孤独かもしれないシスター   作:うにうにうにう。

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無料公開見てすっかりハマってしまった。
神セリフ集マジで神。


トリニティ総合学園の食堂の日替わりセット

私はトリニティ総合学園がシスターフッドに所属するシスターだ。

と言っても自分を一端のシスターだなんて思っていない。たまたま偶然、成り行きでシスターになっただけの一般人。周りが勝手にそう呼ぶから、シスターと勝手に呼ばせてるだけの不敬虔者。信仰心なんてどこにあるのやら。

だって人は人を救えないし、神は人を救わない。懺悔に来るような生徒は自分の中の結論を誰かに聞いて肯定してほしいだけだ。本当に救いが必要な人間は懺悔室には座れない。なら懺悔室にはカカシでも立てておけばいい。

自分を救えるのは自分だけ。

哀れな子羊たる私を救えるのは、私だけ。

ならば私は私を救いに行かなければならない。

 

大聖堂を背に頭巾を外して、独り言つ。

 

「腹が、減った…」

 

………

……

 

はっ、いけないいけない。ぼーっとしていた。腹が減ると、つい余計なことを考えてしまう。哲学的な自己問答など聖書の栞にでもしておけばいいんだ。

丁寧に畳んだ頭巾をポケットにしまって、歩みを進める。

今日は午前中の仕事が長引いてしまった。外に食べに行くほどの時間はない。となると、食堂だ。たしか、シスターフッドの本部である大聖堂からそう遠くないところにも食堂があったはず。あまり利用したことはないが、通りかかった時に他の食堂に比べて比較的安かった覚えはある。

さあ急げ、私のお腹が機関銃のような唸りを上げる前に。

 

 

食堂にやってきた私は、まず入り口に置かれた立て看板を見る。固定メニューから選ぶのも良いが、日替わりメニューを確認してからでも遅くない。

今日の日替わりは…っと、チキンとマッシュルームのグラタンか、セットだからサラダとスープもついてる。うん、悪くない。

さっさと中へ入って券売機に小銭を入れ、日替わりセットのボタンを押す。お釣りと券を受け取り……なんてことだ、バゲットがあるぞ。なんで下の方のボタンなんだ。気付けないだろう。

チラッと後ろを見るが、他に人はいない。安心して再び小銭を投入し、バゲットの食券を手に入れた。

ふぅ、昼には遅い時間で逆に助かった。これが昼真っ盛りなら非難の視線を嵐のように浴びるところだった。

 

「すいません、お願いします」

 

「はーい、左手のカウンターでお待ちください」

 

食券を渡して、ようやく一息つく。

コップを手に取り、セルフサービスの水を注ぐ。口に含めば、柔らかな柑橘系の酸味が口の中に広がる。

おいしい…水一つとってもおいしいのは、お嬢様校だからか、私の喉が渇いていたからか。あっという間に飲み干してしまった。

焦るんじゃない。私は食事をしに来たんだ、水で空腹を誤魔化しに来たんじゃない。

もう一杯おいしい水を注ぎ、今度は口をつけずに辺りを見渡す。

人はまばらだが、いないわけではない。普段来ない場所では、つい他の人が何を食べているのか気になってしまう。ふと私と同じシスターフッド制服を着ている二人組が目に入った。大聖堂から近いだけあってよく来るのだろうか。

彼女が食べているのは…オムライスか!あ〜っ、いいなぁ…固定メニューの方もしっかりと見ておくべきだった。空腹で焦りすぎたな、反省だ。

彼女が最後の一口を口に運ぶのを見届ける。一口でいいから食べたかったが、流石に後輩にたかるのは人間として気が引ける。

そうでなくても、急に現れて一口頂戴は不審者だ。

 

「…ん、ねぇ、ねぇ!あれって…」

 

「なに?…わっ、食堂とか使うタイプなんだ…ちょっと意外」

 

彼女たちがこっちを見た。目が合ったのに知らんぷりというのもよくない。私はいかにも今気づきましたよ、といった風に微笑みを携え小さく手を振る。向こうも控えめに手を振り返してくれた。

 

「お待たせしましたー」

 

「あ、どうも」

 

グラタン、サラダ、スープ、そしてバケットが乗ったトレーを受け取り、コップも置く。

見られながら食べるのは気まずいので、さっきの子たちとは少し離れた場所に座った。ようやくご飯の時間だ…。

 

「いただきます」

 

まずは野菜から、なんてのは素人。気を使うのは健康より食欲だ。

さっきから程よく焦げ目がついたチーズの香りが早く食べてくれと主張してやまない。

スポークで突き刺し、ひとすくい。ホワイトソースの湯気が、チーズの布団から顔を出す。

おはようチキン、おはようマッシュルーム。私の口に行ってらっしゃい。

フーフーと息で軽く冷まして、グラタンを口に運ぶ。

ホワイトソースはマイルドでクリーミーながら味付けがしっかりとされている。それに包まれたチキンは柔らかくジューシー、噛むほど旨味が出てくる気がする。コレだけでも相性バッチリだが、ここでマッシュルーム。コリコリとした食感が全体のアクセントになって、飽きが来ない。

 

「ウン、おいしい…」

 

半分ほど食べたところでお腹が落ち着いてきた。

水で口をリセット、サラダとスープを吟味する。

スープの方は、オニオンスープだ。一口飲めば、鼻に広がるコンソメの香りがなんとも素朴。玉ねぎはトロトロで噛む前に舌で潰せてしまう。ガツンとくる旨みはないが、濃すぎない優しい味なのが嬉しい。メインの料理が霞むことがない。

 

サラダは、よくわからない緑の葉っぱ、レタスにコーンに、プチトマト。彩り豊かな皿の上で、控えめに主張するポテトサラダがなんともいじらしいじゃないか。

一口食べれば、ペースト状のジャガイモがマヨネーズとの相性の良さを声高らかに主張する。

若干マヨの声が大きいか…?もはやおかずだ。おかずなら、おかずらしく食べてやろうじゃないか。ポテサラをバゲットの上にご招待だ。

ザクッとしたバゲットの食感に焼けた小麦の香ばしさと、なめらかなポテサラの食感の対比がたまらない。マヨとの組み合わせは言わずもがな。

うーんうまい!ポテトとマヨが、バゲットの上で結婚式してるよ。

 

サラダを平らげ、ポテサラバゲットを平らげ、スープも飲み干した。

残るはグラタンとバゲット、小麦と小麦だが、これまた合うんだよなぁ。

グラタンを口に含み、バゲットを食べる。次のバゲットに手が伸びそうになるが、我慢だ。

グラタンを平らげ、フチに残ったチーズまで削って食べる。もったいなくてついやっちゃう。

スポークを置き、おもむろに残しておいたバゲットを手に取る。

皿に残ったホワイトソースをバゲットで綺麗に掬い取る。ソースの一滴すら残してやるものか、最後の一枚はこのために。

 

「……ごちそうさまでした」

 

水を飲み、一息つく。

夢中で食べ進めてしまった。学食、侮るべからず……こうなると日替わりを制覇したくなってくるが、人が多いのはなぁ…ごみごみした中で狭苦しく食べるのは性に合わない。

かといってわざと昼休憩を遅らせるのも、なんだか不自然。やはり巡り合わせ、運命(うんめえ)に任せるべきだな。

 

「フフッ…」

 

……もう少し食べれるな。ここはひとつ、食後のデザートでも…

 

「あ、あのっ」

 

席を立ち券売機の方に向かおうとしたとき、背後から声をかけられた。先ほどオムライスを食べていた、シスターフッドの子だ。

1人は緊張しているのか、胸元で手を握っている。

 

「これから、大聖堂にお戻りですかっ?」

 

「私たちも戻るので、よろしければ一緒に…」

 

「あぁ…」

 

もうとっくに帰ったと思っていたのに、残って駄弁っていたのだろうか。うーん、後ろ髪引かれる思いだが、後輩から食いしん坊って噂されてもな…仕方ない。ここは先輩らしく行くとしよう。

 

「ええ。もちろん、ご一緒させていただきます。トレーを片付けてきますね」

 

トレーを持ち、返却口に返す。このとき、ごちそうさまを伝えるのを忘れてはいけない。ふと、カウンターにあるメニューをチラリと見る。

 

「やったっ」

 

「よかったじゃん」

 

デザートのメニューもそこそこ数があった。プリン、エクレア、ロールケーキ、ティラミス…コーヒーや紅茶もある。

 

「お待たせしました。さ、大聖堂に戻りましょう」

 

食べたかったなぁ、スイーツ……




続いたり続かなかったりします。
続いたらちゃんとブルアカのキャラも出てきます。
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