【完結】えっ、ここからでも入れる保険があるんですか???   作:らいらいてー

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誤字脱字報告何時もありがとうございます。


円卓

 ズムシティ公王庁。ザビ家の威信を示すかのように作られた巨大な建築物の窓からガルマは外を眺めていた。

 住民達には既に避難指示が出されていた。警官隊の誘導に従ってコロニーからの脱出船に向かおうとしている一団が窓からも確認する事ができる。

 

 側近の一人がズムシティからの脱出をガルマに勧めるが、住民の避難が終わるまで脱出しないと拒否しつつ、再び窓の外を眺めて自嘲気味に若い公王は笑った。

 

 過去が消えるはずがない、ジオンが行ったとはどんな大義名分を語ろうが虐殺なのだ。だが、こちらを批判した側である連邦も同じようなことをやろうとしているのは何たる皮肉か。

 殴られたら殴り返し、殺されたら誰かを殺し返し、それが当然となりつつあるこの世界で最終的に待っているのは良い結末では無いだろう。例え全ての人類がニュータイプになったとしても、その力を殺し合いに利用するだけだ。

 

 ただ、一つ言える事がある。

 もし、人類の歴史が残り続けるならば憎しみが憎しみを産む地獄の扉を開いたのはザビ家であると永劫記されることになるだろうと。

 

「ガルマ公王! 我々にも出撃命令を! 連邦軍が反乱軍を迎え撃とうとしていると言うのに、今まさに故郷が蹂躙されようとしてるのに黙って見てろと言うのですか!?」

 

「海兵隊にも出撃命令を! マハルの連中もここには疎開してるんだ! 頼む!」

 

「ガルマ、決断してくれ! まだ格納庫には性能試験用の機体が保管されている! 武装解除されてない機体もあるんだ、それを使わせてくれ! もしズムシティが破壊されるなんてことがあったら戦争が再開されるぞ!? 今度こそスペースノイド対アースノイドの絶滅戦争だ! どちらかが絶滅するまで戦いは終わらなくなる!」

 

 珍しくシャアも声を荒げていた。実際彼の指摘はご尤もで、連邦からの反乱軍が大量虐殺を引き起こすことになれば、まだ地球に残って復員を待つジオン兵達も、アクシズで武装解除を行いつつある者達も黙ってはいないだろう。

 

 そうなれば待っているのは絶滅戦争だ。

 

 スペースノイドの独立を声高に語ったジオン公国が、いや、ザビ家がスペースノイドを滅ぼしかねない絶滅戦争の原因になるかもしれない現状は何たる皮肉だろうか。

 

 ギレン兄様もここに居たら笑った事だろう。いや笑うなお前のせいだろう何とかしろ。

 と、一瞬ガルマは今までの鬱憤を晴らすかのように頭の中に浮かんだギレンの顔に昔喧嘩した時のように幼稚な罵声を浴びせていきつつも、出撃を懇願している者達の方へと視線を向ける。

 

「しかし、ジオン公国軍の軍人が表立って反乱軍とは言え、連邦の部隊と交戦するとそれを口実に戦争が始まりかねないぞ」

 

 実際、反乱軍もそれを狙っている節はあるだろう。

 どんな理由であれ、敗戦国であるジオン公国が戦争終結直後に戦闘行為を行えば、スペースノイド達はまだアースノイド達を殺すだけの戦力を持っているというイメージを連邦市民は持つかもしれない。

 そうなれば何とかアースノイド達の反発を抑え込もうとしている連邦政府上層部も、市民の声を無視できなくなるだろう。反乱軍の動きに同調しかねない。

 

 だが、公王となったガルマも黙って祖国が滅ぶのを見ているつもりは無かった。

 

「これは独り言になるが」

 

 と、前置きをして、一枚の契約書を取り出す。

 契約書にはまだ武装解除されてない性能試験用の機体が格納されているバンカー、その区画の売買取引の内容が記されている。

 内容を要約すると、その区画をカニンガン艦隊が【置かれている不要物】ごと買い取ると言うものであった。

 既にカニンガン中将の署名が行われており、売買取引は完了した事を示している。

 

「どうやら連邦はズムシティの土地を欲してるらしくてね、たまたまそこに置いてあった【不要物】ごと買い取ってくれるとの事だ。ただ、連邦のものである以上、公国軍の将兵が使うのは少し問題があるからねぇ」

 

 ガルマの意図を真っ先に察したのか、思わずシャアは声を上げて笑ってしまった。

 

「子供だましの理屈だな。だが、最低限の言い訳は立つという訳か。そうだな、買い取られた連邦の機体が反乱軍を迎え撃つのは問題ない。だがパイロットが必要だろうし、そうだな……うむ、私は今からジオン公国軍を辞めることにするよ」

 

「そうか、残念だ。ああ、これも独り言だが、丁度空いてる機体のパイロットを連邦が【傭兵】として欲してるらしくてね」

 

 ガルマの元へと出撃の嘆願の為にやって来たパイロット達も、ガルマの意図を察してある者は即決で、またある者は少し悩んだ後に、口々に軍を脱退し傭兵になると宣言してゆく。

 

「ガルマ様、武人揃いのジオン軍人相手にその言い方は卑怯ですよ? こんなの行くしかないじゃないですか。故郷を守る為ならば軍歴など捨てる覚悟はありますとも」

 

「はて? 何のことかな? ガトー元大尉。 君は軍人、つまり国に雇われている人間ではなくただの無職の一般人になったという訳だ。君が何処に雇われようが我が国は関知しないな。だが、まぁ、そうだな」

 

 集まったジオンが誇るエースパイロット達(元軍人)の顔を若い公王は見回した後に、こほんと一つ咳払いして。

 

「――死んで咲く花など無い。一人でも多く無事に戻ってこい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 ば、バスクの野郎……やりやがった……! 俺が出来る限りの事をして戦争を減らそうとしてたのに! いやまぁ自己満足でしかないんだけど!

 亡くした家族とか恋人とか故郷の為に戦争が終わった後も復讐しようとするとかお前らもうちょっと未来をみ……ろ、と言いたいところだが口が裂けても言えないよなぁ。

 彼らからすれば憎くて仕方ないジオン国民だし、家族の仇ともなれば殺したくもなるよな。それは分かる、痛いぐらい分かる。俺もコロニー落としで沈んだ遊園地やら沿岸部の街を見てきたしな。

 

 その復讐の為に甘い対応をした連邦から離脱してジオン本国を叩けそうなこのタイミングで仕掛けようとするのも分かる。グローブに攻め込んできた鬼畜共? ……。

 

 あいつ等軍人と言うよりも略奪と強姦目当ての猿だからノーカンだ。

 

「ピクトン少佐。機体の準備が整いました」

 

 【ケストレル】改め【ラーズグリーズ】の整備ドッグ内でコーヒーを飲みつつ、少し怯えた様子の若い整備士が声をかけてきた。おっと、苦虫を1000匹ぐらい嚙み殺したかのような顔をしていたかもしれない、気を付けないとな。

 こほん、と一つ咳払いしてすまないと言いつつ、整備士の方へと視線を向ける。ジオニック社から性能試験用の機体の整備の為派遣されてきた人員だ。ちょっとフォローしておかないとな。

 

「ああ、別に君を嫌ってるとか疎んでるとかそういう訳じゃないから気にしないでくれ。ただバスクの野郎が気に入らないだけだ」

 

「……そう言ってくれると幸いです。アースノイドの皆さんから殺されても文句言えない事してますからね、私達」

 

 まぁ俺も正直、ジオンに対して良い感情を抱いてないのは確かだ。でもそれはジオンと言う国全体を嫌っているのであって、国に属する国民を嫌ってるわけではない。

 ア・バオア・クーで交戦した親衛隊の連中は嫌いだが、まぁそんな奴らばかりじゃないだろう。

 

 良い人もいるだろうしそれと同じぐらい悪人が居るだろうけど、それを一緒くたにして虐殺するのは間違ってるとは思う。まぁジオンも似たような事はやらかしたけどそれはそれ。

 

 目には目を、歯には歯を、復讐には復讐をを繰り返したら待っているのはカニバリであるという事を俺は知っているからな。この負のループを何処かで止めなければなるまい。

 

「まぁ、君自体が悪いわけではないさ。機体の方はどうだ? 指定通りにしておいてくれたか?」

 

「ええ、ビーム・スポットガンを取り外して軽量化しておきました。ペイントもしておきましたのでご確認ください」

 

 整備士の子と同じ方角を向く、そこには俺のパーソナルカラーであるダークブルーに塗装されたゲルググJが立っていた。

 右肩は赤く塗られ、左肩には整備士達が塗ってくれたペイントが施されている。

 

 首には赤いリボンを巻いた、兜を被っている赤髪の戦乙女【ラーズグリーズ(戦いを終わらせる者)】の横顔だ。

 

「少佐。私達の故郷、お願いできる立場では無いのは分かってます。ですが、守ってください! まだ五歳にもなってない妹が居るんです!」

 

 正直、こちらの数倍以上の戦力を有している反乱軍艦隊に勝てるかどうかは分からなかった、だが、ここで彼を安心させてこそエースだろう。俺が憧れたエースパイロットだろう。

 弱気になってどうする。

 

「……ふ、ならばしっかりとエースの戦いぶりを目に焼き付けて家に戻って、妹に語ってやってくれ。アースノイドにも凄腕がいるとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 B7R宙域。サイド3が建造される頃に使われていた重機の一部がデブリとして円状に散乱してる事から【円卓】と呼ばれる事もある宙域にカニンガン艦隊は布陣した。

 

『こちらファング1! 主力からはぐれてコロニーを襲撃しようとしていた敵集団を撃破! 主力の奮戦に期待する!』

 

 敵軍の侵攻ルートの近くに存在しているコロニーに万が一に備えて本隊から部隊を一部切り離して派遣していたが、保険が役に立ったようだ。

 敵は大軍、統制が取れなくなって目についたコロニーを襲撃しようとする輩もいると予想され……実際居たんだが、何とか阻止できてるらしい。

 

 選抜部隊の奮戦に感謝だな、本当。これで敵軍主力に集中できる。

 

『諸君。カニンガン艦隊の諸君。この戦いが最後の戦いになるだろう』

 

 バスク艦隊の一団が核パルスエンジンが装着されたグローブコロニーと共にゆっくりと防衛ラインが構築されている【円卓】に向かおうとしているのがこちらからも確認できる。

 周囲を見回す、旗艦【ラーズグリーズ】を中心に、オメガを除くメビウス小隊の面々と、カニンガン艦隊の艦載機。

 

 ボールを含めても五十機にも満たないだろう。

 

 それに対して敵軍は見える範囲でもこちらの何倍もの戦力が集ってるように見える、ちょっと多くない? 軍人の癖して反乱軍に加わる奴多すぎない? 文民統制はどうした文民統制は!

 

 冷静に考えたらレビル将軍も文民統制を無視してた気がするし、悪しき伝統になりつつあるのかもしれない。何とかこの伝統消し去りたいな。

 はてさて、エルメスに乗ったララァが居るとは言え、今回の戦いかなり厳しい戦いになるだろうなぁ。

 

『一週間戦争、そしてルウム戦役、その後の地上での戦い、ソロモン、ア・バオア・クー、我々は戦い続けてきた。君達の中にはジオンによって家族や大切な人を奪われた人もいるかもしれない。復讐の為に銃を握った者も多いかもしれない』

 

 カニンガン中将自体、ルウムで戦友を何人も失ったと聞く。あまり多くは語らなかったが、コロニー落としで親族を失った可能性は高いだろう。

 

『それでも、だ。我々は前を向いて進まねばならない。失った人達の分まで生き残り、未来を創るのが我々生き残った者の定めなのだ! 勇士諸君! 過去に魂が縛られ、虐殺に走ろうとしている同胞達を止めよう! 君達の憎しみは痛いほどわかる、だが復讐の連鎖はここで断ち切らねばならない! 今一度、武器を握り、未来の為に戦って欲しい!』

 

 復讐心に満ち溢れ、あるいは戦勝の勢いに乗って略奪に走る為に戦おうとしている敵艦隊から艦載機の出撃を確認。

 同時に、カニンガン艦隊の全ての機体にレーザー通信が行われる。

 

 発信元は反乱軍艦隊旗艦マゼラン級戦艦【ウォースパイト】。

 

『諸君、まだ間に合う! 共にジオン本国を攻撃し、憎きジオン星人共を滅ぼそう! 彼らは我々の家族と故郷を奪ったというのに、戦争責任を放棄しのうのうと暮らそうとしている! 連中はアースノイドを地球に寄生した害虫だと呼ぶが、彼等こそ人類に寄生している寄生虫共だ! 寄生虫を駆除し、地球圏に平和を取り戻そう! そして寄生虫共の巣に鉄槌を下すのだ!』

 

 バスク直々のご高説か。

 

 あの、これ俺の個人的な意見なんですけど。仮にも軍人なんだから軽々しく特定の人種皆殺しにするとか言うのやめません? やってる事ギレンさんと同じだと思うんすよね。

 

 それと、スペースノイド達の大地であるコロニーを寄生虫の巣呼ばわりしたり軽々しく武器として扱うのはマジでやめろ。

 

 この思想強いグラサン、戦略家としてはアレだけど戦術家としてはガチで優秀だから困ったもんだ。

 寄生虫の巣と呼んだグローブコロニーをズムシティに直撃させないためには軌道調整が行われる前に核パルスエンジンを破壊するしか無いのだが、分厚い防衛網が展開されている。三百機近く居るんじゃないのかあれ?

 

 作戦内容は至ってシンプル、防衛ラインを突破し、グローブコロニーに装着された核パルスエンジンを軌道調整と最終加速が行われる前に破壊し、ズムシティへの直撃を逸らす事だ。

 最終加速は推進剤の関係でB7Rで行う事になるだろうというカニンガン中将の予想は当たったみたいだな、本当に良かった。

 まぁソーラーパネルなどは余波で壊れるかもしれないだろうが人命は守られる筈だ、そう信じて戦うしかない。

 

 バスクの演説を聞いても、カニンガン艦隊から離脱者は出ることは無い。うん、統制が取れてる証拠だな。

 そもそも、ジオンに派遣された艦隊は彼等への配慮の為に偏った思想を持ってないと判断された奴らばかりだし。

 

 展開前に各部隊としっかりとすり合わせを行っておいた。各小隊は敵と接敵前に突出した部隊に一斉射撃を行い、その後は自由戦闘。強く当たって流れでだ。

 

 バスクの言動に思わずカニンガン中将は失笑した様子で鼻で笑って。

 

Nuts(ばかめ)

 

『……そうか、それが答えか。全艦隊、戦力はこちらが圧倒的に多い。敵軍を包囲するように展開し、すり潰せ。ジオンシンパを血祭りにあげろ!』

 

 敵軍は布陣したこちらの艦隊を包囲するように機動しつつ、波状攻撃を仕掛けて来るつもりみたいだな。即製艦隊の癖にしっかり統制を取って隊列を組ませ一番やられて欲しくない戦法を取ってくるあたり、やっぱりバスクは戦術家としては優秀だわ。人間としては尊敬全くできないけど。

 

 幾ら歴戦の勇者揃いと言えども、あの数相手に波状攻撃されたら撃墜されなくても推進剤が尽きてそこを撃たれて終わるな、はてさてどうしたものか。

 

『熱源反応を確認なのです! 識別は……味方!?』

 

『うん、手配しておいた【傭兵部隊】が間に合ったみたいだな』

 

 赤い塗装のG-3ガンダムを先頭に、ゲルググJにゲルググM、その他アクト・ザクやケンプファー、性能試験用に配備されていた機体の数々がこちらに向かってくる。

 

『すまない、ドレスコーデに手間取ってしまった。――パーティー会場はここかな?』

 

『丁度今からパーティーが始まるところでしたよ、シャア大佐』『今は【民間人】で【傭兵】のシャアだ、大佐はやめて貰おうか』

 

 傭兵部隊(棒読み)が到着してもなお、敵軍は何倍もいるが、これならばやりようは幾らでもありそうだな。

 

『こちらグレイファントム。臨時艦長のブライト・ノアです! ア・バオア・クーからレビル将軍の命を受けてやってきました! レビル将軍は暗殺者に狙われて負傷しつつも無事です!』

 

『そうか、レビル将軍は無事か! よろしい、戦列に加わってくれ!』

 

 【円卓】へと近づいてくるペガサス級の準同型艦から艦載機が出撃して来るのを確認。ガンダムNT-1にジムスナイパーⅡが三機。ホワイトベース隊の面々が来てくれるのは心強いな。

 

『その赤い塗装の悪趣味なガンダム……まさかシャアか?』『今は雇われの傭兵だ。……まさか君と肩を並べて戦う事になるとはな』

 

 万が一に備えてレビル将軍が手配しておいたのだろうアムロのガンダムNT-1とシャアの真っ赤なガンダムG-3か、冷静に考えてみるととんでもない組み合わせだな。

 

『隊長、敵機がこちらに近づいてきてます。交渉の意思があるみたいですが、いかがします?』

 

『まだ撃つなよ、ララァ。ちょっと話すとしよう……こちらメビウス隊隊長、アレス・ピクトン。階級は少佐だ。貴官は?』

 

『フミ・ラリー。階級は大尉だ。ピクトン少佐、既に諸君らは包囲されつつある。連邦の英雄である貴方を私達は尊敬しているのだ、この数相手に戦うのは無謀だ。無謀と勇気は違うと考えるが? どうか降伏して欲しい』

 

 ふむ、前衛部隊でジムとボールの混成部隊と言えども百機以上。確かに凄まじい数だな、だが一つ聞きたい。

 

『足りないだろう?』

 

『ん?』

 

『俺達と戦うには、少し数が少なすぎるんじゃないのか?』

 

『そうか、ならば宇宙に散れ!』

 

 指揮官が号令をかけると同時に、こちら目掛けて一斉に隊列を組んだジムとボールからスプレーガンや砲撃が行われてくる、狙いはこちら。要となりそうな高脅威目標を真っ先に潰すとは良い判断だ。

 

 だが遅い!

 

 合計推力178,500kgのゲルググJがスラスターから爆炎を吹かせていきながら一気に加速、殺人的なGが俺に襲い掛かる。

 元々戦闘機乗りじゃなければ恐らくは耐えきることが出来ず失神したであろうGを何とか耐えていきながら、元となったゲルググの三倍近い推力を活かして攻撃を行ってきたジムの戦列へと飛び込む。

 

 肉薄して胴体部にビームマシンガンを突きつけてまずは一発。コックピットの貫通を確認、そのまま蹴り上げて姿勢制御、同時にわずかにスラスターを吹かせて更に加速。

 

『な……!? 早い、目で追い切れな……!』『隊長機がやられた!? これがリボン付きの死神と恐れられた少佐の動きなのか!? 敵がこっちに、うわぁぁぁぁぁぁぁ!?』『クソっ、また一機やられたぞ!? 援護を――』

 

 二つ、こちらの動きに対応できてない敵機の背面へと回り込んでビームマシンガンを速射。宇宙に花火を上げる、そのまま反動を活かして後ろを振り向いてスプレーガンを構えていた敵機目掛けて発射。

 胴体部の貫通を確認、三つ。

 

 発生した爆風を背に受けていきながら加速、上方向へと飛び上がるようにしていきながら後衛のボール部隊を目標にする。数は六。

 スラスターを吹かせて下方向に機首を向けて姿勢制御、まずは一機目を蹴り上げて撃墜、そのまま反動を活かして目のように見える部分めがけてつま先を叩きつけていってまた一機。

 その反動で姿勢を制御し、次のボールの砲身を片手で握りしめてこちら目掛けて砲口を向けていた敵機めがけて投擲。

 三つ、四つ。

 

『なんだこいつは……化け物かぁ!?』『落ち着け、相手も人間だ! オールドタイプなんだ、やりようは――』

 

 動揺が広がりつつも主砲を向けて発砲してきた敵機の射線から逃れるようにスラスターをわずかに横に吹かせて回避、殺人的なGが襲い掛かるが歯をくいしばって耐えて、頭部バルカンを発射。

 頭部バルカンによって蜂の巣にされて、弾薬に誘爆した様子で一つ目玉の支援兵器は爆炎を上げていき、爆風に巻き込まれてまた一機撃墜。

 

 これで六つ。

 

 瞬く間にジム三機、ボール六機が撃墜されて動揺が広がった敵戦列目掛けてカニンガン艦隊のモビルスーツ部隊から一斉射撃が行われて、隊列が乱れた所に僅かに時間を置いてボールからの砲撃が行われて反乱軍部隊の戦列の穴を更に拡げていく。

 

『隊長、その機体の乗り心地はどうだい?』『ん、戦闘機に近くていい乗り心地だな、操縦が難しくて初心者向けじゃないのが玉に瑕だが』

 

 空いた戦列の穴にライラ機がまずは飛び込んでいき、指揮官機を強襲。すれ違い様にビームサーベルで胴体部を両断、撃墜を確認。

 

『皮肉なものですね、連邦軍同士で戦うなんて』『本当にな』

 

 前衛部隊の母艦に対してエルメスから射出されたビットが向かい、砲塔を貫いていって弾薬庫を誘爆させる。

 赤いガンダムとそれと対照的に白と青の塗装が特徴的なガンダムが戦列が崩れ始めた所に飛び込み、軌道調整が行われているグローブを守ろうとするかのように展開している敵を次々と駆逐する。

 それでも敵部隊の反撃は激しく、カニンガン艦隊のモビルスーツもまた一機、また一機落とされた。

 

 【円卓】が連邦の犬達の爆炎によって赤く染め上げられる。最後の戦いで連邦の犬同士のドッグファイトになるなんてな、なんて皮肉だ。




次回最終話です。その後エピローグで完結です。

後、この辺にボッシュが居ます。
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