「う~ん…」
とある日の夜、私―葛城リーリヤは部屋で頭を悩ませていた。
今日は遅くまでレッスンがあったこともあり、センパイに寮まで送ってもらったのだ。
帰り道にセンパイと思い出話に花を咲かせていたのだが…その中でふと気づいたことがある。
「私、センパイを頼りすぎなんじゃ…?」
センパイがあさり先生に怒られていた時のことを思い出す。
このままセンパイに頼りきりではトップアイドルなんて夢のまた夢だ――
と、頭では分かってはいるのだが…
「どうすればいいんだろう…」
「どしたのリーリヤ、何か悩み事?」
「あ、清夏ちゃん…
じつはかくかくしかじかで…」
私はここまでの経緯を清夏ちゃんに話した。
「ふむふむ…なるほどなるほど…」
「どうすればいいと思う?」
「そうだなぁ、リーリヤはプロデューサーさんに頼りっきりなのが嫌なんだよね?」
「うん。」
「ならさ、リーリヤもプロデューサーさんに頼って貰えるようになるっていうのはどう?」
「なるほど…それなら確かに…!」
「でしょでしょ?」
「頼られるようになるためにはどうすればいいんだろう?」
「それは…お手伝いを頑張る、とか?」
「そんなことでいいの?」
「ホラ、何事もまずは小さな一歩からって言うじゃん?」
「確かに…清夏ちゃん、ありがとうっ!」
「いいってことよ~。それじゃあさっそく明日から頑張ってね~♪」
「うんっ!」
〜〜〜
「センパイ、おはようございます。」ガチャ
「おや、葛城さん。おはようございます。
今日は休養日の筈でしたが、何か用事でも?」
「その、そうじゃないんですけど…」
「ふむ…まさか、レッスンをしに来たわけではないですよね?
改めて言っておきますが、今日は休養日ですよ?」
「ちっ、違います!」
「それなら良かったです。葛城さんには前科があるので。」
「うぅっ…」
「ですが、レッスンでないのであればどういった理由で?」
「そ、その…何か手伝えることはないですか…?」
「と言いますと?」
「わっ、私何でもやりますっ!」
「そ、そうですか…では、メールの確認をしていただいても?
重要そうなもの、期限が迫っているものを分けて貰えると助かります。」
「分かりましたっ!」
~~~
「ふぅ…センパイ、メールの確認終わりました!」
「お疲れ様です。どうぞ、カフェオレです。」
「あ、ありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ手伝っていただいてありがとうございます。おかげで他の仕事に手が回せました。」
「そんな、センパイの力になれたならよかったです…!」
「にしても、どうして急にこんなことを?」
「特段大きな理由があってというわけではないんですけど…」
「ふむ…」
「その、センパイに頼ってもらいたいな、って…」
「…ふむ?」
「私、いつもセンパイを頼ってばかりだから…
このままだと駄目だって思ったんです。」
「…なるほど、そういうことでしたか。」
「はい。だから、これから何かあった時はどんどん頼ってください!」
「…葛城さん。一つ訂正しておくことがあります。」
「訂正、ですか…?」
「はい。葛城さんはどうやら俺のことを頼りすぎていると思っているようですが、そんなことはまったくありません。」
「え…?」
「レッスンの内容、食事量の調整、スケジュールの管理…こういった物はプロデューサーがやって当然のことです。」
「で、でも衣装だったり歌詞の内容だったりの相談も…」
「それもプロデューサーの仕事です。」
「勉強で分からないところがあったら教えて貰ったり…」
「それもプロデューサーの仕事です。」
「そうなんですか!?」
「はい、プロデューサーの仕事はアイドルを支え、導くことですから。」
「…」
「俺は葛城さんがどこまでも羽ばたいていけるように、迷わないようにするために居ます。
だから頼りすぎなんてことはありません。むしろもっと頼って、相談してほしいくらいです。」
「じゃ、じゃあセンパイも私も頼ってください!」
「それは出来ません。」
「ど、どうしてですか?」
「先ほど言ったように、俺の仕事は貴女の代わりに荷物を持つことです。だから、俺が貴女の負担になるようなことはあってはならない。」
「大丈夫です!負担になんかなりません!」
「いえ、そういう問題では…」
「大丈夫です!」
「…では、これからはちょっとだけ頼らせてもらうことにします。」
「はい!そうしてください!」パァッ!
(こんな笑顔を見せられたら断るに断れないよなぁ…)
「…葛城さん、中々ズルい手を使いますね。」
「?」