すいません、ストーリーの構成を詰めるために原作を読み返していたら、とんでもないことに気づいてしまいました。率直に申し上げると、『本来知っていなかった情報を知っていることにしてしまう』というミスを犯してしまいました。ミサキ達は本来、内乱のことなど何一つとして知らなかったのです。…‥ここでは、ミサキ達の生活がユウジによって保証されていたため、周りに目を向ける余裕があり、情報も集められたという解釈でお願いします。今後は、このようなミスが起きないよう細心の注意を払っていきたいと思いますので、どうか今後も読んで頂けると幸いです。
では、どうぞ!
「…‥本当に行くの?」
「あぁ、ここ最近は明らかに異常だ。今までは目を反らせてきたけど、そうもいかなくなってきた。」
ヒヨリを家に迎え、しばらくたった頃。近頃、ここら周辺で人に会うことが多くなってきた。まぁ会うといってもいきなり襲ってくる場合が殆どで、話し合いなんかも出来ない。そのため、外に出る時は全員で行動するようにしている。
ただ、今の状況がこのまま変わらないとなると、いずれこの家にまで襲いに来るかもしれない。
だから俺は原因を探るため、比較的多く人が来る方向を目指してみようと思ったのだ。
「き、気をつけてくださいね。」
「…‥何で一人で行くの?」
「サオリ…‥今回に限っては、複数人での行動は出来ない。なんたって、静かに行動しないといけないからな。」
「それは分かってるけどさぁ…‥」
「…‥ありがとな、心配してくれて。けど、このまま何もしないでいたくないんだ。」
「諦めな。ユウジのことは、サオリが一番よく知ってるでしょ?」
「…‥絶対、無事に帰ってきて。」
「勿論。…‥じゃ、行って来る。」
(…‥おいおい、マジかよ…‥)
誰にも見つからないよう慎重に進んで行き、完全に知らないところまで来ると、驚きのものがあった。
(要塞?いやそこまでじゃないが…‥ここにこんな発展したところがあったなんて……)
それは、ここらの荒廃した様子とは180度変わっている、自身が前世で少しだけ見た『軍事基地』のようなものだった。
辺り一帯は黒い壁に囲われており、とてもではないが壊せそうになく、唯一の出入り口であろうところには勿論門番がいる。
正直、ここまで近づいたこと自体が失敗であると気づくまで時間はかからなかったが、このまま何の成果もなく帰るのは居たたまれない。どうするべきか頭を悩ませていると、ある違和感に気づいた。
(…‥!あそこ…‥上手くカモフラージュされているけど、入れるんじゃないか?)
壁の一部の部分の前だけが、周りと比べて綺麗過ぎたのだ。
そこから推測出来るのは、『その部分をよく通っている』ということ。つまり、隠しドアがあるのではないかということだ。
門番に見つからないよう最大限注意しながら、壁へと近づいていく。
(ここか?いや違う。ならこっちは…‥!開く!開くぞ!)
疑問は確信へと変わり、開閉できることを確認できた。が、ここでも『迷い』が生じた。
(この中がどうなっているか分からない以上、ここから侵入するのはギャンブルでしかないし、危険も伴うだろう。入ったが最後、迷って出られなくなるということもあるかもしれない。…‥だけど)
ここに侵入した時のリスクを加味し、少しの間考えを巡らせていた。が、やがて一つの結論へと辿り着く。
(行動しなければ、何も得られない。)
そもそも自分は調査のためにこの場所に来たのであって、それを果たせずに撤退するということは何もしていないことと同義である。
そんな情けないことはしたくないし、わざわざ危険を冒した意味がなくなると考え、侵入することを決意した。
壁を開け中を見ると、無機質な通路が見えた。
(…‥怖ぇ……真っ暗だ…‥)
「…‥行こう。」
余りにも先が見えず恐怖を覚えるが、意を決して足を前に踏み出していく。
(壁には所々に電球が埋め込まれてるな…‥多分、ここを開ける時だけ点けているんだろう。)
壁に手を添え、慎重に前と進んでいく。侵入者に対しての対策を講じていないとは思えないため、罠が仕掛けてある、もしくは監視カメラがある可能性を考慮し、辺りを確認しつつゆっくりと足を動かしていく。
(!出口だ…‥)
約3分程歩いただろうか、ついに道が終わり、外と同じ壁のようなドアが姿を表した。
(聞いた感じ、向こうに人はいない。ドアノブに少し埃があるから、最近は使っていないんだろう。…‥いけるか?)
聴力と視覚を最大限活かし、このドアを開けられるかを考える。
(もし、俺の侵入がバレていて待ち伏せでもされていたら一貫の終わりだ。)
背中からは冷や汗が流れ、手は少し震え、心臓の鼓動は耳を打つほどにうるさい。端から見れば、恐怖しているのが丸分かりである。
自身の恐怖をなんとか押し殺そうとするが、四歳の体であるせいか感情の制御が上手く出来ず、恐怖はさらに深まっていく。
(…‥そりゃ、怖いに決まってるよな。元々こんな場所とは無縁だったし…‥)
今は前世となってしまった自身の何気ない日常を思い返し、それがいかに貴重で大切なものだったかを再確認する。
だが、懐かしんだところであの日々が戻って来るわけではない。それに、今の生活も本当に良いものであると思っている。
サオリ、ミサキ、ヒヨリ…‥最初はただの他人だった三人だけど、今では家族と呼ぶほどに大切であり、自身の命を懸けてでも守るべき存在だと認識している。
(…‥前世を懐かしむのは、もう止めよう。俺はもう、虎杖悠仁なんだから。)
前世を忘れるということは、そう簡単なことではない。これまでの自分の全てを否定することに他ならないからだ。
だが、いつまでも"前"に拘っていたら、"先"には進めない。
いつかは、先に進むことになる。それが今であっただけの話だ。
(…‥この恐怖を、無理に殺そうとする必要はない。受け入れて、進むんだ。)
自身の中で新しい決意を胸に刻むと、いつの間にか震えは止まっていて、先ほど覚えていた恐怖は、幾らか軽くなっていた。
(あんだけ怖かったのに誰も居なかった…‥怖がり損だったじゃねぇか!いやまぁ、誰か居た方が困るんだけどさぁ…‥)
あれだけ警戒していたが、扉の向こうにはただ物資が置いてあるのみで、人の陰も形も見えなかった。
(ここは物資の搬入口なのか?随分色々置いてあるな…‥)
見渡すと、保存食、小麦粉などの食料品から、様々な種類の銃と銃弾、さらには怪しげな薬品まで置いてあった。
(…‥これだけ色々な物が置いてあるということは、ここはまぁまぁ使われている可能性があるな…‥…‥足音!?)
「なんだ?今日はここに用のある奴は居なかったはずだが…‥」
「おかしいですよね、今日は私達が当番なのに…‥」
「…‥まぁ、ネズミでも入ったんだろう。」
(あっっぶねぇ!後一歩隠れるのが遅れてたら見つかってた…‥とりあえず、あの人達がここを去るまで隠れていよう…‥)
「…‥本当にそう思います?」
「何?」
(なんだ?余計なことは言わないでくれよ?)
「今の戦況は、はっきり言ってこっちが不利です。しかも、最近の向こうの動きはまるで人が変わったように的確です。…‥もしかしたら、補給品に何かしらの細工を施しに来た侵入者の可能性も…‥」
「…‥言われてみれば確かにそうだな。よし、確認しておこう。」
(おいおいおい!マジかよ!あいつ頭良すぎるだろ!どうするどうする!?もう近…‥)
もうどうすることも出来ないと、思わず目を瞑ってしまう。が、その時、突如として放送が流れた。
『総員に告ぐ、敵襲だ!だが、今回は前回の奴はいない!この期に乗じて、一気に攻め落とそうではないか!…‥今こそ!この争いに終止符を打ち、平和なアリウスを取り戻そう!』
「…‥行くぞ!もう粗方隠れられる場所は探した!」
「…‥はい!」
(ふぅーー…‥なんとか助かった。念のため、一番奥に隠れて置いて正解だったな。…‥それに、今の放送で色々と分かった。)
間一髪危機を免れ、一息つく。それと同時に、今の放送から考察できることを考える。
(恐らくではあるけど、直近で家の周辺に人が増えた原因は、内乱の深刻化だろう。)
予想を多分に含んでいる推測に過ぎないが、内乱の深刻化が進んだことで路頭に迷う人が増えたのだと、俺は考える。
争いが激化すれば、それに連動して必要な物資も増え、供給が追い付かない人も出るはずだ。
そういった人達が外に食料を求めた結果、ここ最近の状況が生まれたのだろう。
(…‥だけどこれが分かったところで、なにかしらの対策が打てるわけじゃない。…‥内乱が一刻も速く終わることを願うしかないのか?…‥…‥うん?)
今回の調査に意味はあったが、得られた結果はかなり絶望的なもので、もはや奇跡に縋る他ないと結論を出した時、
(あれは…‥なんかの通路か?それにしては小さいような気が…‥…‥今は人もいないだろうし、少しだけ見て帰るくらいなら…‥大丈夫だよな?)
それは、子供一人程度なら入れそうなぐらいの入り口から続いている通路のような物だった。成果は得られ、ここに長居する理由はないというのに、自身の好奇心が溢れて止まらず、中へと入っていってしまう。
(狭いな…‥なんか色々入り組んでるし…‥)
今の四歳程の体でも狭いと感じるほどに窮屈な通路を進んでいくと、淡い光が見えた。
(おっ、出口か?いや、なんかあるな…‥扇風機?…‥待って、もしかしてここって…‥換気扇のダクト内!?なんで俺が入れるくらいデカイんだよ!)
目の下にある物から自身の今通っている通路が何なのか分かってしまい、思わず内心で『どんな構造してんだよ!』と突っ込んでしまう。しかしここまで来たからには引き返すという選択肢は流石になく、そのまま進んでいく。
(…‥なんかこれ、ちょっと弄ったら直ぐに外れそうだな……‥…‥ってうおっ!?)
換気扇の羽部分の上に乗ってしまったことと、元々構造が甘かったこともあり、外に落ちてしまった。
「あてて…‥やっちまった。」
「…‥あなた、だぁれ?」
「!?」
自身のミスを悔いていると、後ろから声が聞こえた。先ほどのこともあり警戒度を一気に引き上げながら後ろに振り向くと、
椅子に座っている、淡い紫色の髪をした少女がいた。
この出会いを後に、少女はこう語る。
『あの時ユウジと出会ったのは間違いなく、運命だった。』
と
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