ダーウィンズストーリー   作:R,n

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いちばん嫌らしい嘘は、いちばん真実に近い虚言だ。

ジイド 「一粒の麦もし死なずば-二部」より



第十三話 アサシネーション

 

煤けた空気がする中で、儂はスマホを取り出し電話をかける、暫しのコール音の後、電子音がなり士明が電話へと出てくる

 

「—士明か?うむ、残念ながらこちらは外れ——いや、何者かに先を越されたと言うべきかの?」

『しかしお嬢様、CIAを襲撃する組織がこの国にありますか?』

「外交勢力かもしれぬな、露西亜(ロシア)か中国か……出来ればCIAと取引したかったが今状況だと難しいのぉ…」

 

そう言いながら、随分開放的に窓が破壊されているビルのワンフロアから、東京の街並みを見渡して、空いている片手でタイプライターに触れてみて

 

「次に情報を抱えてそうなのは在日米軍じゃが……」

『お嬢様、それはいささか危険が過ぎますぞ?』

「わかっておる、言ってみただけよ」

 

試しにあり得そうな場所を言ってみれば、少し焦りの入った士明の声が止めにかかる、無論儂もあんな場所へ行く気などありはせぬ………しかしまぁ

 

「いずれにせよ、コレから——Dゲームが日本の子供を中心とした危険な遊びであった時間は終わる」

「あらゆる組織がDゲームへ介入してくるじゃろうな……誰ぞが()()()()()()()()()()()

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『それで士明、そちらの様子はどうじゃ?』

「はぁ、【作戦】の進捗でしたら益々と言ったところ——」

『作戦とやらわどうでもよいわ、それよりカナメ殿の仕上がり具合を教えよと言っている』

 

俺が車の後部座席で、じっくりアイスを食っていると、士明さんと雪蘭の会話がカナメの話題へと移るのが聞こえてくる………カナメはシュカと結ばれるからなぁ……

 

『あれから少しは甘いところが消えたか?技はどれほど修めた?』

「ははは、お嬢様、心根と言うものはそう変わりはしませぬよ」

『なんじゃまだ相変わらず甘いままか』

 

電話越しの雪蘭は、何処か呆れた様ななんとも言えない感情を抱いているような声を出し、しかし電話をしている士明は静かな声でこう言い返す

 

「ですがこの士明、後はお嬢様のお供をしながら穏やかな老後を過ごすつもりでしたが——」

「この歳になってあれほどの素材に出会わせて頂けるとは、恥ずかしながら老骨が滾ります」

 

恐ろしい爺さんだと思いつつじっくりとアイスを食べていれば、士明さんは雪蘭との電話を終えたのかすまほしまいこんでいる

 

「なあ、士明さん……雪蘭は俺にも目をかけてるっぽいけど、カナメと違って俺には修練してないけど、そこんところどうなの?」

「ほほほ………ご謙遜されても困ります、ツクヨミ様は誰よりも修練されていますでしょう………お聞きしましたよ、ツクヨミ様のシギルについて」

 

そう言いながら士明さんは俺に新しいアイスを手渡す、俺はありがたくそのアイスを受け取って、しゃりしゃりと口で噛みながら士明さんを見つめる

 

「ツクヨミ様は基本的に、相手のシギルをコピーした上で、それを戦術に組み合わされます、例えばエイスの王、彼のテレポートも保有されていますでしょう?その上で、他に保有しているシギルを使用されたり………シギル同士の()()()()()も出来るのでしょう?」

「どうだかねー」

 

さらっとこの爺さん、俺の隠しダネを勘繰ってきやがる、まぁ出来ると想定した方が良いと思ってるんだろうし、実際できるけど………しかしまぁ、レインが居るからともかくとして、コレは相当広まってる可能性があるな………

 

「………言っておくけど、そこまで万能な能力でも無い………言って多能だよ、多能」

「えぇ、それは重々承知しております……しかし、カナメ様も遅いですな」

 

そう言って、西郷組事務所のあるビルの2階へ目を向ける……俺は俺で、スマホを開いて数日前の写真を見てその日のことを考えていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ハァ……せっかく俺がプールバーをイメージしたクールな娯楽室を作ったってのに………この正月コタツでやる様なゲーム持ち込んだの誰だよ………」

 

フリーターの状態で負け越しているリュージを見つめ、やっぱり原作からは逸れないんだなと思いつつ、俺は駒を進めていた

 

「す、すいません……私です…みんなで遊んだら楽しいかなって…」

「リュージさん、負けているからって八つ当たりしないでください、大体リュージさんはクラスのお金を趣味に掛けすぎなんですよ、あのでっかい車とか」

「あれは役に立ってるじゃねぇか!」

 

辛辣なレインの言葉に、リュージは車だけは役立ってるだろと大きく声を荒げてそう言えば、ふと間を置いてレインへ向かって言い始める

 

「それを言ったらあの情報分析室はなんなんだよ!あのクソ高いパソコン完璧にお前の趣味だろ!」

「いえ、パソコンではなくワークステーションです、Dゲームの情報をクラウドには置けませんから、ローカルに強力なマシンが必要なんですよ、情報分析を疎かにしてDゲームを勝ち抜けると思っているんですか?」

 

軽く唸ってレインを見つめ、リュージはまだだと言わんばかりに言葉を続ける

 

「あの大量のうまい棒もか!?」

「エネルギー源です」

「いやレイン、お前うまい棒ばっか食うのは体に悪いぞ………って言っても、俺も大金かけて食堂とキッチン作ってるからなぁ」

 

そう言いながら、俺はアイスをしゃりっと口にする、すると二人は目を見開いて

 

「いや、お前の食堂は必要経費だろ、飯は大事だし」

「ですね、食事をおろそかにはできませんし」

「じゃ、レインもうまい棒ばっかは食うなよ?」

「………出来る限り努めます」

 

暫く黙り込んでそう言うレインに、俺は深いため息をついてしまう

 

「ま、たまにはこう言うゲームで息抜きするのも良いと思うけど?ちょっと新鮮だし、それにさっきカナメが言った私達の目標もいいと思う」

「サンセットレーベンズのみんなでDゲームクリアを目指すって言うの、なんかカナメらしい目標って感じするし」

「ありがとなシュカ、そう言ってもらえると嬉しいよ」

 

そう言って、カナメがシュカへ笑いかければ、シュカはほんのり甘い空気を纏って照れる様に目を逸らし

 

「わ、私もクラスA4に上がってから目標喪失していたし……!A3への必要ポイントだって多すぎだし!目標がないとつまらないし!」

「照れてんなぁ、シュカ」

「て、照れてないし……!と言うかレイン!そのネックレス何よ!」

 

俺が煽りを入れて見せれば、動揺したシュカは目を逸らしてレインへと目をつける、ありゃ確か夏祭りの時に…………

 

「あぁ、コレですか、コレは夏祭りの時にツクヨミから送ってもらいまして」

「…………へ?」

「へぇー………そういやツクヨミも射的でなんか落としてたな、そいつかぁ」

「まぁ別に渡すような相手居なかったしな」

 

と言いつつアイスを食べていれば、何故か皆から一斉に目を向けられて……なんかしたか?と思いつつ俺は気にせずにコマを進めていた

 

「………まぁツクヨミに関しちゃ後で問い詰めるとしてだ」

 

おい、なんで俺が問い詰められる事になってんだ、俺なんか地雷踏んだっけ………?

 

「だけどよ、クリアを目指すにしても条件が分からねぇにが問題だな」

「あぁ、俺がイベントの時にGMを問いただしてれば良かったんだが……」

「ま、あの状況じゃ仕方ねぇだろ、むしろ使える特権をもぎ取っただけ上等さ」

「まぁあの特権は抑止力にだけ使うつもりだったんだがな……まぁでも、イベント勝者が二人もいるのはいい事だ、ツクヨミの特権も使えるしな」

「…………って言っても、俺のはポイント消費がデカいからな、情報収集と緊急時の横槍ぐらいだ」

 

そう言い合う中、リュージがコマを進め

 

「おし、結婚だ、みんなご祝儀くれ」

「ほえー、借金持ちのフリーターでも結婚できるんですね……」

「要はヒモじゃないです?」

「リュージテメェェェ!また俺の借金を増やす気かお前!」

「もっと借金まみれの人が居ましたね、どうやったら政治家でそこまで借金出来るんですか」

 

そう言いながら、俺は増える借金を横目にリュージへと借金でご祝儀を送り

 

「まぁ、確かにDゲームのクリア条件はまだ不明ですが、GMがゲームのクリアについて言及した事だけですごい手掛かりですよ、このすごろくゲームの様に、Dゲームにもゴールが存在する事が保証されたんですから」

「それにクリア条件については私なりの仮定ならあります」

 

そう言うレインの言葉にシュカが疑問的に声を投げかける

 

「仮定?その程度の信頼性があるの?」

「Dゲームのシステム設計と今までの傾向からの推測です、『世界関数(ラプラス)』による理論解析結果と言い換えても良いですけど」

 

そう言いながら例はスマホを取り出しランキングを見せつけてくる

 

「結論から言います、Dゲームのクリア条件はクラスA1プレイヤーの出現、それがトリガーとなる可能性が高いと思います」

「クラスA1……」

「今ウチのクランには、ランキング1位の雪蘭さんと5位のシュカさんが居ますが二人ともクラスはA4です、まぁあくまで日本サーバー内のランキングなので海外の事情はまた別ですが、海外ではA4プレイヤーが登場したと言う話ですら聞きませんから……」

 

そう言ってレインは一呼吸置き、話を続ける

 

「そしてDゲームで初めてイベントが開催されたのはクラスA4プレイヤーが出現した直後なんですよ」

「………つまり最上位クラスであるA1プレイヤーんl出現と同時に——Dゲームの最終イベントが開催される……?」

「その可能性は高い——私はそう思っています」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺が思考に埋もれていれば、カナメが後部座席のドアを開け、どっしりと俺の横に座りながらため息をついていた

 

「はぁ……」

「よ、お疲れ、アイス食うか?」

「いらねぇよ、ってか先帰って飯作ってやらねぇとレインが切れるぞ」

「ほっほっ……すでにもう作り置きしてありますゆえ」

「ほんと士明さんは助かるよ、俺も料理上手だけど士明さんも上手いし」

 

俺がそう言いつつ食い終わったアイスの棒を手に取りながら士明さんをみれば、少し照れた様にしつつ笑い

 

「ツクヨミ様もお上手ですよ、やはり若いお人にはお負けします」

「ありがとね、士明さん」

 

そう言いながら士明さんが車を回す、外はもう既に暗い時間であり、おそらくもうそろそろでカナメが呼ばれる頃だろう……そして俺はどうやら今回のイベントには呼ばれていない様で、1時間前に確認してみたが俺には通知は来ていなかった、

 

「カナメ様、今回ぼ同盟交渉の方は如何でしたか?」

「まぁ話は聞いてもらったよ、ちょっとした摩擦はあったけどな」

「痛めつけてないだろうなぁ?」

「お前が言うのかよそれ」

 

とカナメは鼻で笑って苦笑して見せる、 なんだよ、まるで俺が冷酷で俺の方が酷いって言い様だなぁ……泣いちゃいそうだなぁ

 

「ほっほっほ、弱者の言葉など誰も聞く耳を持ちません、交渉するにはまず力を示す必要があるのですよ」

「士明さんの言うとおりかもな、結局信用ってのは言葉だけでは勝ち取れない」

 

そう落ち込んだように目を落とすカナメに士明さんは続ける

 

「カナメ様、そう落ち込みなさいますな、むしろ今回同盟が為さらなかったのは良き事です、軽諾寡信——簡単に同盟を承諾する様な相手は同盟に値しませぬ」

「それと………お二方とも、私の事はどうか士明とお呼び捨てください、お嬢様ともども、カナメ様の配下になり、 同じサンセットレーベンンズのメンバーとなりましたので」

 

そう言いながら車を操る士明さんに、カナメは窓の外を眺めて落ち着いた口調で言葉を返す………会話的に、もうそろそろでカナメが呼ばれるな

 

「よしてくれ、形だけの事だろ……それに、半世紀以上年上の人を呼び捨てにはできないよ、 士明さんには色々教わってるしな」

「俺も同じく、それに士明さんを呼び捨てにするのはしっくり来ないしな」

「ほっほっほ、カナメ様もツクヨミ様もなかなか礼儀が正しいですな……人が出来ていらっしゃる」

 

そう笑う士明さんにカナメや俺はこっちこそと切り返す

 

「そっちこそカナメ様はやめてくれ、ただのカナメで良い」

「俺もだな、ツクヨミ様ってのは性に合わない、スサノオの名前を使う時も同じく様付けは要らないからな」

「出来る限り努力は致しましょう」

 

そう士明さんが言ったところで……カナメのスマホから着信音が響く

 

『カナメ、こちらリュージ、作戦終了』

「あぁ、リュージか……そうか、ツクヨミの()()がやったか……あぁ、こっちも大丈夫だ、スズネはそのままダンジョウさんとこのカエデさんに預けろ、ああもう話はつけてある……それじゃぁ明日アジトで会おう」

「………お、こっちも分身に奴が消えたのが分かったわ、無事終わったみたいだな」

 

ちょいとした俺専用の裏技みたいなもので、 向こうの様子にも関わりつつ、俺はこっちで待機をしていた……そりゃ、分身できるならやって情報撹乱するのが一番だからな……オリーブツリーの奴も、コレで話をばら撒いてくれれば良いが……

そう考えていると、カナメのスマホにメールが届く

 

「くっ、ククク……」

「どうしたカナメ」

「来たぜツクヨミ……ツイてるのかツイてないのか……兎に角待ってたぜ……!Dゲームのイベント告知だ……!」

 

そう言って俺へと画面を見せる、画面には………

 

「ハンティングゲームか、嫌な予感しかしないな」

「俺もだよ……ツクヨミや士明さんはどうだ?」

「残念ながら俺には来てないね」

「私も同じでございます、いずれにせよルールをよく分析し、入念な準備をした方がよろしいかと、他のサンセットレーベンズのメンバーも参加されるなら、事前の打ち合わせを——」

 

そう士明が話している最中、カナメの表情が固まっていく

 

「ってちょっと待ておい……士明さん、今日は何日だ……?」

「………?本日は確か9月25日——」

 

その言葉を聞いて、カナメは画面を見て顔を引き攣らせる

 

「9月26日0時開始………後30秒で始まるじゃねぇかこのイベント……!」

 

即座に士明さんが急いでブレーキをかけ、路上の端に止まった瞬間俺たちはドアを開けて飛び降りる

 

「カナメ様!イベントの開催場所は⁉︎」

「分からねぇ!だけどイラストではどこかの島だ!」

「他メンバーへ連絡を入れておく!」

 

そう言って俺はスマホを取りだしクランのメンバーチャットに文字を打ち込んでいく

 

『緊急事態だ!イベントが告知された!こっちはカナメだけだがメンバーでもうすぐいべんとdsって奴いるか!?』

『なんですか、イベントって、私の方はそんな告知は来てないです』

『俺とスイ、後スズネにも告知は来てねぇな、シュカはどうだ?』

『私にも来てないわ、士明さんはどうなの?』

『俺と士明さんの方は来てなかった、兎に角雪蘭にも連絡しててくれ!』

 

そう言って俺はスマホから顔をあげ、二人へと近づいて

 

「クランのメンバーには誰も参加者は居なかった、多分雪蘭も居ないと思う」

「あぁわかった、ありがとなツクヨミ」

「今銃器の類はありませんがカナメ様なら大丈夫でしょう……それよりコレを」

 

そう言って士明さんがトランクを開け、中から一つの迷彩柄のバッグを取り出し渡して

 

「サバイバルキットと三日分の食料品が入っております」

「用意がいいな……!」

「執事とはそういうものです」

 

そう言いながらカナメがバッグをせおえばのこり数秒となって

 

「クソっ、あと10秒もない!あのクソGMいつか絶対に思い知らせてやる!!」

「 カナメ様、時間がありませんので最後に一つだけ」

 

士明さんは冷静にそう言って

 

「ハンティングゲームとやらがどの様な物かはわかりませんが、狩で重要なのは戦闘力ではございません、重要なのは観察力、五感を研ぎ澄ますのです」

「肝に銘じておくよ」

 

そう言うと同時にカナメの体を四角いブロックが人型を形成し、転送の前段階が行われ

 

「カナメ様なら必ずや試練に打ち勝てましょう、ご武運を」

「勝ち残れよ、帰ったらアジトで祝杯だ」

 

そう言った瞬間、地面が抉れて転送が行われ、一息ついて俺と士明さんが車に乗ろうとしたところで………俺のスマホにメールが届く、どうやらDゲームの何かの様でアプリを開けば——

 

「士明さんッ!さっきの奴まだ残ってるか!?」

「一応まだ後二つほど残っていますが……まさかッ!」

「あぁ、 そのまさかだよ………」

 

俺の画面にはDゲームのアプリが写し出されこんな文章が現れていた

 

『プレイヤーネーム:()()()()を本ハンティングゲームの特殊招待参加者とさせていただきます、転送まで残り20秒』

 

士明さんは急いで先ほど閉めたトランクを開け、俺にバッグと2本の長い棒の様なものを差し出してくる

 

「士明さんコレは?」

「帰宅後に渡そうと思っておりました、特注品で御座います、ご注文通り警棒と鞭、両者に切り替え可能な一品となり伸縮制も御座います、お使いください」

「ありがとな、士明さん」

 

俺がバッグを背負って警棒を2本縮め、ポケットに突っ込んだ瞬間俺にも転送の前段階が起こり始める、そろそろかと思い、 俺は士明さんへ言葉を残す

 

「士明さん!俺が転送されたらみんなに伝えてくれ!俺もゲームに———」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「———ゲームに参加していると!」

 

そう言い切った瞬間、俺は転送され終わり、何処かの無人島の森の中に立ち尽くしていた……くそ、まさか俺まで巻き込まれるとは……そう思って鞄を下ろし、中身を確認していると、ふと原作時点で見覚えのない携帯が入っているのに気がついた、携帯を見つめていると、暫くしてから着信が入る

 

画面に映っていたのは………

 

「……ま、そんなこったろうと思っていたよ」

 

俺は蛇の姿のGMアイコンを見て、軽く笑いながら着信に出ることにした

 

『やぁ、久しぶりだね、スサノオくん……いや、本名で呼んであげた方がいいかい?』

「イベント勝利以来だな、至道(シドウ)イザヤ……それで、なんで俺を呼んだんだ?」

『へぇ凄い、もう僕の名前を嗅ぎつけたんだ………まぁもうそろそろ明かしてもいい時期だったしね……それで、何故君を呼びつけたか……まぁ、詰まるところ()()()()としての君に用があったのさ、君には今回のゲームでプレイヤー同士の抗争が起きた場合の保険として活躍してほしい』

「………断ると言ったら?」

『君を元の世界へ送り返すだけさ』

 

やっぱ分かるか、確かに俺は別の……この世界を軸にしてみれば………世界の人間だが………今ここで帰されるのはまずい、非常にまずい……!

俺と言う異分子が関与した状況で、原作のルートをどれほど外れるかが分からなすぎる、その状態で一番の最善をサンセットレーベンズは辿るだろうが…………

 

「分かったよ………って言っても、どうするんだ?テミスのやつはイベントの参加者とかを知ってるんだろ?」

『そこに関しては問題ない、今君のアカウントはスサノオ時代のもののバックアップを活用している、誰かにバレることもなく、ただ()()()()()が再び脚光を浴びるだけさ』

 

………どうにもまぁため息のつく裏工作をしておいでで、どうせこの電話の裏で笑って腕を組んでいるだろう……

 

「なぁ、GM、一つだけ忠告しておく」

『ん?なんだい?』

「………今の生き方じゃ、長生きはできないぞ」

『………っははは!それは分かっているとも………じゃぁね、スサノオくん』

「じゃぁな、イザヤ」

 

そう言って俺はスマホを放り投げ、それと同時にスマホが地面を四角く抉り消えてしまう………改めて服を見れば、スサノオ時代の黒い和服と般若の面に、姿を偽装するための黒く長いウィッグを被っていた

 

「………ちっ、コレカナメと連絡取れねぇじゃん」

 

スマホのアカウントがスサノオ時代のデータにされているのも確認し、手に集中すれば先程士明さんから預かった警棒と同じものが現れる………

 

「………両方カネヒラとセイゲンが持ってくから、湧き水とか探して考えなきゃだな………」

 

そう考えながら俺は、スマホのマップ機能を頼りに、高い山の中を歩き始めるのであった…………

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

カツカツと俺は着慣れないスーツを着てダンジョウ拳闘倶楽部の医務室の近くへ歩いていた、医務室近くの座椅子では、シュカとフードを目ぶかに被ったスイが座っていて、のんびり待ち構えている様だった

 

「おう、お前らここにいたのか、スズネの結果はどうだ?」

「まだ診断中〜、多分大丈夫だけどねー」

 

それを聞いてホッと一安心をしてみせる、スズネに何かありゃ、亡くなったヒイラギのおっさんに顔向け出来ねぇからな………まぁDゲームに巻き込んだ時点でどの面下げて来やがった、ってなりそうだが

 

「体に問題ないならウチにスカウトすりゃ良かったな、あのシギルはかなりの戦力になるぜ」

「これ以上マスコット増やしても面倒見切れないでしょ〜」

「いたい!急になんですかシュカさん!!」

 

そう言ってシュカの奴はすぐそばに居るスイの頭を両手の拳でぐりぐりと押さえ込んで、スイは少し声を上げて助けを求めてくる、そして改めてこちらの方を向き

 

「それで、トリニティの様子はどうだった?」

「は、離してくださいーシュカさーん!」

「あぁ、まぁレインぼ情報にある程度は裏付けは取れたぜ、危険を犯して士明さんと潜入した甲斐があった……今回のイベント——ハンティングゲーム、参加者に混じって保険屋のカネヒラが混じってるのは間違いない………ツクヨミは確認出来なかったがな」

 

そう言いながら俺はポケットに両手を突っ込みスイを見て、スイはと言えばシュカから解放されてゲームをするも、どうやらキャラが死んでしまった様でぼやいている

 

「今日のトリニティはハンティングゲームの賭けで大盛り上がりだったぜ、俺らのせいで最近閑古鳥をだったらしいから、何か仕掛けてくるかと思ってたが………特に何も言わずに出入りさせてくれたな」

「トリニティで見た参加者リストだと、他のAクラスプレイヤーはセイゲンくらいか………あぁ、勿論ウチのボスは生き残ってたから心配はいらないぜ」

「当然じゃん!カナメが死ぬわけないし!………何よその笑い!」

 

カナメへの感情を爆発させるシュカを見て、何やら温かいものを見る目で俺は見てしまう………っはぁー、青春だねぇ、うちの姫様も色を知って………そう感傷に浸るも、やはり思考の裏には一抹の不安が隠れている

 

「問題はツクヨミの奴だ、アイツの名前は参加者リストにゃ載ってなかった……つっても相当な量だったから見逃しはあるだろうが……もう既に確認した時点で何人かやられてやがった、ツクヨミに限って無いだろうが……」

「ツクヨミは死ぬわけないよ、私なんかより強いアイツが死ぬとは到底思えないもん」

 

…………うちの姫様も絶賛し、ランキング1位の雪蘭も執心するツクヨミ、まぁ確かにアイツは相当の腕を持っている、シギルの熟練度もそうだし、素手での格闘技術や射撃能力もお墨付きだ………だけど、だけどだ

 

「…………今回のゲーム、どうにも嫌な匂いがするんだよな」

「まぁ、トリニティに私達と表立って敵対する実力も度胸もないよ、仕掛けて来たら狩るだけだし」

 

そう自身げに言うシュカを見て、俺はふと、とある話を思い出した

 

「ただそういや、会場で気になる話を聞いたぜ、なんでもハンティングイベント開始の数日前に——トリニティに保険屋(カネヒラ)が来ていたって言うな」

 

そう言えばシュカはピクリと耳を動かしてぼそぼそと小声で呟き始め

ふと何か覚悟を決めた様に顔を上げてこう告げた

 

「決めた、明日はトリニティに私も一緒に行くから」

 

………気分屋なうちの姫様は、何か思うことがあったのかね?

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