俺だって異世界迷宮でハーレムしたい!   作:おるどばれい

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転移十二日目


40 引っ越し1 

 翌早朝、やはりちょっと体が冷えてしまった俺たちはちょっといたずら心を発揮して、裸んぼのまま三人で自宅の浴室に『ワープ』。さすがに浴槽にお湯を溜める余裕はないが、水がめや大きなたらいに『ウォーターウォール』と『ファイヤーボール』でお湯を作ると三人でキャッキャうふふしながらお湯を被って汗やら何やらを流してちょっと温まりつつ、さっぱりしてから宿に戻って朝食を摂った。

 

「さ、こことも一旦お別れだな。また食事に来ることはあるかも知れないが、これからはなるべく自分たちでやるようにしないとな」

「「はい、お任せください」」

 

 元気よく応える双子の頭を優しく撫でてやりつつ、十日間お世話になった海猫亭に小さく頭を下げてから背を向ける。

 

「よし、今日はベリルの市の日だから必要な物があれば買っていこうか。なんかあったっけ?」

「え、えっと、ご主人様のランプが足りない場所には燭台と蝋燭が必要だと思います」

「あぁ、そっか。あの広い家だと携帯ランプ三つじゃ足りないか。ランプは寝室に一つとリビングダイニングで一つか二つはいるな、お風呂に行くときはリビングからランプを持っていけばいいけど、壊れた後のことも考えたら蝋燭の明かりにも慣れておく必要はあるな」

 

 まあ、そもそもこの世界では暗くなっちゃうと蝋燭や油がもったいないからあんまり遅くまで起きていない。だから最近の俺たちも大分夜が早くなってきている。

 

「提灯みたいなのはあるんだっけ?」

「はい、ですが安い物は火袋の質が悪かったりしてあまり明るくないみたいです」

 

セリナの言葉に納得。透明なガラスとか薄い紙とかがないと難しいし、そういう質の良いものは高くつくんだろう。

 

「それなら持ち歩く用に蝋燭と燭台を二セット。家の中で灯すように油皿と灯芯を使った明かりを二セットくらい買っておこう。後はおいおいで」

「わ、わかりました。ありがとうございます」

「他にもあるか?」

「スープ用の深鍋も一つあるといいと思います」

「そうか、大きい鍋もあった方がいいか。いいのがなかったらクラタールの金物屋で買おう」

「はい、そうします」

 

 そんな話をしつつ市を見て回り、もはやデートと言っても過言ではない楽しいひと時を過ごし、ブラシやらいろいろなものを細々買い足してから正式に引っ越し。まあ、既に引っ越し済みみたいなものだったけど、自分ルール的にね。

 

 荷物等を下ろした後は、各々着替えをクローゼットに掛けたり、肌着なんかを割り当てられた自分の引出に仕舞ったり、水を入れた甕などを家の各所に配置したりしつつ俺はちょいちょい風呂場に寄り道して水を溜めていく。今日こそはがっつり肩まで浸かってやるのだ。そして、持ち込み品の中で温存しまくっていたあれをとうとう使ってやる。

 

 探索については今日のところはお休みだ。その代わり引っ越し祝いに軽くパーティのようなものが出来たらいいな、とクラタール市街に買い物に出て、野菜や白パン、コボルトスクロースやコボルトフラワーなんかを買い足し。肉はウサギがまだアイテムボックスに入っているのでそれを使う。

 

 二人にはどうしても作ってもらいたかった料理があったので、作れるか確認したところ問題なく出来るとのことだったので是非にとお願いする。その料理はミッちゃんのパーティメンバーの《鍛冶師》さんが作っていたドワーフ料理とされるボルシチっぽいスープだ。これを実際に食べることで本当にあの世界に来たんだなぁとさらに実感できるはず。

 

 俺自身はあまり料理が得意ではないが、《料理人》ジョブを取らなきゃいけないのもあるので、ウサギ肉のから揚げに挑戦。醤油的なものをまだ見つけていないのでソルトとペッパーで下味をつけてコボルトフラワーを削ったものをまぶして、オリーブオイルで揚げる。双子に聞いたら油で揚げる料理というのは聞いたことがないらしいのでうまく出来るかどうかは別として目新しいものを提供できるだろう。

 

 広めのキッチンで竈も三つあるため、三人でわいわいしながら作る料理は思いのほか楽しい。合間合間に溜めていた水もいい水量になりつつあるので、今度は『ファイヤーウォール』をちょいちょい出しつつ料理に勤しむことしばし。

 

「よぉし完成だ!」

「「わぁ!」」

 

 食卓に置かれた二人が作ったボルシチ風スープと、俺が作ったウサギのから揚げ、そして固くない白いパン。日本にいた時の食卓に比べればちょっと寂しいかも知れないが、三人で準備した食卓に不満などあろうはずもない。思わず歓声を上げてくれた二人も同じ気持ちのはずだ。

 

 残念ながら飲み物は現状では水のみだが、今後ハーブティーのようなお茶やドワーフである二人のためにお酒なんかも用意できるようにしたいものだ。

 

「じゃあ、二人とも好きな席に座ってくれ」

「え、えっと椅子に座るんですよね?」

「もちろん。皆で作ったんだから一緒に食べよう」

「あ、あの、じゃあですけど、私たちがどこに座ったらいいかはご主人様が決めてください」

 

 おおっと、ファンナ、そう来たか。パーティーメンバーが増えていく前提で短辺側に一人ずつ、長辺側に三人ずつの計八人掛けの大きなダイニングテーブルだから、どこに座ってもらうかで大分イメージが違う。だけどこの形ならお誕生日席的な上座に俺が座ってその両脇に二人が座るのが正解か。

 

「そうだな、奥に俺が座って、右手側にセリナ。左手側にファンナが座ろうか。一応席はそこで決めるけどメンバーが増えるまでは、なるべく俺の近くに椅子を動かして、近くで話しながら食べよう」

「ユータ様がそれでいいのでしたら……私たちはそれで大丈夫です。いいですよね、姉さん」

「うん、ご主人様の近くならどこでも大丈夫」

 

 二人がにこにこしながら椅子を動かして俺の近くに寄ってくる。うん、そこまで寄るとほとんど三人横並びだな……だったら長辺部分に並んで座ればいいんだが、まぁいいか。この距離感、これはこれでありだ。

 

 スープは主人が取り分けるルールだったと思うので、自分の分を確保した後は木皿に二つスープを入れてから、二人へ同時に差し出す。この二人にどっちが一番奴隷かなんて格付けはしたくなかった俺の苦肉の策だが、二人がほっとしたような顔をしていたので多分正解だったはずだ。

 

「じゃあ、食べよう。いただきます」

「「いただきます」」

 

 食事のときの挨拶については三人で食べるようになったときに双子から質問を受けたので、俺の国の風習だと伝えて簡単な意味を教えたのだが、それなら私たちもやりますと言い出したのでそれ以来続けている。

 

「お、このスープ美味しいな」

「ありがとうございます。今まで家では基本的に切ったりするのは私で、味付けは姉さんの仕事でしたが、これからは一緒に出来るのでだんだん準備も早くなると思います」

「なるほど、あまり見えてなかったファンナに包丁使わせるのは危なくて頼めなかったんだな」

「は、はい。でも味付けの方は私がやると評判が良かったので私の担当でした」

「ファンナは味覚も鋭いんだろうな、これからは二人で協力して美味い料理を頼む」

「「はい」」

「ほら、二人とも。今度はこの肉を食べてみてくれ」

 

 そう言って日本から持ち込んだ箸で小さめのウサギのから揚げを挟むとファンナの口へと近づける。箸に関しては十セットくらい柄違いの物を用意しているので、おいおい二人にも使い方を教えていく予定だ。

 

「ほら、あ~んして」

「え? え、あ、あぁ~ん?」

 

 この世界にはあ~んの文化がないのか、戸惑いつつも開いたファンナの口へから揚げをイン!

 

 さくっ

 

「はふぅッ!」

「ほら、セリナも」

 

 ファンナが一瞬目を見開いた隙にセリナにも同じようにあ~んをおみまいする。

 

「あ、え、あの、あ~ん?」

 

 さくっ

 

「あふぅ!」

 

 双子はしばし、もむもむとから揚げを口の中で堪能した後、示し合わせたように同時に口を開く。

 

「「これ美味しいです!」」

 

 良かった。一応から揚げっぽく出来ていたからダメだしはされないとは思っていた。だけどこっそり味見をしたときはやっぱり唐揚げ粉とか醤油的なものを使ったものと比べて物足りないかなと感じていたけど、迷宮産の肉が抜群に旨味があるせいでそれなりの出来になっていたのが良かったらしい。

 そして、無事に取得。

 

料理人 Lv1

効果 器用小上昇 体力微上昇 敏捷微上昇

スキル アイテムボックス操作 レア食材ドロップ率アップ

 

 後は石鹸あたりを作って《錬金術師》を取得して、《商人》のレベルが三十になれば商人系の派生職が三つ増える。ここまでくれば《遊び人》にリーチ。《盗賊》をレベル三十にして《賞金稼ぎ》の『生死不問』を成功させて《博徒》を取るか、滝を探して滝行をするか座禅を試したりして《神官》が取れれば《遊び人》の規定ジョブ数を満たせるはず。

 

「こんな料理の仕方があったんですね。オリーブオイルをたくさん使うのでちょっともったいないような気もしますが」

 

 セリナが現実的な意見を返してくるが、まあオリーブオイルくらいなら低階層で簡単に回収できる。

 

「そこはほら、俺たちならすぐに迷宮で調達できるからな。だったら美味しい物を食べたいだろ。揚げる系の料理はまだ他にもあるからな」

「た、楽しみです! 是非私にも教えてください」 

 

 ファンナはよほど気に入ったのか大分前のめりだ。これなら天婦羅やコロッケやトンカツ系の揚げ物も喜んでもらえそうだ。

 

「わかった、わかった。それに関してはちょっと提案もあるんだ。だからまずはせっかくの美味しい料理を味わってからにしよう」

「そうですね。冷めてしまったらもったいないです」

「は、はい! ご主人様に私たちの作ったスープを美味しく食べて欲しいです」

 

 主人と奴隷という関係らしからぬ俺たちを奇異の目で見るような周囲を気にすることなく双子と思う存分語らい、時にはボディタッチ込みでいちゃこらしながらの食事は非常に満足のいく時間だった。

 

 

 

次のメンバーはどんな人?

  • メイラ 索敵 長身細見長髪クール美女
  • シェリア 索敵 細見陽気軽妙元気少女
  • ロシー タンク 大柄繊細暢気愛され系
  • トモエ 後衛 色白獣耳獣尾クール美女
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