俺だって異世界迷宮でハーレムしたい!   作:おるどばれい

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転移十七日目


51 メイラ1 

 ストレイクスが連れてきた奴隷を見て、一瞬で目が奪われる。第一印象は確かにダークエルフと勘違いされても仕方がない。百七十センチはあろうかという細身の長身で胸もエルフのイメージよりは大きい。だが、肌が黒いといっても健康的に日に焼けているかな程度。髪はストレートロングで色は瞳と合わせて青みがかった黒。耳は確かに細長いが耳先がエルフよりも上を向いているか。だが、その漂わせている吸い込まれそうな雰囲気が美しさに拍車をかけている。

 

 なるほど、確かにこの妖艶とも取れるこの雰囲気は黒のイメージとも相まって悪魔の一族という誤解にたどり着いても無理はない。

 

「なるほど、確かにダークエルフを彷彿とさせるな。当初言葉が通じないという話だったと思うがブラヒム語の教育は?」

「はい、ここ数日で教育いたしましたので聞き取りは十分できているようですが、もともとあまり話すタイプではないようでして……」

「話せるかどうかはまだ微妙というとこか」

「はい」

「こちらの言葉は聞き取れるということは意思の疎通は可能なのか?」

「そうです。知っている言語がバーナ語に一番近いらしく、バーナ語なら間違いなく通じます。ブラヒム語でもゆっくりはっきりであれば」

「なるほど、ではこちらでもいろいろ聞いてみたい。席を外してもらえるか」

「かしこまりました。しばらくしましたらお声を掛けさせていただきます」

 

 再び部屋を出ていくストレイクスと同時に俺も椅子から立ち上がるとメイラに近づく。事情が事情なだけに伏し目がちで表情は暗いがエルフと間違えられるくらいに整った顔立ち、問題の肌もせいぜい軽い日焼けレベル。日本でギャルとかを見てきた俺にしてみればむしろ健康的で好ましい。それにその肌はなんだか艶感もあって瑞々しそうで裸同士でがっつり触れ合いたいと思わせる。一目見た時からわかっていたが、近くで見ても外見は問題なく合格点だ。

 

メイラ ♀ 18歳

村人Lv7

装備

 

 『鑑定』で分かるジョブは村人か。迷宮で戦うとなったときにちゃんと戦えるのかは重要だけど、どうだろうか。

 

「言葉は分かると聞いたが大丈夫か?」

 

 俺はバーナ語を話せるが、今後もメインはブラヒム語だろうからブラヒム語でゆっくりと話しかけてみるが、メイラはしっかりと頷いてくれた。

 

「ゆっくりと話すが、わからなかったら教えてくれ。何度でも説明する。君の事情は聞いている。船の事故で流れ着いた先でどうしようもない状況で不幸にも奴隷になってしまったと」

 

 メイラは伏せていた目を上げ、その吸い込まれそうな濃紺の瞳で俺を見て頷く。

 

「一応確認しておく、君はダークエルフではなく他の種族だな。しかも水と関係性が強いタイプの」

 

 彼女がダークエルフではないだろうことは考えるまでもなくわかりきっている。ならその種族は? となったとき、俺の中では水に関係があるような種族ではないかとほぼ確信している。そうでなければこの世界での船の事故で大陸間を渡るほどの漂流に耐えきるのは難しいと思ったからだ。

 

 俺の言葉に一瞬だけ驚きの表情を浮かべたメイラはその質問にも頷くと、ゆっくりと手を差し出して指を開いてみせる。

 

「ん? これは……あぁ、なるほど確かに他の種族より水かき部分が大きい。泳ぐのに適しているのか……それなら多分肺活量的なものも優秀だろうから戦う際にも体力面では有利になるか。迷宮で戦うのは問題ないんだよな、そうか、よし。ファンナ、セリナ、彼女の第一印象はどうだ?」

 

 迷宮に入るのも問題ないと頷いてくれるなら俺からの査定条件は双子との関係性のみ。

 

「は、はい、良い人だと思います」

「そうですね、奴隷になった経緯を考えれば不幸ともいえる境遇なのに理性的に見えますし、体もしなやかに鍛えられているみたいなので戦えると思います」

 

 うん、ファンナは直感からくる感想で、セリナは外見などから客観的に判断した感想だな。多方面から検討してくれるのは助かるし、二人の判断には信頼がおける。あとは本人の気性とやる気次第か。

 

「君さえよければ俺が君を買おうと思う。奴隷として購入するからにはうちの秘密は守ってもらうし、迷宮で戦ったり、家事をしてもらったり、俺と……んんっ、そういうことをしてもらったりすると思うが、奴隷だからといって囮や肉壁にしたりはしない。迷宮では共に戦う大事なパーティーメンバーで、家では一緒に暮らす家族として付き合っていくつもりだ」

「……」

 

 俺の言葉が信用できないのか戸惑った表情を浮かべているメイラだが、俺の傍でにこにこしている双子に目を向けたのを見て、さらに畳みかける。

 

「すぐに信用できないのも分かるが、二人を見てくれ。この二人は俺の一番奴隷だが、この世界ではあまりよく思われない双子だ。だが、俺は二人を大事にしているからこうして身綺麗にして傍に置いている」

「ご、ご主人様は優しくて凄い人です。私はずっとご主人様の奴隷でいたいです」

「ユータ様はちょっとえっちですけど、本当に私たちを大事にしてくれます。他の誰かに買われるよりも幸せになれると思いますが、もしあなたが嫌だと言うならユータ様は強引にあなたを買うことはないですよ」

 

 二人の援護射撃が嬉しい。これまでの三人の時間が俺だけの独りよがりなものではなかったってことだよね。

 

「俺の気持ちとしては君のことは気になっている、というか気に入った。だからできればうちにお迎えしたいと思っている。だけど家族同士で仲が悪いのは嫌だからこの二人をパーティーと家族の先輩として、年下だけど姉のように思って仲良くしてほしい。それができるならば是非うちに来てもらえないだろうか」

 

 結局奴隷を金で買うということは変わらないから、相手の意思を確認するなんてただの自己満足だが、否応なく売られるよりは、自分で決めた結果で買われたという形の方が早く俺たちと仲良くなれる気がする。実際は奴隷という立場上、選択の余地なんかないというのが現実なのは分かっているが、これからずっと一緒にいることになる相手だししこりとなるような要因はなるべく少ない方がいい。

 

 メイラは俺を見て、ファンナを見て、セリナを見て……もう一度俺を見ると、今までよりも大きくうなずいてくれた。

 

「ありがとう、後悔はさせないようにする。後は交渉がうまくいくのを祈っていてくれ」

 

 幾分力の戻った目で頷くメイラの肩を任せておけという気持ちを込めて軽く叩くと、後はストレイクスが戻ってくるまで双子と交流を深めてもらおうと思う。

 

 二人にそう伝えて、あえて俺はそこを離れて椅子に腰を下ろす。女子同士で話しておきたいこともあるだろう。ていうか、ここまでして値段交渉で失敗したら恥ずかしいんだが、大丈夫だろうか。いや、アレクの見立てを信じるなら所持金で十分足りるはず。

 

 何を話しているのか小声でキャッキャうふふしている三人を横目に、そういえばここではお茶も出してもらえなかったなぁと気づく。まあ、別にいらないけど、ただその理由が他種族蔑視からくるものじゃなければ良いと思うだけだ。

 

「あ」

「あ、セリちゃん」

 

 ん? 今。メイラが声を……ああ、別に言葉が話せないだけで声が出せない訳じゃなかった。うん、声も高くて綺麗な感じだったな。

 

「どうしたファンナ」

「て、店主の方が戻ってきます」

「わかった、じゃあさっきの場所に戻ってくれ」

「「はい」」

 

 素早い動きで二人が定位置に戻ったと同時に扉がノックされる。

 

「失礼いたします。もうよろしいでしょうか」

「ああ、構わない。お気遣い感謝する」

「それでは一度彼女には戻ってもらいます」

 

 ストレイクスの指示で部屋を出ていくメイラだが、入ってきた時とは違っていくらか表情が明るく見える。彼女の期待を裏切らないようにしないとな。

 

「それで、いかがでしたでしょうか」

「そうだな、悪魔の一族と言われるダークエルフの疑惑があるから悩むところだが、まだ若いし迷宮働きも受け入れると言っているからな。前で戦わせることくらいはできるか……そうだな、十万なら買ってもいい」

「ぐ……さすがにそれはあまりにも安すぎます。三十万ではいかがですか」

 

 吹っ掛けてきたな。奴隷商同士なら十万で引き取る案件だってアレクは言っていたからな。

 

「エルフ領で売れないからベリルの商館に引き取ってもらう予定だったのだろう、十二万」

「いえいえ、さすがにエルフ領とはいえ迷信を気にしない方もいらっしゃいますから。ですが……そうですね、ベリル商館から招待状をお持ちになられた方ですから二十五まではお引きします」

「彼女はまだブラヒム語も話せないし、これからも教育を続ける必要があるだろう? 最低でも五日か? 十日か? 物覚えが悪ければもっとか? その間も噂は広がるのではないか? 十五万」

 

 おとぎ話級の存在であるダークエルフがいるなんていう噂は黙っていてもエルフ領ではどんどん広がるだろう。広がらなくても最悪は俺が吹聴するし。

 

「教育期間の費用やその間の維持費を最大限に加味したとしても……に、二十万! 二十万が限度です」

 

 これでようやくアレクに吹っ掛けた値段か。これに双子の遺言変更を依頼して三割引きを効かせれば約十四万、なぜか俺が提示した額よりも安くなる不思議。十分だろう。

 

「わかった、その金額で買おう」

「ありがとうございます! ではさっそく準備をさせますのでお支払いを」

「あ、ちょっと待ってくれ。ついでにこの二人の遺言の変更を頼みたい。二人の遺言を死後解放に変更だ。それで合わせていくらだ」

「「!」」

 

 二人の驚く気配が背後から伝わってくるがとりあえずは気づかないフリをしておく。

 

「それはそれはありがとうございます。遺言の変更は一回につき三百ナール頂いていますから二十万と六百ナール。ですが、いわく付きの奴隷を買っていただけるということもありますので特別に十四万四百二十ナールとしましょう」

 

 マジで凄いな、三割引き! 感謝しかない。

 

「ああ、良い取引だった。ではここに置いておくので遺言の変更を頼む」

「はい、かしこまりました」

 

 アイテムボックスから金貨銀貨と袋から銅貨を取り出しながら、ストレイクスが二人の遺言を変更していくのを見守る。二人は本当にいいのでしょうか、という顔をしているが別に問題ない。二人には内緒だけど今朝二人が起きる直前まで死後解放だったし。

 

 遺言変更後、俺が机に積んだ金貨たちをストレイクスが確認している間にセリナが耳元でささやく。

 

「ユータ様。本当によろしいのですか」

「大丈夫、大丈夫。詳しい説明は、後でな」

 

 

「確かに頂きました。そろそろメイラの準備もできる頃ですので連れてまいりますのでこちらでお待ち下さい」

 再び部屋を出ていくストレイクスを見送ると、双子が肩越しに乗り出してくる。

 

「ご、ご主人様! 私はご主人様と一緒に」

「ユータ様、これはどういうことですか」

「あぁ、待て待て落ち着け。話は帰ってからだ、今はメイラの受け入れに集中しよう」

「「……」」

 

 二人が揃って不満げに頬を膨らませるが、そんなの可愛いとしか思わない。ていうか、病気とかで遺言の変更すら間に合わずに俺が死んでしまう可能性がある以上、いつまでも殉死のままにしておくわけにはいかんだろうに。ミッちゃんの第一奴隷のようなあそこまで極端な忠誠はなくてもいい。

 

次のメンバーはどんな人?

  • メイラ 索敵 長身細見長髪クール美女
  • シェリア 索敵 細見陽気軽妙元気少女
  • ロシー タンク 大柄繊細暢気愛され系
  • トモエ 後衛 色白獣耳獣尾クール美女
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