ダーウィンズストーリー   作:R,n

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第十四話 オールイン

「おぉっとここで保険屋チームが鹿5頭を連続ハント!これでトップ集団が入れ替わったぞ‼︎」

「くちなわ会のトップスリーをぶち抜いて、保険屋カネヒラがトップ!なんと2位はたなぼた無名のDランカー、ヤマウチギイチ‼︎これは保険屋さまさまだぁ!」

 

そう言いながら、俺は画面から手を離し再度賭けルールの説明を行っていく

 

「さぁここでもう一度賭けのルールを解説しましょう‼︎今回トリニティが用意したゲームは二つ!一つ目は毎度お馴染みポイントレース!今回は長丁場のため日毎の獲得ポイントで勝負‼︎ 24時の時点で清算します!そして!」

「もう一つのゲームはこちらも毎日開催ドキドキのデスロト10‼︎トリニティが注目する参加者10名が死ぬか生きるか‼︎本日のターゲットはこの10傑だぁ!」

 

そう言って再び画面へと手を向けて

 

「まずは昨日から引き続き登板のスーパープレイヤー4人衆‼︎サンセットレーベンズのスドウカナメ‼︎保険屋カネヒラ‼︎教祖セイゲン‼︎そしてそして………復活者の()()()()だぁ!」

 

そう言って貯めに貯めて俺がそう言葉を告げれば、昨日に続き参加者の多くが声を上げる、昨日は見れなかった客もいたのだろう

 

「さぁこの4人が斃れる事はあり得るのか⁉︎出たら大穴間違いなし‼︎さぁ賭けの締め切りは最初に死者が出た時点か午後3時までだそ‼︎次はカネヒラ氏の腰巾着ヤマウチギイチ‼︎彼がこのまま棚ぼたで生き残れるかの注目だ‼︎」

 

そう話しているうちに、VIP席のテミスさんに警備員が駆け寄っていくのが見えて………またサンセットレーベンズのメンバーがやってきたのかね、そう考えつつも俺は司会を続けていた

 

「さぁ続いてはこちらも同じく腰巾着!スドウカナメ氏に擦り寄ってポイントを集めているオージキミヒコだ!」

 

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「ふーん、一応お店の雰囲気は合格点かにゃー」

「シュカさん油断しないでくださいよ、これまでの経緯から考えれば、ここは敵地です」

「レイン様ご心配なさいますな、お嬢様方はこの爺めがお守りいたしますゆえ」

「私子供じゃありませんけど」

「皆何を殺気立っておる、今日は楽しむ為に来たのであろ、儂はこう見えて賭け事が好きでのぅ」

「で…でも緊張しちゃいますよぉ…私こんな格好した事ないし…周り大人の人ばっかりだし…」

「あんま硬くなるなよスイ、今日のメインは俺達のボスの応援とツクヨミの捜索だ、荒事は多分ねぇよ………それに、何度も言ってるけど似合ってるから緊張しなくていいんだぜ」

「………は、はい!頑張って応援します‼︎」

 

私は首のネックレスを揺らしながら、シュカさんを諌め、士明さんに発言に半ばキレつつ、スケコマしてるリュージさんを冷たい目で見ながら周囲をじとりと観察する………

 

人の波はまるでモーセの海割りの様に左右に分かれ、道を作っていってくれる………ここまで威勢が届いてるとは

 

「間違いない、レーベンズのシュカだ」

「あれが烏羽の女王………?エイスを皆殺しにしたって……」

「アンタッチャブルが加入したって噂は本当だったか………」

 

周囲の人間が噂をしていき、見つめてくる様子にスイさんが少し怯えてしまい

 

「ひぇ……なんだか私たちジロジロ見られてる気が……」

「スイは俺たちの背中に隠れてな……まぁ実際目線が多いな」

「まぁシブヤの外に出てくるのも久しぶりだしね、珍しいんでしょ」

 

とシュカさんが歩いたところで向こう側の人の波が割れ、女性がツカリと歩み寄ってくる

 

「ようこそクラブ【トリニティ】へ、サンセットレーベンズの皆様」

「随分ぶりねテミス、なかなかいい店じゃない?今日はよろしくね?賭け事は得意じゃないから最後の来店かもしれないけど……」

「あらそんな…かわいらしいのにとても強いと聞いていますのに………まぁ人の噂は当てにならないものね?」

 

そう言って笑い合う二人を眺めてみると、どこかため息がつく様に頭が痛くなる腹の差し合いに見えてしまいますね、 頭が痛いです……ツクヨミが居れば諌めてくれそうですが………はぁ、面倒くさいですね

 

賭け事(アソビ)も良いけれど、今日はうちのカナメを応援しにきたの」

「それじゃぁ特等席をご用意しなきゃね?」

 

そう言って笑顔でテミスさんは私達を案内する、後ろでリュージさんがスイさんへ二人のやりとりを意訳している中で、私たちは足を進める、会場へ入ったところで大きな歓声が巻き起こり、咄嗟に私は画面へと目を向ける

 

『おぉっとこれは面白いマッチアップだぞォッ!今回の実力トップ4と思われる——保険屋カネヒラ‼︎レーベンズのカナメ‼︎いきなりの接近遭遇ぅ⁉︎』

 

ツクヨミさんがいない事に安堵を覚えると同時に不安を感じる、ここまで彼の情報が出回っていなければ、本当にイベント内で殺された可能性が…………しかしその場合一体どんなプレイヤーであれば彼を………

私がそう考えている間、シュカさんは画面へと釘付けになっていて

 

「カナメ………!」

 

テミスさんはほんのり微笑んでいた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「同盟締結………?」

「はい、今回はプレイヤー同士の協力関係構築が鍵——スドウさんは今回のイベントシステムをどこまで把握していますか?」

「まだ試行錯誤の最中だけどな、IPが分割されず協力者全員に全IPが入る事ぐらい把握している」

「それはお話が早い」

 

そう言ってカネヒラの奴は片手をあげて話し始める

 

「では人間の100IPと仲間殺しペナルティーのマイナス100iPについては?」

「いや……?」

「今回のイベントにおける仲間と言うのはクランメンバーやフレンド登録者んl事ではなく、どうもイベント参加者全員の事なのですよ、つまり人間を殺してもポイントはペナルティと相殺、今回のイベントで参加者同士が争うメリットはありません」

 

そう言ってメリットを提示してくるカネヒラだが……詰まるところ殺したところで罰則がねぇと言うことでもある

 

「試したのか?」

「少々振りかかる火の粉を払いまして……それに、我々が押さえた北の補給ポイント——そう言った拠点があった方がカナメさんもよろしいのでは?」

 

そう言うカネヒラの提案は、実際悪くはない、かなりの好条件に見えてくる

 

「なるほど、確かにこのイベントに限れば俺たちが協力する事に何の問題もない、理屈ではそうなるな」

「そうでしょう、我々二人が揃えば島の主という10000iPの獲物を仕留める事も難しくは——」

「だが」

 

事を急いで口を広げるカネヒラに対し、待ったをかける様に俺は言葉を挟む

 

「アンタ本人が信用できるかっつーと別の話だがな」

 

そう言うカネヒラは笑顔のままピタリと止まる、堂々とした張りついた笑みでだ

 

「まぁ今回はお互い情報交換あたりから始めるって言うのはどうだい?」

「なるほど、少々性急過ぎましたか………」

「ま、とりあえず俺から一つ情報だ、この岩、裏に回るとちょっと面白い発見があるぜ、この島の手がかりになるかもしれないな」

「なるほど、では私からも一つ——海岸沿いを東に向かってください、多分似たものを見つけられますよ」

 

そう言うカネヒラの声を聞きながら、俺はオージに示しつつカネヒラから距離を取り

 

「サンキュー、覚えておくよ」

 

そう言ってオージと共にカネヒラに背を向け走り出した

今のところは追いかけてなさげだが………

 

「オージ、急いであいつらを撒くぞ」

「え……?別にあの人達に敵意はないんじゃ………」

「念の為だ」

 

あいつ、この短期間で俺たちの場所を突き止めて接触してきやがった………おそらく俺をつけた狼の鼻(ウルフズハート)の男以外にもかなりの数の斥候を使ったはず………

 

まさかイベント期間中にそれだけ機能する組織を作り上げたのか……!?

保険組合はもともとカネヒラのワンマンチームだ、他に頼りになる様な元々のメンバーがいるわけじゃないんだぞ⁉︎それに何よりも——

 

カネヒラ本人の気配が全く読めなかった……!

士明さんより得体が知れねぇ!何者だアイツ!

そう考えながら俺は走りった………

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ねぇねぇ、もっとカナメを映してよ、画面が切り替わっちゃったんですけど」

「ごめんなさいね、現場中継を送り込めなかったから」

 

そう告げるテミスさんの顔を見つつ、私は出されたジュースを飲みつつ思考へと落ちていました………このジュースツクヨミが作るものより些か味が薄いですね………

 

このゲームにツクヨミは恐らく参加している、士明さんが目の前で転送される現場を確認していました………しかしなぜ名前が出て来ないのか………

 

そもそもとして今回のゲームはポイントを集める事を目的としていますが、ツクヨミがポイントを集めない場合はここの顧客層からして話には上がらないでしょうし、その様なプレイヤーはこのテミスの性格からして映すことも少ないでしょう………

 

であれば、彼が今何を目的に動いているかが鍵です、案外暗躍してカネヒラに接触してくれていれば良いのですが………ひとまず思考を一度収めて本来の作戦であるテミスへの質問へと脳を切り替える

 

「ところでテミスさん」

「何かしら?」

「今回はイベント会場へ中継員を送り込めなかったようですが、 テミスさんでもあの島の場所はわからないのですか?」

「残念ながらね、これだけのイベント、もっと盛り上げたかったのだけれど………」

「テミスさんはDゲームのGMからイベントに関する特別な情報を得ている、そんな噂ですけども」

「ふふふ、その辺は企業秘密ね、まぁ特権の話なんて自慢げにべらべら話す事じゃないでしょう?」

 

………私の主観では、今のところは嘘は見えない………リュージさんからの合図もないですし、嘘はついていないようですね

 

「でもお店が繁盛していて安心しましたよテミスさん、私たちにDゲーム禁止令の影響が出ていると噂でしたから」

「あらいやーな噂、飛んだ業務妨害ですわ、でもおかげさまで毎日盛況よ、ご心配なく」

「それはよかった、 トリニティさんとカネヒラ保険組合さんの経営は少し心配だったのです、我々としても皆さんと敵対するつもりはありませんし、たまにはこういった場所で息抜きをしたいと思っているのですよ」

「トリニティは永世中立クラン、秘密を守れる方なら誰でもウェルカムですわ」

 

そう言うテミスさんの言葉を聞き、私が質問を続けようとしたところで………

 

「あー!」

 

急にシュカさんが叫んで何事かと思って画面を見れば

 

「ほらほら!またカナメが映ったよ!」

「あら、よかったわね皆様のリーダーがまだお元気そうで」

 

そう言ってテミスが立ち上がり去ろうと動いてどうするべきか咄嗟に頭を回していた時に………シュカさんがテミスへと声をかける

 

「ねぇ、賭けをしない?テミス、トリニティでやってるつまらない賭けレースじゃなくて、私とあなた、一対一で」

「……一対一?シュカさんと私で?」

 

ピクリと帰る動きを止め、こちらを振り向きシュカさんを見つめ、

 

「随分と唐突ね……でもレースじゃ無いとすれば何に賭けると言うの?」

「カナメがこのイベントを1位でクリアするかどうか、そんなのはどう?もちろん私は1位でクリアする方に賭けるわ」

「……なるほど、一対一と言うのは面白い提案ね、でもその条件は流石に自信過剰じゃなくて?」

 

そう言ってテミスは自身元気説明を続けて

 

「確かにスドウカナメさんは競合プレイヤーだけど今回の本命って訳じゃない、今回のイベントには保険屋のカネヒラさんとくちなわ会のセイゲンさんと言うイベントクリア経験のあるAランカーが二人、そして何より過去ランキングトップ10に入っていたけれど、今や影も形もいなかったイベントクリア者の【スサノオ】がいるもの……」

 

そう言って手を広げ、話すテミスに私は息を呑んだ………スサノオ!彼はその名で参戦している!まだ生きていた事に対して安堵をしてホッとひとつ小さくため息を吐く、よかった………まだ彼は生きていた………そう考えて、私は胸の上にあるネックレス……そん指輪を軽く指の腹でなぞって、慌てて手を離す………なぜ私はこんな………そう考えている合間にもテミスさんは話を続ける

 

「対するBランカーの彼はあの頼りのない少年を一人連れているだけ、組織を作っている二人や一人でいても組織二人に匹敵する話を持つ彼らに対して、勝負にはならなくないかしら……私に有利すぎる賭けなんて都合はいいけどおぉすろくないわ」

「ああ、それ賭けを受けない言い訳?まぁあなた自分でリスクを背負うのは怖いかも知れないけど」

「!?………大体何を賭けるのかしら……それだけ大きく出たからにはお金(ポイント)って訳じゃないでしょう?」

「そうだにゃー、負けたら相手の参加に入るってのはどう?」

「なぁっ……!?」

 

………普通に考えれば部の悪すぎる賭けですが………

 

「まぁカナメが負けるなんてあり得ないから、賭けを受けたらあなたが子分決定だけど」

「………ふぅ、ま、俺らの目標からすればこんなイベントただの経過点に過ぎねぇからな」

「良いのではないか?落ちている金を拾っておくのも」

「私の予想でも部の悪い賭けではないです……ただ」

 

ただ、彼女が少し暴れるのなら、私も少し趣味に乗っても良いでしょう………ツクヨミさんであれば、十中八九カナメさんと協力します、スサノオであると名乗れば、カナメさんも気がつくはずです

 

「賭けるのはカナメさんとスサノオの【同率1位】です」

 

私がそう言えば、テミスは更に驚き困惑に塗れた表情となり、シュカさんは私を見て更に微笑んだ様になって

 

「………それで、受けるの?受けないの? 貴女は賭けの胴元しかできない臆病な女なの?」

「まぁその程度であればその程度であっても、私としては構いませんがね」

 

私とシュカさんが二人で煽れば、テミスは少し間をおいて

 

「——良いでしょう、その賭けには乗ったわ、ただし賭け自体を広く公表させて貰うわよ、後で知らんぷりされちゃ困るもの」

「そう来なくっちゃ……!」

 

そうシュカさんが笑った瞬間

 

「なんだかんだ随分面白い話をしていらっしゃいますね、その賭け、私にもぜひ一口乗らせて貰えませんか?」

 

そこにはスーツを着こなした以前話した、警視庁の綾小路さんが立っていた………どうやら、今回の件にも噛むつもりの様ですね………

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