ハリーポッターと3人目の男の子   作:抹茶プリン

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練習日

 誰かの声が聞こえる。誰かが僕の体をユラユラと揺らしている。なんでこんなことをしているんだろう?この人もみんなと同じ目的なのかな。

不意に僕がうずくまっているこの世界が、夢の世界であることに気がついた。そうだ、そうに違いない。現実ならこんなに暗く苦しいはずがない。

この人はみんなとは違う。そうだ、そうに違いない。悪意を感じないのだから。きっとこの人は僕を起こそうとしているんだ。

それなら、

 

 

 

 

早く僕を起こしてくれ

 

 

 

 

 

 「セルス起きろ!クィディッチだ!」

 

ドラコの大声で目が覚める。だが夢の余韻が残り、ぼーっとして意識がハッキリしない。半開きの目で窓から湖を見ると、湖はもしも大きな化け物がいたとしても分からいほどに真っ暗だった。おそらく太陽がまだ上がっていないのだろう。

ぼーっと湖を眺めていると、意識が徐々に徐々に覚醒してくるのが分かった。同時に今日が土曜日で、クィディッチの練習があることに気がつく。

だが、今は太陽がまだ昇っていないような時刻だ。集合時間までまだまだ余裕があるはず。

 

「あともうちょっとで起きるよ」

 

だからもう少し布団の中にいさせてくれ。布団を引っぱり、完全に布団の中に入り込む。

今度こそいい夢を見るんだ。ん?今度こそ(・・・・)

 

「そのまま眠るつもりだろう!?ほら、布団から出ろ!」

 

ドラコによって布団が引きはがされる。その瞬間、冷気がパジャマ姿の俺を襲う。

 

「わかった!わかったから大きな声を出すな!」

 

あぁ、糞っ!何もかもルシウスのせいだ!ルシウスがニンバス2001を送ってきたおかげで、先輩たちは練習予定を変えて本来ならグリフィンドールの練習日であるこの日を練習日にしたし、スリザリンの生徒がやたら媚びてくるようになってしまった。チームの戦力が上がったことは嬉しいが、これでは素直には喜べない。

頭の中のルシウスに八つ当りすることである程度イライラを発散した俺は、仕方がなくベットから降りた。

ベットから降りた俺はドラコの姿を見て、目をこすっていた右手の動きを止める。目の前に立っているドラコがエメラルド色のクィディッチ用のローブを着ていたからだ。

ドラコが既にクィディッチの準備をしているということは、もしかして集合時間まで僅かな時間しかないのかもしれない。

焦った俺は急いで時計のある場所に駆け寄る。

 

短い針はⅣを指している。寝坊どころの話ではない。集合時間まで約三時間もある。

 

いくら何でも早すぎる時間に起こされたことに腹が立ち、一言、二言文句を言ってやろうとドラコの方を振り向いた時、再び体が硬直した。

ドラコが悪意を感じない物凄い笑顔を浮かべていたからだ。心なしか目がキラキラ輝いている気がする。おそらく今日の練習が楽しみで仕方がないのだろう。

そんなドラコを見てしまったら、早く起こされたことで生まれた怒りなんて吹き飛んでしまう。

だが、それでもドラコの非常識と言える行動は注意しとくべきだろう。

 

「練習時間の三時間前じゃないか。いくら何でも早すぎだろ」

 

ドラコの反応は俺の想像の斜め上をいった。何故か目に見えてわかるほど落ち込んだのだ。まさかそんな反応が返ってくるとは思っていなかった俺は若干パニックになり、思わず謝ってしまう。

 

「い、いやそこまで強く言ったつもりじゃないんだ!だ、だから!あぁ、ごめんな」

「ち、違う!悪いのは僕さ!今日の練習が楽しみで早く起きちゃってさ。それで何だか落ち着かなくなって……。で、何だか分からないテンションでセルスを起こしてしまったんだから。本当にごめん」

 

ドラコがあたふたした後、目を伏せながら謝ってくる。

もう今となっては怒りの感情なんてないし別にいいんだが、これってもう寝てもいいよな?

ドラコに聞こえない小さなため息をはく。

 

「解決したようだな。ならもう大きな声をだすなよ。正直かなりうるさい」

 

隣のベットにいるノットが顔をこちらに向けながら不機嫌そうな声を出した。そりゃあ、こんな朝から大声出されたら腹が立つよな。自分と関係のないことならなおさら。

 

ノットに謝ってから、もう一、二時間寝るために、熱を失い冷たくなってしまった布団の中に潜り込む。もう夢のことなんて何一つ覚えていなかった。

 

 

 

 

 

 一時間後、再びドラコによって起こされた。その時、ドラコの服装がパジャマだったのが笑いの壷にはまり、吹き出しそうになるのを押さえるのに一苦労した。

練習前に朝食を食べに行こうという話になり、私服に着替え、暖かいローブを纏った俺とドラコは大広間に向かった。どうして二度手間となる服に着替えたのかというと、食事のときにクィディッチ用のローブを汚してしまうことが嫌だったからだ。誰だってこれから着るユニフォームを汚したくないだろ。

大広間に向かう間の時間が暇だったので、ドラコにあの後どうしていたのか聞いてみた。

あの後、ドラコは俺が寝てしまったことで暇になり、勉強や読書する気にもならなかったので、寝る努力をしようとパジャマに着替えてベットに入ったようだ。でも、結局寝ることはできなかった。そしてそのせいなのか分からないが、現在お腹がペコペコでたまらないらしい。

これを聞いた俺は笑いを抑えることができなかった。ドラコの行動がアホらしく可愛らしく可笑しかったからだ。

しかし、俺が楽しめたのはその一瞬だけで、その後はドラコの機嫌を直すのに力を尽くさなければならず、全く楽しくない時間になってしまった。まさか、あれだけで食事が終わるまで不機嫌であるとは……。もしかしたら自覚していて恥ずかしくなったのかもしれない。

これ以上はやめておこう。

 

 

 

 「よし、みんな集まったな!」

 

チェイサーであるグレジー先輩が更衣室に入ってきたのを確認したフリントは、その大きな体を椅子から浮かばせた。そして、選手一人一人に目を向ける。

 

「最高のメンバーだ!それに俺たちはマルフォイ氏のおかげで最高の箒を持っている。これなら今年も優勝間違いなしだ!」

 

フリントは、それから数分かけて選手を激昂させる演説を行った。その結果は上々で練習だというのにみんなはやる気に満ち溢れている。「ハリー・ポッター」を読んで、てっきりフリントは脳筋であると思っていたが、その想像は間違いでしっかりとした考えが出来る人物だった。心の中で謝っておこう。

フリントの演説で悪い点があるとすれば、逆にテンションを上げ過ぎて、俺とドラコが軽めではあるが遠慮なく肩を殴られたことになってしまったことぐらいだろう。いや、俺もドラコも悪い気はしないどころかチームの一員にちゃんとなれた気がしてむしろ嬉しかったから悪い点にはならないな。

なら、完璧だ。

 

「それじゃあ、競技場に行くか。フッ、グリフィンドールの奴らは面を食らうだろうな。わはっはっは!」

 

フリントの大きな笑い声に合わせるように、みんなが笑い出す。この後起きることがなければ俺も素直に笑えるんだけどな……。少し憂鬱だ。

それぞれ自分の箒を専用のロッカーから取り出し更衣室の外に出る。空は雲一つないくらい晴れきっていた。

 

 

 

 

 

 真っ赤なローブを着るグリフィンドール生が上空で固まって話し込んでいる姿が競技場に入った瞬間に見えた。

その集団の一人であるジョージが、いや、フレッドかもしれない。……とにかくウィーズリーがスリザリン生が競技場に入ってきたことに気がついたらしく、仲間にこちらの存在を伝えた。

グリフィンドールのキャプテンであるウッドは遠くから見ても怒っていると分かるほど顔を歪めていた。まぁ、練習中に部外者が突然入ってきたら怒りたくもなる。その部外者が敵対しているチームともなれば。

 

ウッドがハリーとウィーズリー兄弟を後ろに引き連れて、こちらに物凄い勢いでやってくる。そして、フリントに今日のグランド使用件がグリフィンドールにあることと即刻立ち去って欲しいことを大声で伝えた。この言い分は正しかった。ただし、グリフィンドール側からの目線ではだが。

何やら揉めていることに気がついたグリフィンドールメンバー三人がやってきた。

またスリザリンか、みたいなことを思ってそうだな。アンジェリーナが物凄いあきれ顔を浮かべている。

 

「僕が予約したんだぞ!」

 

ウッドの怒りの叫びにスリザリンの数人が微かに笑う。スリザリン生からすればウッドの行動は無様に見えてしまう。

フリントがローブから大事そうに丸まった羊皮紙を取り出した。斜め後ろにいるので表情が伺えないが楽しそうなのは伝わってきた。

 

「ふっ、こっちにはスネイプ先生がサインしてくれたメモがあるぞ。『私、スネイプ教授は、本日クィディッチ競技場において、新人チェイサーと新人シーカーを教育する必要があるため、スリザリン・チームが練習することを許可する』」

 

このサインをすることに関してスネイプは対して悩まなかったらしい。当たり前の話なんだけどな。嫌いなグリフィンドール生に対して嫌がらせにもなるし、ハリーに対抗する形となったドラコの育成も本当にしたいと考えてるだろうから。

 

「ルシウス・マルフォイの息子達じゃないか」

 

気がつくと目の前に壁のように立っていたスリザリン生が消え、後ろに立っていたドラコが隣に立っていた。そして、敵意たっぷりの目線を注がれていた。少し注意散漫になっていたようだ。

 

「ルシウス氏の名前を持ち出すとは、偶然の一致だな。その方が我々に下さった素晴らしい贈り物を見せてやろうじゃないか」

 

フリントの言葉に合わせて七人全員そろって自分の箒を突き出す。これは、ここに来るまでの時間に決めたことだ。想像以上に恥ずかしいももだな……。

グリフィンドール生に馬鹿にされなくてよかった。そんな気力はないとは思うが。七本のニンバス2001を見せられた上にスリザリン生から追い打ちをかけられたのだから。

 

「おい、見ろよ。競技場に乱入者だ」

 

フリントの言葉どうり、ロンとハーマイオニーが芝生を横切ってこちらに向かってくる。俺はそれを確認すると、二人から見えないようにがたいの大きいスリザリン生の後ろに回った。

ドラコがロンに喧嘩を売っている。マルフォイ家とウィーズリー家は本当に相性が悪いな。親も子も対立している。俺も嫌われているし。

 

「グリフィンドール・チームも資金集めして新しい箒を買えばいい。クリーンスイープ5号を慈善事業の競売にかければ、博物館が買いを入れるだろうよ」

 

スリザリンが大爆笑する。ほんとにドラコはとっさに思いつく貶し言葉が面白い。頭の回転がこういう時になると物凄いことになるんだよな。

 

「少なくともグリフィンドールの選手は、誰一人お金で選ばれたりしないわ。こっちは純粋に才能で選ばれたのよ」

 

ハーマイオニーの喧嘩言葉が終わる少し前にドラコの近くに移動を開始する。ハーマイオニーは言い終わると同時に俺の存在に気がつき、戸惑いの表情を浮かべた。

 

「誰もお前の意見なんか求めていない。この『穢れた血』め」

 

ドラコの『穢れた血』発言にグリフィンドール生は激怒し批難の声を上げる。ドラコに殴り掛かろうとする者もいた。

俺は、ジーとロンの動きに注意していた。そして、ロンが手をローブの中に入れるのを確認すると、ほんの少しだけロンに遅れながらローブに手を突っ込み杖を取り出す。

 

「思い知れ、マルフォイ!『ナメクジ『ペトリフィカス・トタルス!(石になれ)』

 

ロンは呪いの呪文を唱えようとしたが、青い閃光を胸にくらったため動きを止める。そして杖を突き出した状態で背中から地面に倒れた。

一瞬静寂が生まれる。すぐにロンが俺によって魔法をかけられたことにグリフィンドール側は気がつき、杖を取り出そうとする。

俺はその前に、

 

「クククッ……えっ?うガッ!」

 

ドラコの顔を殴った。

殴られたドラコは地面に倒れる。スリザリン側もグリフィンドール側も動きを止めて俺に注目した。地面に倒れたドラコもポカーンとした顔で俺を見つめている。

 

「グレンジャー、兄が失礼な発言をしてすまなかった。怒るのは分かるが、この問題はこんなところで解決出来る問題じゃないはずだ。ここは穏便に解決したい。ウィーズリーの方はそいつが先に杖を出したのだからこちらに問題はないはずだ。そもそも部外者は競技場から出て行って欲しいな」

 

 

 

 

 あの後、ハーマイオニーがロンにかかっている呪文を解いた。ロンは呪文が解けるとすぐにドラコと俺を殴ろうとしたが、ハリーとハーマイオニーによって止められ、競技場の外へ連れ出された。

競技場の使用権はフリントとウッドで話し合われ、スリザリンが使えることになった。スネイプの許可証がある上にハリーがいないのでウッドは争っても意味がないと判断したのだろう。

グリフィンドールが去ってすぐに練習が始まったが、スリザリンのテンションは低かった。そして、俺はみんなの冷たい視線を全身で受け止めなくてはならなかった。

 

肝心のドラコには、練習後に謝ろうと近づいても避けられた。想像していた結果ではあったがやはり寂しく辛く心にズキリッと痛みが走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




選民主義や差別問題ってどこの世界にもありますよね。複雑な問題ですけど頑張って綺麗にまとめたい。稚拙な内容になりそうですがw

私事になってしまうんですが期末テストが今日終わりました。なので恐らく更新ペースが上がります。本当に恐らくですが。
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