一週間ほどすると、生徒達はハリー達が減点されたことについて騒がなくなった。学期末試験がすぐそこまで迫っており、自分達の勉強でいっぱいいっぱいだったからだ。
俺の周りでは、特にドラコが焦っていた。ハリー達の行動を見張っていたために、一、二週間ぐらい勉強をしていなかったからだ。
ルシウスとナルシッサは基本的に俺たちに甘いが、家の評判を落とす行為や、勉強が疎かになっている場合は、しっかりと叱ってくる。だからドラコには開き直って勉強をしないという選択肢をすることはできなかった。まぁ、そもそもプライドの高いドラコが勉強をしないという選択肢を取る訳が無いのだが。
ドラコは減点騒ぎがあった日の次の日から猛勉強を始めた。
暗記系の教科は他の人よりも少し遅れていたが、実技の方は他の人よりもリード出来ていた。元々才能があるのに加えて、基礎の部分がしっかりしていたからだ。基礎がしっかりとしていれば上達していくのも早いからな。
焦る人がいる中、落ち着いている人もいた。事前に勉強をしていたために詰め込む必要がない者と、完全に諦めている者、やる気が無い者だ。クラッブとか、ゴイルとかだ。
二人は結構高い確率で落第しそうだったので、実技系の教科をみんなで教えた。二人は理解しているのか理解していないのか分からない表情で教わっていた。
基礎があるのかどうか不明な彼らだったが、本当に不思議なことに魔法を唱えることは得意だった。シェーマスの唱える呪文の多くを爆発系の魔法に変える不思議な現象と同じように、呪文の一部が間違っているのにも関わらず魔法を成功させる力があった。勿論、その魔法は他の生徒よりも劣っていたが、これはチートと言ってもいい程の才能だ。イメージ力が強いのだろうか……。
俺はというと、ひたすら暗記教科を勉強していた。実技は得意中の得意だから、そこまで勉強する必要がないからな。魔法薬学は別だが。
あれは難しすぎる……。手順を間違えてはならないのは当たり前だが、少しでも分量が違うと上手くいかない。本当に繊細な教科だ。
図書館に参考資料を借りに行くと高い確率でハリー達に見かけた。みんながあまり騒がなくなったとはいえ、グリフィンドールの談話室で勉強はできなかったんだろう。
生徒たちは、様々なスタイルで勉強し、試験に備えた。
試験の日はうだるような暑い日だった。そして筆記試験の行われる大教室は、さらに暑かった。
むんむんと熱気がこもる大教室にいると、せっかく覚えてきた知識が蒸発している気がしてきた。魔法で、この教室を冷やして欲しいと心の底から思った。
「始めなさい」
担当教員の合図を聞いた生徒たちが、いっせいに問題用紙をひっくり返し、問題を解き始める。
最初の方は簡単な問題で、だんだんと難しい問題になり、時折かなりの難問が出てくる。
一番下の問題までと気負える。空欄があるが、結構出来た方だと思う。
見直しを終えた時には、残り十分になっていた。空欄はあったが、それは完全に諦めた。カンニングでもしない限り、埋められない自信がある。
そういえば、試験前にカンニング防止の魔法がかけられた特別な魔法羽根ペンが配られたが、これはどうやってカンニング行為を発見しているのだろうか?使用者の心の中でも覗いているのだろうか?もしそうだったら閉心術でバレない可能性が……。やらないが、いつか試してみたい。
「終了。答案羊皮紙を丸めて」
一個目の教科が終了した。
筆記試験では自信の無い教科があったが、実技試験は全て完璧と言える結果を出した。
フリットウィック先生のパイナップルを机の端から端までタップダンスさせる試験では、パイナップルを上手く動かし、フリットウィック先生を喜ばせた。
マクゴナガル先生のねずみを嗅ぎタバコ入れに変える試験では、ねずみをシンプルだが上品な嗅ぎタバコ入れ変えることに成功し、頑張りましたねという褒め言葉も貰った。
スネイプ先生の試験は忘れ薬を作ることで、見た目は忘れ薬になった。成功したかはスネイプ先生が何も言わないので分からなかった。
最後は魔法史の筆記試験は、ほとんどの単語問題が教科書に載っていることだったが、記述問題は教科書に載っていないことが出てきた。おそらく授業中に話したのだろう。前の問題の流れで推察出来るようになっていたのはビンズ先生の優しさだろうか。
ビンズ先生の言葉で試験が終わると、生徒は歓声をあげた。そして羊皮紙が回収されると、教室の外へ向かって駆け出した。
「セルス、中庭に行こうぜ!ドラコ達がもう待ってるぞ!」
ノットが急かす。
「こんなに暑いのにか?」
「馬鹿野郎!こんないい天気なのに外にでないでどうする!?行くぞ」
ノットが俺の腕を引っ張って走り出す。
朝は、なんて天気だ!って言ってたくせに……。だけど、テストから解放されて夏休みが来ると思うと、いい天気だと思えてくる。
問題はハリー達に任せて、俺はテスト終わりの幸せな時間を満喫しよう。
学期末試験から二日後、試験が終わり遊び回っていた生徒たちにある噂が流れた。
クィレルが学校に隠された賢者の石を盗もうと、真夜中に四階にある部屋に入り込んだ。賢者の石を守る為の罠はあったが、クィレルは突破してしまう。もう少しで賢者の石を手に入れてしまうかと思われた時、ハリーが現れ、クィレルを倒した。そして、賢者の石は守られた。
という噂だ。生徒たちは噂の真偽を確かめようとハリーを探した。そして怪我をして医務室にいるとわかると、ハリーを英雄と讃え、医務室に見舞い品を贈った。
この噂が真実であると知って喜ばなかったのはスリザリンの生徒だけであった。スリザリンの生徒は、ハリーの英雄的行為によってグリフィンドールに大加点され、自分たちが寮対抗杯の一位の座から落ちることを恐れたのだ。
しかし、いくらたっても寮の得点を記録している大きな砂時計は変化しなかったので、安心した一部のスリザリン生がハリーの行動を讃えることがあった。
学年末パーティーの日、大広間はグリーンとシルバーのスリザリン・カラーで飾られていた。これを見てスリザリン生は勝利を確信した。
無論、俺以外のスリザリン生がだが。ダンブルドアも罪なことをするよな。負けたと思っていたら勝ってしまったならいいが、勝っていたのに負けただと、かなりダメージが大きいし、怒りも大きくなる。
ハリーが大広間に入ってくると、みんなは突然静かになり、そしていっせいに喋りだした。英雄の姿を見ようと立ち上がる者もいた。
しかし、ダンブルドアが現れたことによって騒ぎはすぐに小さくなった。
「また一年が過ぎた!」
ダンブルドアがほがらかに言った。
「君たちが何かしらの知識を頭に詰め込めていればよいがの……。それでは、食事の前に寮対抗杯の表彰を行うことにするかの。点数を発表する。四位、グリフィンドール324点。三位、ハッフルパフ359点。二位、レイブンクロー423点。そして一位のスリザリンが544点」
スリザリン生が嵐のような歓声を出し、足を踏み鳴らしたり、ゴブレットで机を叩いたりした。
「スリザリン、よくやった。実に良くやった。しかし、つい最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまいて」
ダンブルドアの言葉によって、スリザリン生の表情は凍り付いた。
「まずはロナルド・ウィズリー。素晴らしい才能と努力によって、最高のチェスゲームを見せてくれたことを称え、グリフィンドールに60点を与える」
今度はグリフィンドールから嵐のような歓声が上がる。
スリザリン生は唖然とした表情で顔を見合わせた。
「火に囲まれながらも冷静な論理を用いて対処した、ハーマイオニー・グレンジャーを称え、グリフィンドールに60点を与える」
スリザリン生はこれから起こるだろう未来を想像し、青ざめたり、唇を噛み締めたりした。
「次に、ハリー・ポッター。……その完璧な精神力と、並外れた勇気を称え、グリフィンドールに80点を与える」
「敵に立ち向かうためには大いなる勇気がいる。しかし、味方の友人に立ち向かうのにも同じくらいの勇気が必要じゃ。そこで、ネビル・ロングボトムに30点を与えたい」
スリザリンを除いた全ての寮の生徒が立ち上がり歓声を上げた。どれだけスリザリンが嫌われているか分かる。レイブンクローの一部はスリザリンが八年連続で優勝しなかったことを喜んだかもしれないが。
「したがって、飾り付けを変えなきゃならんの」
大広間の飾り付けが、スリザリン生の絶望した真っ青な顔と対照的な真っ赤なグリフィンドール・カラーに変化した。
学年末パーティーの次の日に試験の結果が出た。
俺は二位で、ドラコは四十八位、ノットが三十一位、クラッブとゴイルはなんとか落第を逃れられるラインだった。
ドラコは成績が中の上であったために、家に戻りたくないとごねていた。ノットと俺は自分の成績に満足しており、家に帰るのが楽しみで仕方が無かった。
汽車に乗り込み、ホグワーツを離れる。
親に会いたい気持ちもあるが、それ以上に友達と別れたくなく、いつも以上にふざけおしゃべりをした。
とうとう汽車がキングズ・クロス駅に着いてしまうと、夏休みに遊ぶことと、手紙のやり取りをすることを約束した。
友人達と別れたドラコと俺は、ルシウスとナルシッサに向かって走り出した。
これにて賢者の石編終了です!楽しんで頂けたか不安です……。
秘密の部屋はオリジナル感のあるストーリを書きます!多分!オリジナル要素の多い方が書いてて楽しいので、大丈夫だと思いますがw
そういえば、セルス君八位にしましたけど高すぎましたかね?一学年140人ぐらいらしいので八位にしたんですけど。ハーマイオニーと勉強会出来るレベルならこのぐらいだよね!(自己解決)
閲覧ありがとうございました!
*二位に変更