「さってと、全班状況を報告しろ」
箱根のとある山の中、そこの木の上にクロムは狙撃銃(ワルサーWA2000)を構えながら右耳のインカムをいじりながら各々配置しているであろう部下に通信を送った。
『こちらホーク2。お嬢様とそのご学友達を確認。現在、釣りの準備を始めている模様』
『こちらホーク3。こちらは武神に気取られた気配はありません』
『こちらホーク4。お嬢様のご学友二名が山の中へ入っていきます。指示を』
「ふむ・・・」
自分の部下からの報告にクロムは自身の視点を切り替えた。
(彼女達は・・・たしかリストにあった椎名京に川神一子か・・・見た所、組み手をしているだけの様だし問題は無いか・・・他の奴等との位置も大して問題もないな・・・)
と、彼のいる場所では見えないはずなのにまるで見えているかのようだ。
「ホークリーダーより各員へ、どうやらご学友たちは組み手をやっているようだ。特に問題は無いようなのでそのまま監視を続行」
『『『了解』』』
「よし。・・・・まあ、お嬢の様子を見る限り、楽しそうにしているしこのまま何もなく終われ―――」
『こちらCP。ホークリーダー応答願います』
「・・・こちらホークリーダ。どうした?」
何やらとてつもなくやな予感がを感じながらクロムは応答した。
具体的に言うならさっき二人が組み手をやっている場所に。
『その、エーベルバッハ少尉が・・・』
その言葉にクロムは自身の嫌な予感が当ったことを確信した。
「まさかとは思うが、あの馬鹿・・・」
『はい。エーベルバッハ少尉は組み手をしているお嬢様のご学友たちの所へ行きました』
「・・・・あの、馬鹿」
自制できない自身の相棒に頭を抱えるクロムにさらなる問題が発生した。
『ホーク3よりホークリーダーへ、緊急事態です』
「ああ、今度はなんだ?」
『エーベルバッハ少尉の闘気により武神が気付き、さらにこちらの監視に気付きました。こちらが捕捉されるのも時間の問題です』
「チッ・・・後から後から厄介事が舞い込んでくるぜ」
そう言ってクロムは狙撃銃を構えスコープを覗きこむ。
そこにはいい笑顔で真っ直ぐ山の中に入っていく川神百代と傍らに一人の少年が見えた。
「・・・・全ホークチームからホークリーダーへ。各員は直ちに撤収し指定された合流ポイントへ向かえ。武神に気取られるな、殿は俺が務める」
『隊長、エーベルバッハ少尉は如何いたしましょう?』
「それもこっちでなんとかする。CPは中将に連絡してマルギッテの場所を教えろ」
『『『『了解!!』』』』
部下達の返事を聞くとクロムは狙撃銃の引き金に指をかけた。
「さぁて・・・悪いが狙い撃たせて貰うぜ、川神百代」
そして、クロムは引き金を引いた。
「ッ!?」
「どうしたの、姉さん?」
箱根に旅行に来て川で釣りを楽しんでいた百代は山に不審な気配を感知して(それでも今まで全然気付かなかったと驚いていたが)、そいつらを少し撫でてやろうと思い舎弟である直江大和を伴って山の中へ入った。
だが突然、百代は立ち止り山の奥を険しい顔で睨んだ。
そんな姉の様子に大和は心配そうに覗き込んだ。
「大和、少し隠れていろ」
「え?あ、ああ」
百代に言われ若干戸惑いながら後ろに下がり始める大和。
言われた通り後ろに下がって木陰に隠れた次の瞬間・・・
「ハァッ!」
バァンッ!!
「・・・え?」
突然百代が何もない場所に拳を突き出した瞬間、拳の先に何かが当り爆ぜた。
突然の事に大和は訳が分からず困惑したが、一瞬姉の拳が当る前に何か光るものが山の中から飛んできたのが分かった。
「ね、姉さん・・・」
「そこから動くなよ、大和。まだ来るぞ」
不敵な笑みを浮かべる百代の言った様に今度は無数の光の軌跡が四方八方から山の中から飛んできた。
相手が誰なのかは分からないが、唯一つ言える事はそのどれもが百代に向けて飛んできている事だ。
「流石に最初の狙撃は止めるか・・・」
一回目の狙撃を拳で迎撃した百代にクロムは何の感情も無い声で次の狙撃を始める。
「今度はさっきのとは少し違うぜ?」
そう言いながら彼の持つ狙撃銃が淡く発光する。
ここでクロムの能力を説明しとこう。
といってもある意味単純で彼は銃を媒介にして気弾を創り出しそれを相手に向けて撃つというものだ。
「『マキシマム・バースト』・・・喰いな」
そして引き金を引き銃口から極太の気弾が発射され森の中へ消えた瞬間、
「Diffusion(拡散)」
呟きと共に極太の気弾は無数の小さな気弾に分かれ、木々の枝や幹に当り反射しながら山の中へ消えていった。
「・・・これで少しは時間を稼げるだろう。さっさとトンズラするとするか」
そう言って彼は一瞬でその場から姿を消した。
「おーい、大和。もういいぞ」
「姉さん。さっきのって・・・」
「気弾だな。それもかなりの錬度だ。しかも、気脈や大気中の気流なんかをかき集めて自身の気は極僅かに使って凝縮したものだな。・・・じじいや釈迦堂さんでもここまで精密な物は練れない・・・・」
先ほど襲ってきた気弾の嵐のことを思い出しながら百代は呟いた。
「それに相手もコレで仕留められるとは思ってないみたいだし・・・なにより殺気がまるっきりなかった。足止めか・・・どうやらこれを撃った奴はもういないみたいだ。他の奴らももういないか・・・」
「姉さん?」
目を閉じながら周囲の気を探る百代に大和は声をかけた。
「弟、ワン子たちの所へ向かうぞ。恐らくさっきの奴もそこにいるだろうからな・・・」
「あ、待ってくれよ!」
獰猛な笑みを浮かべながら山の中を歩いて行く百代に大和は慌てて付いて行った。
時は少し遡り、クロムが最初の狙撃を行おうとしていた頃、川神一子と椎名京は山の中で組み手をしている途中に紅髪に左目に眼帯をした女軍人が現れた。
しかもいきなり組み手を申し込んできたことに京は警戒したが、ワン子は承諾してしまい流れ的に戦うはめになってしまった。
しかし、始まってみれば相手はいきなり真剣(マジ)で攻撃を繰り出してきた。
その事に一子と京は一瞬戸惑うもすぐに切り替え苛烈な女軍人の攻めを凌ぎ、一子の鳥落としを喰らい動揺する相手に京が背負い投げを放ち倒したかに思えたが・・・・
「・・・Hasen Jagd(野うさぎ達め狩ってやる)」
ムクリと立ち上がった女軍人・・・・マルギッテからは先ほどまでの雰囲気からガラリと変わり獰猛な猛禽類の様なものへと変わった瞬間、彼女は二人に向かって突進した。
「頭に血が上っているのなら―――――」
「これで眠りなよ!」
激情して大ぶりになった相手に二人は左右にかわし挟み込むように蹴りを放つが、
「この手応えは・・・木?」
いつの間にか装備した二本一対の武具『トンファー』で受け止めていた。
そこからマルギッテの嵐の様な猛攻が始まった。
先ほどまでとは打って変って苛烈な攻めに京は冷静にどう打開しようか考えていた。
(・・・しょーもない・・・誰にも知られていないけど・・・)
そう言って京は服の中から切り札を出そうと決心した時、
「どうしました?早く切り札を出しなさい弓兵」
「ッ!?」
攻撃が止んだ隙に取り出そうとする京にマルギッテは挑発するように声をかけた。
京は自身の切り札を看破られたことと自身が弓使いだと言う事を看破られたこと二重に驚き目を見開いた。
「・・どうして私が弓使いだと?」
「・・・・似ていたからです」
京の質問にマルギッテは構えを解かずに応えた。
「似ている?」
「ええ、あなたのその眼は彼と似ている。他人なぞどうでもいい。自分の認めたあるいは心を開いた相手にしか本心を開かない孤高な・・・いえ、これは今言う事ではありませんね」
京の疑問にマルギッテは先ほどまでの鋭い気配が話している内に和らいでいったが、途中で止め元の鋭い闘気を放つ。
「お喋りはここまでです。Hasen――――」
マルギッテは再び攻撃しようと腕を振り上げた瞬間、
「なーにやってんだ、この馬鹿!」
パシッ!
振り上げた腕を背後から掴まれた。
「ッ!?」
「え!?だ、誰!?」
「なっ!?ば、バレッティア!?」
突然後ろから何の気配もなく現れた見知らぬ迷彩服の男に京は戦いに集中していたとはいえ今まで何の気配もなくいきなり現れた男に驚愕し、一子は突然現れた男に驚きながら疑問の声をあげた。
そしてそんな二人より目に見えて慌てたのはマルギッテだった。
「な、なぜ貴方がここに・・・」
先ほどまでの堂々とした態度から打って変ってバツの悪い顔になりながら、疑問の声をあげるが、
「ほう?何故とかぬかしますかマルギッテさん」
迷彩服を着た男、クロムは怒りを押し殺した声でマルギッテに言った。
「どっかの誰かさんが勝手に持ち場を離れて、なお且つ戦闘を始めてその闘気でこちらの監視がバレた揚句、部下を逃がすために足止めをしてこちらの手札を一枚切っちまったんだよ」
「あ・・・いや、その・・・」
段々と語気を強くするクロムに反比例してマルギッテは縮こまってしまった。
「お前言ったよな?もう今回の様な事はしないって、昨日の今日でその言葉を撤回するとは流石にビックリしちまったぜ」
「い、いえ、これは武人の性と言いますか・・・」
「ああ?」
「い、いえ。何でもありません・・・」
反論しようとしたマルギッテにクロムは一睨みで黙れせた。
「ったく・・・。まぁいいどうやらもう着たみたいだからな」
「ッ!・・・この気配は・・・」
飽きられながら頭をかきクロムは自身の背後を見た。
マルギッテもここに近づてくる気配を感知し先ほどまでの弱弱しいものから毅然としたものに変わった。
「み~つけた~♪」
「うわ、本当に軍人がいたよ・・・」
林の中からいい笑顔の百代と困惑気味の大和が姿を現した。
「大和、モモ先輩」
「なるほど、アレが最強と名高い川神百代ですか。確かに凄まじい気です」
「お?そっちのねーちゃんも中々強そうだな?さっきワン子達と戦っていたのはお前か。となると、さっき私に向かって撃ってきたのはそっちのにーちゃんだな?」
そう言いながら心底うれしそうに拳をバキバキと鳴らす百代。
「何の騒ぎだ?・・・あ」
「クリスお嬢様」
「よ~お嬢。お久」
「おいおい、急に構えを解くなよ」
「え?クリ知り合いなの?」
「何やらややこしい事になっているな」
一子の疑問に答える前に今日ここに来た一番の原因であるフランク・フリードリヒが現れた。
「父様!」
「クリス、我が娘。今日も美しい」
クリスの姿を見たフランクが嬉しそうに顔を綻ばすが、直ぐに真面目な顔になり、
「紹介しよう。私の部下のマルギッテ少尉とクロム少尉だ」
「マルギッテ・エーベルバッハです。覚えなさい」
「クロム・R・バレッティアだ。よろしく~」
毅然とした態度のマルギッテに対しクロムは先ほどとは打って変って軽い感じで挨拶をした。
「部下が失礼を働いたようだ」
「失礼と言うレベルじゃなかったけどね」
「いや、本当に済まないなサムライガールズ。ウチの馬鹿が・・・」
「自尊心が高く、とても優秀な人材だ。近接戦闘にも長けている分、君たちの様な手誰を見ると勝負を吹っ掛ける癖がある。その若さゆえの無鉄砲さが私は嫌いではない」
「嫌いではないって、中将。フォローするこっちの身にもなってくださいよ」
マルギッテの優秀さを説明するフランクにクロムは疲れたように肩を落としながら文句を言う。
「ハッハッハッ!そんな彼女をフォローするのはキミの役目だろう?」
クロムの文句もフランクは笑って流す。
そんな軍人組に京は文句を言おうとしたがめんどくなってやめた。
「私はよくないわよ。やい、マル!」
「野ウサギが私を呼び捨てに!?」
「ぶふっ!中々度胸があるじゃねぇか、あのサムライガール」
一子の言葉にマルギッテはショックを受け、そんな一子の言葉にクロムは吹きだし感心したように一子を見た。
「今度は武器ありで勝負よ!」
「人を指さすのは止めなさい。マルも止めなさい!」
「いいじゃねぇか、マル。可愛らしいぜ?」
「バレッティア!からかうのは止めなさい!!」
マルギッテの隣でおちょくるクロムにマルギッテは怒鳴る。
「悪いがクリスと話をさせてくれサムライガール」
「父様、なぜこのような場所に?」
クリスは何故ここに父がいるのかを尋ねた。
「理由は決まっている」
「と言いますと?」
「お前から連絡が来たからだ。友達同士でなんと泊りがけ旅行に行くと言うではないか・・・!」
そこまで言ったフランクは額に青筋が立った。
「そんな連絡を受けたのなら父親として居ても立っても居られない。心配で駆けつけてきたのだ」
「それで・・・わざわざ。父様。自分は幸せ者です」
「いやそれは違うと思うぞお嬢」
そんな中、筋肉質な男、島津岳人が不機嫌な顔で一歩前に出た。
「オイおっさん。そんなに俺様達が信用ならないか?」
「信用とかの問題ではない。ただ心配になっただけだ。とはいえ、私も子煩悩のバカ軍人ではない。精々部下を三十人を率いて様子を見に来ただけだ」
「因みに実際に監視してたのは七人だ。これでもかなり減らした方なんだぜ?」
子煩悩全開のフランクにクロムは疲れたようにため息を吐きながら補足した。
最初は自分の指揮する狙撃チーム全員を投入すると言われたのでなんとか説得して3班に減らしたのだが、それは彼の胸の内にしまっておこう。
「十分にもほどがあると思う・・・・」
「ん~・・・」
「どうしたのキャップ?」
フランクの言葉に突っ込みを入れる細身な男子、師岡卓也は自身の隣で唸っている何時も騒がしくて風間ファミリーのリーダー風間翔一が唸っているのを見て疑問に思って声をかけた。
「キャップ珍しく何も言わないね?」
「いやな?あそこの兄ちゃんの肩に下げてる銃をどう言ったら触らしてくれるかと思ってよ?」
そう言いながら翔一はクロムの肩に下げてる狙撃銃に視線が釘つけだ。
「なんか撃ってみたいじゃん!」
「無理だと思う・・・」
そんな翔一の願いを卓也は呆れながら切り捨てた。
「楽しそうで良かった、愛しき娘よ」
「はい」
「・・・やれやれ、聞いてられないな」
そんな親子の会話に百代は呆れながら遠ざかり、大和はそんな二人を見て、
「娘が大好きな父親か。彼氏とかできたらそいつは大変そうだな・・・ははは」
そんな事を言ってしまった。
「いとしい娘に彼氏が?ふざけるなぁ!!!」
「ちょ、中将落ち着いて!」
頭をブンブンと振りまわすフランクにクロムは落ち着かせようとするが収まる訳もなく、
「不穏当な発言は止めて貰おう少年。私が温和でなかったら発砲していたぞ」
「かかってる。銃に指がかかってるから中将」
拳銃に指がかかっていながらそんな発言をするフランクにクロムは力なくツッコミを入れた。
「もし、娘に彼氏ができたら、その男の為に第三次世界大戦が起るだろう」
「相変わらず中将殿のジョークは機知に富んでいます。お前達も褒めなさい。それが義務です」
「いや、シャレになってねぇから。寧ろなりそうで怖いわ」
シャレになって無い様な事を言いうフランクとそれをジョークだと思っているマルギッテにクロムは力なくツッコミを入れた。
「大変そうですね」
そんなクロムに大和は心配そうに声をかけた。
「・・・分かってくれるか、少年」
何やら向こうで一子がマルギッテに話しかけているがクロムはあえてそこを見ずに自分をいたわって来た大和に目を向けた。
「いい相棒と上官なんだが、お嬢の事になるとすぐ暴走してな・・・」
「ああ、凄く納得する・・・」
「分かってくれるか、少年」
「ええ、俺も姉貴分に振り回されてますから・・・」
「「・・・・」」
二人は無言で見つめ合い、
ガシッ!!
と効果音が付く位力強く握手した。
二人の感情を表すならお互い苦労する仲間を見つけた事に対する喜びだ。
「な~に二人で盛り上がってんだ、弟。お姉ちゃんを無視する~」
「うわっ!?ちょ、姉さん・・・!」
「おっと、危ねぇ」
いきなり大和に絡んできた百代にクロムは素早く離脱した。
「サムライガール。キミの願いも後日叶うぞ」
フランクの隣まで来たクロムは続けて言う言葉に驚いた。
「マルギッテとクロムも君達の学び舎に転入予定だ」
「はいっ!?」
その言葉にクロムはフランクに詰め寄った。
「ちょ、中将!?そんな話聞いて無いっすよ!?」
「何?マルギッテには聞いていないのか?」
「マルギッテ!?」
慌てて振り返るとマルギッテはフランクに向けて申し訳なさそうに、
「申し訳ありません中将殿。聞けば必ず拒否するだろうと思いギリギリまで黙っておこうと思っていたので・・・」
「ふむ。それならば仕方無い・・・・」
「いや、仕方なくないでしょ。何が悲しくてこの年で高校生に行かなくちゃならないンすか?」
「安心したまえ。クリスと同じクラスに入れるほど過保護ではない。精々となりの2-Sだな。優秀な二人には相応しい特進クラスではあるしな」
「そう言う意味じゃないっすよ。中将~」
何か勘違いしているフランクにクロムは諦めたのかガックリと肩を落とした。
「もういい。ツッコミ疲れたぞ。それより」
突如として百代の気が膨れ上がった。
「さっき私に向かって挨拶したのはそっちのにーちゃんだな?」
「・・・・さて、何のことかな?」
問いかけてくる百代にクロムは心当たりがない様におどけた。
「ほう・・・」
そんな態度に百代は眼を鋭くしそして、
シュッ!!
「ッ!?」
クロムの顔面めがけて百代は拳を放った。が、
カチャッ!
「ね、姉さん!?」
「な・・・」
「うそ・・・!?」
「マジかよ!」
いきなりの事で誰もが反応が遅れ百代の拳がクロムの顔を捉えると風間ファミリーの面々は思っていたが、予想外の出来事が起きた。
「・・・・いきなり、随分な挨拶だな?」
「フフッ今のを避けるか~中々やるなぁ~。それに物騒な挨拶はそっちが先じゃなかったか?」
クロムは突然の百代の奇襲を避け、いつの間にか抜いたのか拳銃(ワルサー P99)を抜くと百代の喉元に付きつけ先ほどとは打って変って冷たい声でいう。
二人の間で不穏な空気が流れるが、
「バレッティア、そこまでにしなさい。撤収の時間です。軍人は使命を守らなければ」
「はいはいっと。つーかお前さんが言いますか、それ?」
マルギッテの言葉にクロムは一瞬で殺気を消し、拳銃をホルスターにしまいながら今のマルギッテの発言に苦笑する。
「こちらもマルギッテが襲いかかったようだ。後日、お詫びの品を送らせて貰おう。それで今回の事は遺恨ナシとさせて貰いたい」
「ま、詫びの品にもよるが・・・今はバカンス中だしな、いいか」
そう言って百代は矛を収めた。
「ではな、クリス」
「はい!」
優しい顔でフランクはクリスにいい、続いて大和達の方に向くと、
「娘を頼む」
一回目は優しく言い、
「・・・頼むぞ?」
二回目は怖く言った。
そして三人は悠然と去っていった。
こうして、クロムと風間ファミリーの初会合が終わり、次の舞台は川神へと移る・・・・。