【よろちくおねがいちます!】
「こちらこそよろしくお願いしますわ」
小さい子供達がやってくる。
それを女子がやわらかに迎え入れた。
当然、言葉も違うのだが、そこはテレパシーで解決らしい。
当然、自分の心も常に読まれていると考えて接さねばならない。
テイマー学は厳しい。
おもてなしのマナーは、まずその心から始まるのだ。
女子たまに男子が子供達をお出迎えし、案内したりもてなしたり一緒にお勉強をするのだが、俺も魔族の歓迎に回った。
魔族の教師に興味があったのだ。
契約によっては、当主と兼任出来そうだし。
魔族の力を預かり、使う。
その術を学んでいく。
俺の担当は小さな男の子でアイスくん、なんと水竜の子供らしい。
アイスくんに同調して、その膨大な力の一端を使わせてもらう。
空に浮かぶ巨大な竜の形の水球を作り出すと、アイスくんはキャッキャと笑った。
楽しいという気持ちが伝わり、俺も言葉と心で楽しいし喜んでもらえて嬉しいと伝える。
「アクオス、上手だね。そんな感じで、どんな事に使えるのか教えてあげるんだ。次は、アイスくんが同じことをするのを手伝ってあげて」
「おお!」
物を教えるのって面白い。
他の子はどうかな、と周囲を見回してみる。
侯爵家の御令嬢が火竜の子と一緒になってワイバーンの上に乗って薙ぎ払えー!ごっこをしていた。
クッソ怒られていた。あと技量については褒められていた。
侯爵家の御令嬢は火竜の卵を教育しないかと話が持ちかけられ、魔物の方のドラゴンの卵も貰っていた。
大成功じゃねーか。
俺も水竜の卵と出産間近という水精霊という魔族の紹介をしてもらった。
夏休みが終わり、魔族の応対をした子で紹介がなかった子は反省しましょうと言われた。
そして、夏休みが終わると、契約の詳細の詰め方や、育成について大事なことを教わった。
人間が一生で魔物を孵化させられる数には上限があるらしい。
人は「卵素」と呼ばれる一定のエネルギーを持っており、これを魔物の卵に注ぐ事で、優秀でその人の繋がりを持った魔物が生まれてくるらしい。
卵素は増えたり回復したりしない。そして、属性があり、属性が合った卵に注ぐ必要がある。
卵に卵素や魔力、愛情たっぷりの言葉を掛けて、孵った雛に様々な常識や魔法の使い方、生き方を教える。それが子守り術師のお仕事なのだそうだ。
なので、千を超す魔物を育て上げたセレスはマジで化け物って事だ。
卵素は、大体5人分が平均だそうだから。文字通り桁外れってわけだ。
ちなみに、セレス先生の前世の時代では、育てて終わりだった。
だが、最近はそれに、その教育の対価として、その人間の一生を相棒として過ごすという義務が発生しているらしい。
というのも、寿命の違いもあり、人間が魔物に生涯を尽くす感じになってしまって公平じゃないし、魔物の方が人間よりずっと長生きなのだから、ほんの数十年を教育してくれた人間に尽くすのはそれほど負担ではないという話になったらしい。
水精霊は水魔法そのものといった性質だそうで、心強い力になってくれるらしい。
さらに、俺は竜と精霊の卵を孵すのに十分な水の属性の卵素を持っているそうだ。
これは是非チャレンジしたいと思う。
1番初めに孵った卵はその人間に育てられた魔物の中で強い発言力を持つという事で、まず水竜の卵を孵したら水精霊の卵を紹介すると言われている。もちろん異論はない。
ちなみに殿下のところには、政治的配慮もあって竜族の長の子が行くらしい。
あと、俺はまだ契約もしてないのに、水精霊と契約するかもってことで砂漠の国からスカウトが来てる。
俺は家を継ぐんだっつーの。
あっセレス先生は今世でも超卵素持ちで、めちゃくちゃ勧誘を受けていた。
侯爵令嬢の婚約者の伯爵の息子は子育てで大変になる前に子供を作っておけと言われている。子守り術師は、子守りで大変になるので、結婚・出産がしずらいらしい。
そのあたり反省点で、現在は子育て後の人達が契約するパターンも多いとか。
それ早く言って。
まあ、俺はそこまで待つ気もないけど。
婚約者はいるし、男なんて種まきだけだし、大丈夫だろう。多分。きっと。
でも子供を2人育てるわけだから、挨拶とお願いはやんなきゃな……。