キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
クラヤミンダーは自らの体がバレーボールであるために跳び上がって回転しながら突撃。それはスパイクされるボールのようであった。
「クラヤミンダー!」
「「「ッ!」」」
三人が跳び上がって回避する中、ソウルは突っ込んでくるクラヤミンダーに対して敢えて正面から迎撃する。
「だあっ!」
ソウルが脚を地面へと大きな音が鳴るくらいに力強く踏み込むとその反発によって発生するエネルギーを上半身へと移し、踏み込みエネルギーをそのまま打撃へと転換。クラヤミンダーへと全力で叩き込んだ。
ソウルから繰り出された打撃を受けたクラヤミンダーは体が横に引き伸ばされてしなるゴムのように変形する程にヘコむ。そのままソウルからの攻撃の威力を殺せなかったクラヤミンダーはあっという間に吹き飛ばされた。
「クラヤミンダー!?」
「やっぱりソウル強っ……」
「ソウル、脚で強く地面を踏み込んでましたけど……それどうやったんですか!?」
「え?うーんっとな……俺の知り合いに天城さんっていう人がいてだな。彼女と図書館でバッタリ会って、俺がプリキュアのために使えるかななんて武術の本を読んでたからこの技を教えて貰ったというか……」
「……ソウル?今彼女って言いました?その言い方をするって事は天城さんって女性なんですよね。メロロンの時は妖精だから許してる所がありますけど……その人と浮気なんてしてませんよね?」
「いや待って、キュンキュン誤解だって!」
ソウルがジト目を向けてくるキュンキュンに対して慌ててそう返す中、キュンキュンも今回の問い詰めに関してはガチでは無く多少揶揄っただけだった。そのため、すぐに顔つきをいつもの物に戻す。
「なーんて、先輩がそんな浮気なんてしない人だって信じてますし。今回のは冗談です」
「ちょっ、心臓に悪いって……。キュンキュンもそういう冗談言うようになったんだな……」
キュンキュンから受ける印象は真面目なイメージが強かった。そのため、彼女からジト目を向けれられる事態になって内心相当焦るソウル。しかし、今回は冗談半分という話のおかげで命拾いしたと判断。そんな中、クラヤミンダーは立ち上がると声を上げた。
「クラヤミンダー!」
「ぐぬぬ、ザックリーの言う通りでキュアソウルの強さは誇張抜きで本物なのですぞ。ならばクラヤミンダー、まずは手負いと思われるキュアアイドルからやるのですぞ!」
「クラヤミンダー!」
するとクラヤミンダーは回転しながら突っ込んでいくと目を発光させて四体へと分身。そのままクラヤミンダーがソウル達をそれぞれターゲットにする中、ソウルは振り抜くとまた拳を叩き込む。
「クラヤミンダ……」
しかし、ソウルが殴ったクラヤミンダーは偽物なのか、一瞬にして粉砕されると手応え無く消えてしまう。
「ッ!まさか本体以外は当たり判定無しの目眩し目的の分身か!」
そんな中、ウインクもウインクバリア、キュンキュンもキュンキュンレーザーでクラヤミンダーを迎え撃つとそれぞれのクラヤミンダーは消え去っった。これにより、二人に向かった個体も分散体だとわかるだろう。という事はつまり、アイドルへと向かった個体がクラヤミンダーの本体となる。ただ、アイドルは攻撃を回避するために跳んだ影響で空中にいる瞬間を狙われてクラヤミンダーからの回転式の突撃を受けてしまう。
「ッ!」
アイドルは何とか両腕で受け止めようとするが、やはり怪我している左手の方は力が入らない。そんな中、プリルンはキラキライトを持って応援の声を上げた。
「頑張ってプリー!メロロンも応援するプリ!」
「メロ、でも応援に何の意味があるのメロ?応援なんて無くても……皆、キラキラしてたのメロ」
メロロンとしては先程のあのキラキラした空間は応援無しでも生み出されるのではないのか。応援は必ずしも必要というわけでは無いと判断しているのだ。しかし、プリルンや近くにいるレイの意見は違う。
「そんな事無いプリ!“頑張れー”は届くプリ!」
「本当メロ?」
「……メロロンはさ。さっきのあの空間が応援無しでも生み出されるって思ってるだろ?……そうじゃ無いんだ。誰かの事を応援して、盛り上がるからこそあのキラキラの空間は生み出されるんだよ」
「メロ……」
メロロンはそれを聞いて思い出す。先程感じられたキラキラや温かさの出どころは中で競技をやっていた選手だけでは無かった事に。むしろ、周りの応援する生徒達の方が中の選手よりもより多くキラキラが出ていたという事に思い至る。
そんな中、アイドルはクラヤミンダーからの攻撃を受け切れなかったアイドルは吹き飛ばされると壁に激突。そのまま崩れ落ちた。
「ッ……ああっ!?」
「やばい、アイドルのカバーを……」
「そうはさせないのですぞ!」
ソウルがアイドルの元に向かおうとすると、クラヤミンダーはそのまま一度地面に落下して設置されていたバレーボールのネットを支える柱を突進で無理矢理へし折って弾くとソウル、ウインク、キュンキュンを足止め。そのタイミングでクラヤミンダー自身はアイドルへと飛びかかる。
「今が好機なのですぞ、クラヤミンダー!」
「クラヤミンダー!」
「ッ……」
アイドルは何とか立ち上がるものの、手の痛みに顔を歪めてしまう。そこにプリルンがキラキライトを振っての応援の声が響く。
「キュアアイドル!頑張るプリ〜!」
すると召喚前の格納されているソウルメガホンの白のダイヤル部分に薄っすらと小さな白い光が一瞬だけ瞬くと同時にプリルンが持っているピンクのキラキライトが光を放ち、クラヤミンダーの意識は一瞬だけその方に向く。それと同時にアイドルは自らの体に力が湧き上がるのを感じられた。
「あ……手が痛くたって……負けない!」
その直後、アイドルは手が使えないなら脚でと言わんばかりに跳び上がると回し蹴りをクラヤミンダーへと叩き込む。その力は普段のアイドルよりも更に強く。クラヤミンダーをも仰け反らせた。
「クラヤミ……ンダ……」
「届いたプリ!」
「メロ……」
そんな中でメロロンはある言葉を思い出す。それは影人が先程言った自分が出した疑問への答えだった。
「ねえたまが出した応援という光が……力無かった者に……力を与えたのメロ。……影人が言ってたのはこういう事だったのメロ。暗く、寂しかったこの空間が温かくなったのはここにいた一人一人が誰かを応援していたからなのメロ……」
メロロンがそう考えると手にしていたキラキライトを無意識のうちにまた振り始める。そんな中で、プリルンはウインクにもエールを送るとウインクは転がってきたクラヤミンダーを一度回避する。
「キュアウインク、頑張れプリ〜!」
「そ、そんな応援無駄なのですぞ!やってしまうのですぞ、クラヤミンダー!」
カッティーがクラヤミンダーに指示する中、ウインクはキュンキュンやソウルにアイコンタクトすると二人は頷く。
「ウインクバリア!」
ウインクはバリアを展開するとそれを使ってクラヤミンダーからの突撃を上方向へと弾く。これにより、クラヤミンダーはウインクによってレシーブされる事になった。
「……キュンキュン!」
「任せてください!」
そのタイミングでキュンキュンが真下に走り込むとプリルンがキラキライトをライトパープルにして声を上げつつ振る。
「キュアキュンキュン!頑張れプリ〜!」
キュンキュンはブローチをタッチすると再度自らの技であるレーザーを一斉に照射した。
「キュンキュンレーザー!」
真上に向かって放たれたキュンキュンレーザーはクラヤミンダーの尻に当たる部分に集中砲火されるとクラヤミンダーは尻を焼かれたせいか、声を上げてその場で跳ね上がって天井に激突する。
「クラヤミン……ダ!?」
そのまま落下するクラヤミンダー。そのタイミングで踏み込んだソウルは一気に跳び上がる。そんな彼を見たメロロンは……振ったキラキライトの光を声を上げてソウルへと送った。
「ソウル、頑張れメロー!」
「先輩、決めちゃってください!」
「任せろ!プリキュア・○球拳……アターック!」
その瞬間、○ラゴンボールに出てくる三つ目のスキンヘッドをした中華料理の名前がモチーフのキャラが使うような技名を叫びながらボールをスパイクしてステージとは反対側に叩き込む。尚、元ネタと違う点はわざわざ技を使うためにオネェ口調にならない所だ。
「クラヤミ……!?」
「メロロンの応援が届いたのメロ!」
クラヤミンダーは相次ぐダメージにフラフラであり、そこでソウルはステージへと降り立つと声を上げる。
「恋する乙女の気持ちをお前らに何度も邪魔されてたまるか!……これで終わりにする!」
その瞬間、ソウルはステージで決めるために領域を展開。ソウルが今回主導となったのは怪我をしたアイドルへの負担を軽減するためだ。しかし、ソウル一人で決めるとなると問題が発生する。
「ふん、幾ら粋がった所で……クラヤミンダーはお主一人での浄化は……」
ソウルはカッティーが台詞を言い切る前に問答無用でステージを始めた。そのままソウルの曲の音楽が鳴り響く。
「クライマックスはこの俺!」
その瞬間、クラヤミンダーはお決まりである席への強制着席となる。ただ、クラヤミンダーであれば個人技は通用しない。そう考えてカッティーは声を上げた。
「無駄ですぞ、クラヤミンダー!さっさと抜け出して……」
「クラヤミ……ンダ!?ンダ!?」
クラヤミンダーはどうにか己を縛る席からの脱出を試みたが、ソウルの席の拘束力は他の三人の個人技よりも相当強力であったために抜け出す事ができない。
「フィナーレ、決めるぜ!」
そうこうしている内にソウルの言葉と共に無慈悲にもそのまま曲に突入。こうなるともうクラヤミンダーは浄化技を喰らうしか無くなった。
♪決め歌 魂の鎖を解き放て♪
「己の力〜♪(my soul!)そんな物はな〜♪(my soul!)鎖を壊し、強くなるためにある♪!君の笑顔を〜♪守るためにな〜♪俺の歌を響かせるから〜♪心燃やせよ魂〜♪……プリキュア!ソウルシャウト!」
ソウルから繰り出された星のエネルギーが降り注ぐとクラヤミンダーはどうにか浄化の光を持ち堪えようとするが、その浄化のエネルギーは三人の合体技と同等かそれ以上の出力であった。
つまり、クラヤミンダーが耐えられるわけが無い。そのまま浄化されると素体である新橋と共にお決まりの声を上げて消滅していく。
「「キラッキラッタ〜」」
クラヤミンダーがやられた事によってまた新たなキラルンリボンが生成。それをプリルンが付けるといつものポーズを取る。
「プリ!L・O・V・E!プリルン!」
プリルンは両手で大きくハート型を描くと最後にパチパチと瞬きをして可愛らしく締めくくった。その後、浄化の光に当てられて壊された会場は元に戻る事に。
「ホッ……ちゃんと戻って良かった……」
「皆、一応俺達も避難したって体を取るから一度出るぞ」
アイドルがちゃんと元に戻った事にレイからの声がかかるとそれに応える形でアイドルプリキュアは体育館から出ていく。カッティーは唖然とした顔つきでそれを見送るしか無かった。
その後、試合はしっかりと再開。得点は先程から引き続いて2年A組のマッチポイントである。
「優勝まであと1点……」
「うん……」
「大丈夫だ。蒼風さん達ならきっと勝てる」
「ああ。絶対だ……」
体育館内にキラキライトを振って応援する生徒達の声で賑わう中、影人達も試合の様子を固唾を飲んで見守っていた。
「はあっ!」
そこにレシーブを拾ってからアタックにまで繋いできた3年からのスパイクが放たれる。それを止めようと東中と坂上がブロックしようと跳ぶが、一歩間に合わずにボールはすり抜けてしまう。
「「!!」」
このまま床に触れたら相手に点が入ってデュースとなる。そんな中で新橋も残っている力を振り絞って飛び込み、ボールを弾いた。それを見て新野がボールを追いかけるが間に合わない。
ちなみに、今のチームの人数はうたが抜けた影響で五人に減ってしまっている。ルール上では負傷によるメンバーチェンジはその試合中は不可という話であるため、今回の試合は五人でやらざるを得ないのだ。それでも五人がうたの分まで必死に戦った結果、勝利目前にまで漕ぎ着けたのだが。
「私が繋ぐよ……誰か、お願い!」
ボールが落下する中、その地点にななが走り込むと彼女も必死でボールをネット際にまで戻しつつ上へと上げる。これにより、あとはアタックを決めるだけ。
新橋は自分が決めないといけない。そう思って立とうとするも体は疲れているのか、動きが鈍ってしまう。
「ダメ……このままじゃ……」
その瞬間だった。新橋の耳にこの場にいない6人目のチームメイト。うたの声が届いたのは。
「わかばーっ!頑張れー!わかばーっ!」
うたは自分が出られない分も必死で応援してくれている。そう思えた彼女は疲れを堪えて立ち上がると夢中で跳び、落ちてきたボールを最高のタイミングで……相手が取りにくい最高の場所へとスパイクした。
「はっ!」
新橋のスパイクの直後。相手がブロックのために出した腕の上ギリギリをボールが抜け、そのままそれは相手コートに着弾。相手選手の飛び込みは間に合わなかったのだ。
これにより、少しの静寂が流れると選手達の息遣いだけが聞こえる中で試合終了を示す笛が鳴る。
「優勝、2年A組!」
その直後。2年A組のクラスメイト達は全員で勝利した女子バレーのチームを祝福する事になるのだった。そんな様子を影人とレイは見届ける。
「咲良さんが抜けて五人だけになったのに……よく戦い抜いたよな」
「ああ。……でもレイはこうなる事を予想してたんじゃ無いのか?咲良さんが抜けてもあまり絶望感無さそうだったし」
「……流石に勝てるという断定は無理だよ。だからこの勝ちは皆で掴んだ勝ちさ」
それから影人とレイもクラスの喜びに混じるためにその輪の中に入っていく。そんな中でこころは預かっているプリルンと一緒に喜ぶ。メロロンはこころの腕の中で未だにこのキラキラとした光景に見入っていた。
「やったー!」
「優勝プリ!」
「強い想い……願う程に光となる」
そんな中で未だに撤退せずに残っていたカッティーは試合を律儀に見守っている状態であり、一人考える。
「(まさか、クラヤミンダーをたった一人で打ち破るとは驚きですぞ。そして、彼のその輝きは自分以外の誰かに支えられているような感じで……という事はこんな自分だとしても誰かの光を支えるため、応援を届ける事ができるのですかな……)
カッティーがボーッとしながら考え込んでいると生徒の一人がカッティーの姿を見てしまったのか、自分の方を指差しながら声を上げられたのを聞く。
「あっ、先生!怪しい人がいます!」
「あっ、怪しい者では無いですぞ!」
カッティーが慌てて走って逃げる中で生徒達は不審者であるカッティーを捕らえて警察に突き出すべく数の暴力で追いかけた。そんな彼を影人は唖然としながら見る。
「やれやれ、あの野郎。まだ帰って無かったのか」
そんな中、女子バレーのチームでは包帯を巻かれたうたの手を新橋が優しく握っている状態であった。
「うたの応援。聞こえたよ。ありがとう!」
「うん!」
「皆のおかげで優勝できた。……行ってくる!」
新橋は優勝したら告白する。そういうつもりだったために彼女は男子バレーの翔太先輩の元に向かっていった。影人達は一応全試合が終了したために片付けを球技大会の実行委員会に任せて一度体育館から出る事になる。
〜おまけ〜
球技大会の少し前。影人が図書館で武術の本を読んでいると天城切音が声をかけてきた。
「あの……もしかして影人君ですか?」
「天城さん……どうしてここに?」
「ふふっ。少し私も用事があってね。……っと、それって武術の本?」
「はい。ちょっと格闘技を習うのもどうかなと思ってて」
影人はプリキュアの事を天城には話す事ができないと考えて彼女に怪しまれないように誤魔化す意味での別の理由を話す。
「なるほど……。あ、でしたら私の知り合いの子が編み出した技。私も基礎を齧って知っているので教えますね」
「えっ!?天城さん、格闘技できるんですか?」
「まぁ、私自身はアマチュアレベルで終わっちゃったのでもう殆どできないですよ。でも、概要説明くらいはできますから」
そんな風に言われて影人は断るのも申し訳ないと思ったのか、彼女からの指導を聞く事にした。それから口からのみだが、技を指導されて影人は短時間でコツを習得。その後、先程話に出た天城の知り合いについて聞く。
「そういえば、天城さんの知り合いってどういう感じの人なのでしょうか」
「私の知り合いというのは道場の娘でして。ここ最近人が減ってしまっている道場にもっと興味を示せるように武術と音楽を組み合わせたダンスを開発したんです」
「へぇ……。武術と音楽の合わせ技でダンス。面白そうですね」
影人は天城が挙げた友達が気になるものの、ひとまずその子の話を聞く事にした。どうやら今、天城に教えられた技以外にも色々と使えるらしい。そんな彼女の発想に影人は驚いている状態だ。
「なるほど。その人……みかんさんは凄い発想が柔軟ですね」
「あ、でも聞いた所、最近あの子がちょっとした夢を見たらしくて」
「どんな夢なんですか?」
「えっと……確か夢の中で歌姫に助けられたって感じで……」
その言葉を聞いて影人は凍りつく。影人の知る歌姫の心当たりはスラッシューしかおらず。影人は慌てるが、夢の中という事でひとまずはちゃんと話を聞く事にした。
「えっとちなみにどんな歌姫だったんですか?」
「確か……“カッコ良くて、ご飯と稲妻を食べて、月を粉砕する人”……だったかしら?」
「それ、どこの怪獣なんですか!?」
影人は人間業では無い所業をする夢の歌姫に対してツッコミを入れると唖然とする。そんな色々と脳筋で物理の歌姫が夢の中とはいえ、存在して良いのかと影人は考えつつ、二人は更に迷惑にならない程度に話をしながら図書館での時間を過ごすのであった。
原作と比べてうたが抜けた後の女子バレーと比べて少し違いがありますが、こちらの小説ではこの流れで行こうと思いますのでご理解の程をよろしくお願いします。それではまた次回もお楽しみに。