俺だって異世界迷宮でハーレムしたい!   作:おるどばれい

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転移十三日目


43 オークション1

 

 朝の探索を終えて迷宮を出ると、朝食の買い出しをしながら家に戻る。といっても買うのはパンとハムと卵くらい。あとはついでに石鹸を作れるようにダメにしてもいい小さい鍋を二つとコイチの実のふすまとシェルパウダーを買っておく。《錬金術師》が取得できる条件を確実に満たすためにミッちゃんと同じ作り方で一つ。保湿とかを考えてふすまを使わずにオリーブオイルで作るパターンで一つ試してみる予定だ。質の良かった方に今後はアロマ的な要素を加えたりしつつ改良をしていく予定。オイルもパームオイルやカメリアオイルが手に入ればそっちも試す。手持ちの石鹸がなくなる前になるべく良い物を作りたいと思う。

 

 戦闘の方の結果としてはレベル三十を超えたジョブが多いことであまり上がっていない。

 

長谷 悠太 男 18歳

探索者Lv33 英雄Lv31 魔法使いLv32 僧侶Lv32 

盗賊Lv23 商人レベル22

 

 ちなみに双子の《鍛冶師》もレベルは十六まで上がっている。昨日集めた皮での鍛冶修練も少しずつ進めていてジャケット、靴、帽子、ミトン、グローブ一式をそれぞれ作ってもらった後は、一番換金効率のいい皮のジャケットを作ってもらい、全部売却したら二千五百ナール。三割くんを使って三千二百五十になったので、皮の売値が十ナールであることを考えれば四十個、四百ナールだったところが二千八百五十ナールの利益が出たのだからかなりの成果だ。さらにこれから行われるオークションでスキル武器が売れれば……むしろ俺の方がヒモなんじゃないか説も出てくるが、一応は俺の【鑑定】や経験値ブーストがあってこそだからウィン、ウィンでいいだろう。

 

 家に帰って装備を解いてから、手洗いうがいをして、朝食。白パンとハムエッグなので火さえ起こせば準備はすぐ終わる。何気に白パンと卵は単価高めなのでこれでもリッチな食事だ。海猫亭でも朝は固めのパンとスープだけだしな。明日以降は夜に作るスープを少し多めに作っておけばさらにもう一品増やせる。十分だな。

 

「朝からこんなに美味しいものが食べられるなんて、本当に奴隷になってからの方が凄い暮らしをしてます」

「そ、そうだよね、おうちでは朝ごはんがなくて夜だけなんて日もよくあったよね」

「そうなのか? だが、うちでは探索と二人の鍛冶のおかげで日々の食事には困らないから、探索で力が出せるようにしっかり食べるぞ」

 

 二人は俺の言葉にしっかりと頷いてパンをかじると、今日から練習を開始した俺と色違いのお箸でハムエッグと格闘を始めた。ちなみに俺が黒でファンナが黄色、セリナは青だ。

 

「食べながらでいいから聞いてくれ。今日はこの後、文字の勉強をしたら商業ギルドでオークションの様子を見に行こうと思う。二人も自分たちがした鍛冶仕事がどれだけの成果を出すのかを一度は見ておいた方がいいだろうから同行してもらう予定だ」

「私たちではなくユータ様の成果だと思いますが」

「わ、私もそう思います」

「確かに鍛冶が成功する装備を見極めたり、レベルが上がりやすくなっているのは俺の力だけど、それも俺を信じて《鍛冶師》になって、一生懸命魔物と戦ってくれている二人がいてこそだ。二人はもっと自分のやっていることに自信をもっていい」

「自信とかはともかくユータ様のことは信じていますからこれからも頑張ります」

「わ、私も!」

 

 まあ、今はそれでもいいか。いずれ《隻眼》にでもなればいやでも自信もつくだろうしな。

 

 朝食後に三人で文字の勉強を少ししてから、掃除や洗濯を済ませ、二階の陽当たりのいいところにソーラー充電系のものを並べてからお昼前に家を出る。オークションは午後からということだから、歩いて中央広場に向かって、広場で昼食代わりに串肉を食べてから商業ギルドに入る。

 

「やはり来たな、ユータ坊」

 

 受付でオルトスを呼ぼうと思ったところでオルトスから声を掛けられる。どうやら俺たちが来ることは予測されていたらしい。

 

「最初の大商いだからな、お手並みを拝見しておこうと思ってな」

「ほっほ、言うのう。よいよい、存分に見てゆけばよいでな。ただ競りの当日に儂のやることはほとんどないぞ」

 

 なるほど、今回の売り仲買人としてのオルトスの仕事は、事前に購入意思のある者を会場に集めること。今日はもう成り行きを見守る以外にやることはないってことか。

 

「それなら、もし今日のオークション中に欲しい物があったら入札してもらおうか。ただ、鈍重が売れないと払えないが」

「構わんぞ、五十万ナールまでなら立て替えて売却代金で精算してやろう」

「ほう、それならもし欲しい物があったら頼むとしよう」

「ユータ坊が何を欲しがるか、それはそれで楽しみじゃな。ではそろそろ行こうか、嬢ちゃんたちも一緒でいいんじゃな」

「ああ、今日は三人で雰囲気を体感しようと思っている」

 

 どんなにバレバレでも二人が《鍛冶師》だとあえて暴露するつもりはない。

 

「ではついてくるといい」

 

 振り返って歩き出すオルトスの後姿はどこか機嫌よさげに見える……交渉ごとで戦える気がしないだけに突飛なことをされないか一抹の不安はあるが、専属仲買人の機嫌がいいのは悪いことではないだろう、多分。

 

「ん? オークション会場は一階じゃないのか?」

 

 一階のホールに入る扉から逸れて小さな階段へと向かうオルトスに疑問の声を掛ける。

 

「通常はな、じゃが中二階にもいくつか部屋があってな、そこなら個室だし入場料も入札参加証明もいらん。落ち着いてオークションを楽しめるじゃろうて」

 

 おぉ、それっていわゆるV・I・Pってやつですか? 年の功かなんかでちょっといい席を確保してくれたってことか。

 

「ほれ、ここじゃ。さほど広い場所ではないが、悪くない場所じゃろう」

「悪くないもなにも……」

 

 ライブの最前列くらいのつもりで軽く考えていた俺がオルトスに案内された場所は、確かにスペース自体は椅子が五つ並べるほどしかないが、オークションのステージよりやや高い場所に位置し、正面でこそないが斜め四十五度くらいからしっかり会場を見渡せる場所だった。こうなってくるとちょっといい席どころの話じゃなく紛れもなくVIP席だ。

 

「こんな場所、一介の仲買人が借りられる場所じゃないだろうと思うが?」

「わかるか? まあ昔の伝手でな、特に金はかかっておらん。気にせず座るといい。まもなく始まるぞ」

 

 おそらくオルトスが後進に譲ったと言っていた商会が持っている権利なのだろうが、名誉会長っぽいポジションにいるのではないかと推測されるオルトスなら使えてもおかしくはないということか。

 

 そんな人がなぜ俺たちの専属をしているのか、いまだによくわからないが……まぁ俺たちにとって悪いことじゃないから別にいいか。とりあえず、言われるがままに大人しくオルトスの隣に腰を下ろす。そして俺のもう一つの隣はファンナが座り、セリナは俺の後ろに立つらしい。いつも守ってくれて感謝だな。

 

 オルトスは一番端の席に座っているが、その向こうにすっごい気配の薄い人が立っているのが気になるところではあるが、ジョブは普通に《武器商人》で《暗殺者》というわけでもないし、オルトスにも護衛の一人くらいはいてもおかしくないか。 

 

「今日、どんなものが出品されるかは事前にわかるのか?」

「飛び込みで入るものもあるが、基本は前日の午後にリストが公開され、一部の出品物に関しては展示もされるのう」

「展示されるのはスキルの付いた装備か?」

「装備も、じゃな。オークションには普通に美術品なども出品されるからの。あとは奴隷もじゃな。奴隷のオークションは時期を決めて二日がかりで行われるぞ」

「一日目は面通しをするというわけか」

「高い買い物じゃからな、見た目とジョブだけで決めるのはリスクが高かろう」

 

 確かにな、俺ならどんなに条件が良くても性格が最悪だったら一緒にいるのは無理だな。

 

「奴隷のオークションは季節の休日か?」

「そうじゃな、季節の最終日に面通しが行われて、その翌日の休日がオークション日になっておる」

 

 オークション日は原作と同じらしい。今日は春の十三日目だから次のオークションまではまだ八十日くらいある。もし新メンバーをオークションで探すならそれまでにまとまった貯蓄が必要だな。

 

「今は春の奴隷オークションが終わったばかりじゃから、今売られている奴隷の中で気に入った者がいれば買い時じゃぞ」

「それは……あぁ、そうか」

 

 今、売りに出ている奴隷はオークションに出品するまでもなかったか、売れなかった奴隷。《魔法使い》や《竜騎士》、《鍛冶師》なんかの人気ジョブや、絶世の美女みたいな奴隷はいないが、逆にそういったランクにちょっと足りなかったような優秀な条件の奴隷に関してはオークションで売らなかった、もしくは売れなかったという事実を値引き交渉として使えるってことか。

 

「ほっほ、このタイミングで次のオークションまで引っ張るのは奴隷商としてもコストが嵩むじゃろう?」

 

 次のオークションまであと数日とかっていうなら無理に店頭売りをする必要はないが、あと八十日近くあるとなれば、商館に留め置くだけでも費用が掛かる。その分値上げをすればいいのかも知れないが、オークションで売らなかった奴隷が高値を付けて売れるのかという話。それならコストが増える前に多少安くても売ってしまいたいのが奴隷商側の思惑か。きっとこれは奴隷云々じゃなく商売としての基本なんだろうな、覚えておこう。

 

 おそらくこの話を知っていればうちの双子ももう少し値引いてもらえた可能性があったな。ファンナとセリナを知った今、あの時の値段に全く不満はないけどな。

 

「なるほど、いい話を聞かせてもらった」

 

 言いたいことが伝わったのを察したオルトスは孫を見るような目で俺を見てうんうんと頷くと、その視線をステージへと向けた。

 

「さて、始まるぞ」

 

 オルトスに促されてステージを見ると、商業ギルドのオークショニアだろうか。きちっとした身なりの《商人》レベル三十四の中年男性が中央のテーブル脇に立つ。

 

『それでは本日のオークションを始めます。まずはスキル結晶。コボルト二つ、百からスタートです』

 

 オークショニアの言葉を聞いて、思わずオルトスの肩を掴む。っていうか肩の筋肉かたっ!

 

「もしかしてコボルト結晶を二つセットで百から競るのか?」

「コボルトはあまり人気がないからの、低階層の探索には強化スキルでなくても構わないという探索者どもが増えたせいじゃな」

「確かにそういう話だったが……ここまでか。それならコボルトは買えるだけ買ってくれ、相場は確か」

「ユータ様、ここ最近の落札額は二千五百前後です」

 

 俺の言葉をセリナが拾ってくれる。感謝。

 

「では一つ二千五百までで頼む」

「ほっほ、いいじゃろう。ただし、セットで三千あたりまでは見送るぞ」

 

 すでにコボルトセットは千まで上がっている。これは原作でもあった、オークションへの参加料を返却してもらうための実績作りのコールだろう。今日会場にいるのは大体三十人、ということはおそらく、最初に出品されるコボルトは参加者全員のノルマ達成用なのかも知れない。

 

 オルトスの言葉に頷き、推移を見守っていると一通り全員のコールが終わったらしいところで値段は三千六百まで上がっていた。

 

「ま、この辺りかの。では四千じゃ」

『四千!』

「うぉ」「「きゃ!」」

 

 小さく呟いただけのオルトスに被せるように、突然オルトスの向こうに立っていた人がよく通る声でオルトスのコールを復唱したので思わず全員でびくりとしてしまった。まさかVIPの人のコールを代行するための人だったとは……なんて贅沢な人の使い方だ。

 

「……四千百!」

「ほう、儂のコールにここで競るなら買い注文を受けているな。さて、いくらで受けているかのう。コールまでに多少間があったことを考えれば一つ二千二百というところかの。ならば四千五百で決まるじゃろうが、ひとつ試してみるか?」

「ん? 予想があってたかどうかをか?」

「そうじゃ、四千三百じゃ」

『四千三百!』

「おそらく四千四百で被せてくるじゃろうが、四千五百を入れたら下りるじゃろう」

 

 オルトスはまあ、見ておれと言わんばかりに自信たっぷりだ。

 

「四千四百!」

「決まりじゃな、ここが限度額という想いが声に出てしまっておる。四千五百じゃ」

『四千五百!』

『四千五百、四千五百! 他にはいませんか? よろしいですね、それではコボルトのスキル結晶二つ、四千五百ナールです!』

 

 

次のメンバーはどんな人?

  • メイラ 索敵 長身細見長髪クール美女
  • シェリア 索敵 細見陽気軽妙元気少女
  • ロシー タンク 大柄繊細暢気愛され系
  • トモエ 後衛 色白獣耳獣尾クール美女
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