俺だって異世界迷宮でハーレムしたい!   作:おるどばれい

45 / 52
転移十三日目


45 オークション3

 結局、オルトスはそれ以上深く聞いてくることもなく、しっかりと聖槍を十六万ナールで落としてくれた。

 

 これで俺たちが落札したのはコボルトが二枚で四千五百ナール。ウサギが一枚で三千ナール。エストックが三万五千ナールに、聖槍が十六万ナール。合計が二十万二千五百ナールこれに手数料が五百ナール掛ける四つ分で二千ナールを加算。鈍重が最低でもこれ以上で売れてくれないと赤字になってしまう。オルトスは自信満々だったがどうなることやら。

 

『それでは本日最後の品になります!』

 

 会場を煽るかのようにオークショニアが告げると、ゆっくりと舞台袖から俺たちが持ち込んだ鈍重のダマスカス鋼槍が持ち込まれる。

 

『こちらはダマスカス鋼の槍ですが、ドロップ率が低い立木のスキル結晶をコボルトのスキル結晶と合わせた融合に成功した希少な一品で、銘は鈍重のダマスカス鋼槍になります』

 

 会場から小さく感嘆の声が漏れる。そこまで珍しがられるとは思わなかったんだが。

 

『鈍重の効果について説明しましょう。こちらは攻撃したモンスターの動作を遅くするという効果があり、特筆すべきはその付与率です。世に状態異常は数あれど、睡眠や麻痺よりも高い付与率は一対一の戦いならば連続攻撃を加え続けるだけで完封することも可能だとか』

 

 へぇ、状態異常確率アップがなくてもそれだけの効果があるなら《博徒》と組み合わせればほぼ確定に近い付与率になるんじゃないか? それは確かにいい効果だな、立木の結晶が他よりも高く取引されているのも納得できる。

 

『さらに鈍重の効果はボスモンスターに対してもその付与率は僅かしか落ちることはないのが確認されています。複数を相手にしない環境を作って槍を振り続ける体力があるならこの槍は無類の強さを発揮することでしょう。では本日の目玉商品、鈍重のダマスカス鋼槍! スタートは十万ナールからとなります!』

『二十万!』

『三十万!』

 

 いや、ツーコールであっさりと赤字回避が確定とかってどんだけやねん。

 

「ユ、ユータ様……」

「ご、ご主人様……」

 

 いきなり価格が上がった競りを見て、自分たちが作ったものに高額の価値が付いた実感が出てきたのだろう。後ろと左から俺の服の端っこをそれぞれつまむ二人の手は少し震えている。

 

『三十五万!』

『四十万だ!』

 

「「ひっ!」」

 

 そんなにビビらなくてもいい、それだけの仕事を二人がしたってことだ。自分たちの仕事に自信を持っていい。

 

『四十三万』

『四十五万』

『五十万だ!』

 

 オルトスがこの額までは入札していいと言っていた五十万、それにあっさりと到達してしまった。いったいオルトスの目にはいくらで売れるビジョンが見えているのか。

 

『六十万!』

 

 これは強いコールだな。五十万からの十万乗せ、さすがに会場が一瞬静まった。ここで決まるか?

 

『六十万が出ました、他はありませんか?』 

『六十一万!』

『七十万』

『…………七十一万』

『八十万』

『くっ……』

 

 決まったな。最後はミッちゃんが竜人族の娘を買った時と同じような競り方だった。確かにあれをやられると競り合う気が折られるな。出品側としてはウハウハだが。それにしても八十万? いや、高すぎじゃないのか。

 

『八十万! 八十万! ほかにはありませんか、ありませんね、では鈍重のダマスカス鋼槍は八十万ナールで落札です!』

 

「ほっほ、概ね予想通りじゃが、うまく競り合ってちょっと高くなったのう」

「予想通りか……オルトス。もし、あの槍を預けたのがオルトスではなく、下の仲買人たちだったとしたらいくらで売られたか分かるか」

 

 オルトスは俺の問いにニヤリと口元を歪めると肩を震わせる。

 

「売れる値段は変わらんよ、買う側の予算次第じゃからな。じゃが、仲買人次第では売却益をがっぽり抜かれる可能性はあったかのう。買い手と売り手で話がついていればどうとでもやりようはあるわな」

「そうか、だとすると真っ当な仲買人に出会えるかどうかは重要だな。少なくとも俺たちは運がよかったらしい。売りの手数料は約束通り一割を支払おう。コボルト二枚、ウサギ一枚、エストックに聖槍、四品分の手数料に鈍重の一割を加えて……いくらだ」

 

 オークションで買った物の値段に三割引きは効かないというのが原作設定だが、手数料には効くという設定があった気がするが、どうだ?

 

「購入代金が二十万二千五百ナールで手数料が八万二千ナールじゃが、久しぶりに楽しませてもらったし、ユータ坊たちを見つけたのは儂にとっても運が良かった。手数料は特別に五万七千四百にしてやろう」

「すまんな、これからもよろしく頼む」

「ほっほ、任せておけ。その代わりたまに探索状況を聞かせてくれ」

 

 オルトスと専属を続ける以上これは断れないな。

 

「さして面白みがあるとは思わないが、聞いてもらえればいつでも答えよう」

 

 こちらから敢えて言うつもりはないが、聞かれれば答えるということにしておく。普通ならレベルと階層を上げていくのに年単位の時間を費やすのが普通らしいから、そんなにしょっちゅう聞かれることもないだろう。

 

 その後もオルトスとたわいもない会話を続けていると、扉がノックされる。八十万ナールという落札金額に魂が抜けていた双子だったが、すぐに我に返るとファンナが俺を庇い、後ろにいたセリナが警戒態勢を取る。それを見たオルトスが笑って警戒不要である旨を伝えると室内に控えていた気配の薄い人がすっと扉を開く。そこには商業ギルドの制服を着た職員が数名待機していて、どうやら今回落札した品物と鈍重のダマスカス鋼槍の売却代金を持ってきてくれたようだ。

 

「オルトス様、今回のオークションの結果になります。ご指示どおり、売却代金から購入代金を差し引かせて頂いておりますので、現金は五十九万七千五百ナール。コボルトのスキル結晶が二つ、ウサギのスキル結晶が一つ、エストックが一本に、聖槍が一本になります」 

「うむ。さて、ユータ坊。現金はここで精算してしまうが、品物は確認するじゃろう?」

「いや、オルトスを相手にギルドが偽物を掴ませるようなことはないだろう。いずれ抜き打ち的に確認することはあるかも知れないが、今回はこのまま受けとろう」

 

 もちろん、既に【鑑定】でそれぞれの品物が偽物だったりすり替わっていないことは確認済みだ。

 

「ほう、なるほどのぅ。それは面白い手法じゃな、今後は儂もそうするとしよう。という訳で今回《の》鑑定は抜きじゃ」

「……かしこまりました。ではこちらを」

 

 別に悪事を働くつもりはないだろうが、ギルド職員の表情がちょっとひきつって見えるのは勘違いではないだろう。

 

 だが、今回のオークションで俺たちは現金で約五十四万ナールと強権装備一個分のスキル結晶プラスコボルド余1、さらに空きスロット付きのエストックと聖槍まで手に入れることが出来た。これはこれからの俺たちの生活にとって大きな恵みとなる。

 受け取った諸々をアイテムボックスに仕舞って、オルトスとの精算を滞りなく済ませるとまだどこか放心状態の双子をそっと俺の近くに誘導。

 

「今日はとても益のある取引だった。引き続きスキル結晶もよろしく頼む」

「それはこちらとて同じじゃ。結晶の方は前と変わらずでよいのか?」

「そうだな……ヤギとはさみ式は一つあれば義理は果たせるだろうが一応予備も欲しい。芋虫はおかげで身代わり一つは手に入ったがこれも予備は欲しいから継続。コボルト、ウサギも引き続きだな。後は状態異常系や耐性系の結晶も安いものが出れば積極的に購入を頼む。値段はオルトスに任せる」

「ほとんど全部ということじゃな。いいじゃろう、競り合わずに安く買えそうなら買っておこう。結果確認も兼ねて数日に一度は顔を出すといい」

 

 あんまりたくさん買われても予算的には困るが、スキル結晶は入手できるときに入手しておくべきだ。買い漁るようだと悪目立ちする危険性はあるが、その辺はオルトスに任せるしかない。予算に関しても入手してもらった結晶から不要なものを装備に融合して今回のように売りに出せばなんとかなるだろう。随分とオルトス頼みなところが問題と言えば大問題だが、謎の買い被り状態のうちにしっかり働いてもらおう。

 

「わかった。四、五日に一度は確認にくることにしよう。急ぎの案件があれば自宅にメモでもくれれば翌日には顔を出す」

 

 オルトスに別れを告げ、商業ギルドを出てから路地裏から一度家へと戻る。意外と時間がかかったから今日の探索はしないので、帰りに夕食の買い物をしてきたかったんだが。実際に受け取った金貨の山を見て、また双子が放心していたので二人の手を引くようにしてとりあえず家に戻ってきた。

 

「ほら、ファンナ、セリナ。そろそろ正気に戻れ」

「あ、んむっ」

「ふぅ、むちゅ」

 

 玄関で二人を同時に抱きしめて順番にキスをしてやると、一瞬目を彷徨わせて俺の顔を見つけると二人して俺の顔をまじまじと見た。

 

「ご、ご主人様!」

「ユ、ユータ様!」

 

 うん、よしよし。びっくりしすぎたんだよな。大丈夫大丈夫。

 

「「八十万です!」」

 

 とりあえず興奮気味の二人をなだめすかしつつ靴を脱がせると、ひょいっと同時に抱える。二人が小柄なドワーフな上にレベルが上がって各種ジョブ補正が乗った俺なら楽勝だ。

 

「「え、え?」」

「うんうん、よしよし」

「「ってちょ、どういう、あ、え、なんで、きゃ、あ、あぁぁあん」」

 

 なぜ抱えられたのか分からない双子の混乱が解消される前にさくっとベッドに連れ込んで、二人が他のことを考えられないようにとろとろにしてあげた。

 

 くったりとした全裸の二人を両脇に侍らせて満足感に浸っていると、再起動した二人がちょっと恨めしそうな視線で見上げてくる。

 

「ん、どうした? 落ち着いただろう」

「絶対にもっと普通のやり方があったと思います」

 

 セリナの言葉にファンナもうんうんと頷いている。

 

「ぽかんとしていた二人が可愛くて我慢ができなかったんだから仕方ない」

「「あぅ……ずるいです」」

 

 耳を赤くしながら小さく頬を膨らませる可愛い双子の頭を優しく撫でながら今日のことについて語る。

 

「これで二人がとても凄いことが出来て、このパーティにとって……というか俺にとっても欠かせないんだってことがわかっただろう?」

「でも、それはユータ様があってのことで」

「細かいことはいいんだよ。俺たちの間でお互いが必要でずっと一緒にいたいっていう気持ちに分かりやすく理由を付けただけなんだから。本当はそんな理由なんて無くたって二人を手放す気はないけど、あった方が自信もつくだろうし、安心もできるだろ」

「あ、は、はい。ありがとうございます。ご主人様」

 

 懐いた猫のようにごろごろと体を擦り付けてくる二人に俺の子デュランダルが再起動しそうになるが、夕食の支度もしないとだな。再起動しようとする子デュランダルにこの世界の夜は長い、いくらでも活躍する場は作ってやるからなと言い聞かせ二人に声を掛ける。

 

「さ、二人とも。そろそろ夕食の準備にかかろう。今日は食材の買い出しが必要だったか?」

「あ、そ、そうでしたね。パンは買いにいかないとでした」

「野菜とお肉はまだありますので、スープと主菜は大丈夫です」

「じゃあ、パンは俺が『ワープ』で買いに行ってくる。二人は食事の支度を頼む」

「ご、御主人様。護衛を」

「大丈夫だよ、ファンナ。二人が作ってくれた身代わりのミサンガがあるから何かあっても『ワープ』で逃げられる。それにほとんどの住民のレベルが上がっているクラタールで犯罪なんてしたら、住民たちから逃げきれないだろうしね」

 

 それでもまだ躊躇う二人をなんとか説得して、二人にベッドの処理と食事を依頼すると心配されないようにさくっと白パンと追加の野菜などを購入して帰宅。

 

 二人の食事の支度を待つ間に、充電しておいた機器を回収して点検したり、洗濯物を取り込んで畳んだり、湯船に膝下くらいまでのお湯を張っておいた。本当は毎日肩まで浸かりたいが、やはり現状では毎日はしんどい。もうすこしジョブとレベルの成長が必要だ。

 

 家事を手伝った俺に対してしきりと恐縮する二人に気にするなと伝え、三人で楽しく食事を済ませると食後のティータイムでリビングに集まる。

 

「今日は後は汗を流して寝るだけだけど、その前に明日からの装備について相談しよう」

 

 そう言ってテーブルを傷つけないように手持ちの武器をアイテムボックスから出していく。

 

次のメンバーはどんな人?

  • メイラ 索敵 長身細見長髪クール美女
  • シェリア 索敵 細見陽気軽妙元気少女
  • ロシー タンク 大柄繊細暢気愛され系
  • トモエ 後衛 色白獣耳獣尾クール美女
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。