扉を開けると、そこは南国であった…なんてね?
「随分と穏やかな領域だね」
「
「瀕死。
「無責任だねー、君が焚き付けたんだろ」
南国らしい緩さで話しつつも、その内容、込められた意思に緩さはほとんど見られない……おーこわっ。
「とんでもない。私は止めたんだよ?」
身振り手振りを冗長にしながら下手な劇か何かのような態度で夏油が続けているところに、今話題の花御と漏瑚が帰ってきた。
「漏瑚、花御!元気で何よりー」
「どこをどう見て言っている!!」
生?首だけにも関わらず火山のような怒りを示す漏瑚、
「それで済んだだけマシでしょ」
…をさらに煽る夏油、知ってはいたが恐らく人どころか呪霊の心もないんだろう。呪霊にだって結束感くらいはあるし協調性だってある……ま、限られた一部の話になるけど。四級とかの悪知恵だけ働くカスどもは除外して。
「これでわかったと思うけど、
人型の呪霊に軽く告げる夏油、漏瑚の怒りは無視するのだろう。大丈夫?本当に質量を伴った噴火したりしない?
「異論ないよ。狡猾にいこう。呪いらしく、人間らしくね」
人型…真人がそう言う……それはそれとして、僕の紹介まだかな? 説明するタイミング狙ってるのか?
「…あぁそうだ!忘れてたよ、君たちに新しい仲間を紹介したくてね。是非仲良くしてくれよ」
……やっとか、いつ話すのかイライラしてきた所だった。夏油…いや
「は?」
「仲間?」
「摹鵝邉髃?」((聞いていませんが?))
「ぶふー」
んでもって僕の説明すらしていないのか! やっぱ呪霊操術とらせたのはマズかったかな、呪霊操術のせいでかなーり面倒くさいことになったからな……
「大丈夫大丈夫。きっと仲良くなれるよ。さ、来なよー。
コイツはほんっとーに…まぁまずは自己紹介からかな。
「ん。ご紹介に預かった
南国を形取られた領域。木の影から、そっと姿を現した。呪力を消していたから、気づかなかったのだろう。みんな驚いた反応をしている。あ、いや、タコ…陀艮くんは気づいてたみたいだ。領域の主だもんね。
みんなが気にしてないから無視してたのかな?
「へぇー、九尾の狐!?人気者じゃんー、やっぱり特級だったりするの? よろしくー」
これ見よがしにふわふわの銀毛を九本、緑の着物の腰のあたりからふよふよと振ってみせる。おかげで真人は僕がなんの呪霊かわかったようだ。話が早くて助かるね。
ちなみに着物は呪力とかのサムシングなのでただのそれっぽく見えるもの。全然尻尾は着物を貫通してるしそもそも着物自体有識者が見たら憤死間違いなしの適当具合だよ。
「嫌悪感丸出しの反応じゃなくてありがたいや、真人。一応特級だよ。うん、これからよろしくね」
いやホントにありがたい。特級呪霊と仲違いなんかしたくなかったからさぁ。
「…羂索、何故急にコイツを仲間に?しかも天蓋、九尾の狐…かなり有名な呪霊だ。一体どんな繋がりがあるというんだ貴様は…」
漏瑚もどっちかというと怒りより羂索への呆れが勝ってるようだね。わかるわかる。今回は限りは羂索の奔放さのお陰かな?漏瑚は強そうだし敵対したくない。でもやっぱり羂索に感謝するのはやめておこっと。
てか、僕のこと知ってるんかい。
「…嘗廨滿禰霸」((…よろしくお願いします))
うんうん。花御も警戒してるけど、まあそんな悪く思われては無さそう……? むしろこれですんなり仲間入りさせられてもそれはそれで心配になるからこれぐらいが丁度いいや。
「いやー漏瑚? どっちかというと天蓋との契約…縛りの方が先だからどっちかというと君たちの方が急に仲間になった側なんだよね。まぁ秘密にする意味もないし言うけど、天蓋の目的は宿儺の復活だ。君たちとのプランともまぁまぁ合致しているし、仲良くしたまえ」
は??縛りにないからって勝手に目的話すなよ! こいつぶっ殺したい! でも多分宿儺様にも気に入られてるし、裏梅もだいぶコイツにはフランクだったし、我の千年間の知り合いも最早コイツくらいしかおらんのよなあ。
あ、えーとなんだっけ、吾輩の目的だっけ?
「うん。僕は宿儺様の完全受肉が目的だね。宿儺様にはずっっと仕えてきたからね…宿儺様は尊き強きお方だった…私でも足元の影に届いているかどうか…あれほど強い人を俺は見た事なかったよ」
「ふーん。まっ、よろしくね!天蓋!呪力なり合わせみたらまだ君の方が俺より強そうだけど、舐めないでよ?」
「いやまぁ自分の強さは自負してるけど、別に強さは呪力が全てではないだろ…君の術式なんて特にそうだよ? 人間ならほぼ即死じゃないか!それに使い勝手もよさそうだ…妬けるなぁ」
なんだよあの術式…魂の形見れるってズルすぎない? 魂知覚するまでどんだけ僕がかかったと思ってるのですか?
「…え?天蓋、俺の術式知ってるの?」
……羂索、許可取らずにみんなの術式を俺に教えた訳?
「う、うん。羂索に聞かされてたよ。怒るのならばコイツを怒ってくれたまえよ」
「いやまぁいーけどさぁ、驚かせられそうと思ったからなんかつまんないなー」
「ふふふ。それはすまないね。でも本当に君の術式はそれほど強いよ。魂の知覚だけでなく弄ることもできるんだって?本当に強いじゃないか。何処かの呪霊を操ることのできる奴には気をつけなよ?」
どーせそんな魂胆だろ……釘刺し、半ば諦めの含んだ目で羂索を睨みつける。当の本人は何処吹く風だ。特級呪霊ズが全員揃ってたら羂索も手ぇ出さないだろうけど誰か欠けた時点で羂索に対抗できそうな未来が見えないもん。
「ふふふ。酷いこと言うじゃないか?天蓋」
「ほら見て?あの胡散臭い顔。絶対騙す気だよ」
「確かに……」
「悪いけどこの人相についてはこの体の夏油君に言ってくれ。今のは本当に普通に笑ったつもりなんだがね……」
塩顔糸目は裏切るだろそりゃ。拙者詳しいぞ。この千年暇すぎてサブカルによく触れてたからな。
羂索を作戦の軸にした時の不安感は異常だもん疑うのはしょうがない……そんで呪霊ズとは仲良くなれそうだ、うん。心置きなくフレンドできそうだぁ…よかったよかった。
「てか漏瑚さぁ、天蓋のこと有名って言ってたけど凄いの?」
「……真人、儂が儂として生まれ落ちてそろそろ百年だが…儂が生まれた頃から、生まれる前から九尾の狐と言えば天蓋以外ありえないと言うのが常識だった」
「んー?つまり?」
「儂が、花御が、そして天蓋が祓われたとしても、火山、自然、九尾の狐、その恐怖でいずれ蘇るだろう……だがその時生まれ落ちるのは『火山の呪霊』であり、『漏瑚』ではない。だが天蓋はずっと天蓋のまま。儂の知る限り天蓋は未だ祓われたことのない『九尾の狐の天蓋』という呪霊だ」
「……いやまぁそうだけどさ、漏瑚。私もよく死にかけたり逃げたりしていたよ。気づいたら宿儺様に出会って気づいたら今此処にいるだけさ。単純に、長生きしたらするだけ狐に関する噂やら恐怖やらが全部僕に統合されてっちゃっただけで……そこまで僕自身を過大評価しないでくれ…何だかむず痒い」
「……ふふっ、そうさ漏瑚。天蓋は確かに強いけど精神性はそんな目を見張るほどじゃないよ。天蓋と宿儺の出会い、聞かせてあげようか?私も聞いただけだけどそれでも傑作…」
「羂索、その話はライン超えだぞ」
一本一本が鋭く研ぎ澄まされた尻尾を一尾、羂索の首元に突きつける。それは本当にライン超えだ。口に出したら否が応でもタダではおかない。恥ずかしすぎて理性を失い暴れるのでタダではおけない。
「…こんなふうに、昔のある時期がトラウマ…いや黒歴史という奴かな?で、触れると怒るからね、気をつけなよー」
「チッ、殺されないとわかってるのを良いことに…ま、そーゆーことでして……できれば其処には触れないでいただきたい」
「うん。いーよ、仲間だもんねー。これからよろしく、天蓋!」
ほんっとに真人はいい子だなぁ……! できる限り守るとするか…育てればかなり伸びそうだし……ぜっったい羂索狙ってるし。ことあるごとに昔から言ってたもんコイツ! 魂がどーたらこーたら! 絶対に呪霊操術で狙ってるね!
「儂としては急には認めがたいんだがな…羂索、ちゃんと縛りは結んであるんだな?」
「うん。えーと、『宿儺を解放するためにお互い尽力する』縛りと、『それに反する行いをしない』縛りだったかね。宿儺の解放には私が必要だから、基本私が優位の縛りだ。安心してね」
「……そうか……既に夏油から聞いていた様だが、儂は漏瑚だ。よろしく頼む」
「うん。漏瑚。よろしくね?大丈夫だよ、こっちに裏切るメリットないし裏切ったら多分縛りに反しちゃう」
「…窩幃踽虺據」(( …漏瑚と真人が認めるのなら、私はそれに従います))
「花御もよろしく!何かあった時は頼ってね。できるだけオレが守るからさ」
「ぶふー、ぶー」
「陀艮もよろしくね!まだ幼体っぽいし、君と真人は育つまで少し面倒見ようかな?」
うん……うん……みんなと仲良くなれた……! このまま、早急に宿儺様を解放だ…!!
……裏梅も宿儺様の後を追って呪物化頼んでたよな。羂索もう受肉させたのかな?
花御の話してる漢字はテキトーに打ったんで意味はないです
評価、感想お願いします!