宿儺のお供呪霊(九尾)を生やしたい   作:三幹七枝

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三話 肩慣らし

 

「嘔暃鄜裵畒」

 

「しゃけ いくら 明太子」

 

ーーーーーーー

 

「おっ」

 

「どうした?始まった?」

 

「うん、花御が…あれは呪言使いかな?と会敵したよ」

 

なんかよくわからん呪霊も瞬殺してたな。それにしても花御に満足に効果を出せるほどの呪言使いとかそうそういないだろう。途轍もない量の木の根を放出して攻撃している。いやあ派手に目立っていること。これが陽動とは思うまい。

 

「へぇ、他は?」

 

「んとねー、真人とハンガーラック君が行動始めたね…生徒だとねー…宿儺の器はパッと見生徒の中で一番強そうな奴と戦ってる」

 

「そうか…お?」

 

「あ、これは裏梅も感じた?」

 

「嗚呼、大量の木…凄い物量だな」

 

「おっ、帳も降りてきた。こっからは見えなくなるね…あとは戻ってきた花御達とアッチにいるらしい内通者から聞こうか」

 

「そうか…それでは、手も空いたことだし、久々に手合わせでもするとしよう」

 

「そうするか、宿儺様にお会いする時、恥ずかしい実力ではいられないよね。俺も千年結構鍛えたからね、負けないと思うよ?取り敢えず帳降ろすねー…あんま見えない様にしとくわ」

 

「はっ、ほざけ…私に勝てたことないだろう…」

 

「だから鍛えたんですー!」

 

 

 

ーーーーーーー

 

「さっ始めるよー!」

 

 

 俺が着ている服の腕の裾から大量の紙がばら撒かれる。そしてそれらが固まって形を成していき、ヒトガタの式神となる。数は十に満たない程度かな。全員に突撃を命じ、わたしは後ろから裏梅の様子を伺う。

 

「式神如きが…!『霜凪(しもなぎ)』!…数体耐えただと…?」

 

「ふっふーん!数体はただの式神じゃなくてオレの尻尾与えた眷属だからな!特級はあるよ!」

 

 ほとんどの式神が凍り付くなか、凍結を無視して特攻を仕掛ける二、三体の式神。だが、もう一度霜凪を、今回は氷の壁を作るという用途でかなり呪力を込めた上で使用される。

 

あの壁を壊すのは式神では骨が折れそうだ。

 

「式神がいるところで、本体を叩くまでだ…!『 直瀑(ちょくばく)』!」

 

「っ!『 狐火(きつねび)』ぃ!ちょっとぉ!身体鈍りすぎじゃない!?」

 

 狐火は威力低めの広範囲技。裏梅の霜凪みたいなもんだね。フルパワーで使えばあたりは灼熱地獄…だけど今回は直瀑を防ぐために上にドーム型に形成する。一点集中型の直瀑は、通常では抑え切れなさそうなので手印込みで。

 

手印を組むことにより威力の増した炎の屋根に氷が降るが、全て溶かしきりボクの元には水すら垂れてこない。

 

「ほらほらぁ!『 陽炎嵐(かげろうあらし)』!」

 

陽炎嵐(かげろうあらし)は単純に周りを高温にしつつその範囲内から自由に炎をだす!自分のフィールドを作る、廉価版領域みたいなものだ。

 

「熱っ…!ちっ、うざったらしい式神共が…!くたばれ…!」

 

氷の壁を壊さずに回り込んだり登る形で乗り越えた式神たちが裏梅に襲いかかる。裏梅は頭に血は上っているようだが、あくまでも冷静に氷の爆発を起こし吹き飛ばすことで式神を排除した。うーん、特級程度の力は持たせてるんだけどこれでもやっぱ足りないか。

 

それにしても、本気だしてきたなあ!周りどんどん凍りついちゃってまぁ…

 

「式神ぃ!合体!」

 

式神を一つにまとめることでそれなりの強さにはなるだろう。数より質作戦で今度は…

 

「させるか…!直瀑(ちょくばく)、一点集中…!」

 

うぅん流石にそれ当たったら式神壊れる!

 

「後ろがガラ空きだぜぇ!」

 

凍りついた地面を滑走し後ろに回り込み、身体にひねりを加えてジャンプ。背中に思い切り尻尾を叩きつける

 

「がっ、邪魔な尻尾め…!凍りつけぇ!」

 

少し前に倒れかけた裏梅だったが、殴られざまに尻尾を掴み冷気を放ってきた。すんでのところで尻尾を離すのが間に合った…遅れてたらヤバかったな。

 

「やびっ、先っちょ凍ってる…でも式神は合体成功!」

 

今わたしがわざわざ時間を稼いだお陰でで無事式神は融合し一つになった。分け与えた力としては尻尾二本分くらい。

 

「…数が減ったぶんマシだ…霜凪(しもなぎ)!!」

 

ゴリゴリマッチョマンの白いヒトガタが猛ダッシュで突撃していったが、今までで最高火力の霜凪を真正面から喰らい何をする間もなく凍りついてしまった。

 

「糞!一瞬で凍りついた!」

 

「ふん、力を分けた分体ごときで耐えられると思うな…!」

 

ぬぬ…まあ本職の式神使いとかじゃないからそりゃ途轍もなく強いのを作れたとは思ってなかったが…なんというかくるものがある。

 

「ちぇっ、いい技できたと思ったんだけどな…そりゃ耐えられないか…戻れ尻尾ぉ!」

 

 式神へと分け与えていた分の呪力を自身に戻し、今度は俺自らが近距離戦に打って出る。裏梅のジャブをこちらから顔面に無理矢理クリーンヒットさせる。牽制程度に放ったジャブが思っきし当たったことに裏梅は驚き次の行動が遅れる。

 

その隙に、裏梅に抱きつく。裏梅の首に手を回し、背中に足をかけ、そして、九つの尻尾で乱打する。滅多打ち。兎に角少しでも殴る。

 

「ぐぅっ…舐めるなッ!」

 

裏梅の全身から鋭い氷が放出された。急いで離れるが、少し遅れた。でも左手首に穴が空いただけで済むのは僥倖。呪霊にとってこの程度の修復瞬きする間に治る。

 

「クッ、ふ、ぅ…大分強くなったじゃないか…押され気味だ…」

 

ん?裏梅にしては随分とらしく無いこと言うじゃあないか…

 

「敗北宣言かいー?」

 

「だと思うか…?少々本気を出すだけだ…!」

 

んもー、氷なのに熱くなっちゃってまあ!ただの手合わせって言ってるのに!

 

直瀑(ちょくばく)!」

 

狐火(きつねび)炎尾槍(えんおそう)!」

 

先ほどのように防ごうとするが、今度の直瀑は狐火を貫通し俺を氷漬けにした。だが無視して尻尾を燃え盛らせる。氷が溶け、尻尾が露出する。尻尾の形をした炎、ミサイルのようなものを裏梅に向けて放つ。

 

「ぐぉっ…!」

 

ある程度は避けて、受け流して、それでも避け切れなかった一本が裏梅の鳩尾に突き刺さる。うぅん随分と苦悶に満ちた表情だ。美味なる悪感情!

 

「くそぉ…!出力最大!霜凪(しもなぎ)…!全て凍りつけぇ!」

 

本気で来たか…!ならこっちも全力で立ち向かわなければ無作法ってもんだ!

 

「出力最大!狐火(きつねび)……!?」

 

 

 

「"位相" "黄昏" "知恵の瞳" 術式順転」

 

 

 

押し寄せる業火と氷波がぶつかる瞬間、その真上に突如長身の白髪の男が転移して、手印に呪詞を加えた、現代最強による引力が二人の暴力を消し去った。

 

(あお)……何やってんの?こんな所で…てか片方九尾の狐?」

 

「「五条悟!?」」

 

「そっち誰?」

 

「クソッ!何故ここがわかった!?天蓋が帳を…」

 

「え?いや、明らか帳の範囲はみ出てるじゃん。炎とか氷とか。こんなん異常すぎて気づかない訳ないでしょ。呪力だって凄いことなってるし」

 

「…天蓋」

 

「ねぇこれワタシのせい!?そっちが先にヒートアップして…!」

 

「あ、なに?二人とも知り合いなんだ?てっきり謎の術師が呪霊祓おうとしてるのかと…いやよく見たらそっちのオカッパもなんか変だね。うーん、受肉?」

 

やべーよやべーよ。どうしようよ。普通に祓われっぞオイ。

 

「まだ死んだことないのにィ…!」

 

「あーそういや其処の狐はそんな話もあったっけね。一度も祓われてないみたいな。本当なんだ、あれ」

 

落ち着け、クールに、クールに…少しでも会話して、時間稼いで、なんかの対処法を考えないと、

 

「仲間がそっちを襲った筈なんだけど…手筈はどうだった?」

 

「あーアッチもお仲間さん?まあそうじゃなかったら逆に困るけどね。そんな特級がポンポン現れても困るよ。火山頭と木の奴と違ってお前は未確認呪霊ではないけど。ハンガーラックって五月蝿い奴以外全員逃げてったけど?」

 

うーん、言及が無いってことは取り敢えず、真人の方は仕事果たせたのかな?あとは妾と裏梅が帰還できたらめでたしめでたしか…

 

「そう、仲間は上手くやってくれたみたいだね。じゃあ僕たちは帰るから、それじゃ」

 

 

「どーやって?」

 

 

「天蓋!」

「待って!今考えてる!確か何かあったんよ!えーとえーと…あ」

 

 

 

「虚式『茈』」

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「チッ、肝が冷えた…!」

 

「…転移の座標、拠点に繋いどいて良かったぁ…」

 

「……遊べとは言ったけどさ、五条悟と遊べなんて言ってないよね?私」

 

「ごめんよ」

 

「もうこんなこと起こさないでよ?もう六眼が寿命で死ぬまで待ってるヒマ無いんだから…ま、五条悟相手に二人五体満足で帰ってこれたのなら言うことは無いけど、さぁ…」

 

「本当ごめん…そっちの首尾は?」

 

「ま、上々かな…被害を出さずに宿儺の指をしっかり確保できた」

 

「ハンガーラックは?」

 

「元々捨て駒」

 

かわいそっ





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