「おいテメェ今何つったよ?もしかして俺と交渉したいって言ったのかァ?」
「そうだ、俺らはこのイベントの決定的な情報を持っている、取引の余地はあると思うぜ」
薄ら笑いを浮かべる王へ、俺は至極冷静にそう言い返す、実際この場では王の方には取引をするメリットがあるだろう……だがまぁ
「なぁお前ら、どう思うよコレ、こいつら俺らと交渉がしたいとか言ってるぜ?」
そういうと共に王を含めたエイスのメンバーが大きな笑い声をあげ、額に汗が流れる
「いやー完璧に俺らの事舐めてますよ、とっとと皆殺しにしましょうよ」
「それじゃダメじゃん?1人は情報の為に生かしておかないとさー」
「……って訳だ、俺達が情報を得るのに交渉なんざ必要ねぇ」
そう言いながら、王を含めたエイスのメンバーが各々の武器を手に取りこちらを見やってくる……そして
「エイス流の取引はテイク&テイク!分かったら情報を叫ぶか……そこのジジイだけ置いて逃げ帰ったら、見逃してやるよ」
そう言って、レインを抱き抱えている男性を指さしそう言った……ジジイって言うにしてはちぃと若すぎねぇか?コイツ……
「だから言ったろ、カナメ、アイツらに交渉なんて高度な事が出来るわけねぇって、しかしアンタも王に目をつけられるとは大したもんだな」
「ま、ちょっと前のゲームで色々あってね……」
そう言いながら機関銃を構えるリュージに、男性はため息がちにそう返す……こりゃ御愁傷様だな、こんなことに巻き込まれて
「んー、まぁツクヨミ君なら有り得なくもにゃいかな〜……でも、良いんじゃない?私もこっちのが得意だしね」
「こうなった以上仕方ありませんね」
「あの……!あの……!コレからどうすれば!?」
シュカが鎖を構えたあたりで、スイがそう叫ぶ……コレからどうする、か
「そりゃもちろん———」
「ぶち殺せッ!」
王のその声を皮切りに、エイスと俺たちの間だで多くの火花が舞い始める、俺は拳銃を撃ちながら、レインを抱えている男と一緒に走り出す
「ちょ、下ろしてください……!一人でも走れ……」
「良いからレイン!お前は先導しろ!」
「………っわかりました…!」
レインが叫ぶのも気にせず、男性は当たり前のようにそう言えば、諦めたのかシギルを使って先導を始める、背後で爆発音や空気の冷える感覚を感じつつ、俺たちは階段のそばへと辿り着き、影へと隠れることにした
「結構走ったな、ここらで良いか……」
「ありがとうございます、ツクヨミさん」
「……シュカも言ってたが、あんたツクヨミって言うんだな…
シュカやレインの言うツクヨミ、おそらくは高ランクプレイヤーなのだろうが……
「今はそれは置いといて……だ、さっさと宝を見つけないとジリ貧だぞ」
「あぁ、それは分かっているんだが……」
そういった辺りで鎖の風切り音が聞こえたと思えば
「ごめんカナメ!変えの鎖ちょうだい!!」
「少し待て!」
シュカが鎖を要求した瞬間、瞬時に手のひらから鎖を作り、渡そうとしたところでシュカに抱きつかれる
「さっすがカナメ!頼りになるにゃー!」
「っとと……コイツが王のシギルか……綺麗にスッパリ切られて……」
「先に聞いてた通りシギルの使い方は二パターン以上、空間転移と切断攻撃だったね」
先の切れた鎖を手に取り、シュカの言葉を聞いてやはり頭を抱えそうになる
「両方とも空間操作系の応用能力ですね…正面からやり合うのは如何に【無敗の女王】と言えど危険が過ぎますよ」
「私は正面からでも負けるつもりは無いけどね、でも今回はカナメの建てた作戦があるから王はリュージに譲ってあげる」
そう言ってシュカは俺が作った換えの鎖を手に取り操作の感覚を確認し
「それより貴女もちゃんと役目を果たしてよね?【解析屋】さん?」
「役目……?」
「それじゃスイ、また相手をかき回しに行くよ!」
「クソ!俺の頭は掻き回さないでくれよ!それに俺はスイじゃなくて———」
そのような事を言うだけ言ったのち、シュカは鎖を操り、飛んでいく……その様子を見送った俺は、レインとツクヨミの2人へと顔を向け直し
「それじゃぁ今からレインを出来るだけ、安全な場所へ連れて行く、そこでレインにしか出来ないことをやって欲しい」
「我々は皆の援護をするのではないのですか……?せめてツクヨミだけでも……」
「お前腕折れてんのに余裕あるなぁ」
ツクヨミが呆れがちにそうため息を付けば、ひょいとレインを抱えて見せ
「俺は最低限の護衛役、そうだろ?」
「あぁ、もし仮に他プレイヤーが来た場合はレインを守って欲しい…レイン、お前には最後の暗号——【185911】を解いてほしい……このゲームを、クリアするんだ」
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「オラオラオラ‼︎ご自慢のシギルも逃げる役にしか立ってねぇみてえだなァ⁉︎」
王が迫り来るたび、機関銃を撃ち放つがその度に転移され避けられちまう、だが思った通りだ、奴の空間転移の射程は大して長くはねぇ
「ハッ!今テメェをどう殺すのが面白いか考えてるところだ!!」
「奇遇だな!俺もだよ!!」
そう言いながら俺は銃を構えて階段を駆け降りる、奴の射程は精々が5m、空間を切り裂く方は良くて1m前後ってとこか……そんで持って二つの能力は同時には使えない、必ずワンテンポ間が開く
詰まるところ10m以上の距離さえ保てば奴は対して脅威じゃねぇ!
そう考えながら、階段の下へと降りたところで階段の先に銃弾を撒き散らす、そのままゆっくり後退していき、駅の外へと出てみれば、王もエイスの奴らも出てこねぇ……
「どうしたどうした!俺を殺すんじゃなかったのかァ!?」
煽ってみせるが流石に正面からはこねぇな……それに
「くたばれ雑魚がぁ!!」
「ガッ……!」
別の入り口からやって来たエイスの奴らに拳銃を撃ち込まれる、撃たれた胸に重い痛みが走るが……
「痛ッ——てぇじゃねぇかッ!クソがァ!!」
カナメから貰った
「兎ちゃんピョーン!!」
王に背後を取られ、咄嗟に拳銃を向けようとするが……
「っぐうおおおおおお!」
「はーいリュージ君残念賞〜!景品は特等席での見物権でーす!!」
王に拳銃を持っていた片腕を切断され、咄嗟に屈んで自身の腕を掴む、その様子を面白そうに眺めながら王のクソはこう続けやがった
「自分自身の解体ショーのね?」
「クソがあッ!」
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これまでの6つの暗号では渋谷駅を示していました、しかしエイスのメンバーや、私とツクヨミさんで探し回ってもそれらしい物は見つからなかった……
やはり最後の暗号、【185911】——コレを解かなければ宝を見つけることは不可能ということでしょう
「ふぅ……」
一つ息を吐く、近くに彼は居ますがコレは誰にも話していない、秘策はバレることはないでしょう……まぁ文字通り秘策なので、あまりこの手は使いたくなかったのですが…
私のシギル、
水の中に落ちるように思考の【海】へ転がり落ちた、入れた、そう思いはしてもここはまだ【浅い】
もっと深くへ、 そう思って深度を高める……
コレまでの記憶を駆け抜け、下へ下へと潜り続ければ…
蒼く暖かい、優しい光が包み込む豊かな古代の海が出迎えてくれる……
【此処】だ、そう思った私は即座に演算を開始する
【185911】を素因数分解……素数ではない
座標に類する因数も出現せず
何らかの語呂合わせ……?総当たりで検索——
単純生成出来る単語の中に有意を確認出来ない、
6桁に数字…年と月の組み合わせ…?
1859年……11月
幕末…安政の大獄…
第二次イタリア独立戦争の終結……
チャールズ・ダーウィン『種の起源』を敢行…!
「……分かった、最後の暗号の意味、そして宝の在処が……」
そう呟き、スマホを取り出す所で目が眩む……ドンと試着室の壁に頭をぶつけかけた所で、誰かが頭を優しく抱えてくれる……
「……レイン、分かったんだな?」
「えぇ……カナメさんにお伝えください……お宝は—–」