自分の想定よりずっと伸びてしまいプレッシャーを感じますが、自分の出来る限り頑張ろうと思います。
それでは、どうぞ!
「…‥さっきはありがとう。」
少しの時間が経ち、お互いが落ち着いた後、少しの沈黙の末、少女がお礼の言葉を口にする。
「気にすんな。人は、助け合って生きてるんだから。」
俺はその言葉に対し、『あまり気にしなくていい』と返す。けれど、俺の返しに疑問があったのか、少女は怪訝の顔をして
「…‥けど、私は、だれかに助けられたことなんてない…‥たぶん、あなたがやさしいだけだと思う。」
と、俺のことを称賛する言葉を口にする。…‥そうか、この子はいままで、誰かに助けられたことすら…‥
「…‥そっか。」
少女のこれまでの人生を察してしまい、少し素っ気ない返事をしてしまう。
「「…‥…‥」」
俺の返事のせいか会話が終わってしまい、沈黙が場を支配する。『なにか話題を…‥』と考えていると
ぐうぅ~~~
隣から、辺り一面に響くぐらいの音が鳴った。
「ん?今のは…‥」
音の出所を探して周りを見渡していると
「…‥///」
先ほどの無表情とは違い、少しばかり頬を赤らめている少女がいた。
「…‥お腹、空いてるのか?」
「いっ、いやべつに…‥…‥…‥コク」
俺の問いかけに対し、少し戸惑いながらも少女は頷く。…‥このまま放って置くのもあれだしな…‥
「…‥よし!じゃ、一緒に来い。俺もこれから晩飯だったし、丁度いいや。」
「まっ、まって!」
「…‥湖?」
「おう。さっきの水も、ここで汲んだんだ。」
先ほどの場所から20分ほど歩き、俺がつい先日見つけた湖に着いた。
「こんなに大きな湖があったなんて…‥」
見たことがなかったのだろう。少女は目の前の湖に驚きの声を洩らす。
「よし。じゃ…‥…‥そういえば、まだ自己紹介してなかったな。俺は虎杖悠仁。お前は?」
「…‥
「サオリっていうのか、いい名前だな。よろしく、サオリ。」
「…‥よろしく、ユウジ。」
「じゃ、俺は魚を取ってくるから、サオリはここで待ってて。」
「…‥さかな?さかなって、何?」
「…‥説明するより、見せた方が早いな。」
「!ゆうじ!?水の中に入ったら…‥」
「大丈夫。俺、強いから!」
(昨日は体の関係で力が足りず、素潜りで魚を捕ることが出来なかった…‥だが、呪力を識った今なら…‥そこだ!)
「ふぅ~、よし!まずは一匹目!この調子でどんどん捕っていこう!」
「なんとか3匹は捕れたけど…‥体力の消費が激し過ぎる…‥どんどん使って、馴れていくしかないな…‥」
「それが…‥さかなっていうの?」
「おう!これの他にもいろんな種類の魚がいるけど、基本的にはこんな形だぞ。」
「へぇ…‥」
一匹目を捕るまでは速かったが、その後意外にも苦戦してしまい、そんなに大量の魚を捕ることが出来なかった。だが、3匹もあれば今腹を満たす分には充分だろう。
「…‥ねぇユウジ、本当に大丈夫なの?」
先ほど何も言わず飛び込んでしまった為、サオリにいらない心配をかけてしまった…‥その証拠に、今も少し不安そうな顔をしている。…‥安心させないとな。
「おう、大丈夫だ。心配してくれてありがとうな。」
「……‥なら、いいんだけど…‥」
「サオリは、優しい子だな。」
その言葉は自然と口から溢れ、自分でも言ったと確信を持てるまでに一瞬の間を用した程、滑らかに発された純粋な気持ちの表れであった。
「!私は別に…‥やさしくなんてない。」
サオリはなにかを後悔しているような顔をして、俺の言葉を否定する。…‥おそらく、過去になにかあったんだ。この子がこう思ってしまう出来ごとが。でも__
『過去は過去、今は今は。たとえ過去になにがあったとしても、サオリが持っている優しさに変わりはない。』
…‥この位の歳の子にこう言っても、あまり伝わらないだろうな。
「そんなことない。サオリは本当に、優しい子だよ。」
今、サオリに伝えるならこう言った方がいいと思い、先ほど思ったことを少し変え、口を開く。
「…‥そう、なのかな。」
先ほどと比べ、少しだけ明るい顔つきになった。…‥なんとか、俺の思いは伝わっただろう。
「…‥よし、サオリは少し離れていてくれ。今から火を起こすからな。」
「火を?どうやって…‥」
「俺も実際にやるのは初めてなんだけど…‥こうするらしい。」
地面に落ちていた木片と枯れた木の枝を並べ、木片を下に敷き、木の枝を垂直に置く。そして…‥
「これを、擦る!」
(っ!やっぱりそう簡単にはいかない、俺の力で壊さないよう呪力で強化してはいるけど…‥元々の耐久性がないから、下手に力を込めすぎると木片を破壊してしまう!)
「…‥難しいな…‥」
「ねぇ、ユウジ。」
「ん?どうした?」
俺が着火に苦戦している時、後ろからサオリが声をかけて来た。手を離すわけにもいかないので、そのまま返事をする。
「火が着いてもさ、木がそれだけじゃ、すぐに消えちゃうんじゃない?」
「!盲点だった…‥確かに、この量じゃすぐに消えてしまう…‥」
(確かにその通りだ!抜けていた。…‥はぁ、木を集めてくるか…‥)
「だからさ、私、そこら辺に落ちてた木を拾って来たんだ。」
「!サオリ、ありがとう。…‥ごめんな、俺のせいで苦労をかけて。」
「ううん、気にしないで。『人は助け合い』なんでしょ?」
「!驚いた…‥サオリは本当に、優しい子だなぁ…‥」
「はぁ…‥はぁ…‥よし!ついたぞ!」
「ユウジ、やったね!」
「あぁ!これも、サオリのお陰だよ!ありがとう!よし、これでようやく…‥」
辺りはもうすっかり暗くなり、火がないと互いの顔も、手元も見えない程に視界が不自由になってしまったが、『魚が焼けるようになった』という事実だけで、『時間を掛けて良かった』と心の底から思うことが出来た。
「ここを…‥こうして…‥よし、しっかり刺せた…‥これを火の近くの地面に刺し置いて…‥よし、これで待っていれば…‥」
「これは…‥なにをしてるの?」
「あぁ、これは魚に火を通してるんだよ。魚はそのまま食べたらお腹を壊しちゃうからな。」
「そうなんだ…‥ユウジは物知りだね。」
(本当は捌く必要もあるけど…‥俺が先に食べて、駄目そうだったら食べさせないでおこう…‥)
静寂。魚を焼いている『パチパチ』という音が辺りに響き、順調に火が通っているのを実感出来る。…‥こうやって火を見ていると、不思議な気分になるな…‥
「!いい匂いがしてきた、おいしそう!」
静寂を破ったのは、サオリの初めて見るものに対しての期待が籠った声だった。少し、火に近づき過ぎてるな…‥
「あんまり火に近づくなよ~、危ないからな。」
「うっ、ごめん…‥」
「…‥…‥もうそろそろ、頃合いだな。」
「!食べていいの!?」
「まだだ、俺が先に食べて大丈夫だったら、サオリも食べていいぞ。…‥…‥よし!いただきます!」
(…‥…‥渋い。まぁ、なんの味付けもしてないから当然か…‥だけど、この世界に来て初めて魚が食べれた。貴重なタンパク質だから大事にしないと…‥あっ、そういえば)
「サオリ、食べていいぞ。念のために、内臓の部分は避けて身の部分だけを…「いただきます!」‥おい、聞けよ。」
(まぁ、食べて変な感じもしなかったし、多分大丈夫だろ。)
俺が忠告を言い終わる前に、サオリは勢い良く魚にかぶりつく。すると、徐々に食べる勢いが落ちていき、次第に泣き出してしまった。
「!サオリ、どうした!?不味かったか!?もし食べれないなら吐き出しても「ちがう…」」
「ちがう…‥おいしいの、こんなにおいしいもの、生まれて初めて食べた…‥ありがとう!ユウジ!」
サオリは心底嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、俺に対し感謝の言葉を口にする。
「…‥サオリ、俺の分も食べるか?」
「…‥いいの?」
「あぁ。俺はあんまり腹減ってないからな。」
「ありがとう!」
サオリが幸せそうに魚を食べているのを横目に眺めながら、思考を巡らせる。
(これをそんなに美味しそうに食べるなんて…‥日頃、どんなものを食べていたんだろうか…‥ここには、なにかもが足りていない。住む場所も、着る服も、食べるものも、人も、物資も、教育も…‥この子ともし、ここで別れたら…‥この子は、サオリはどうなる?今、俺の前で幸せそうにしているサオリが…‥…‥俺がこの世界に来て最初に見た、"あの子"のようになってしまうのか?…‥駄目だ!ならばどうするか…‥決まってるだろ)
「ふぅ~…‥もう、お腹いっぱい!きれいな水も飲めて、お腹もいっぱいになるまで食べるなんて…‥こんなに幸せな日は、初めて!」
「良かったな…‥なぁサオリ、一つ、提案なんだけど…‥」
「うん?なに?」
サオリは笑顔でこちらに振り向く…‥俺は意を決して
「俺と一緒に、暮らさないか?」
と、先ほど考えていた結論を伝えた。
「…‥え」
サオリは呆気にとられた顔をしている…‥やっぱり、少し急過ぎたか?
「勿論無理にってわけじゃない。ただ、お互いを助け合える関係になれたらそれで…‥「うん!」」
「うん!私、ユウジと一緒に暮らす!」
「…‥い、いいのか?そんな簡単に決めて…‥俺達、今日会ったばかりなんだぞ?自分でいうのもあれだけど、そんなにすぐ信用しない方が…‥」
あまりにも素直に俺の提案を受け入れるサオリの勢いに押され、自分から自身のことを下げるような発言をしてしまう。
「あんまりむずかしいことは分からないけど…‥今まで、私を助けてくれる人なんていなかった。それどころか、お互いを傷つけあったこともあった…‥」
サオリは少し暗い雰囲気で、今までを思い返すように言葉を紡いでいく。
「でも、ユウジはちがった。私を助けてくれて、水も、食べものもくれた。こんなに優しい人が『一緒に暮らすか?』って言ってくれてるんだったら、私はそれを信じる!」
先ほどの雰囲気から一変して明るくなり、『ユウジを信じる!』と真っ直ぐ俺を見つめながら言う。…‥俺を信じてくれてるんだ。その信頼に、答えないとな。
「…分かった!これからよろしく、サオリ。」
「うん!よろしく!ユウジ!」
お互いに確かな信頼を感じながら、力強い握手を交わした。
どうでしたか?今回の話は4000文字と、普段の二倍程の文字数になりました。自分が思う限り、幼少期のサオリってこのくらい活発だと思うんですよね。ああいう性格になったのは半分くらいはあの人のせいでしょうし…‥
お気に入り登録、感想を書いていただけると作者が狂ったように喜びます。