キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ソウルが闇からの侵食が影響して動けなくなるとアイドル達は三人でクラヤミンダーへと対抗せざるを得なくなってしまう。
「クラヤミンダー!」
三人はクラヤミンダーからの拳を回避するとまずはアイドルが前に出ると接近。拳を振るう。
「はあっ!」
「クラヤミンダー!」
二人の拳が激突するとやはりパワー面では勝てないのかアイドルが押し負けてしまう。
「たあっ!」
そこにすかさずウインクが飛び出すと縦回転をしながら踵落としを叩きつける。クラヤミンダーはそれに怯むと更にキュンキュンが飛び出した。
「ソウルのためにも、私達は……絶対に負けられません!」
キュンキュンが拳を放つとクラヤミンダーの顔面に命中。単体での性能ではアイドル、ウインク、キュンキュンの誰一人クラヤミンダーには勝てない。だからこそ連携して三人でクラヤミンダーに互角に立ち回った。
「クラヤミンダー!」
するとクラヤミンダーはまた買い物籠からエネルギーを放出すると爆弾として周囲に降り注がせる。今はソウルがいないため、爆弾の威力もそのままであった。
「頑張るプリー!アイドルプリキュア〜!」
「が、頑張れメロー!」
プリルン、メロロンの二人はアイドルプリキュアをキラキライトで応援。彼女達の応援も相まってアイドルプリキュアはソウル抜きでもクラヤミンダーに立ち向かう事ができている。
「なっ!?キュアソウル抜きでもクラヤミンダーに善戦しているのですぞ!?」
『キュアソウルを抜きにしても一筋縄では行きません……か。でしたら、この水晶に力を注ぎなさい』
「へ?こ、こうですかな?」
カッティーが自身のエネルギーを多少丸い水晶に注ぐと中から紫の煙が出てくるとそれがドレス姿で戦闘状態となったスラッシューを実体化させる。
「す、スラッシュー様……体はクラヤミンダーの中なのに……」
「ええ。だからこの姿はあくまで仮初の体でしか無いわ。使える力は……最大パワーの半分って所かしら。まぁ、キュアソウルを相手にしても半分あれば事足りてますし。問題ありませんわね」
どうやら水晶内部に溜められた暗闇の力によってスラッシューは本体の体無しで実体化に成功。ただし、最大出力は普段よりもかなり落ちるらしいが。
「決めるよ、アイドルグータッ……」
「はあっ!」
アイドルはクラヤミンダーとの互角の戦況を変えるためにパンチを繰り出す中、そこにスラッシューが割って入るとアイドルを横から蹴り飛ばしてしまう。
「きゃあっ!?」
「スラッシューまで……」
「あなた方だけで楽しむなんていけませんわ。……私も混ぜなさい」
この状況下でのスラッシュー参戦は不味すぎる。以前、アイドルやウインクは彼女相手に太刀打ちできなかった。しかもスラッシュー側は全力では無い。それを鑑みるとキュンキュンでも太刀打ちは不可能だろう。むしろ、三人で挑んでも勝てるか怪しいくらいである。
「今日は誰を相手しようかしらね」
そんな風にスラッシューは品定めをするように三人を眺める。アイドル達はそんなスラッシューへと警戒感を高める中、スラッシューの視線はキュンキュンで止まった。
「そういえば、あなたとはまだ個別で相手した事が無かったわね。キュアキュンキュン」
「!!」
以前アイドルやウインクと交戦した際にキュンキュンはソウルこと影人を助けに行ったために彼女とは一対一では一度も戦って無い。スラッシューはその点からキュンキュンをターゲットとしたのである。
「スラッシューの言う事を受ける必要は無いけど……キュンキュン、どうする?」
「……そうですけど、私は逃げたくありません。ソウルがあんなに苦しんで戦ってるのに……私だけ勝負の場から逃げるなんて、そんなのできません」
キュンキュンの言葉を聞いた二人は彼女の気持ちを汲む事にした。つまり、その間はアイドルとウインクの二人でクラヤミンダーを抑えることになる。また、浄化に関してもキュンキュン無しでは無理なので彼女が戻ってくるまでは耐えないといけない。
「スラッシュー、あなたの指名に受けて立ちます!」
キュンキュンがそう言うとスラッシューは笑みを浮かべ、彼女は別方向へと向かっていく。その後をキュンキュンが追っていく。
「キュンキュンが戻ってくるまでは……」
「うん。私達でどうにかするよ」
アイドルとウインクもキュンキュンが帰るまでの間にやられてしまわないようにどうにか戦線を保たせることに集中する事に。
そして、移動したキュンキュンとスラッシュー。二人が向き合うと先制攻撃を仕掛けたのはスラッシューだ。
「じゃあ、早速行くわよ!」
スラッシューは小さめな火球を作り出すとそこからレーザービームのように攻撃を射出していく。
「ッ!」
キュンキュンは走ってそれを回避するとこの時、違和感を感じ取る。それはスラッシューの戦い方だ。
「はあっ!」
キュンキュンの心境など知らないと言わんばかりにスラッシューは炎の剣を作り出すと突撃。キュンキュンはその一撃を何とか回避すると自慢のスピードを活かして機動戦に持ち込む。
「こっちですよ!」
そのままキュンキュンはスラッシューから距離を置くと何かをしつつ移動していく。
「ふふっ。逃げてばかりじゃ勝てないのよ!」
スラッシューが炎の斬撃波で地面や壁、建物の看板を傷つけつつ攻撃。キュンキュンはそれを見て開けた場所での戦闘は危険と判断すると敢えて路地に入ってスラッシューを誘い込む。
「こっちです!」
そして、キュンキュンが先に路地から出るとスラッシューが出てくる瞬間を狙ってブローチをタッチする。
「キュンキュンレーザー!」
キュンキュンから放たれたレーザーが命中するとスラッシューはそのエネルギーをまともに喰らって倒れ込む。
「くっ……」
「……やっぱりおかしいですよ!」
「……何の話かしら?」
「……スラッシュー、どうして歌わないんですか?」
「歌……だから何の話なの?」
それを聞いてキュンキュンは目を見開く。スラッシューと言えば歌いながらのバトルスタイル。その代名詞を捨てた戦い方をする彼女。挙げ句の果てに自分が歌いながら戦闘をする事さえも覚えてない。
「どういう事ですか……」
キュンキュンはもう訳がわからない。それと同時に彼女の脳裏にどこからからうっすらと声が聞こえてくる。
“けて……もう、誰かを傷つける歌なんか歌いたく無い……助けて……”
その声色はノイズがかかっているせいで誰かまではわからなかった。だが、誰かが助けを求めているのは確かだったのだ。
「ただ、あなたの言う通り普段通りじゃ無いのは認めますわ。ちょっと事情があって本来通りの力じゃないの……でも、あなたを倒すのには十分よ」
スラッシューはまた跳び上がると一気に接近。キュンキュンと飛び道具無しの肉弾戦を行う。
「ッ……やっぱり強い」
力が落ちてるとは言っても何の飛び道具無しの肉弾戦であるなら未だにスラッシューに有利に働くのか、キュンキュンは少しずつ劣勢に陥っていく。
「どうにか距離を……」
「させる訳無いでしょう?」
するとスラッシューは手を翳すとキュンキュンの足元からレーザービームを出すと両脚を拘束。その攻撃はキュンキュンへの直接的なダメージでは無く彼女を拘束するためだけに出した物だ。
「捕まえましたわ……はあっ!」
そのままスラッシューが踏み込むと拳を叩き込もうとする。そんな時だった。突如としてドクンとスラッシューの胸に変な感覚が起きる。まるで力が安定しないようなそんな感覚だった。
「ッ……。やっぱりこの体ではこの程度が限界か……」
「え?」
スラッシューの言葉は小声すぎてキュンキュンには届かなかったものの、スラッシューは一歩下がると指を鳴らしてキュンキュンの拘束を解除した。
「今度は何を……」
キュンキュンは先程から変なスラッシューの動きに困惑を隠せない。普段通りなら容赦無く蹂躙しに来てる彼女が絶好のチャンスを自らの意思で逃したのだ。
「キュアキュンキュン、この続きはまた今度しましょう。……どうやら今の私も万全には程遠いみたいですし」
その直後、スラッシューは自らの体を黒い禍々しい霧のような形にしてフッと消えてしまう。
「今日の所はこの辺で失礼するわ」
そう声が響くと困惑したままのキュンキュンを置き去りにしていなくなってしまった。
「……スラッシュー、何だったんでしょうか……あっ、そうだ。今は皆さんの所に!」
キュンキュンがそう言って駆け出す。そんな中、クラヤミンダーと交戦するアイドル、ウインクの方も先程のノイズのかかった声を聞いていた。
「今のって……」
「うん。誰かはわからないけど……助けを求めてた」
するとそこにフラフラの足取りのソウルが並び立つ。ソウルは体力を消耗して頭を抑えながらだが、どうにか動ける程度に戻ったのだ。
「ごめんお待たせ……はぁ、はぁ……俺も入る」
「ソウル、無理したらダメだよ!」
「声は俺にも聞こえた。いつまでも休んでなんかいられるかよ」
「でも、だからって今は……」
その瞬間、クラヤミンダーはチャンスと感じたのかパンチを繰り出してきたウインクは慌ててそれに対応する。
「ウインクバリア!」
その一撃は凄まじかった……が、何故かいつもよりも手応えが小さいのだ。
「ッ……あれ?クラヤミンダーのパワーが落ちてる?」
同時刻、クラヤミンダーの内部では囚われている天城がアイドルプリキュアと交戦する中で自らへと薄ら差し込む光を見て持ち直したのだ。
「だったら……俺達で助ける!」
「クラヤミンダー!」
するとクラヤミンダーが買い物籠から爆弾のエネルギーをまた放とうとする。それに合わせる形でプリルンとメロロンがキラキライトで応援していた。
「アイドルプリキュア!頑張れプリー!」
「頑張るメロ……ソウル!」
するとソウルの持つソウルメガホンの白と黒のダイヤルがほんの少しだけ発光すると勝手にダイヤルが白と黒の順で自動的に合わせられる。
「ソウルスクリュー!」
それと同時にソウルの口が勝手にそう口走るとメガホンから白と黒の電撃が放出。二つの力が合わさると白黒の雷のようなエネルギーの奔流がクラヤミンダーに命中。その凄まじさにクラヤミンダーは叩きつけられた。
「クラヤミンダー!?」
そのまま電撃のせいか動けないクラヤミンダー。そこにキュンキュンが後から追いつく形で合流する。
「遅くなってすみません!お待たせしました!」
「キュンキュン……スラッシューは?」
「それが、いきなりいなくなってしまって……」
「ひとまずは天城さんを助けよう!」
ソウルはそんなやり取りを聞くと今の不調な自分ではライブは歌えないと判断すると敢えて三人の射線を空ける。今の状況下ならこの場での最適解は三人による浄化だからだ。
「皆、浄化は任せるよ」
「うん!」
ソウルに促されて三人は技を発動。そのまま領域を展開すると歌い始めた。
♪決め歌 Trio Dreams♪
「「「ウー、レッツゴー!Try, try, trio dreams♪」」」
『Let's sing, let's swing, let's dance, let's bound,Let's smile, let's fly』
「「「ハート上げてくよ!」」」
三人の技が発動した瞬間、プリキュアはインカムを装着。それとほぼ同時にクラヤミンダーはいつもの強制着席をさせられる。そのまま歌が始まった。
「「「Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪瞳水晶にいつだって〜♪笑顔映し合おう〜promise!♪キミがいるからパワー、生まれるよ、今日も〜♪Try, try, trio dreams♪……プリキュア!ハイエモーション!」」」
そのまま虹のエネルギーがクラヤミンダーへと降り注ぐとあっという間に浄化されていく。
「「キラッキラッタ〜」」
クラヤミンダーがやられた事によってまた新たなキラルンリボンが生成。それをプリルンが付けるといつものポーズを取った。
「プリ!プリルンが君のハートをロックオン……プリ!」
プリルンが可愛らしい手で指鉄砲を作るとファン達に向けてロックオンするポーズを見せた。それを見たカッティーは悔しそうにする。
「ぐぬぬぬ……スラッシュー様の作戦でもダメだったのですぞ!……それにしてもアイドルプリキュアのステージに当てられる度に胸がキラキラして……っと、ひとまずチョッキリーヌ様に今回の事を報告ですぞーっ!」
カッティーはアイドルプリキュアと交戦する度に魅せられるステージが原因なのか心に少しずつ変化が現れているようだった。ただ、チョッキリーヌへの今回の件の報告義務があるために慌てて撤退する事に。
「ソウル、大丈夫?」
「え?……あ、ああ。やっぱりクラヤミンダーのせいで頭が痛かったのかステージの後には痛みが綺麗さっぱり無くなったって感じだな」
ソウルは痛みで抑えていた頭が治ったらしく普通に会話ができるように戻った。そんな中、ソウルの心配をしている間にキュンキュンとの戦闘でスラッシューが離脱した際に発生した黒い霧が倒れている天城の中に取り込まれていくと浄化されたばかりの彼女の心がまた真っ暗闇へと変化。
ただ、霧の状態や天城の内部にいる状態だとプリルンの探知に引っかからないのかプリルンは全く身震いをしなかった。
「そうだ、天城さん!」
それからソウル達は天城を近くのベンチに寝かせると彼女が起き上がるのを物陰から確認。
「あれ、私……寝ちゃってたの?……ッ、しまった!私買い物を頼まれてて……和さんや音さんに心配されてしまいます!」
天城は慌てて近くに落ちていた買い物籠を拾うと中身の無事を確認して急いでグリッターへと走っていく事になった。
「良かった……」
「じゃあ、私達も練習に戻ろうか」
「うん!」
「取り敢えず、レイや田中さんに連絡をしてと」
そしてアイドルプリキュア達は天城の無事を確認できた所でこれ以上レイや夢乃達を心配させないように変身解除してキラキランドの出張所へと戻っていく事になるのだった。
また次回もお楽しみに。