子守り術師   作:かりん2022

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スライム

 

 来年から教鞭を取るという事で、王子殿下から直々にお話をいただいた。

 そんなわけで、私はいくつかお願いをしていた。

 女学部を作ること。魔力は女の子にもあるし、女の子が向いている魔法というのがある。男女ペアで行う魔法も。

 そんなわけで、ある程度は女の子もいた方がいい。

 後は、素材や、機材、材料。場所の用意。

 それと、生徒で先天的魔力異常症の子の治療。

 授業の道具の用意だってしなければならないし、いくら自由にさせてくれるからって、授業の内容の報告は必要だ。その計画書も作らないと。

 大忙しだった。

 でも、ようやく覚悟ができて、あの魔法が使えた。

 

 そうして、半年後。

 大改革を終えた学校が始まる。

 他国からの留学生や、女の子がどどっと入ってきて入学式が華やかだった。

 

 入学した生徒、在校生にはしつこいぐらい学力テストと適正テストをした。

 1ヶ月後。私は、それぞれの生徒達に合わせ、張り切って組んだカリキュラムを配った。その時点で、私の授業はブーイングにあってすっ転んだ。

 

 

「ずっりー! 女子ばっかりずるいずるいずるい!」

「男だって治癒魔法しても良いじゃん!」

「豊穣魔法を使いたい男の子だっているんですよ!」

「魔法陣の刺繍、男がするもんじゃないってなんで!?」

「男は攻撃だけしてりゃいいって差別ですよ、差別!!」

「シールド魔法を女子だけに教えるってどういうこと!?」

「女の子の授業だけ充実してます! 男女関係なく、完全選択制にしましょう! ね!?」

 

 うーん。配慮のつもりだったんだけど、私は生徒達を低く見積ってばかりいたらしい。生徒達はみんな、自由で、好奇心を持っている。

 そして、それぞれやる気があってやりたい事もあるようなのだ。

 強い希望により、ひとまず完全選択授業にして、一回は全員に授業を受けてもらい、人気がないのを減らしていく方式にする事にした。

 適正テストの結果はもう配っているしね。自分に向いてるか、向いてなくてもやりたいのか、そこら辺は生徒の自主性に任せよう。

 

 授業の内容は思い切って一日一科目そして大量の宿題を出す。それを3ヶ月続けた。後は、その授業を選択したければ夏休み明けに出しておいた宿題を提出。課題合格で晴れてその授業を選択できるとした。

 

 それぞれの授業は思いのほか盛況で、かといって全ての授業をする事は生徒達にだって無理なので、生徒達は専門課程を選ぶのに七転八倒した。

 

 問題は、最終日の授業だった。

 最終日だけは、学校に学費をそれぞれの生徒からたっぷりと取ってもらった。

 必要だからだ。

 それぞれの生徒の机の上に特殊な蓋のついた瓶。育成ノート。よしよし。

 

「これから行う授業は、教師の第一歩と言ってもいい、大切な授業です。なので、覚悟のないものは帰ってください。帰った場合、この授業の学費も返します。この授業は……テイマー授業です。初年度はスライムを夏休み期間育成してもらいます。それが上手くできたら小型の魔物を一生育ててもらいます。二年度は大型の魔物を夏休み期間。三年度は夏休み期間、魔族をお迎えします。その後、テイマーを選ぶ人は一生を共にするパートナー探しを先生としましょう」

「スライム!?」

「魔物!」

「魔族!? 滅んだんじゃ!?」

「私が最後に仕掛けた転移魔法で、国ごと避難して、今は優しい人間と仲良くやってるようです」

 

 ブイッとピースサインをすれば、生徒達は我が事のように喜んでくれた。

 ということで、色鮮やかなスライムが入った箱をドンっと教卓に乗せる。

 

「適性検査で出した自分の属性色はわかりますね? ほら、選んで選んで。一個トングで摘んだら瓶の中に入れて」

「は、はい!」

「えーと、どうしようどれにしよう」

「ほら早く早く」

 

 10分後、それぞれの瓶の中にスライムが鎮座する。

 

「欲しい餌をお願いして育成ノートを購買の人に渡せば、係の人が皆からもらったお金から料金を引いて、育成ノートに書いてくれます。餌も買えます。余った分はちゃんと返却されるから安心して。餌以外にも、かかったお金はちゃんと育成ノートに書くこと。スライムは鳥とかに食べられやすいから気をつけること。スライムは物を溶かして食べる性質があるので十分に気をつけること。ではこれから、スライムのしつけ方法を教えます……」

 

 

 

 

 

 

 

「最後に! スライムを飼えないやつは生き物を飼うな!!! 復唱!!」

「「「スライムを飼えない奴は生き物を飼うな!!!」」」

「ありがとうございます。スライムは夏休みが終わったら野生に放つかそのまま飼うか素材にするか選べます」

「最後はねーだろ……」

 

 アクオスが青のスライムの入った瓶を抱えてドン引きする。

 最初のうちはね。

 さて、何割がスライムを無事に持ってくるかな?

 

 

 

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