俺だって異世界迷宮でハーレムしたい!   作:おるどばれい

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転移七日目


19 開示(日常編)

「お疲れ様、まずはちょっと休もうか」

 

 宿に戻ってきてから荷物を下ろすと、二人をまたベッドの上に座らせる。俺はクローゼットから持ち込みリュックを取り出し中から五百ミリの水のペットボトルを二本取り出すとそれぞれに渡す。自分用にも最初に開けた残り四分の一程しか入っていないペットボトルを片手に持ち込みリュックを持ってベッドに上がる。

 

「あ、あの、ご主人様この綺麗な入れ物は……」

「凄い、中は水が入っているみたいなのにどんな向きにしても零れないしこんなに柔らかいのに壊れない」

「いいか? この細いところのキャップって言うんだがこれをこう持って捻るんだ。キャップが回りだしたら中身が零れる可能性があるから気を付けて」

 

 二人は俺のお手本を参考に恐る恐るキャップを回す。そんなに難しいことではないし、もともと力の強いドワーフ族だ。問題なくキャップは回る。

 

「何回か回すと蓋が取れるから中の水を飲んでもいいぞ」

「「は、はい」」

 

 不安解消のために先に残っていた水を飲み干して見せると、俺への信頼が厚いファンナが先に、続いてセリナが水を飲む。慣れていなくて口の端から少し水が零れているのが色っぽいっていうかエロい。ちょっと股間がむずむずしそうになるが、まだ我慢。

 

「「おいしい……」」

 

 いいね、二人が揃うとちょっと嬉しい、日本にいた時の双子の芸人みたいに狙って合わせている感じがしないのがいい。

 

「飲み終わったらこうしてまた蓋を閉める。そうすれば簡易的な水筒代わりになるかな。他にもいろいろな使い道はあるんだけど、五本しかないし今後手に入る予定もないから有意義な使い方を考えないとね」

 

「えっと、つまりこれがユータ様の秘密の入口、というわけですか」

 

 やっぱりセリナは賢いね。今のペットボトルのくだりは俺が話したいことのきっかけだということを即座に理解してくれる。

 

「そういうこと。最初に断わっておくと、なぜそうなったのかは全く分からない。だが、俺はおそらく移動魔法系の事故か何かで恐ろしく遠くからこの国へたった一人で跳ばされてきたらしい」

「……そ、そんなそれじゃあご主人様は他にお知り合いなどは」

「いない。この国に跳ばされてきたときに立ち寄った村で少し話した人たち以外は商売などで取引をした人たちの名前と顔を知っているくらいだ」

「……それでユータ様は私たちを」

「ああ、俺を裏切らない信頼できる仲間が欲しかった。加えてさすがに迷宮を一人で戦い続けるのは難しいというのもある。それになにより、ずっと一人でいるのは会話に飢えるというか、人肌恋しいというか……まあ、ほんの少し寂しく感じてな」

 

 奴隷の主人としてこんなことを言うのは良くないのかも知れないが、最初の仲間である二人には知っておいてほしかった。

 

「ご、ご主人様!」

「おっと!」

 

 俺が気恥ずかしくて視線を逸らした瞬間勢いよくファンナが抱き着いてきたので支えきれずに押し倒されてしまう。そうするとファンナの豊満なお胸が俺のお腹で押しつぶされて気持ちいい。

 

「わ、私が! 私たちがこれからずっとお側にいますから! 必ずご主人様をお守りします」

「あ、わ、私も」

「セリナ」

 

 出遅れたセリナの顔を見て、空いている左側の腕を開いて頷いてみせるとおずおずとゆっくりと抱き着いてくれる。あぁ、なんかいいなぁ。二人を買ってまだ半日なのにもうこの二人と離れるなんて考えられない。絶対にみんなで面白おかしく生きてやろう。

 俺は二人をしっかりと抱きしめた後、少しごわついた頭を撫でる。

 

「ありがとうな、ファンナ、セリナ。これからは二人がいるから寂しくない。もしかしたら二人に弱気なところや情けないところを見せることもあるかも知れないけど、幻滅しないでくれ」

 

 二人の気持ちが知れて緊張が解けたせいかつい漏らしてしまった本音にファンナは首を横に振り、セリナは縦に振った。でも、その意味は同じなんだと伝わってくる。

 ファンナは幻滅することなんてありませんからそんなこと言わないでください、でセリナはもちろん幻滅なんてしません、だから弱いところを見せてもいい。と伝えてくれている。

 

 それから二人は俺に抱き着いたまま俺の話を聞いてくれた。俺が遠くから来たことは言ったが、そこがどんなところだったか。文明の方向性が違っていて便利な道具がたくさんあったこと、それらをいくつか持っていること、だけど中にはあまり大っぴらに使うと悪目立ちをしてしまって悪い人に狙われるかも知れないものもあること。そして、俺はもう帰らないし、帰るつもりもないことなど……

 

 途中からは三人で車座になって電気式の各種ライトや、インスタントカメラ、百円ライターやジッポ式ライター、火起こし用のファイヤスターターや、爪切り、耳かきなども一つずつ見せて説明してあげると二人はその都度可愛らしく驚いたり感心したりしてくれた。

 

「とりあえず日常編ではこんなところかな。後はいろいろな知識が記された本みたいなものがあって調べれば変わった物を作れたりするかもって感じだな」

「す、凄いのですね。ご主人様がいらした国は」

「そうだね、便利な国ではあったかな。だがこの国ではちょっと大っぴらにする訳にはいかなそうだ。道具や知識は周囲には隠しながらうまく使っていきたいと思う。その辺りの協力もお願いしたい」

「それはもちろん協力いたしますが、あのユータ様……いま、日常編ておっしゃいましたか?」

「お、さすがセリナ、よく気が付いたな。後は探索編があるんだが、明日迷宮に行く前や探索中にいろいろ話そうと思っている」

「はぁ……わかりました。覚悟しておきます」

「ま、悪い話ではないからかしこまる必要はない。さ、話をしているうちにいい時間だ、夕食を食べに下りよう。あ、ちなみに奴隷だから一緒に食べるのはダメとかは言わないように」

 

 どうも奴隷の人たちは主人と食事が一緒じゃなかったり床で寝かされたりする傾向があるみたいだけど、それは日本育ちの俺にはかなりハードルが高い。

 

「ユータ様、本当によろしいのですか。私たちがご一緒することで周囲の人たちから、奴隷を同席させるような軟弱な奴だと侮られることもあるかも知れません」

「そんなのどうでもいい。二人と一緒にうまい飯を食うことの方が大事だからな。まあ、どうしても気になるなら頑張って迷宮探索して皆で住める家を借りよう」

「「……はい! がんばります!」」

 

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