キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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チーム分けと話題になる二つの恋

登校時に浅野から宣戦布告された後。その日の学活の時間では浅野の話していた通り、球技大会の話が話題として挙がった。

 

「よーし。皆、球技大会の種目は決まったね」

 

富士見先生からの言葉にクラスの面々から返事の声が揃って上がる。今現在、球技大会の種目決めという形でクラス内でどの種目に出るかの割り振りがされている。種目は全部で三種類。バスケットボール、バレーボール、ドッジボールだ。この中でバスケとバレーは男子、女子で分かれており、ドッジボールは男女混合となっている。

 

そんな中でプリルンとメロロンがコッソリとうたの肩の上に出てくると小声で話す。

 

「さっきも思ったけど、球技大会って何プリ?」

 

「バスケとかバレーとかドッジボールとか。クラス対抗で試合をするの。凄っごく盛り上がるんだよ」

 

そんな風に解説するうたを横目で見ている影人は余計な事にならないか少しヒヤヒヤしていたものの、特に問題にならなそうな所を見てホッとしていた。

 

「それじゃあ、各チームで練習の進め方を相談してくださーい!」

 

富士見の言葉と共にそれぞれのグループに分かれて練習方法のやり方を話し合う事になる。

 

「男子バスケに出るのは……この五人だな」

 

レイがそう言う中、彼の他に四人が集まる。その面々は男子バスケ部所属で背が高く、大らかな雰囲気を持つ焦茶の髪の子、高村あすと。眼鏡をかけてザ・真面目そうな雰囲気の黒髪の子、藤堂おさむ。やる気に満ち溢れたようで今にも運動したそうな雰囲気の茶髪の子、早川りょうた。最後は我らがこの小説の主人公こと黒霧影人。以上、この五名である。

 

「……バスケ部所属のあすとと陸上部で脚の速いりょうたは予想通りとして……おさむや影人が来たのは意外だったな」

 

特におさむに関してはあまり運動は得意じゃ無い。どちらかと言えば勉強の方が真価を発揮しやすいくらいだ。

 

「……別に。三つの競技の中であればバスケが一番僕の興味に合っただけだよ」

 

「なるほど。で、影人は?」

 

「……あんな話聞いておいて、友達として放っておけるわけ無いだろ?いつも助けてもらってる分、こういう時に少しでも返させてくれ」

 

どうやら影人は今朝、学校に着く直前まで何をやるかは決めかねていたらしい。だが、レイがバスケ部のエースである浅野からあそこまで因縁を吹っ掛けられたのだ。友達としてレイを助けたい気持ちが強いという事だろう。

 

「……そうかよ。サンキュ」

 

「……浅野がどうかしたのか?」

 

「別に……。ちょっとアイツに断れない勝負を吹っ掛けられただけさ」

 

早川の問いにレイは僅かに不機嫌そうに返す。そんな中で高村は一人難しそうな顔をする。

 

「うーん、でも正直な所。同じバスケ部のメンバーとしての話だけど……純粋な実力でアイツに勝つのはなかなか難しいよ?」

 

ここで各競技のルール説明だ。試合は原則として、バレーが1セット先取。バスケットが中学バスケの1クォーターより少し長い10分流しでより点数を取った方の勝ち。ドッジボールはバスケと同じく10分流しで最終的に残った内野の人数で勝ち負けを決める。という形だ。

 

ここにバスケとドッジボールは同点又は同人数の場合、5分の延長戦を設けて勝ち負けを決める。更にドッジボールのみのルールとして時間内に内野が全滅した場合、残り時間がどれだけ残っていても即座に試合終了。勝ち負けが付く。

 

加えて、チームを決める上でのルールとしてその種目に所属する部活のメンバーは一人のみ参加が認められる。この場合、男子バスケの所属の高村のみがバスケ部メンバーなので、チーム結成上の問題は無い。

 

「浅野君はうちの部活の中ではSF(スモールフォワード)をやってるんだけど、単純な得点力が高い。うちの先輩達でも普通の一対一じゃ止められないくらいだよ。その攻撃力は地区の代表に選ばれるぐらいだからね」

 

高村は男子バスケ部の中では二年の中でC(センター)ポジションを担っている。三年の引退後はそのまま繰り上がりで試合での活躍を期待されているし、それがあるからこそ今から少しずつ試合に出て経験を積んでいるのだ。

 

「そういえば、浅野はもう既にうちの男子バスケ部のエース……試合で活躍しまくってる選手だからな」

 

その点、浅野は既にチーム内でレギュラーを勝ち取っているくらいの実力者。あのように性格に難はあるものの、それはあくまで日常生活での話。試合とかで気に入らないから暴力を振る……みたいなクレイジーな物では無いのだ。

 

「なるほど……確かにそれは強敵だね。……でも、音崎君なら勝てるんでしょう?」

 

影人は藤堂からのその言葉を聞いて再度疑問符に感じた。先程の浅野がレイに対する辺りが強い態度に今の藤堂がレイに浅野を止められるだけの実力があるような話を聞くとまるでレイは経験者みたいな言い方であると考える。

 

「……なぁ、レイってバスケをやった事あるのか?」

 

その瞬間だった。レイが俯くと唇を噛み締めるようにして暗い顔をしたのは。それと同時に高村は言いづらそうな顔つきになる。

 

「……黒霧君はこっちに来たばかりだから知らないと思うけど……音崎君はミニバスの頃は天才SG(シューティングガード)として驚異の点取り屋って言われてたんだよ」

 

「あすと……もうその名前は捨てたんだ。俺の事をそう呼ぶなって前にも言っただろ」

 

高村の紹介にレイは更に不機嫌そうな顔になる。どうやらレイにとってその名前で呼ばれるのは嫌なようで……。レイは明らかに嫌がっていた。

 

「………」

 

影人は普段のレイからは考えられないくらいに取り乱している彼を見て、確実に何かしらの大きな事件があったのだと察する。

 

「とにかく、俺は浅野に負けるつもりは無い。……あの子のためにもな」

 

レイがチラリとななの方を向くと影人は頷く。例え相手がバスケ部のエースで地区大会の代表になるほどでも、それはあくまで浅野個人の能力による物だ。

 

加えて今回は相手チームは全員がバスケ部ってわけではない。こちらがチームとして団結できれば浅野一人だけが強かったとしても十分対抗できる。そう考えるとチーム内での練習について話し合う事になるのだった。

 

その頃、うた達女子バレーチームの方にて。彼女達のチームはうた、ななの二人に女子バレー部エースの新橋。更にうた達の友達である東中、坂上、新野の三人だ。ちなみに新野はこの前の校内放送の件で出てきた放送部員である。

 

「バレーボールチーム、集合!」

 

「うた、ななちゃん。るか、みこと、みお。よろしくね!」

 

「バレー部のわかばがいて心強い!」

 

「わかばはバレー部のエースだしね」

 

「うちの学校からはわかばと三年の翔太先輩だけだって聞いたよ」

 

そんな風に話す中でななは一人気まずそうな顔つきになっていた。勿論それに気がついたチームメイトも気にする訳で。

 

「あれ?ななちゃん、どうしたの?」

 

「……実は」

 

それからななは気まずくなっている原因……先程の浅野からの告白の件を相談する事になる。

 

「ええっ!?浅野君が……」

 

「うーん。浅野君、根は真面目なんだけどねぇ……」

 

「うん、ちょっと真っ直ぐ過ぎるって言うか……。ななちゃんもあまり正面から話した事が無かったんだよね?」

 

「……うん」

 

坂上や東中、新野はあまり浅野には良いイメージが無いらしい。勿論、彼も悪意があってこんな事をしたわけでは無いというのはわかっている。ただ、やっぱりどうしても唐突すぎる告白に彼女達も困惑しているのだ。そして、第三者の彼女達が困惑しているという事はななも当然困惑する事になる。

 

「あ。でも確か、去年のクラス内では結構ななちゃんを意識してそうな感じはしたよね?」

 

「うん」

 

「え?そうなの?」

 

「うたやみことは違うクラスだったから知らないかもだけど、同じクラスだった私達の中ではそういう認識になってたんだよね」

 

どうやら浅野がななに惚れたのはつい最近というわけではなく、去年……一年生のクラスの時点で浅野はななに惚れたようなのだ。それから偶にななへと軽めのアタックはしていたらしい。当時はまだアイドルプリキュアになっておらず。また、うたと深い関わりを持つ前という事で習っていたピアノに忙しかったななは気にする余裕さえ無かったが。

 

「正直、私はどう返事すれば穏便に断れるのかなって……現に私のせいでレイ君にも迷惑かけてるし」

 

ななは仮に浅野が勝ったとしてもやはり告白に関しては断るつもりのようなのだ。だが、浅野の性格からして普通に断っても色々と引き摺られそうで不安らしい。

 

「なるほど……わかばはどう思……あれ?」

 

うたは新橋へと意見を聞こうとすると、彼女も彼女で顔つきが乙女のような物になっていた。

 

「わかばもどうしたの?」

 

「顔が赤くなってるし……」

 

「べ、別に……」

 

どうやら新橋の方も先程から話になっている通り、三年の翔太先輩に恋焦がれているらしい。ただ、ななの方とは違ってこちらは矢印を向ける側の方だが。

 

「恋……かぁ」

 

二つの恋模様を見たうたは一人ポツンとそう言う。結局その場はななの方の話題は本人が自分でもう一度ちゃんと彼との向き合い方を考えるという事で一旦話は終わりとし、そこからは新橋の話へと移行するのであった。

 

その日の放課後。影人はレイの元に行くと彼へと話しかける。内容は勿論先程出てきたレイのバスケの話だ。

 

「なぁ、レイ」

 

「どうした?影人」

 

「……もしかして、バスケの事なのか?レイが諦めさせられた夢って……」

 

「……お前に隠し事してもどうせ後からバレると思うからこの際話すが……結論から話すとそうだ。俺は父さんの影響で中学への進学の時点でバスケを辞めさせられた」

 

影人はやはりというより、案の定の答えに納得の気持ちになった。確かにそれならやっていた事がある程度上手く行っていたというのにも納得が行く。

 

「で、じゃあ何でアイツはこんなにもお前の事を敵対視してるんだ?」

 

「……別に。当時は俺の方が強くて、負けっぱなしだったアイツは俺が辞めたのを勝ち逃げしたって思ってるだけだろうよ」

 

この感じだと浅野の方はレイの事情を知らなさそうだった。彼だけじゃ無い。周りから見れば唐突に辞めたような感じだったので最初は誰もが何で?と思ったのだが、時間が経つに連れてレイが急にバスケ界からいなくなった事をわざわざ覚えている人は少なくなると話題にも上がらなくなったのだろう。

 

ただ、当の浅野本人はレイが自分に勝ったままバスケを辞めて勝ち逃げしたと解釈してしまったらしい。レイからしてみれば本当に迷惑な話だ。

 

「……そういう事か」

 

「ひとまずこの話はここまでだ。ここからの話をする前にまずはグリッターに行くぞ」

 

影人はレイの言葉に頷くと彼等はグリッターへと移動。そこでうた達も加えて話をするのであった。




また次回もお楽しみに。
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