最近、中々調子が良いです。このままのペースで投稿していきたいですねぇ…‥出来れば。
それでは、どうぞ!
「…‥あなたが、この集団のリーダーですか?」
対面しているだけでこちらに恐怖を感じさせる程の威圧感を放ちながら、その存在は俺にそう問いかけた。
「…‥そうだ。と言ったら?」
いつでも戦闘出来るよう呪力を拳に集中させながら、そう答える。
「そちらに薄紫色の髪をした少女がいるでしょう、それをこちらに渡しなさい。…‥そうすれば、もう日々の暮らしに困ることはなくなりますよ?」
「…‥知らないな。そんな子はここで見たことがない、他を当たってくれ。」
「白々しい真似を…‥このアリウスで私が把握していない集団は、もうここしかないのです。…‥今なら何もしません、大人しく私に従いなさい。」
「…‥」
「沈黙ですか…‥さては、この妙な術を施したのもあなたですね。私を前にして平常心を保っていられるのは、その年ではあり得ないことです。…‥再三言います。秤アツコを、『ロイヤルブラッド』を、こちらに渡しなさい。」
「!?」
(名前を知っている!?)
「…‥動揺しましたね。つまりあなたは、秤アツコの価値を知っている…‥最後です。秤アツコを…‥私の『道具』を、渡しなさい。」
「…‥誰が家族を売るか!」
(こいつがどのくらい強いのか検討もつかないが、やるしかない!このままこいつに従ったら、絶対アツコが酷い目に会う!)
「…‥どうしますか?ベアトリーチェ様。私達で対応いたしましょうか?」
「いえ結構です。…‥多少頭が回るだけの幼子の相手など、私一人で十分ですから。」
呪力を全解放し、ベアトリーチェへと接近する。100%呪力を集中させた拳でないとダメージが入らないと判断し、他の部位に回す呪力は最低限に留める。
今出来る全てを駆使し、決死の覚悟で向かってくる虎杖悠仁に対しベアトリーチェは
(下らない)
心底、呆れていた。
ベアトリーチェは構えることもせず、ただ棒立ちのまま虎杖悠仁の接近を許す。
(なにもしてこない?舐められているのか?…‥それなら、好都合!)
「本当に下らない…‥まだ希望があると信じている、あなたのその目が。」
「はぁっ!」
遂に拳が届く位置にまで接近し、攻撃を仕掛ける。
が
「ぐっ!?」
「この程度…‥やはり幼子ですね。」
ただ手を振るわれたのみで、多大なるダメージを負いながら吹き飛ばされてしまう。
拳に呪力を集中させていて防御に呪力を割いていなかったのも要因の一つではあるが、それでも元々丈夫な虎杖悠仁の体にここまでのダメージを負わせられるのは、強者の証と言っていいだろう。
(くっ…‥今まで受けたことがない程のダメージだ…‥)
手が震え、体全体が震える。最早このまま、倒れていた方が楽なのではないか?
…‥だが、違うだろう。このまま倒れていれば確かにこれ以上傷を負わずに済むし、楽にもなる。だけど
(家族を…‥守るんだろうが!)
「おおっ!」
全身の震えを押し殺しながら、痛みを紛らわすために叫びながら、立ち上がる。
「まだ立ちますか…‥面倒な」
(ここまでの力の差がある以上、生半可な攻撃は通用しない。…‥奴は俺を舐めきっている。ならばやるしかない!)
(今の自分に出来る最大の攻撃…‥最大出力の『捌』を!)
「あ゛あ゛!」
吠える、恐怖を殺すために。奴に、ただのヤケクソだと思わせるために。
「…‥はぁ」
先ほどと同じような攻撃を仕掛ける虎杖悠仁に、ベアトリーチェは最早興味を失い、処理しようと手を振るう。
「…‥!」
だが、彼は寸前のところで体を捻りその攻撃を避ける。
そしてベアトリーチェの首元へと手を伸ばし、掴む。
今の虎杖悠仁にとっての最高火力。現在行使できる術の中でも、最高の精度を誇る技。
それを今出せる最大の出力で、発動する。
(出力100%…‥)
「捌!!」
「!?」
ベアトリーチェの首には三日月のように沿った傷が付き、確かなダメージを与えた。
しかしそれは
ただ、強者の精神を逆撫でしたに過ぎなかった。
「この薄汚い子供がぁ!」
「がぁ゛!?」
ここまでの戦いはベアトリーチェにとって遊びであり、今までは弄ばれていただけであった。
しかし『自身の首に傷を付けられた』という事実が、よりにもよって自身が最も見下している子供という存在によってもたらされたということに行き場のない怒りを覚え、苛立ちのまま腕を振るう。
捌に全てを注ぎこんでいたため防御をするという思考に辿り着けず、無防備の状態でそれをくらい、吹っ飛ばされる。
「はぁ…‥はぁ…‥やってくれましたね。どういったカラクリかは知りませんが、私に傷を付けるとは…‥まぁいいです。今の攻撃で骨が折れる音が聞こえました…‥そのまま、苦しみの果てに死になさい。」
ベアトリーチェは
だが、それを
虎杖悠仁は、認められなかった。
「まって…‥ください…‥」
すでに体のどこかの骨は折れているのだろう。まるで全身をおもいっきり壁に打ち付けた時のような痛みを常に感じながら地面を這ってベアトリーチェに近づき、足を掴む。
「!…‥ほう。その状態で動けるとは…‥ヘイローを持たない存在にしては、随分頑丈ですね。」
「おねがい…‥します。かぞくに…‥なにもしないで…‥ください。」
今出来る最大限の抵抗。それは
懇願であった。
最早体は動かず、完全に敗北したと言っていいだろう。だがこのままここに倒れていれば、家族になにをされるか分からない。それならば…‥
足掻くのだ。たとえどれだけ醜くても、どれだけ恥だと言われようとも
自身の守りたいものを、守る為に。
「…‥はっはっはっ…‥滑稽ですねぇ。自身が敵わないと悟るや否や、命乞いを始めるとは…‥懸命とも言えますがね。」
「なんでも…‥します。だから…‥だから!…‥かぞくだけは…‥」
声を出すことすら満足に出来なくなり、絞り出すように叫ぶ。
「…‥」
ベアトリーチェは考えた。確かにこの存在が私に傷を付けたのは事実であり非常に腹立たしいことではあるが、このアリウスに来て『首』という急所にダメージを負ったことは初めてであり、その事においては称賛に値するだろう、と。
(…‥この者をここで殺すのは、少々惜しいかもしれません。私に傷を付けたあの奇妙な術も気になりますし、ヘイローがないというのにこの頑丈さ…‥いい実験台になりそうですね。)
「…‥分かりました、いいでしょう。これからあなたを、私の実験台として連れていきます。それと引き換えに、あなたの家族にはなにもしないと誓いましょう。」
「ありがとう…‥ございます。」
「…‥連れていきなさい、私はロイヤルブラッドと他3人を確保した後向かいます。」
「「「はっ!」」」
(何が家族を守るだ…‥なにも…‥なんにも出来ねぇじゃねぇか!)
傷ついた体を強引に持たれながら自分自身に対して八つ当たりをし、その悔しさを噛み締めるのだった。
これから先、永きに渡る因縁の相手との初戦。勝者は
『巡礼者の幻想』、ベアトリーチェ。
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