虎杖悠仁に成り代わった男の青春物語   作:ブルアカ大好き

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UA4000突破&日刊最高32位ありがとうございます!

まだまだ拙い部分が目立つと思いますが、どうか温かく見守っていただけると嬉しいです。

それでは、どうぞ!


四話 新しい暮らし

 

 

「ユウジ、ユウジ、起きて!」

 

「…‥ん…‥おはよう、サオリ。」

 

「うん。おはよう、ユウジ。」

 

俺とサオリが一緒に暮らし始めてから早数日。最初はお互い少しぎこちなかった(主に俺)が、今では身を寄せあって寝る程になった。…‥…‥いや、距離感おかしくね?まぁ、子供同士だったらこんぐらいなんかな?

 

「今日はどうするの?また家を直すの?それとも、先に食べ物を集めに行く?」

 

「そうだなぁ…‥先に、家を直そうか。ちょっと、手頃な木の板を集めて来てくれないか?」

 

「うん、任せて。」

 

ちなみに『一緒に暮らす』と約束した後、まだそこまで壊れていない家を見つけることが出来、今はそこを拠点としている。しかし当然と言うべきか、ところどころ穴が空いているため、毎日少しづつ修復している。

 

(今日は…‥壁を補強するか。穴は塞いだけど、それだけじゃ足りない。もっと丈夫にしないと、風が強い日が来たら直ぐにまた穴が空いてしまう。それに…‥すきま風が凄いんだよな)

 

確かに、この家はここ周辺にある家屋の中で一番形を保っているといっても過言ではないだろう。しかし『人が普通に暮らせるか』と言われれば、即答でNoと答えるくらいには酷い状態であることもまた事実だ。

 

天井は無数の穴が空いていて雨が降れば一溜りもなかったのを、雨漏り一滴すら通さない程に修復出来たが、他の場所の欠けや穴を最低限塞いでなんとか家として呼べるくらいの状態に持っていくのに随分と時間がかかってしまった。

 

工事なんて始めてだからいつガタが来るか…‥不安だ。大工さんって凄かったんだな、今なら心の底から尊敬出来るよ。

 

「ユウジー!このくらいでいい?」

 

そんな考えごとをしていると、サオリが両手いっぱいに木の板を抱えて戻って来た。

 

「おっ、ありがとう。…‥今日は、昨日のより丈夫なのが多いな?」

 

「うん、たまたまそういう木が集まってる場所があったんだ。」

 

「へー…‥後で連れてってくれないか?」

 

そう言って、木の板達から目を離してサオリの顔を見ると、俺のことを諌めるような目をしていた。

 

「いいけど…‥ごはん食べてからね。ユウジ、昨日もあんまり食べてないでしょ。普通、自分で手に入れた食料は自分の物なのに、私の分ばっかり多くするんだから…‥」

 

「うぐっ…‥分かったよ。…‥なんか、サオリはお姉ちゃんって感じがするよな。」

 

「私がお姉ちゃんなら…‥ユウジは弟?」

 

「それは嫌。」

 

「…‥私の弟になるの、そんなに嫌?」

 

「嫌というか…‥複雑というか…‥」

 

(流石に自分より小さい子を『お姉ちゃん』って呼ぶのはなにか不味い気がする!)

 

「むぅ…‥ユウジのほうがちっちゃいのに。」

 

「それはそうだけどさぁ…‥…‥この話はここで終わり!俺は釘作って家直してるから、サオリは水を汲んで来て!」

 

「あっ、ユウジから言い始めたのに……‥まぁ、こういうところが可愛いんだけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(はぁ、まさかあんなにムキになるなんて…‥へこむなぁ…‥なんか、感情の起伏が激しい気がする。体に精神が引っ張られてるのか?)

 

「…‥駄目だ駄目だ!今は集中しないと…‥」

 

俺は今、自分の呪力を使い木の板を釘に加工している。

 

ここには木の板はあっても、それを着けられる物がない。そんな中考えついたのが…この、『釘を作る』ことだった。

 

具体的には、木の板を手で割り、それを釘のように加工してから、木の板を修復したいところに重ね、作った釘に呪力を込めて打ち込むといった感じだ。

 

今はこの方法しかないが、いつかはこんなことをせずに済むようにしたい。なんでかって?

 

物に呪力を込めるのはくっそ疲れるからだよ!後、込め過ぎると壊れるのも止めて欲しい…‥

 

ちなみに、トンカチの変わりに自分の手で打っているから少し痛い。

 

「…‥よし、出来た。後は、補強するだけだな。」

 

こんな風に役割を分担しながら生活することは、一つ一つの作業の効率も上がるし、同じ時間で最低二つのことが出来るから良いことずくめだ。

 

最初は『サオリを一人で行かせていいのか?』と思っていたが、俺が思っているよりサオリはずっと大人だった。多分、あの時はかなり限界だったんだろうな…‥

 

「ユウジー!水、汲んで来たよ。ここに置いて置くから、飲みたい時に飲んでね。」

 

「おう!ありがとう。サオリは疲れただろうから、水を飲んで少し休んでて。もう少しで終わるから、その後に食べ物を探しに行こう!」

 

「うん…‥そうする。」

 

考えごとをしながら修復作業をしていると、俺があの時作ったお椀(少し拡張して大きくした物)にいっぱいの水を入れてサオリが戻って来た。ここから湖はそう遠くないので、水の補充には困らないのは本当にありがたい。しかも、なぜかここの湖の水は綺麗なのだ。そのまま飲んでも大丈夫なくらいに。

 

(一々火を起こして沸かしてってなると手間がかかるからな…‥本当、なんであんな綺麗なんだろうな?)

 

「まぁ、細かいことはこの際いいか…‥よし!このぐらい補強すれば、なんとか大丈夫だろ。おーい、サオリ!もう中に入っていいぞ!」

 

「分かった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おつかれさま、ユウジ。」

 

「それを言うならサオリもだろ?いつもありがとうな、材料だったり水だったりを集めてくれて。」

 

「私にはこれぐらいしか出来ないし…‥」

 

「…‥これぐらい、じゃないんだ。たとえ自分がどう思っているとしても、俺が助かっているのは事実なんだから。もっと、胸を張っていいんだぜ?」

 

「そう…‥なのかな?」

 

「そーなの!」

 

「フフッ…‥やっぱり、ユウジは凄いね。いつも私を楽にさせてくれる。」

 

「…‥そんなに凄いか?ただ本心を言ってるだけなんだけどなぁ…‥」

 

「…‥そういうところだと思うよ、ユウジ。」

 

「どういうところ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし。じゃ、もうそろそろ行くか。流石に腹が減った。」

 

「うん…‥私も、お腹空いて来た。」

 

「今日は…‥まぁ、その場その場にあるものを食べる感じでいいか。最悪、また魚を捕りに行けばいいし。」

 

「そうだね。」

 

「よーし。じゃ、出発~!」

 

「おー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幸い、この辺は自然が豊富だからな。なんかあるだろ。」

 

(いやまぁ、『自然が豊富』と言っても、他の場所と比べたらって話だけど)

 

「…‥あぁ、サオリは最初に食うなよ。必ず、俺が先に食べて大丈夫だったらにしろよ。」

 

「…‥」

 

俺がそう伝えると、サオリはさっきと同じような目をしてこちらをじーっと見ている。

 

「な、なんだよ…‥」

 

「ユウジはいっつもそう。知らない食べものなんて体に悪いかもしれないのに…‥本当に大丈夫なんだよね?どこか、体が悪いとか…‥」

 

「本当に大丈夫だって!いつも言ってるだろ?俺の体は丈夫なんだよ。」

 

「…‥なにかあったら、すぐに言ってね。」

 

「おう。」

 

「…‥あっ、これ食べれそう。」

 

そう言って差し出されたのは、掌サイズくらいのオレンジ色の木の実だった。どことなく、柿に似てる気がする。

 

「どれどれ…‥見た目良し…‥匂い良し…‥うん、味良し。これ、集めておくか。掌サイズで食べ易いし。」

 

「分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、結構集められたね。」

 

「おう…‥俺が想定してた量よりかなりあったからなぁ。まさか、両手に抱えても持ち切れないぐらいあるとは…‥」

 

「そのおかげで、数日は食べるものに困らなさそうだね!」

 

「…‥そうだな。」

 

(嬉しそうだ。…‥これからも、飢えるようなことがないようにしないと。)

 

「あっそういえば、サオリがさっき言ってた『丈夫な木がいっぱいあった場所』に連れてってくれないか?」

 

「…‥今日は私より多く食べるって約束するなら。」

 

「分かったよ…‥」

 

 

 

 

 

 

 

「ここが、丈夫な木がいっぱいあった場所だよ。」

 

サオリに連れられて来た場所は、地面に使えそうな木片がたくさん落ちているところだった。

 

「おぉー!すげぇ…‥こんなにあるなら、暫くは木には困らなさそうだな。よく見つけてくれた、ありがとうな。」

 

「…‥私、偉い?」

 

俺がサオリを褒めると、サオリは少し照れながらそう聞いて来た。…答えは、決まってるな。

 

「!おう!サオリはずっと偉いぞ~」

 

今日頑張ってくれた分のお礼の気持ちを込めて、優しく頭を撫でてやる。

 

「…‥えへへ」

 

…‥嬉しそうだ、良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…‥あっ、家が見えて来たよ。…‥私、今日はもう疲れちゃった。着いたら、少し寝ていい?」

 

「おう。ていうか、そのまま俺も一緒に寝ていいか?俺も、もう疲れたわ。」

 

「うん!一緒に寝よう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、お休み…‥」

 

「うん、お休み。…‥ユウジ、もうちょっとこっちに来て。」

 

「…‥分かったよ。」

 

最初は少し距離をとっていたが、寂しそうな声を出されたので近づき、ついでに抱き締めてやる。

 

「!…‥えへへ、誰かと寝るって、やっぱりいいね。」

 

「…‥あぁ。俺もそう思うよ。」

 

「…‥…‥zzz」

 

「もう寝ちゃったか…‥もう少ししたら、また修行だな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サオリが完全に眠ったのを確認してから、修行場に来た。

 

といっても、家の裏の比較的なにもない…‥いわば、空き地みたいなところだけど。

 

「うーん…‥やっぱり、呪力を集める感覚がいまいち掴めないな…‥もっと、使っていかないと。」

 

「物に呪力を込めるのはずっとやっていたからだいぶ慣れて来た。もう、最初のように極端に疲れることはなくなったな。…‥あっ、石壊れちゃった。」

 

「…‥28、29、30!はぁ、はぁ…‥筋トレも、やっぱりこの年だとキツイな。もういっそのこと、筋トレはもう少し成長するまでやらなくてもいいかもしれない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…‥今日は、このくらいにしておくか。…‥サオリが起きてないといいんだけど…‥」

 

サオリを起こさぬよう、ゆっくり、忍び足で家の前まで戻る。

 

「…ゆうじぃ…‥zz」

 

ドアを少し開けて中を覗くと、笑顔で寝言を言いながらぐっすりと眠っているサオリが見えた。

 

「ほっ、ぐっすりだな。最初の位置に戻ってっと…‥お休み、サオリ。……‥…‥…‥…‥…‥…‥zzz」

 

家を直して、食べるものを探して、修行をして寝る。これが今の生活だ。決して楽とは言えないが、まぁ、楽しい日々だ。…‥このままこの日常が続いて欲しいと、そう、思ってたんだけどなぁ…‥…‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユウジ!水と食べ物を持って来て!」

 

「どうした?そんなに慌てて…‥!?」

 

昨日と同じように役割を分担して作業していた最中、どこか切羽詰まったような声をしたサオリが帰って来た。なにごとかと思いサオリを見ると…‥

 

黒い髪色をした、サオリと同じくらいの年の子を抱えていた。

 

「速く!私はこの子を楽な体制に寝かせるから!」

 

「わっ、分かった!」

 

 

 

どうやら神様は、俺に穏やかな暮らしをさせる気はないらしい。




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