雄英入学前、冬。
暗く暗澹とした路地裏で1人の少年が立っていた。周りには夥しい血と肉片が撒き散らされていたが、彼は眉ひとつ動かさずただ月を見ていた。
「ふぅ、今日の三日月はクロワッサンみたいだ。
近くのコンビニにあるかなぁ。」
と、独り言を言って、徐に取り出したキャンディを舐めながら歩き出した。
ザー
「今日はいい感じに使えたなー。あいつに言ってやろっと♪ へへへ。」
シャワーを浴びながら1人喋る。
風呂から上がり、リビングに出ると育ての親であり、養父である
鏑木 徹郎がいた。
「おう。帰ったか。 お前、あんまふらふらすんなよ。最近ここら辺も
治安荒くなっちまった。ガキ同士の喧嘩に口出す気はねえけど、
本物のヴィランに出くわしたら、お前でもただじゃ済まねぇぞ。」
「あー、あぁ、分かってる。別に遊んでるだけだから。」
「遊びにしちゃあ怪我しすぎだ、お前。ふぅ、まあいい。
気ぃつけろよ。」
「うん。」
そうしてふらふらしながら自室に帰ると、即スマホ。 派手目なケースに入れたお気に入りのスタンプ付きのスマホで、親友で幼馴染の
暗山羊 勇気にチャットアプリで連絡する。
『おい、今日の戦果言うから、サブこい。』
そうして、机の引き出しから2個目の少しゴツい地味な黒色のスマホを取り出し、プラバシー保護に特化した専用のチャットアプリを起動した。
『今日、チンピラ5人に絡まれた。いい感じに人がいない路地裏に誘い込めてさ。最近改良した、ナイフグレネード。バッチリ刺さったぜ。
金髪のロン毛の奴の腹に刺さってさ、爆発して、腸がどばぁって
出たらさ、周りの奴ら半泣きでさ、やばかったぞ。
奴らがビビってる隙に、
3人に一発ずつ、いつものお手製リボルバーで、弾ぶちこんでさ。
ちゃんと異形型の奴も居たけど、ばっちり、頭に穴、空いたぞ。
さすが!! で、1人余ったけど、弾ないからさ、個性使っちゃって
距離詰めて、首折って、やった。』
『おう、長文!!!』
『まあ、ちゃんと機能して良かった。やっぱ、ナイフグレは、
持ち手が筒の方が掴みやすいよな。最初の丸型のグレネードにナイフの刃が付いてるちんこみたいなやつよりさ?』
『あと、リボルバーはすまんな、
やっぱ弾が3発しかないな弱すぎるかあ、
いちいちコッキングしなくていいのは良いけど、
異形型の奴も一発で殺せるようにするには、弾太くしないとだし。
てなると、持ち手より、リボルバー式にする方がいいし。
うーん。どう思う?』
『いや、今のままでいい。1人ずつ、きっちりやれるほうがいい。』
『そっか。わかった。明日、土曜だし装備持ってこいよ。あと、
部屋で一緒にゲームしようぜ』
『り。おやすみ』
そうして、彼はスマホを机の引き出しに戻して、ベッドに飛び込む。
「はあ、高校、勇気がいくって言うから、雄英にしたけどさ、
ヒーロー科の必要あったか?最初から普通科でよくね?来月か、入試。
武器持ってけないし。どうしよ?俺なんて風纏うだけの個性だよ?
ちょっと、空飛べて、ちょっと速く走れるだけよ?風纏って!パンチ!
みたいなの、子供の頃は考えたけど、燃費悪いし、疲れるし、
威力上げるとコントロールできなくなるし、鎌鼬!!みたいなの、
使えるようになりたいなー、 はあ、 寝るか。」
彼の名は鏑木 風 ちょっとえっちなもうすぐ高校生だ。
くう疲