キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
球技大会当日。この日は朝から体育館内は熱気に包まれていた。何しろこの大会自体、一年に一回きりのイベントだからである。
そのため、試合でプレイをしていない生徒達も所々でキラキライトを持って試合をしている生徒達を応援。カラフルなペンライトが体育館内で輝く中で試合は進んでいく。
「りょうた、速攻!」
「おう!任せろ!」
影人達のチームの軸は陸上部でスピードがある早川による速攻とそれが止められる場合はチーム内唯一のバスケ部……高村のCプレイによる中を中心にした攻めで着々と加点。相手チームを突き放していく。
「ナイス、高村!」
「ああ。このまま行ける所まで行くよ」
今現在は男子バスケの初戦として1年B組との対戦中である。そんな中で影人も外でパスを貰うと内部へとドリブルで切り込んでからレイアップを決め、点を入れる。
「よーし!」
「影人もナイシュ!」
レイは影人の背中をパァンと叩くと健闘を讃える。影人はそんなレイを見て笑みを浮かべた。
「レイ、ちゃんと楽しんでるじゃん」
レイも覚悟を決めたからか楽しそうにプレイしているように見えた。そして、影人達が活躍している所を見たこころは……。
「カゲ先輩……やっぱりカッコ良い!」
「こころちゃん!?もうすぐで私達も出番来るんだよ!?」
「完全に影人先輩の試合に見入っちゃってるね……」
影人がプレイする所を食い入るように見てしまっており、クラスメイトとしてよく話す女子達からも苦笑いされていた。やはり影人とこころの関係は1年A組のクラス内部でもしっかりと公認となっているらしい。
「あっ、また決めましたよ!先輩〜!カッコ良いです!」
こころは影人が活躍する度に歓喜の声を上げている。こころのクラス内での友達もそんな風に喜ぶ彼女を微笑ましい目で見ていた。
その隣のコートではバレーの試合も進んでいく。勿論女子達の目線は翔太のプレイ一つ一つに釘付け状態であり、彼が活躍する度にファンの女子達による大歓声が体育館内に鳴り響く。
「「「「「「翔太先輩、頑張れー!」」」」」」
すると相手チームからのサーブに対してチームメイトの二人がレシーブ、トスをしてから翔太がスパイクを打ち込むと相手チームはカバーが間に合わずに点が入る。
「「「「「「きゃーっ!」」」」」」
翔太からのスパイクは見ていた殆どの女子達の心を掴むと歓声が体育館に響く。
試合の進行としては基本的に片方のコートで男子バレーと女子バレーの試合を交互に行う形で進め、もう片方で男子バスケ、女子バスケ、ドッジボールの三競技をローテーションにして回す。これはバレーに必要なネットを出したり片付けたりするのはかなりの手間であるからだ。また、バレーの方は制限時間が無い都合で試合が長期化する場合がある。
そのため、他の三つを纏めて片方のコートで先に終わらせた場合にそのまま二つ分のコートを使って詰まっている分のバレーの試合を同時進行で進める方針を取るためでもあった。
「……レイ、何のつもりだ。あれだけ意気込んでおきながらアイツ自身はそこまで活躍していない。手を隠すつもりなのか」
そんな中で浅野の視線は男子バスケの影人達の試合の方を向いている。彼はレイが未だに実力をフルで見せずに戦っている事を不審に考えていた。その証拠に影人達のチームの得点は主に早川や高村が担っている。偶に影人やレイが決める所は見るが、それでも目覚ましい活躍と言えるかと言えば疑問が浮かぶような内容だ。
「……何にしても俺達のやる事は変わらない」
それから影人達の試合が終わり、影人達2年A組は勝利を収めて次の試合へと駒を進める。
影人達の試合が終わると女子バスケが始まり、更にその後のドッジボールも進行。更に少し試合を挟んでから浅野率いる2年C組も相手チームに勝利すると彼等も順調に勝ち進んでいく。
「……やっぱり強いな浅野のチーム」
「事前に見ておいた情報通り、彼を中心にした連携で相手を圧倒してる感じ」
しかも、厄介な事に浅野以外の四人もそれなりに運動が可能な強いメンバーが揃っている。手強い相手になるのは間違い無いだろう。
「何なら上級生相手にも割と余裕で勝ってるね……」
「へっ。上等だ……そのくらいやってくれねーと面白くねぇ」
レイの普段は言わなさそうなバトルジャンキーのような荒い言葉に影人を含め、他の三人共彼が珍しく燃えているのだと察すると頼もしさを覚える。
そして、影人達は準決勝にて上級生のチームである3年B組と対戦。ただ、相手にいるのは男子バスケ部のキャプテンでそのポジションは高村と同じC。身長もパワーも高村以上にあるため、これまで通りの戦い方は通用しないと思われた。
「高村、手加減はしないぞ」
「はい……よろしくお願いします!」
試合開始と同時にジャンプボールをする。高村とバスケ部キャプテンが同時に跳ぶ中、やはり身長差はどうしようも無い。これより前にも三年のチームとは対戦したが、その時は技量差で競り勝ったために初めて高村はジャンプボールで負ける事になる。
「良し、まずは一本だ!」
キャプテンはそう言ってチームに声をかけると相手チームは一気に引き締まり、PGの人がドリブルでボールをキープする。すると、ボールは早速キャプテンにボールが渡ると高村の上からシュートが決まって先制されてしまう。
「高い……」
「単純に高さ勝負になったら勝てないんだよな……」
しかも、ディフェンスの中で相手からボールを取れないとこちらの得意の速攻も使えない。かと言って正面から攻めれば、確実に身長差が響いてくる。
「くれ!」
すると影人はレイからボールを貰うと相手ディフェンスと向かい合う。それから影人は目線を一瞬だけコート全体に向けるとドリブルを一回挟んで後ろに下がるとそのままノーフェイクでスリーを打つ。
「えっ!?」
勿論、影人が先程までの試合で見せてきたのは全てドリブルによる中へのドライブからのジャンプシュート若しくはレイアップのみであったがために相手にはスリーの警戒なんて無かった。それに、影人はバスケを部活にしてガチでやり込んだわけでは無い。そのためにスリーは無いと判断されていた。
「(頼む……これが全てなんだ……入れ!)」
そして、それは影人も同じ。祈る影人の中、ボールはリングに当たって一度小さく跳ね上がってからリングの上にもう一度落下し、奇跡的にゴールの中へと転がり込んだ。
その瞬間、沸き立つ体育館に影人は仲間からスリーを決めた事を讃えられた。
「影人君凄っ……経験者じゃ無いのに……」
「ッ……ドンマイドンマイ。偶々入っただけだ。切り替えていこう!」
相手のバスケ部キャプテンも多少驚いていたが、今のゴールがまぐれだとわかっているために仲間へと声をかける。
「アイツ凄いな……」
「でもまぐれでしょ」
「……いや、今のゴールで多分流れが変わる」
そんな中、浅野のチームメイトも影人のゴールをまぐれで決まったシュートだと断定。その一本だけで変わる物じゃ無いと判断した。しかし、浅野が見ていた物は違う。そして、彼の予想はこの後現実となった。
相手ボールとして再会した試合は直ぐに3年チームが反撃に転じる中、相手がパスをした直後に早川が見事にボールをカット。そのまま速攻に入る。
「良し……このまま……ッ!?」
「来いよ……」
そんな早川の前に立ち塞がるキャプテン。その威圧感に早川が止まってしまう中、影人が声をかける。
「早川!」
「任せた!」
影人がボールを貰う中、すぐに相手ディフェンスがもう一人追いつくと二対二となる。その瞬間、影人はまた先程同様にスリーを撃つために後ろへとドリブルしようとする。
「ッ!?またスリーか!」
「待て、それは……罠だ!」
しかし、影人が狙ったのは相手がスリーを警戒して詰めてくる瞬間のトップスピードドライブであった。影人が相手を抜き去ったタイミングでカバーに来たキャプテンが立ち塞がる。影人はレイアップをするために踏み込んだタイミングでキャプテンはシュートを止めるためにコースの前に入り込む。
「カゲ先輩!!」
今から次の一歩を出したら相手のキャプテンに当たる形でオフェンスのチャージングになってしまう。つまり、相手ボールとなる。だが、影人の動きは次の一歩を出す物では無かった。影人はそのまま急停止するとジャンプシュートの体勢に入る。
「そんな無理矢理が通るかよ!舐めるな!」
バスケ部キャプテンは高さが勝っているためにシュートブロックのための姿勢に入ると跳ぼうと脚が上へと動く。
「……ここだ」
そのタイミングで影人はキャプテンの真横を通す形でパスを出すと既に反対側にいた早川へとボールが渡る。キャプテンは慌てて跳ぶのをキャンセルするが、既に脚が伸び切っていたために早川には対応できず。シュートを決められた。速攻からのカウンターが決まった形である。
「きゃーっ!カゲ先輩!カッコ良いです!」
再び影人のプレイが影響して沸き立つ体育館。今回のプレイのミソは先程、影人がやったスリー。アレが一発で決まった事で相手の中に影人はスリーをまぐれだとしても決めてくるという脳が刷り込まれた。そのため、スリーも警戒の選択肢に入ったのである。
もし仮に先程のシュートを外していたら“どうせ入らないから無茶なシュート程度なんて打たせておけ”と思ったかもしれない。だからこそ影人は先程まぐれでも何でも良いからスリーを決めたかったのだ。
そこからは相手の対応の遅れを連鎖、拡大する形で体勢が整う前に速攻で決めたのである。
「ナイス影人!よく見てたな!」
「ああ。お前の反応速度に関してはもう頭に入ってる。練習通りだよ!」
ここに来て対浅野用に練習していた早川とのディフェンス練習が身を結んだ形だ。そこからは点の取り合いであり、結果的に影人達は一点差という僅差ながらも準決勝に勝利。既に浅野達のチームが待つ決勝に駒を進める事になった。
「影人君強すぎでしょ……」
「うん。影人君、本当に初心者なのかな……」
2年A組の応援のために見ていたうたやななは影人の能力に驚きを隠せなかったのである。
「影人凄いプリー!」
「メロ……影人、活き活きしてるメロ」
プリルンやメロロンも影人達の活躍を見る中で次は女子バレーの準決勝となった。2年A組の女子バレーも今の所順調に勝ち進んでいる。そのため、影人達は一度うたやななの応援をするべく二階に上がった。するとそこではプリルンがキラキライトを振っている。メロロンの方はキラキライトを持ってこそいるものの、電源は切った状態でプリルンにの隣で弱く振ってるだけだった。
「うた〜!なな〜!こころ〜!頑張るプリ〜!」
「メロ……」
「くっ……決勝に進むためにここまで勝てたうちのクラスの女子バレーだけど……何でこんな時にこころの1年C組となんだよ……。俺はどっちを応援すれば……」
「うちのクラスに決まってるだろ馬鹿」
「あでっ!?」
影人は自分のクラスである2年A組と彼女のクラスで尚且つこころ本人が出場している1年C組の試合という事でどちらを応援すべきかわからずに板挟み状態に。そんな影人を見たレイは彼に喝を入れるべく頭を思い切り叩いて自分のクラスを応援すべきと引き戻した。
「はあっ!」
そんな中でこころからのスパイクがうた達のいるコートに突き刺さるとこころが決めたという事で影人は思わず声に出してしまう。
「こころー!ナイススパイク!」
それを聞いたこころは影人へと手を振って応え、その直後影人はクラスメイトから生暖かい目線を向けられて自分が何をやったかを自覚する。
「あっ……その、ごめんなさい」
影人は反射的に謝るとそのまま試合は続いていく。結果的に言うと1年C組は善戦こそしたものの、バレー部エースである新橋からの猛攻を凌ぎ切る事はできず。負ける事になってしまった。
「あー、負けちゃったーっ!」
「悔しい……」
「でも楽しかった!」
「うん!……あっ」
そんな中でうた達がチームで勝利の喜びを分かち合う中でこころは彼女達にエールを送る。
「うた先輩!なな先輩!決勝戦頑張って下さい!」
「ありがとうこころ!」
そんな風にしてこの試合が終わる頃には試合が一周分終わったからか、影人達は決勝戦にて浅野率いる2年C組と対戦する事になる。
「……こころ、負けちゃった……」
「おーい、次は俺達の大本命なんだからな?良い加減気持ち戻せ馬鹿」
「ああ……悪い。いよいよ……だな」
それから影人はこころが負けて落ち込んだ気持ちをスッと戻すと目の前にいる浅野達との激闘に備えて気持ちを整える。そのまま、彼等は整列すると挨拶を交わすのだった。
「これより、男子バスケの決勝戦を始めます!礼!」
「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」
それから両チームの選手十人はジャンプボールのためにそれぞれの位置に着くと審判である男子バスケ部の顧問の男の先生がボールを手にしていた。
「「……絶対に勝つ」」
レイと浅野がそう言う中、ボールは真上に投げられてジャンプボールの二人が跳び上がる事に。こうして、男子バスケの決勝は開幕するのであった。
また次回もお楽しみに。