魔術とは、神秘の塊である。
体内にある魔術回路を励起させ、魔力を生み出し、魔術式を走らせ、この世界に奇跡を具現化する。
だが今日。魔術と呼ばれるものは大抵、『結果だけを見れば現代科学で代用が効く』ものに成り下がってしまっていた。
一昔前ならその神秘性はまだ確固たるものとして確立していただろうが、文明が進み、遂には空を走る雷の力ですら人の力で引き摺り落してしまった。
それでも神秘は神秘。
魔力を使えばその場である程度の奇跡は起こせる。
何が言いたいのかと言えば、「現代科学は凄いし便利だけど、大仰な機械が無ければ出来ないことも場合によっては魔術はその場でできる」ということである。
要するに向き不向きだ。少なくとも隆文はそう考えている。
……まあ即興性がある分、魔術の方がいくらか
元々が一般人の隆文の感性はその程度である。
普通の魔術師ではまずない思考である。
「マスター。制御が疎かになってますよ」
と、そんな声と共に現実に引き戻される。
現在隆文は、キャスターを召喚した倉庫内でキャスターから自身の魔術についての指南を受けていた。
キャスターの指摘により、確かに魔力と術式が若干乱れているのを感じるとすぐさま元に戻す。
キャスターもそれを見て頷く。
「しかし、驚きました。こういう発想をする魔術師は私の時代にはいませんでしたから」
「おー。なら神代含めて、俺が最初の実行者ってことになるのかな」
「いえ。こんなことするくらいなら普通に肉体の強化に全力費やして殴った方が早いです」
あっはいそうですか。
隆文は己の考えの浅さを指摘されて若干凹む。
本来なら魔術の気配を漂わせることをするのは危険な行為だが……
……まあ、まさか敵も昼間から魔術の修練をしているとは思わないでしょうね。
時刻は午後十二時三十分。
普通。魔術は余人に気付かれないようにひっそりと執り行うものだ。
一応。キャスターが倉庫全体に結界用のルーン魔術を施してあるので、余程派手なことをしなければ外には気配は漏れないとのこと。
ではなぜこの場所なのか?
答えは単純に、召喚された場所の方がキャスターの調子も上がるからだ。
今後は魔力がいくらあっても足りない状況になる可能性が高い。ならば今のうちに魔力を貯蔵しておこうという考えから。
キャスターの近くにある机には、拳大程の大きさの箱らしきものが置いてあった。
箱らしきものは禍々しい光を放ちながら、渦を巻いているように見えている。
「魔力炉……ですがこのサイズで本格稼働させると精々数時間が限界だと思われますが」
「数時間あれば十分。どうせ使うのは最後の戦いだけだよ」
そういうと隆文は魔術に集中し始める。
魔力炉。簡単に言ってしまえば魔力を生み出す装置である。
そんなのがあれば魔力の心配などいらない……とはならなかった。
大気中の魔力である
故に吸収と貯蔵の限界値があり、サーヴァントのような高位の存在の戦闘を補助させようと思うと効率が悪い。
本来はケイネスのような、自分の工房に設置し、術式に使う魔力の肩代わりが目的だ。
だがキャスターは神代の魔術師。さらに数段上の代物が作れる。
それでもこの辺りが今は限界のようだった。
さらに言うなら、キャスタークラスのサーヴァントは自分で魔力を生成できないという欠点がある。
だからこそマスターが必要なのだが。
隆文はもしもの時に備え、今ある材料で作れるだけ魔力炉を作ることにした。
……とはいえ。まさか一つが限界とはな。
ケイネスは潤沢な資金と人脈、そして本人の実力があったからこそ一級品の魔術具を作れた。
対して隆文はキャスター頼み。
実力はケイネス以上だが、作れる材料に限界がある以上。この結果は致し方ないものだといえよう。
ただそれ以上に隆文は驚いたことがある。
「……まさかこの工芸品たちの中に
それは倉庫の中に並べられた、両親が買ってきた各地の土産物。
キャスターは倉庫に案内されると、迷わず魔力炉となる材料を手に取りそれらを使って精製した。
聞いてみると、これらは実際に力を持った魔術的触媒であり、普通に英霊召喚のための触媒にもなり得る代物だったという。
つまり目の前にいるキャスター以外の誰かが来る可能性が普通にあったわけだ。
……あれ? もしかして俺って縁召喚以上にギャンブルやったのか……?
冷や汗が流れる。
ふと、キャスターがこちらを振り向く。
「そういえばマスター。私が
「えっ、違和感?」
唐突にそう聞かれる。
隆文は今までの記憶を掘り返す。
「……いや。特にこれと言って変わったことはないかな」
「そうですか。運が良かったのですね」
「……どういうこと?」
隆文が聞くと、キャスターが頷く。
「普通これだけ魔術的な代物があると、適切な管理をしていない限り悪霊やらを無制限に呼び込んだり、運命力が下がって事故に遭いやすくなるんですよね」
「あっぶねえなあオイ!? え、何? ってことは俺って今までそんな火薬庫みたいな場所の隣で生活していたってこと?」
「あ、ご安心を。マイナスとマイナスが打ち消し合ってプラスに転じる例もありますから――――まあマイナスとマイナスが足されて更なるマイナスになったりもしますが」
「お前俺のこと安心させたいのか不安にさせたいのかどっちなの?」
驚愕の事実を知らされて別の意味で冷や汗が出てくる。
キャスターはいつもの表情でまあまあと宥める。
「今はもう魔術炉の材料になったので。これが機能停止すれば問題ないですよ」
「そろそろあの親たちには色々買ってくるのを止めろというべきだな……」
今どこで何しているか分からない奇天烈両親に思いを馳せながら、隆文は術式に集中する。
キャスターからの助言をもらい、自分の魔術特性と属性への理解をさらに深め。それらを利用した術式。
隆文の解読した魔術書には、自分の先祖が何を以て根源へと至ろうとしていたのかも書かれていた。
それによると。隆文の先祖は所謂自然派というものであり、大地や天空。海、森などのあらゆる自然は太古の昔から存在しているから、万物の始まりである根源に通じているのではないかと考えた。
結果。隆文の先祖の根源への向かい方は「自然との一体化」であった。
……まあ理屈としては理解できるけどよ。
無理ないか……?
大自然との一体化。言うは易く行うは難し。
まあ根源へ向かう方法はどれもこれも現実的に不可能は代物ばかりなので今更ではある。
序に言うと、自然との一体化はとある中国武術の最奥の技で既に成し遂げた人物がいる。
そういう意味では、ある意味根源に最も近づいたのが彼の人物であるだろう。
隆文はそれを自己流に解釈し、自分なりの戦闘用魔術を思いついていた。
キャスターに相談したところ、
「可能ではありますが……正直数日でものにするにはかなりの荒療治になりますよ」
とのこと。
一先ず荒療治の件は置いておいて、今自分に出来ることを最大限やるという原点回帰。
ふと。キャスターがこちらを見ていることに気付く。
「どうした? 何かあったか?」
「いえ…………マスター」
「ん?」
意を決したように、キャスターは言う。
「あの場所に一体何があるのですか?」
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……あー。
とうとう聞かれたか。隆文は観念したような思いになる。
「あの場所は霊脈的には悪くありませんが、戦略的にも戦術的にも優れているとは言えません。にも関わらず、あの場所に聖域になるような術式を施したのはどのような意味があったのでしょう?」
「…………そうだな」
隆文は魔術の調整を辞め、キャスターに向き直る。
黄金の瞳が太陽のようにこちらを見抜く。
するとキャスターが珍しく慌てた様子で付け加える。
「あ、あの。勘違いしないでほしいのですが、私はマスターを信頼しております。貴方の言葉には悪意が無い。その行動は、この街の人々を守るためのものなのだと思っております」
「……んー。そうだな。別に聞かれて困る、ということでもないんだけどさ」
信じてもらえるかなあ。と苦笑しながら隆文は言う。
……けど何時までも秘密にはしておけんよなあ。
むしろ最初の方で理由も聞かずに協力してくれたキャスターには感謝しかない。
なら、今答えられることは全て答えよう。
それが、彼女に報いることだと信じて。
「……キャスターは、さ。神代の頃からいるわけだろ? だから、今よりも神秘……不思議な現象なんかには慣れっこだとは思う」
「……まあ、現代に比べれば。ですけど」
現代は神代に比べて、神秘の質が相当に低くなっている。
昔は魔法と呼ばれたものが、技術の発展により魔術という位に格下げされている。
現在魔法と呼ばれる秘術は五つ。その内、今尚実在している魔法使いはたった二人だけだ。
そんな中。前世の記憶を持ち転生したという、間宮隆文という存在はイレギュラー中のイレギュラーだ。
転生をする魔術というのは、極めて少ないがないわけではない。
ただそれは自分の遺伝情報を他所へと移していく、一種のコピー&ペーストのようなものだ。
別世界。それも、この世界を観測するような立場にある世界からの転生など例がない。
それでも言うべきだろう。
何よりここまで何も聞かずに色々としてくれた彼女に対して、全てを打ち明けないのは非礼が過ぎるというもの。
「……キャスター……俺は……」
一拍。息を吸い込む。
「……この肉体になる前の体の記憶があるんだ……前世って、奴になるのかな」
俺は。
「転生、してるんだ」
「あっ、やっぱりそうでしたか」
滅茶苦茶軽い返事が聞こえてきた。
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驚愕。この言葉を実際に体験することになったのは後にも先にもこの時だけだった。
後の隆文はこう回顧した。
「……はっ? あ、いや。キャスターさん?」
「はい。なんでしょう?」
「あのですね。ワタクシは今物凄い決意で物凄い情報を貴女にお伝えしたと認識しておりますがそこらへんどう思ってらっしゃるのでしょう……?」
「はあ……」
キャスターは一瞬悩み、
「まあ…………これと言って別に……?」
あっけらかんと、キャスターはそういった。
…………えぇ……?
これそういう話だっけ……? もっと大事な、シリアスな感じになるのでは……?
隆文が頭を抱えていると、キャスターは納得したように頷く。
「ですが成程。転生という縁で私たちは結ばれたのですね」
「……はっ?」
そういうと、キャスターは倉庫にあった一つの石板を手に取る。
それはあの日。父親が買ってきたという石板だった。
「マスター。この石板が何かわかりますか?」
「えっ……? あー、いや。正直親父が買ってきたものだからよくは……」
「これには、原初のルーンが刻まれています」
本日二度目の驚愕。
原初のルーン。
それは北欧神話の大神オーディンがこの世界に刻んだ一つの魔術基盤。ルーン魔術、その大本。
隆文も含めて、現代の魔術師たちが使うルーン魔術は元の原初のルーンに比べれば子供の戯れも同義な効果しか出ていない。
キャスターがそれを示したということは、おそらくその石板が隆文とキャスターを繋いだのだろう。
……ん、いやちょっと待て?
それ以前に、キャスターはもっと大事なことを言っていた。
転生という縁、といった。
「……え、何キャスター。お前も転生しているの?」
「はい」
当然と言わんばかりに頷いた。
隆文は混乱してきた。
「……えーっと? 触媒はその原初のルーンが刻まれた石板で?」
「はい」
「さらにそこから転生という共通点でキャスターがやってきた、ってことでいいのか?」
「はい。その通りです」
「……いや。お前マジで何処のどんな英霊なんだよ……やっ。北欧神話由来なのはわかるんだけどさ」
原初のルーン経由で来れる英霊は北欧神話系列しかいない。
だが北欧神話に転生の逸話を持つ英雄に心当たりはない。
そもそも原初のルーンで来れる英霊にだって限りがあるはず。
……一度転生というワードは除外するか…………いや待てよ?
隆文は己の中の知識を総動員する。
聖杯戦争に参加すると決めて、各国の英霊の逸話を調べていた時があった。
その中には勿論、北欧神話もあった。
今まで出た情報から、キャスターの真名を予測する。
……北欧……おそらくオーディンにかなり近い位置にいる存在……
加えて、ルーン魔術を行使でき。尚且つ近接戦闘に優れた使い手。神性のスキルを持っている。
そこまできて、隆文はキャスターの真名を口にする。
「……キャスター」
「はい」
「お前の真名……もしかしてワルキューレか?」
ワルキューレ。
それは、大神オーディンによって生み出された戦乙女。
戦死者の魂をヴァルハラへと運び、来るラグナロクへと準備進める存在。
それを聞くと、キャスターは少し微笑んだ。
「流石ですね。はい。私は大神オーディンより造られしワルキューレです」
「い、いやちょっと待て? ワルキューレに転生の逸話なんて……」
そこまで言って気付いた。
ワルキューレの中に一人だけ。都合三度の転生を経て、オーディンを根負けさせて意中の男と結ばれた存在がいることを。
キャスター……ワルキューレは続ける。
「私はワルキューレ――――個体名称をカーラと言います」
「……ッ、そう、か……」
納得したように床に座る隆文。
ワルキューレ・カーラ。
それは、数あるワルキューレの中でも特異な、転生をしたワルキューレ。
スヴァーヴァ。シグルーン。カーラ。名前を変えてワルキューレとして生き、そして恋をした。
ワルキューレは人間に恋愛感情を持つと、自身の神性スキルが下がっていき、最終的にはEランクにまで落ち込む。
カーラの場合は……
「まあ私は最低限の神性を残して
「そら折れるだろ……」
怖すぎる……
オーディンの苦労が偲ばれる。
というか転生って記憶を保持したまま行けるものなのか……?
一瞬疑問に思ったが、それは自分が言えることではない。というかお前が言うな案件だ。
「ですので。私にとって転生というのはあまり珍しくないというか……私自身が転生しまくっているので」
「あーうん。納得はしたよ。理解もした」
ただなあ。隆文は頭を掻く。
カーラの場合はあくまで同一世界内での転生だ。
先ほど言った転生系の魔術でも使えば融通は利くだろう。
だが隆文の場合は違う。
「……キャスター。俺の場合の転生は少し意味が異なるんだ」
「というと?」
「うーん。なんと言えばいいのか……」
流石にこの世界は虚構の世界だったとは言えない。
昔はどうであれ。今は確実にこの世界は、自分が生きている本物なのだ。
そこから隆文は、言葉を選びつつ。かつ自分の状況を包み隠さずカーラに教えた。
自分はこの世界を俯瞰できる世界から転生したこと。
この先の展開が凡そ予想通りなこと。
このままだと
全てを打ち明けた隆文。
カーラはそれを黙って聞いていた。
「……成程。
「正確にはその名を背負わされただけの人柱が召喚されたんだけどな。ただ存在自体が願望というか、そういう性質を持っていたから、座に還るときに聖杯が汚染されたんだ」
隆文の言葉を聞くと、カーラはしばらく沈黙。
しばらく考えたのちに、言葉を発した。
「マスター。本来であれば、私ではなく別の人物がキャスターの座に収まっていたんですよね?」
「ああ。真名はジル・ド・レェ。もっとも。その性質は英霊というより悪霊の類らしいけど」
「それも
そうだ。
隆文の言葉を聞き、再度考え込むカーラ。
「……マスター。この場合だと、聖杯はどうなっているのでしょう?」
「どう、って……?」
「だって……
カーラはそういう。
なんのことか分からない隆文だったが、そうかと気づく。
……ジル・ド・レェじゃないキャスターがクラスに収まっているなら、聖杯の汚染の有無がわからない……?
聖杯が汚染されたのは前回の第三次聖杯戦争。
それ以降の聖杯戦争には、ジル・ド・レェのような悪霊にカテゴライズされるような
だが、今回の場合は違う。
「……キャスター。聖杯の汚染がどうなっているか分かるか?」
「流石に直接見てみないことには……」
それはそうか。
聖杯戦争には二つの聖杯の種類がある。
一つは、英霊を呼び寄せるための「大聖杯」
もう一つは、賞品としての「小聖杯」
仮に小聖杯を見て汚染されているのがわかるのなら話は割と簡単に済む。
小聖杯の器――正しくは中身――であるアイリスフィールを見つければいいのだから。
だが大聖杯となると話が変わってくる。
円蔵山の中腹の奥に、大聖杯は横たわっている。
だがこの土地は遠坂が管理しており、大聖杯に関わることは真っ先に遠坂に報せが行くだろう。
最悪。現段階で遠坂とアーチャーを敵にしなければならない。それだけは避けたいところだった。
……駄目だ。手札が少なすぎる……
現状。後手に回るしかない。
事前の策を整えておけばいい、というのはもう終わってしまっている。
隆文は目を閉じて整理する。
……多分。まだ誰も脱落していないんだろうな。となると……
アイリスフィールの中にある小聖杯はまだ空の状態。中身がなければその汚染の有無もはっきりしない。
ならば危険を承知で大聖杯の確認に行くか?
リスクはあるがリターンも大きい。
「……キャスター。「場」の調整は済んでるんだよな?」
「はい。ただまさかアンリマユとは思いませんでしたので……」
「強度が弱いか?」
おそらく。
そう返されると、隆文は悩む。
……キャスターじゃないと汚染の有無がわからない。かといってこれ以上後手に回るのは避けたい。
「……キャスター。隠蔽効果のある護符と、検知用の魔術具を作ってくれるか?」
「可能ですが……どうするつもりですか?」
キャスターが問うと、隆文は言葉に力を込めて言う。
「俺が、円蔵山の大聖杯に行く」
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キャスターはそれを即座に否定する。
「いけませんマスター。あまりに危険です」
「ああ。知ってる。だけどこれ以上の後手は避けたい」
隆文は自分の中の記憶と今とを照らし合わせる。
……第四次聖杯戦争は凡そ二週間ほどで決着がついた。細部にズレがあるとはいえ、長引いても一か月くらいだろう。
そもそもこの第四次聖杯戦争には衛宮切嗣が参加している。
彼の性格を考えるに、迅速かつ効率良く事を進めるだろう。
良かれ悪しかれ。長引かせることは考えづらい。
もし円蔵山を二人で確認していって何もなく、その間に聖杯戦争が進行していた場合。最悪何もできずにアンリマユの誕生を迎えることになる。
目的の箇所は二か所。
円蔵山と、現在「場」を構築している場所。
「こちらも二人いるなら分担しよう。幸いまだ陽は高い」
「…………分かりました」
そういうと、キャスターはしばらく何かを唱えていた。
次に手渡されたのは白い護符と、水晶玉を想起させるような透明なガラス玉のようなもの。
「こちらの検知器は異常を察すると赤く光ります。護符は……正直どの程度まで役立てるか分かりません。兎に角。異常を検知したらすぐに退避を」
「ああ。分かった。キャスターもどうか。気を付けて」
「はい…………マスター」
早速を準備をと思って倉庫を出ようとしたらキャスターに呼び止められた。
その表情は真剣だった。
「マスター。一つ。大事なことを言わなければなりません」
「大事なこと?」
キャスターは頷くと、静かに話し出す。
「私たちワルキューレはこうして召喚されることがまずありません。今回は触媒が大神が刻んだ原初のルーンであることと、転生という強力な縁があったからです」
なので。
「これは話しておかなければと思いまして……」
マスター、と隆文を見据える。
「――――私は近い内に。消えます」
普段仕事をしていると休みになった途端何すればいいか分からなくなる。
日本はもっと休みに寛容になった方がいい(強めの思想・発言)