北欧少女は○○したいっ!   作:蒼野春

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Cmリーリヤ祈願


北欧少女は駆け抜けたいっ!

「Campus mode!!をうまく歌えるようになりたい…?」

 

とある日のミーティング中、俺は担当アイドルである葛城さんからそんな相談を受けていた。

 

「はい。クラスの皆と一緒に3年生の人たちに教わっているんですけど、どうしてもうまく歌えている気がしなくて…」

 

「ふむ…であればここで簡単に歌ってみてもらえますか?

一度聞いてみれば何か原因が分かるかもしれません。」

 

「分かりました。」

 

 

~~~

 

 

「絶対いっぱい輝け~♪」

 

(技術的な面に問題はなし、難しいとされている部分もきちんと歌えている。基礎がしっかりしているのは恐らく葛城さんの努力の賜物だろう。少なくとも葛城さんが不安に思うようなところはないように感じる…)

 

(…そのはずだが、何かが足りない。これは―)

 

「センパイ…その、どうでしたか…?」

 

「そうですね、葛城さんの努力を感じる基礎のしっかりとしたいい歌だったと思います。」

 

「そ、そうでしたか…?」

 

「はい…ですが、少々基礎がしっかりしすぎている。

よく言えば優等生な歌い方ですが、少し度が過ぎてしまっているようです。」

 

「私が優等生すぎる…ですか?」

 

「はい。この曲が初星学園のアイドルにとってとても大切な曲、というのは葛城さんもご存じであると思います。」

 

「麻央先輩から聞きました、『Campus mode!!』は初星学園のアイドルみんなの曲だって。」

 

「その通り、では葛城さんはこの曲を歌うのにおいて最も大切なことはなんだと思いますか?」

 

「えっと…思いを込めて歌う、とか…?」

 

「そうですね、では葛城さんはどのようなどのような思いを込めて歌いたいですか?」

 

「どんな気持ちを込めて歌う…

…私は、聞く人が元気を貰えるような、一緒に一歩を踏み出せるような、そんな思いを込めたいです。」

 

「そう、それでいいんです。」

 

「ど、どういうことですか?」

 

「いいですか葛城さん。貴女がこの曲を歌う上で重要なのは"傲慢"になることです。」

 

「傲慢…ワガママになれってことですか?」

 

「はい、『Campus mode!!』は初星学園のアイドルみんなの曲という有村さんの言葉はまさしくその通りです。

だからこそ、『Campus mode!!』を歌うアイドルは皆「この曲を絶対に自分のものにして見せる!」という気持ちで練習しているんです。」

 

「『Campus mode!!』を自分のものに…」

 

「葛城さんは『Campus mode!!』の伝統を大切にしすぎるがあまり、上手に歌うことに固執して思いを十分に乗せられていない。

この曲は『初星学園のアイドル』として歌うだけではいけません。『初星学園の葛城リーリヤ』として、この曲を自分のものにしてしまうという意識で歌ってもらいたい。」

 

「な、なるほど…なんだか難しいです…」

 

「だと思ったので先ほど助っ人の方を呼んでおきました。」

 

「助っ人、ですか?」

 

「えぇ、そろそろ来ると思いますが――」コンコン「どうやら到着したようですね。」

 

「失礼しまーす♪」

 

「というわけで、助っ人の紫雲さんです。」

 

「プロデューサーさんに呼ばれてきました~。

あれ、リーリヤもしかしてあんまり驚いてない?」

 

「驚いてはいるけど…何となく清夏ちゃんだろうなぁって…」

 

「あちゃあ~、リーリヤこういうのに慣れてきちゃってるか~。」

 

「ふむ…次はもう少し変化球で行きましょうか。」

 

「そうだね~♪

前もってロッカーに隠れておく~っていうのは?」

 

「いいですね、面白そうです。」

 

「でしょでしょ~!」

 

「そんなことしなくていいからね!?」

 

「さて、悪巧みはここまでにして本題に入りましょうか。

今回紫雲さんに来てもらったのは、葛城さんにワガママを教えてもらって欲しいからです。」

 

「何それ~、もしかして私がワガママだって言いたいわけ?」

 

「いえ、紫雲さんは周りに配慮できる方ですから。むしろワガママとは対極に位置するでしょう。」

 

「ちょ!急に褒めんなし!恥ずかしいでしょ!」

 

「す、すみませんでした…?」

 

「まったく…で?

そんな良い子な私がどうやってリーリヤにワガママを教えるのさ?」

 

「紫雲さんも良く知っている方にとてもワガママな人がいるでしょう?」

 

「…あぁ~!そういうことね!」

 

「…?

いったいどういう――」

 

「いや~、こないだの夜とか凄かったよ?

『絶対このアニメはリアルタイムで見ないといけないんだ~』って聞かなかったし!」

 

「んなっ…!?

す、清夏ちゃん!?」

 

「無断レッスンはしなくなったけどふとした瞬間に振り付けの練習とかしてるしさ~。」

 

「清夏ちゃん!ストップ!ストップ!」

 

「他にもあんなことがあったりこんなことがあったり~」

 

「も、もうやめて~!!!」

 

 

~~~

 

 

「さて、これで葛城さんも分かったと思います。」

 

「ううっ、ひどいよ清夏ちゃん…」

 

「あはは~…その、ごめんね?

ちょっと言いすぎちゃった♪」

 

「ちょっとどころじゃないよっ!」

 

「葛城さんは他人のことを思いやれる優しい人です。

ですがそれはそうととてもワガママだ。」

 

「うっ…」

 

「そんなワガママな葛城さんであれば、『Campus mode!!』を自分の曲にすることくらい難しくはないでしょう。」

 

「それを教えるために清夏ちゃんを呼んだんですか…?」

 

「えぇ、俺が直接言うよりもルームメイトである紫雲さんの方がより効果的だと思ったので。

紫雲さん、今回も助かりました。」

 

「良いってことよ~。私も楽しかったしね~♪」

 

「――――わる」

 

「「え?」」

 

「センパイと清夏ちゃんのいじわる!!!」

 

「ヤバッ…ご、ごめんねリーリヤ!」

 

「か、葛城さん!俺もすみませんでした!」

 

この後、俺と紫雲さんはいじけた葛城さんの機嫌をどうにかして取り戻すのであった…

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