶対に止められないって思ってた。でも、俺はもう一人なんかじゃ無い。俺は自分で輝けない影のような脇役だけど……。三人となら……輝ける!」
ソウルが力を込めると何とスラッシューの剣にヒビがビシビシと入ると共に壊れ始める。
「ッ!?嘘、パワーアップ込みなのに……」
その直後。剣は粉々に粉砕されてしまう。そして、そのタイミングでアイドル達三人が合流すると強化マックランダー三体と向かい合う。
「良し……だったら!」
ソウルはスラッシューが技を破られた影響で動けない瞬間を狙って地面を踏み込むとミキサーのマックランダーへと最短距離で走り込む。先程の作戦会議の段階で彼の狙いは最初からこれだった。
アイドル達に一度反対されたのも、自分が一人でミキサーのマックランダーを浄化する関係でそちらには向かう事ができないと言ったからである。
「まずは……お前を倒す!」
「マックランダー!?」
マックランダーは反撃しようとするも、生憎な事に自身はまともな戦闘をするための武器を持ち合わせていない。思えばここまでミキサーのマックランダーは仲間の支援をしても、自分からの攻撃はほぼ無い。ソウルはそこからミキサーのマックランダーは反撃の手段がゼロだという事に賭けたのだ。
「だあああっ!」
ソウルはピンク、青、紫の光が纏われた右腕を突き出すと自身ごとバイオレットのエネルギー弾へと変化して突撃する。
「マックランダー!?」
マックランダーはそれを受けて堪らず吹き飛ばされてしまう。そして、ソウルはすかさず浄化技を発動した。
「クライマックスはこの俺!フィナーレ、決めるぜ!」
ソウルはインカムを装着した上でマックランダーを強制着席させる。そのまま彼の歌が始まった。
♪決め歌 魂の鎖を解き放て♪
「己の力〜♪(my soul!)そんな物はな〜♪(my soul!)鎖を壊し、強くなるためにある♪!君の笑顔を〜♪守るためにな〜♪俺の歌を響かせるから〜♪心燃やせよ魂〜♪……プリキュア!ソウルシャウト!」
ソウルから繰り出された星のエネルギーが降り注ぐとマックランダーは浄化。素体の子と共にお決まりの声を上げて消滅していく。
「「キラッキラッタ〜」」
そして、その影響はアイドル達と対峙する三体のマックランダーにも反映していった。
「何をするんだい?」
「でも、何を考えたとしてもザックリ言って……」
「勝ち目無しですぞ!」
「「「マックラン……ダー?」」」
マックランダーが三人を纏めて葬ろうとした瞬間。体から出ていたオーラが勝手に消え去ると一気にパワーダウン。それを見てチョッキリーヌ達は困惑する。
「なっ!?これは……」
そして、それと同時にアイドルはウインク、キュンキュンと共にこのチャンスを逃すまいと声を上げる。
「始めるよ!私達アイドルプリキュア、三人での……」
「「「初ステージを!」」」
その瞬間、いきなり三人が外向きで円陣を組むとライブステージの領域を展開。ポーズを取ると三人はステージの上で跳び上がり、インカムが装着。そのままライブへと入っていく。
♪決め歌 Trio Dreams♪
「「「ウー、レッツゴー!Try, try, trio dreams♪」」」
『Let's sing, let's swing, let's dance, let's bound,Let's smile, let's fly』
「「「ハート上げてくよ!」」」
ライブが始まった瞬間にマックランダーは三体揃ってお約束の強制着席の刑を喰らう。先程までのパワーなら三体同時拘束は無理かもしれないが、もうバフが消えた以上はマックランダー側に打てる手は無い。
「「「Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪瞳
三人のユニゾンによって生み出される更なる輝きを纏った歌はマックランダーを三体纏めて魅了すると三体はそれぞれ三色に発光するペンライトを振って周りの観客達と共にノリノリで応援。そのまま歌が終わると三人が手を掲げるとそこに虹のエネルギーが集約される。
「「「プリキュア!ハイエモーション!」」」
そのままエネルギーがマックランダーへと降り注ぐとあっという間にマックランダーは三体纏めて浄化。消滅していく。それを尻目に三人はポーズを決めた。
「「「「キラッキラッタ〜」」」」
マックランダーがやられた事によってまた新たなキラルンリボンが生成。それをプリルンが付けるといつものポーズを取った。
「プリ!あっぷっプリィイウ〜」
どうやら今回はいきなりのあっぷっぷ〜をしたかったらしいのか、それをドアップでやる事になった。そして、負けたチョッキリーヌ達の方はというと。
「ふん。面白いじゃないか!」
「今度は負けねー!」
「この輝き、ハマりかねませんぞ。アイドルプリキュア沼に……」
三人が撤退すると同時にスラッシューの方もソウルが対峙する中、彼女は笑い始めた。
「あははっ!仲間の輝きに共鳴して進化したわね……キュアソウル。良いわ。私達の完敗という事にしておきましょう。失礼するわ」
スラッシューはやはり自分達が負けたというのに悔しさとかをあまり感じていないのか、満足そうにしつつ撤収する。そして、この状況を見てソウルは他の面々が上手くやったと確信。ひとまず合流する事にした。
「三人の歌、凄かったプリ〜!」
「ははっ。まさかこのタイミングで三人の新曲とはね」
プリルンとレイは先にアイドル達と合流するとプリキュアの新たな力の凄さを噛み締めていた。
「うん。でも、これは私一人じゃできなかった。ウインク、キュンキュン……そしてソウル。私達四人が揃ってたからこそできた事だよ!」
「そうだね!ソウルにもちゃんと感謝しないと」
「ちゃんと私達が歌う前にやるべき事を達成してくれましたしね」
「全く。おかげさまで、完全にその新曲を見損ねたけどな?」
ソウルも話している所にやってくると自分一人だけ位置関係的に合体技を見れなかった事に多少の残念さを抱く。とは言ってもこれは些細な事だ。
「私、この四人でアイドルプリキュアをする事が夢!キラッキランラン〜!」
「うん!」
「心キュンキュンしてます!」
「ま、それも一つの夢の形……だな」
アイドルにそう言われて他の三人も嬉しそうである。そんな中、アイドルはある事を言い出した。
「良し、これで校内放送にメールできる!私の夢は三人とアイドルプリキュアをする事!二年A組、咲良うたってね!」
その言葉を聞いた瞬間、ウインクとキュンキュンが唖然とするとその言葉の意味を飲み込む。また、ソウルは目が笑わない笑顔を浮かべるとアイドルへと声をかけながら肩を優しく叩く。
「なるほどねぇ、アイドル。それ……言ったらダメな事だけどなー!?」
それからアイドルがその夢をメールする事を他の四人が全力で阻止。どうにか事なきを得るのであった。
それから数日後の休日の事。影人は一人はなみちタウンを見下ろせる高台の上にやってきていた。一応今回のは用事があるという訳ではなく、またいつもの一人での散歩のつもりだった。
「ふぅ。……結局、あれから咲良さんはメールができないって嘆いてて……無理矢理に書こうとしていたのを止めるの凄い苦労したなぁ」
そんな中、影人は心地良いそよ風にサラサラと吹かれる。彼はこの街の事が好きになってきていた。それからふと振り向くとそこには未だにピンク色の状態のハートの木がある。
「……そういや、前々から思ってたけど……。この不思議な形の桜の木。ずっと花が散らないな」
影人がこの街に来てから早くも三ヶ月足らずが経とうとしている。その間、ずっとこの木は花を木に咲かせていた。
「ま、不思議な木もあるって事か……って、あれ?」
その瞬間、影人の目に奇妙な光景が映った。それは、その木からいきなり桃のような物が生え始めたのだ。
「……は?え?桜から……桃?何で?」
それから桃は地上に落ちるといきなりヒビが入ると共に割れて眩い光を放つ。
「眩しいっ!?」
「メロ〜!」
すると桃の中から小さな妖精が飛び出すと影人の頭の上に乗る形で降り立つ。そして、街を一望した。
「何と美しい。全てが輝きに満ちている訳は……そう。ここがねえたま。あなたのいる世界だから!」
そんな風に話す妖精。そして、影人はその妖精が頭に乗っかったという訳で一瞬凍りつく。それからその妖精も影人の上に乗っている感覚に気がつくとフワリと浮かんで影人の前に降りてくる。
その直後、二人はいきなり見知らぬ存在と出会ったせいか、揃って声を上げてしまうのであった。
また次回もお楽しみに。