真剣で狙撃手に恋しなさい!   作:神喰いの王

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第六射目

クロム・R・バレッティアは頭を抱えていた。

 

「どうしてこうなった・・・」

 

「さあクロ!いざ尋常に勝負よ!」

 

目の前で薙刀を構え勇ましく宣誓する川神一子にクロムは再び頭を抱え、

 

「どうしてこうなった・・・」

 

もう一度そう言うと再びため息を吐き、さっきまでのことを思い返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

~2-S~

 

「たのもー!!」

 

「ん?」

 

授業の合間の休憩時間、クロムは自身の拳銃(P46UCP)の手入れをしている中、教室の扉が開け放たれた。そこには長い髪をポニーテールにした少女、川神一子が勇ましく立っていた。

 

「おお!これはこれは一子殿!!態々我の所まできてくれたのか!!?」

 

「うっ・・・九鬼くん」

 

一子の姿を見た瞬間、英雄が猛烈な勢いで迫り英雄の姿を見た瞬間、先ほどまでの勇ましさは何処へやら一子の顔が引きつった。

 

「え、えっと・・・クロムさんっていないかしら?」

 

「ぬっクロムですと?あやつならあそこにいますが「そ、そうなの!ありがとう九鬼くん!」ああ、一子殿~!!」

 

「えっと、クロムさんちょっといいかな?」

 

「ん?なんだい、サムライガール」

 

自身の机の前にやって来た一子にクロムは一瞬視線をやるがすぐに銃の整備に取り掛かった。

 

「おい、クロム!一子殿が折角訪ねてきたのにその態度は無礼であろう!!」

 

「あ~はいはい。少し待ってな、直ぐに済むから」

 

そう言うとクロムは整備のため解体していたP46UCPを物の数秒で元の形に戻し、ホルスターに納めた。

 

「っで?何の用だい、サムライガール?」

 

「えっと、その前に普通に呼んでほしんだけど・・・」

 

「ハハッ!オーライ、一子。これでいいか?」

 

若干戸惑いながら言う一子にクロムは笑って了承した。

 

「うん!」

 

「それで何の用だい?」

 

「えっと、私と勝負しなさい!!」

 

「はっ?」

 

元気良く宣言する一子にクロムは目を丸くする。

 

「え~と、それはまたなんで?」

 

「前々から貴方かマルのどちらかと戦いたかったのと今朝クリが貴方達の話をしていていてもたってもいられなくなったのよ!」

 

「お嬢ェ・・・・」

 

クロムは相変わらず迂闊な発言が多いクリスに頭を抱えた。

 

「あ~悪いんだけど「いいでしょう!一子殿のその願い確かに承った!!」え?いや、九鬼くん?」

 

断ろうとしたがそれを遮る様に英雄が言葉をかぶせてきた。

 

「ふん、そうじゃな。ここいらでお主の実力をそこの山猿に見せつけてやるのじゃ!」

 

「あ、おい不死川さん・・・?」

 

更にそんな英雄に便乗するように心が挑発的な物言いにクロムは段々と顔が引きつって来た。

 

「あ、あのな~お前らいい加減に「何を騒いでいるのです?」っおお!マルギッテ!!」

 

顔をひくつかせて文句を言おうとしたクロムだがマルギッテが現れたことで持ち直した。

 

「マルギッテ、お前さんもなんか言ってくれよ」

 

「何を急に言っているのです?」

 

「いやな、一子が俺と闘えって言ってきてな?俺は別にやりたくねェから、お前が代わりに相手してくんね?」

 

「・・・・」

 

クロムの言葉にマルギッテは一瞬考えた後、いいでしょうと了承した。

 

「おお!流石は相棒よく・・・っておい」

 

「川神一子」

 

「なにマル?」

 

いつの間にかとったのかクロムのワッペンを持ったマルギッテが一子に話しかけていた。

 

「この決闘、確かに承りました」

 

そう言って、ワッペンを机の上に置いた。

 

「え!?え~っとそれはつまりマルが私の相手をするって事?」

 

「いいえ、あなたの相手をするのはバレッティアが努めます」

 

「ちょっ!?」

 

「それならいいわ!じゃ、これで決闘成立ね!」

 

喜色満面でワッペンを重ねる一子にマルギッテは決闘の時間を教えると一子はそのまま教室を後にした。

 

「そう言う訳でバレッティア、今日の放課後に決闘を行います。これは決定事項なので必ずやりなさい」

 

「な、何してんだお前はっ!?」

 

「あのままでは彼女は何度も貴方に申し込むでしょう。故にもっとも簡単な手段をとったまでです」

 

確かにあの手のタイプはこっちが折れるまで食い下がるだろう。その事はクロム自身も分かっている。

 

「それに・・・・」

 

「ん?なんだよ?」

 

「いえ、とにかく川神一子と勝負しなさい。言っときますがもし負けるようならば貴方の銃器コレクションを没収しますのであしからず」

 

「ジーザス・・・」

 

有無を言わせないマルギッテの言葉にクロムは項垂れるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

~現在~

 

「それではこれより川神学園伝統、決闘の儀を執り行う!」

 

「あ~クソッ仕方ねぇ覚悟決めるか」

 

(負けたりなんかしたら俺のコレクションが没収されちまうしな・・・)

 

内心でそんな事を考えながらクロムは目の前で薙刀を構えた一子を見る。

 

「それでは尋常に始めぃ!!」

 

「よ~し、それじゃあ行くわ「あ、ちょっと待った」よぉっ!?」

 

先手必勝で駆け出そうとした一子にクロムは待ったをかけた。勢いよく行こうとしただけあって突然の待った発言に一子はつんのめり転びそうになった。

 

「い、いきなりなによ!?」

 

「ハハッ悪い悪い。戦う前に準備しないといけなくてな」

 

「準備?」

 

首を傾げる一子にああっとクロムは返事をして右手に気を集中させ、そして・・・

 

ゴッ!!!!

 

「えっ!?」

 

「ぬっ!?」

 

「なにっ!!?」

 

気を集中させた手を地面に叩きつけるように置くと観客と決闘の場所の境界線を引く様に結界が敷かれた。

 

「なんと、これは川神流『天陣』!?いや、あれとはやや気色が違うの。じゃが、たった一人でこれほどの結界を創り出すとは・・・。一体何処で・・・?」

 

「別に大したことは無いさ。日本の陰陽道を少し齧って後は全部独学だぜ?幸い川神(ここ)は龍脈の通り道、更には川神(ここ)自体気が満ち溢れているからな。後は土行を組み合わせればこれ位造作もないさ・・・」

 

そう言いながらクロムはホルスターから拳銃(P46UCP)を取り出し、

 

「それに俺の得物は(これ)だからな。周りに被害が出ないようにするにはこれが一番手っ取り早い」

 

一子に向けて構える。

 

「っ!?」

 

一子はあまりの事に呆然としていたが向けられた銃に一気に気を引き締めた。

 

「安心しな。実弾は入って無い。実弾は、な」

 

そう言ってトリガーを引き銃口から吐き出されたのは拳大の気弾だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚きましたね。まさかこれほどとは・・・」

 

「おおーすごいすごい!」

 

「流石にこれは予想が付かないわ。うん、マジで」

 

目の前で繰り広げられている戦闘に冬馬、小雪、準は各々感想を述べた。

 

「能ある鷹は爪を隠すといいますが、隠していた爪の鋭さを測り間違っていましたね」

 

「ほう、いい事を言いますね葵」

 

相棒であるクロムを褒められて若干嬉しそうに微笑するマルギッテだが、

 

「ですが、アレはまだ爪の一端でしかない。真の爪の鋭さはアレの比ではない」

 

「マジかよ・・・。つーか何で今回はクロムに決闘をさせたんだ?」

 

「やはり、あの噂ですか?」

 

「・・・・」

 

あの噂とはクロムの実力を疑う又は最近できたマルギッテの親衛隊によるクロムの誹謗中傷のことである。

 

「若、あれって・・・?」

 

「クロムさんは実力の無い能無し軍人と陰でいわれていましたから・・・」

 

実際、ここ最近クロムは戦闘の決闘は何度も断っていた。それ故に臆病者の軍人と陰で言われていたのだ。

 

「ですが、この戦いを見ればもうそんな事を言う人はいなくなるでしょう」

 

「確かにな」

 

目の前では容赦なく気弾を放つクロムと迫り来る気弾をギリギリかわしている一子がいた。

 

「フフッ」

 

「何を笑っているのです葵?」

 

「いえ、貴女にここまで思われているクロムさんに少し嫉妬してしまいましてね」

 

「なっ!?ふ、ふざけたことを言うんじゃありません!!」

 

「おわっ!?落ち着けってマルギッテ・・・てグハッ!?」

 

冬馬の言葉にマルギッテは顔をこれでもかってぐらいに真っ赤にし、冬真に詰め寄り準はそれを必死に抑え用として殴られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へえ、よくかわすじゃねぇか。見直したぜ」

 

「はぁはぁっ!」

 

迫り来る気弾を一子はギリギリでかわし捌いて行ったが、それでも制服が所々破けたり土まみれになっり、息も絶え絶えの様子だが、対するクロムは最初の位置から一歩も動いておらず余裕の笑みを浮かべている。

 

「はぁはぁっ!た、確かに貴方は強いわ」

 

「ハハッ!そいつはどうも「でも!」ん?」

 

「段々目が慣れてきたわ!」

 

そう言う一子の瞳は闘志が爛々と輝いていた。

 

「へぇ、そいつは楽しみだなっと!」

 

「ハッ!」

 

「っ!」

 

迫り来る気弾を一子は今度は完璧にかわしてみせた。

 

「・・・なるほど。銃口の向きとトリガーにかかる俺の指の動きで気弾をかわしたか」

 

「えへへ、まぁね!」

 

(流石はKAWAKAMIの一員って訳か・・・)

 

自信満々に笑う一子にクロムは心の中で賞賛した。

 

「そんじゃあ、お次はコイツだ」

 

「もう効かないわよ!」

 

放たれた気弾をかわし、一子は全速力でクロムに肉迫する。

 

「いいや、ビンゴだ」

 

「っ!?ワン子後ろだ!!」

 

ドンッ!!!

 

「・・・えっ?」

 

突然、背中に走った衝撃と痛みに一子は目を白黒させるだけだった。

 

「な、なにが・・・?」

 

「それまで!勝者、クロム・R・バレッティア!!」

 

地面に倒れた一子は訳も分からずに自分の敗北を聞かされた。

 

 

 

 

 

 

「今のは・・・?」

 

大和はあまりの事に思考が追い付いていなかった。確かに一子はクロムの気弾をかわしクロムに攻撃を仕掛けようとしたはずだ。なのに、いきなりクロムに辿り着く前に一子の後ろから気弾が襲ってきた。

 

「気弾を反射させたんだ」

 

「姉さん」

 

一緒に観戦していた百代が厳しい視線のまま解説し始めた。

 

「アイツは自身の気弾を結界に反射させてワン子を狙ったんだ」

 

「で、でも、さっきまでそんな事は――――」

 

「そう思いこませる為の芝居なんだろう。覚えているか大和?旅行の時に襲った気弾を?」

 

「え?あ、ああ・・・・・もしかして」

 

「そうだ。おそらくアイツは気弾を木に反射させて多角的にそれも時間差をつけて狙い撃ったんだろう」

 

「でも、そんなことが――――」

 

「実際目の前でやってのけたしお前だって理解しているんだろう?なら、それが事実だ」

 

そう言う百代の顔はさっきまでの険しい視線とは裏腹に強敵が現れたことへの歓喜が浮かび上がっていた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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