虎杖悠仁に成り代わった男の青春物語   作:ブルアカ大好き

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今日はGW最終日ということで、一気に二本投稿します。…‥どちらも辛いですが、どうか見ていってください。

それでは、どうぞ!


十八話 生きる意味

今日もまた厳しい訓練を行っている最中、教官から呼び出しがあった。

 

「戒野ミサキ、マダムからの呼び出しだ。直ちに向かうように。」

 

「…‥?はい。」

 

 

 

 

 

 

 

「失礼…‥します。」

 

「…‥よく来ましたね、戒野ミサキ。」

 

「あの…‥いったいなんのご用で…‥」

 

「なに…‥矯正ですよ。バレていないとでも思っていたんですか?あなたの問題行動に問題発言の数々…‥適切な処置が必要だと判断しました。」

 

「…‥…‥なにを、されるんですか?」

 

「そう怯えなくていいですよ。…‥素直に従えば、直ぐに終わりますから。付いて来なさい。」

 

言われるがままベアトリーチェの後を追っていくと、階段から地下へと潜っていった。そしてついた場所は

 

「…‥牢屋?」

 

「えぇ。…‥これからあなたの思考を正すために、少々手荒な手を使いますからね。」

 

「…‥まさか」

 

「さぁ、入りなさい。…‥最も、『入らない』という選択肢はないですけどね。」

 

ミサキが牢屋へ入ると、ベアトリーチェは一時的に姿を消した。『なにもされないのか?』と思ったのも束の間。ベアトリーチェは片手に一つの鞭を、もう片方の手に縄を持ち、再度現れた。

 

それから行われたのは、紛れもなく『拷問』だった。

 

「まずは、あなたのこれまでの罪への罰を与えないといけません。…‥あまり、騒がないでくださいね?うるさいので。」

 

ベアトリーチェはミサキを縄で縛りながらそう言い、まるで『これは正当な罰であり、私は正しい教育をしている』とでも思っていそうな顔をしながら、ミサキの背中へと鞭を振るった。

 

「ぐっ!?」

 

「まずは1発。…‥そうですね。後40発ほどすれば、罪の精算には十分でしょう。」

 

(これを…‥あと40回!?)

 

「やめて…‥ください。」

 

先ほどのショックをなんとか堪えながら、精一杯声を絞り出す。しかし

 

「そうはいきません、これは犯した罪の精算なのです。…‥恨むのであれば、過去の自分を恨むのですね。」

 

ベアトリーチェはその願いを聞き入れず、拷問は続いた。

 

そこから先は、もはや言葉では言い表せないほどに酷いものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…‥ぁ…‥うっ…‥」

 

「はい、これであなたの罪の精算は完了しました。…‥次は、もう二度とこのようなことをさせないために、あなたの思考を矯正します。」

 

「いいですか?この世界は虚しいものであり、意味などありません。しかしそんな世界の中で唯一意味があることが、私という偉大な大人に従い、駒となることなのです。…‥そんな大人の言うことに逆らっては、いけませんよね?…‥復唱なさい。『これからは大人の言うことに従い、マダムの駒となるために全力を尽くします』」

 

「…‥これから、は、大人の言うことに従い、マダムの、駒となるために、全力を、尽くします…‥」

 

「…‥vanitas_vanitatum_et_omnia_vanitas。この教義も、忘れてはなりませんよ。」

 

「はい…‥…‥…‥あの」

 

「なんですか?」

 

「これを…‥他の子にもするんですか?」

 

「…‥さぁ、どうですかね?ただ一つ言えるのは、『私はそこまで甘くない』ということだけです。」

 

「!…‥」

 

「自室に帰り、明日に備えなさい。…‥これからは、私に対して隠し事は出来ないと思いながら懸命に暮らしなさい。いいですね?」

 

「…‥はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(意識がはっきりしない…‥気を抜いたら、直ぐに倒れそう…‥)

 

おぼつかない足取りで、自室へと足を進めていく。

 

(…‥あっ)

 

(自分の部屋に向かってたはずなのに…‥)

 

(ここは、ユウジの部屋だ。)

 

(…‥)

 

 

 

 

 

 

 

 

(もう少し止まっていた方がいいな…‥後10分したら、帳を張ろう。…‥ん?)

 

「…‥」

 

(ミサキ!?どうして…‥いや、今はそれよりも。)

 

(『闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え』)

 

(よし…‥これで奴には、俺が大人しくしているところしか見えないはずだ。)

 

「…‥久しぶり、元気…‥いや、なにもされてな…‥!」

 

俺の言葉を遮るように、なにも言わず覆い被さられる。

 

「…‥」

 

「…‥どうした?」

 

「…‥私もう、分かんない。」

 

絞り出すように、今にも泣き出しそうな声で、ミサキは言葉を紡いでいく。

 

「やっぱり、こんな世界に希望なんて無かった。」

 

「…‥大人なんて、大っ嫌い。」

 

「自分達の理想ばっか言って、従わなかったら無理矢理言うことを聞かせようとする。」

 

「私達の気持ちなんて、これっぽっちも考えてない。」

 

「…‥いつ終わるの?この希望の見えない日々は。…‥ねぇ、教えてよ。」

 

「…‥」

 

俺は、なにも言えなかった。『なにかあったのか?』『いやそもそも、この生活自体この子達にとって相当な苦痛だろうから、限界がきてしまったのか?』そんなことが、頭を駆け巡っていた。

 

「ユウジでも、答えられないんだ。…‥ならもう、私は…‥」

 

「なんで、生きてるの?」

 

見ていられなかった。ミサキにこんなことを言わせておいて、なにも出来ない自分にどうしようもなく腹がたった。

 

けど、それでも。

 

俺は、今やれることをやるしかない。

 

今までの覆い被さられていた体制からそのまま、抱き寄せる。

 

「!」

 

「…‥ごめん、なんて言葉を使うつもりはない。」

 

ミサキの表情は見えないけれど、しっかりと伝わるように、俺の思いが届くように、耳元で言葉を紡ぐ。

 

「俺があの時負けたことが、全ての始まりだった。あの時勝てないにしてもそれ相応の強さを示せていれば、撤退していた可能性もあった。」

 

「…‥その事を今更なんて言ったって、償えるわけがない。」

 

「約束は出来ない。俺も、どうしたらこの地獄のような日々が終わるか検討がつかないから。…‥だからせめて、俺がこの日々を終わらせるまで…‥いや、違うか。俺が、先への希望を見せるまで」

 

「ミサキには、生きていて欲しい。」

 

「けど!けど…‥私はもう、なんのために生きたらいいのか分からない!」

 

…‥こんなことを、言いたくはなかった。こんな、ミサキを縛り付けるような事を口に出したくはなかった。

 

だけど

 

今の俺には、これしか思いつかない。

 

「俺のために、生きてくれ。」

 

「!」

 

「これは俺の我が儘だ。俺がミサキに生きていて欲しいから、俺が、まだミサキとこうやって話していたいから言ってる。」

 

「…‥お願いだ、ミサキ。」

 

「…‥」

 

少しとも永劫とも思える沈黙の後。ミサキは目に少しの涙を浮かべながら、その願いに対しての答えを言った。

 

「…‥いじわるだね。私をまだ、この世界に残すんだ。」

 

「…‥あぁ、そうさ。これは純粋な願いなんかじゃない。俺からミサキに対する」

 

「『呪い(まじない)』だよ。」

 

(…‥やっぱりあなたは、優しいね。自分の我が儘だって言って、私に押し付けないようにしてる。)

 

「…‥分かった、ユウジ。」

 

気づけば流れていた涙は止まっていて、自分の口角が少しだけ上がっているのが分かった。

 

「私はこれから、ユウジのために生きる。…‥だから」

 

「勝手にいなくなったら、許さないから。」

 

「あぁ、それは約束する。俺は必ず、ミサキを置いていかない。」

 

「…‥絶対、だから。」

 

「おう。」

 

「…‥今日は、さ。ここにいちゃ、ダメ?」

 

(…‥確かに見張りがもうそろそろ厳しくなる時間だし、完全消灯も近い。今日の内はここにいた方が安全か?いやでも、奴がどこから見ているか分からない以上、せめて帳が切れたら帰らせた方が…‥)

 

「…‥おねがい。」

 

(!…‥よし、縛りを結ぼう。『今日の夜の間だけ帳の効果を引き伸ばす変わりに、3日間帳と呪術の使用禁止する。』…‥出来た。)

 

「…‥分かった。じゃあ今日は、一緒に寝ようか。」

 

「…‥うん。」




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