こちらは想定より短くなってしまいましたが、終わってから(これ以上付け足すのも野暮だな)と思ったので、このまま投下します。
それでは、どうぞ!
私は昔、孤独でした。
元いた場所は大人達がたくさんいたけれど、私のような子供には…‥戦力にならなそうな弱い子供には、見向きもされませんでした。
お腹は、いつも空いていたと思います。ゴミを漁ったり大人達が食べ残した残飯を盗んだりして、なんとか生きていました。
だけど内乱がより激しくなって…‥私達のような子供は邪魔になったんでしょうね。案の定、追い出されました。
私と同じように追い出された人は結構いたけれど、皆で助け合おうっていう風にはならなくて…‥
そこでもまた、争いが起きました。
私は必死に逃げました。『死にたくない!』って、それだけを考えてただひたすらに。
でも、すぐ限界がきました。お腹も空いていたし、体もすごく疲れていたから、当然です。
…‥正直、もう駄目だと思いました。私はこのまま死ぬんだって、諦めていたと思います。
けど
『…‥大丈夫?』
手を、差し伸べてくれる人がいました。
『よく食べるねぇ~…‥これも食べる?』
こんな私に、食べ物を与えてくれる人がいました。
『俺達と、一緒に暮らさないか?』
私の我が儘な願いを聞き入れてくれて、しかもそれを叶えてくれて、口に出さないはずだったことを出してしまってもそれを受け止めて、私にとってそれ以上ない提案をしてくれた人もいました。
きっとあの瞬間、私は
本当の意味で、お腹一杯になったんだと思います。
それからの日々は本当に楽しくて、いつも暖かくて美味しい料理が食べられました。
私のことを気に掛けて、色々なことをしてくれる家族もいました。
あの日々の間は、あの時間が続いていた時は、私は
孤独じゃ、なかったです。
…‥けど、そんな楽しい日々も終わってしまいました。
ベアトリーチェと名乗っていた、あの大人の手によって。
あの時、あの大人に付いて行って初めてユウジさんを見た時、おかしいとは思ったんです。
明らかに体が傷ついていたし、とても苦しそうでした。私達を見た瞬間、いつものように戻りましたけど…‥無理をしているのが、私の目で見ても分かりました。
それからは…‥辛い日々が続いています。
『vanitas_vanitatum_et_omnia_vanitas』…‥ベアトリーチェ…‥マダムはこの言葉を、この世界における絶対の真理だと言い、唯一意味のあることを『私という偉大な大人に従い、駒となること。』と言っています。…‥けれど
私は、そうは思えません。
本当に全てが虚しくて、なんの意味もないのなら…‥私が感じたあの暖かさも、私に対して向けられた優しさも、無意味なものなのでしょうか?
…‥いいえ、違います。いくら言われようとも、私は全てが虚しいとは思えません。だってそう思ってしまったら
皆さんが私にくれてその全てを、否定することになってしまいますから。
そう、思っていたのがいけなかったのでしょうか?
「辛いですね…‥苦しいですね…‥」
(身体中が痛いです…‥足も、上手く動かせません…‥)
それとも、大人には子供の考えていることなどお見通しなのでしょうか?
…‥あぁ
お腹が、すいた。
私、分かりました。『飢えること』というのはなにも、ただお腹が空いている時のことを表すんじゃない。
こんな風に…‥寂しい時、孤独を感じる時にも、飢えというものは感じるものなのでしょう。
「寂しいなぁ…‥」
部屋の中に小さな呟きが木霊し、やがてその言葉は空気にも触れぬまま、塵にもならず消えていった。
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