キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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しぶといクラヤミンダー ソウルの異変

クラヤミンダーが街に出現。その事は当然のようにプリルンへといつもの悪寒として伝わる。

 

「ブルっと来たプリ!?」

 

「え……それって」

 

「まさかレッスン中に……」

 

ひとまず田中は山上へと簡潔に事情を説明。山上はそういう事であるならと了承。ひとまず田中が全体へと連絡して一旦全てのパートの面々を最初の部屋に集めた。

 

「皆さん、どうやら街にクラヤミンダーが現れました」

 

「そんな……」

 

「練習中なのに!?」

 

「でも、クラヤミンダーへの対応は最優先事項。……練習は一時中断する」

 

レイがそう言い切るとそれが鶴の一声となって練習の一時的な中断が決定。影人、うた、なな、こころ、プリルン、メロロンは現場へと行く事に決定した。

 

「私は……」

 

「夢乃はここにいてくれ。わかってると思うけどアレは一般人にどうこうできる奴じゃ無い。……俺は夢乃までこれ以上危険に巻き込みたく無い。わかってくれるか?」

 

「……うん。心配してくれてありがと。私、皆が戻ってくるまで練習の続きしてる」

 

「レイ、夢乃を頼むぞ」

 

影人はレイへとそう言い、彼は小さく頷く。それから一同は街へと急ぐ。とはいえ、ここから街までそれなりにある。そのために影人達は多少見られるリスクがあるものの、先にアイドルプリキュアに変身して急行する事にした。

 

「「「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」」」」

 

四人がブローチを起動するとアイドルプリキュアへと変身。名乗りは一旦お預けにして街へと急行。プリルンやメロロンはソウルが抱える形で移動する事で二人の機動力を補うと共に、ソウルだけ身体スペックが高い分走りにくくする事で三人とスピードを合わせた。

 

街中ではクラヤミンダーが容赦無く街を荒らす。買い物籠から出したエネルギー弾が次々と街の至る所に着弾して破壊していく。

 

「クラヤミンダ!ダ!ダ!」

 

「むう……やはり心なしかいつもより暴れ方が凄まじいのですぞ……」

 

カッティーが手にしているのはスラッシューこと天城から貰った水晶である。その内部は禍々しく輝くとそれがクラヤミンダーに力を注ぎ込んでいるようにも見て取れた。

 

そんな中で現場にアイドルプリキュアが到着するとアイドル、ウインク、キュンキュンが三人同時のトリプルキックを叩き込む。

 

「「「はあっ!」」」

 

「クラヤミン……ダ!?」

 

クラヤミンダーは少しの間は押し返そうと耐えるが、やはりプリキュアは止められずに後ろに後退してしまう。それからアイドル達は降り立つとプリルンとメロロンを安全な物陰に残したソウルも合流。改めて名乗る。

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」

 

「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」

 

「キミと昂る、ハートの情熱。高鳴る魂、キュアソウル!」

 

「「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」」

 

四人が名乗り終わるとカッティーがアイドルプリキュアの到着を見て声を上げた。

 

「うぬぬ……やはりアイドルプリキュアの光は眩しい。しかし、今日こそは勝たせてもらうのですぞ!」

 

「カッティー……どうしてこんな事をするの!皆困ってるじゃん!」

 

「煩いのですぞ!自分の使命は世界をクラクラの真っ暗闇に染める事……アイドルプリキュアとなんて相入れられないのですぞ!」

 

そう言うカッティーの心には迷いが残っている様子だ。ソウルはそれに気がつくものの、今は目の前のクラヤミンダーである。そのタイミングでプリルンが目をパチパチさせるとクラヤミンダーの素体を確認した。

 

「プリ!?新しいバイトのお姉さんが閉じ込められてるプリ!」

 

「「「え!?」」」

 

「まさか、天城さんがなのか!?」

 

プリルンが見たのは間違いなく暗闇に閉じ込められた天城切音である。それを聞いたソウルは拳を握りしめた。

 

「アイドル、ウインク、キュンキュン、絶対助けるぞ!」

 

「うん!」

 

「勿論です!」

 

「行くよ!」

 

アイドルの掛け声と共にアイドル、ウインク、キュンキュンの三人が散開。まずはキュンキュンが挨拶代わりの先制攻撃だ。

 

「キュンキュンレーザー!」

 

キュンキュンからのレーザービームが飛ぶとクラヤミンダーはそれを見て目を発光。手から放出した熱線のようなエネルギービームで迎え撃つ。二つの攻撃がぶつかって爆発するとクラヤミンダーは発生した煙を目眩しに全方位へと籠の中身と思われる食材のようなエネルギー弾を乱射した。

 

「うわっ!?」

 

「ッ!凄いパワー……」

 

アイドルとウインクが慌てて回避するとそのエネルギー弾が着弾。その一撃は爆発すると着弾した地面を抉っていた。

 

「だったら、これで!」

 

ソウルがメガホンを取り出すとダイヤルを回さずとも使える技を発動する。

 

「ソウルソニック!」

 

その音による攻撃は敵の爆弾のエネルギーを減衰。着弾時の被害を抑えると無理に回避の必要が無くなった三人は一気に畳み掛ける。

 

「ウインク、アレお願い!」

 

「うん!」

 

アイドルが走り込む中でウインクは頷くと両腕をバレーのレシーブのように構える。そのままアイドルはウインクの腕に飛び乗る形で着地するとウインクが一気にアイドル自身をレシーブ。勢い良く前に出たアイドルはブローチをタッチする。

 

「アイドルグータッチ!」

 

アイドルからのパンチがクラヤミンダーに命中するとクラヤミンダーはダメージに後ろに下がった。ただ、今回のクラヤミンダーはどこかいつもよりタフである。

 

「あれ!?いつもならこれで倒れてるのに……」

 

「だったら!」

 

キュンキュンが今度は前に出るとそれに合わせる形でソウルも突撃。ソウルはメガホンを紫に合わせる。

 

そのタイミングでキュンキュンは跳び上がるとクラヤミンダーはそれに合わせて右腕で拳を繰り出す。

 

「今です!」

 

キュンキュンは敢えてその拳に対抗するのでは無く拳を両手で掴む形を取るとそのまま遠心力を利用して拳の向きを自分から見て左側へと移動。これによりクラヤミンダーは拳をソウルとは別方向に向けてしまう。そのままキュンキュンは身軽な動きで地面に一度降り立ってからクラヤミンダーを後ろからドロップキックで前に蹴り飛ばす。

 

「ソウル!」

 

「キュンキュンの力!ソウルバレット!」

 

そのタイミングでソウルは火力の高い紫のエネルギー弾を射出。しかもクラヤミンダーはキュンキュンから突き飛ばされる形でソウルへと近づいている。そのためソウルはすかさずクラヤミンダーを掴む形でメガホンを押し付けるとゼロ距離射撃を叩き込んだ。

 

「クラヤミンダー!?」

 

流石にこれには堪らず吹き飛ばされるクラヤミンダー。クラヤミンダーが地面を転がる中、カッティーはまたクラヤミンダーが倒された事に慌てる。

 

「ああっ!?やはりアイドルプリキュアは強いのですぞ、スラッシュー様……本当にこれでどうにかできるのですかな!」

 

カッティーはクラヤミンダーの内部に天城として取り込まれた影響でこの場にいないスラッシューへと声を上げる中、水晶の内部からカッティーへとテレパシーが飛ぶ。

 

『カッティー、これで問題無いわ。私の狙いは主に二つ。一つ目はこうやって私をクラヤミンダーの素体にする事で私の身の潔白を示す事。今の所、私達幹部がクラヤミンダーとなる前例は無いわ。そう考えれば今ここで私の体が助け出されてもアイドルプリキュアからの信頼は更に厚くなる』

 

「なるほど……それで、もう一つは何なのですかな?」

 

『それはじきにわかりますわよ』

 

そんな中、クラヤミンダーはまた立ち上がる。確かにダメージは受けているが、幾らなんでも元気すぎだ。このままやってもキリが無いだろう。

 

「クラヤミンダー!」

 

するとクラヤミンダーはまた全方位への射撃を放つ。ソウルはすかさずまたメガホンの力で無力化しようとした。しかし、ソウルの視線の先にはプリルン、メロロンの隠れた物陰へと飛んでいくエネルギー弾である。

 

「やばい!プリルン、メロロン、逃げろ!」

 

「プリ!?」

 

「メロ!?」

 

しかもタイミングの悪い事に丁度その攻撃は隠れていた物陰に視界が遮断されたせいで攻撃が当たる直前までプリルンもメロロンも気が付かなかった。

 

「危ない!」

 

ソウルはソウルメガホンによるバリア展開が間に合わないと判断すると咄嗟に二人への攻撃を背中で庇うとソウルへと攻撃が命中。爆発が起きると同時にソウルの姿は黒煙に包まれてしまった。

 

「ソウル!?」

 

「そんな……」

 

すると黒煙が消え、その場に巻き込まれた三人の姿が出てくる。そんな中、プリルンとメロロンはソウルに庇われたおかげで無傷で済んでいた。

 

「プリルン、メロロン、平気?怪我は無い?」

 

「プリルン達は大丈夫プリ。でも、ソウルは……」

 

そこにいたのは背中にダメージを受けたソウルである。幸いな事に彼の受けたダメージはそこまで深手では無いのか、ソウルは未だに崩れ落ちずに耐えていた。

 

「く……ううっ」

 

「ソウル、大丈夫?怪我は……」

 

「ああ。大丈夫だ……前のパワーアップで耐久力も上がってるから別に……」

 

その瞬間だった。突如としてソウルの胸がドクンと高鳴ると胸の辺りに苦しさが出てきてしまう。

 

「あ……があっ!?」

 

「「「え!?」」」

 

「何だ……これ!?体が暗闇に染まっていくような……」

 

そのままソウルの体に禍々しいオーラが出てくると彼の体を蝕んでしまう。

 

「頭も痛い……うああっ!?」

 

「ソウル、落ち着いてください!何が起きてるんですか!」

 

「わかんない……ううっ……ただ、ハッキリ言えるのが……俺の力が闇に乗っ取られかけてる」

 

ソウルのその言葉に三人は衝撃を受ける。先程の攻撃はソウルにとっては大したダメージでは無かったはずだ。それなのに、いきなり彼は拒絶反応を訴えるような形で苦しみ始めた。

 

「ソウルに何をしたんですか!」

 

「その質問……自分にもあまりよくわかってないのですぞ!」

 

「ええっ!?」

 

カッティーは聞かれてもそう答えるしか無い。彼としてもソウルのこの反応は想定外の事態だとわかる。その場の全員が困惑する中でただ一人。この状況の理由をしっかり理解する者がいた。……この状況を作り出した張本人であるスラッシューである。彼女はソウルが何故こんな反応を示したのかを知っていた。

 

『(ふふっ。やっぱりね。あなたの持ってるその凄まじい輝き。それは私の持っているそれと全く同じ特性。だからあなたと私には同じ事ができる。まぁ、そのためにあなたには特注品(・・・)のブローチを用意したのだけどね)』

 

忘れてはならないのが、ソウルが変身するために使うブローチを最初に渡したのはプリルンでは無くスラッシュー。彼女はソウルこと影人を洗脳してブローチを渡したあの時からこうなる事まで全て計算ずくであったという事だろうか。

 

『(それにしても、カッティーもカッティーでチョロすぎますわ。さっきダークイーネ様の声を脅しとして使いましたが、簡単に信じてしまって。私が予めダークイーネ様の声をコピーしておいたとも知らずに)』

 

どうやら先程スラッシューがカッティーへの脅しに使ったダークイーネの声は本人の物では無いらしい。この辺りから彼女の目的のためなら手段を選ばないという冷酷さが垣間見える。

 

『カッティー、これならキュアソウルは実質的に機能停止。後は私の体を素体にしたクラヤミンダーがどうにかしてくれますわ』

 

「クラヤミンダー!」

 

クラヤミンダーは動揺するアイドルプリキュアの三人に追い討ちをかけるように立ちはだかった。

 

「ウインク、キュンキュン……私達だけでやろう」

 

「ですが、ソウルが……」

 

「ソウルならきっと大丈夫。それに、クラヤミンダーからの攻撃でソウルがこうなったんだからきっとクラヤミンダーをキラキラにすればソウルも元に戻るはず!」

 

アイドルの言葉にキュンキュンは不安を隠せない様子だった。何しろキュンキュンにとってソウルの異常はどうしても見逃せないのだ。しかし、それをリーダー的存在のアイドルが纏め上げる。

 

「私はアイドルの意見に賛成。……それに、逆の立場だったらきっとソウルは私達を助けるために頑張ってくれるはずだから」

 

キュンキュンは不安な気持ちになりながらもコクリと頷くとここからは三人でクラヤミンダーと交戦すると覚悟を固める事に。

 

「クラヤミンダー!」

 

クラヤミンダーの咆哮に対してアイドル、ウインク、キュンキュンの三人が走っていく。そして、苦しむソウルを見たメロロンが不安そうな顔つきで彼の側に行くとプリルンもそんなメロロンの不安を取り除くために手を繋ぐ。

 

「きっとソウルは大丈夫プリ」

 

「でも……」

 

「プリルン達にできることはアイドルプリキュアを応援する事プリ!」

 

そう言ってプリルンはメロロンの分も含めてキラキライトを出す。メロロンはそれを受け取ると苦しむソウルを見つつ、彼女も自分にやれる事をやろうと感じるのであった。




また次回もお楽しみに。
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