俺だって異世界迷宮でハーレムしたい!   作:おるどばれい

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転移十七日目


52 メイラ2

 その後、恙なくメイラとの奴隷契約は完了して俺のインテリジェンスカードにもしっかりとメイラの名前が表示された。

 

「それでは世話になった。また寄らせてもらうこともあるかも知れないがその時はよろしく頼む」

「いえいえ、こちらこそ。是非またお越しください」

 

 言葉こそ丁寧だが、若干顔が引きつっているように見えるのは俺の気のせいだろう。ただ一つ言わせてもらえば、エルフ族は顔の造りが良いからちょっと歪むだけで目立つってことを自覚した方がいいかもな。まあ、鏡が高級品なこの辺りではそうもいかないだろうが。

 

 ストレイクスに見送られ商館を出ると、やっぱり裸足なメイラにアイテムボックスから革の靴を出して渡す。装備品を渡されて驚いたのか、一瞬動きが止まったメイラだが、視線を送った先のセリナが微笑んで頷いたのを見ておずおずと靴を受け取ると前かがみになって靴を……うん、ちょっとゆったりした服だったから仕方ない、ナイス谷間。

 

 ちょっと鼻の下が伸びかけたところでセリナの視線が……いやいや、君も別に小さい訳ではないからそんな顔しない。

 

「この後、この街のお店をいくつか確認してから俺たちの家があるクラタールに戻って、食材なんかを買って帰る。今後のことなんかは家に帰ってから話すな」

 

 セリナにじろじろ見ていると思われないようにぐっと視線を外すとこれからの予定を告げる。

 

「ご、ご主人様クラタールのギルドにも寄る予定です」

「おっと、そうだった。ありがとうファンナ」

 

 そういえばそろそろ一回オルトスに顔を見せに行くことにしたのだった。即戦力なスキル結晶を入手していてくれるといいけど。とりあえずメンバーが増えたから芋虫が急務であとは知力二倍のヤギあたりが手に入ると嬉しい。

 

「はけ、ました」

「「「え?」」」

 

 革の靴を履いて起き上がったメイラが普通にブラヒム語を発したので思わず三人揃ってメイラを凝視。

 

「えっと……メイラ、ブラヒム語を本当は話せたのか?」

「ブラ、ヒム、難しい、少しだけ、です」

 

 少しだけとは言うが、多少途切れるのは単語を思い出すための時間だろうし、このレベルで話せるなら会話を重ねていけばすぐにスムーズに会話ができるようになるはずだ。これは嬉しい。しかもブラヒム語の会話ができるということになっていればもう少し値段も高くなっていたかも知れない。

 

「っと、まずは商館から離れよう」

 

 ストレイクスに言いがかりを付けられてもつまらないからな。ひとまずは来る途中にあった武器屋と防具屋に向かいながらメイラに話しかける。

 

「メイラはなぜ話せるようになったことを隠していたんだ?」

「それは……」

 

 たどたどしく話すメイラの話をまとめると、奴隷になってしまったことは仕方がないが、少しでも条件がいい相手に買ってもらうために、相手が嫌な人だったら話せることを明かして値段を高くさせるつもりだったらしい。

 

 この方法は当然一度だけの方法であり、しかも言語習得するまでの期間限定で不自然なほどに長期間は引っ張れない。そのうえ、それほど金額を左右できる条件でもない。それでもメイラは自分がこの見知らぬ場所でこれからも生きていくためにやれることはやろうと思ったらしい。

 

「す、凄いですメイラさん。どんな状況でも諦めずに最善を尽くすその気持ちが嵐の海をも越えさせたんですね」

「私たちは相手を選ぶなんて考えませんでした。ただ、姉さんと二人一緒なら頑張れると思っていただけで」

 

 自分でももっと何かできたのではないかと、しゅんとするセリナの頭にぽんと手を乗せる。

 

「俺はそれで正解だったと思うぞ。結果として金額が上がって裕福な相手にしか売るのが難しくなったし、そこまで高く買ったのなら使い潰すような扱いはしないはずだ。つまりセリナはファンナと一緒に売られるという決断をしたことで、ファンナだけじゃなく自分自身も守ったってことだ。ただまあ結果としてはお金のない駆け出しの迷宮探索者に買われてしまった訳だが、おっと」

 

 俺の自虐ネタに反応したのか、セリナが頭の上の手を握ると愛おしむように自分の胸の間に抱え込む。

 

「私の判断がユータ様と出会わせてくれたのなら、確かに大正解だったってことです」

「あ、セリちゃんずるい。私もご主人様に迎えてもらえて幸せです」

 

 ファンナもくっついてくるが、一応防犯のためなのか俺の両手を塞がないように手を握るのは我慢しているらしい。それならばせめてファンナの頭もなでなでしてあげよう。

 えへへとはにかむファンナが可愛すぎるな。 

 

「マスター、良い人、二人見てたら、わかる、ます。よろしく、おねが、します」

 

 おっと、だからと言ってメイラをおろそかにするわけにはいかない。名残惜しいが二人に解放してもらってメイラと握手をする。うん、やや体温が高めで肌がしっとりしている感じがして落ち着く感触だ。

 

「メイラ、こちらこそよろしく頼むな。さっきも言ったが俺たちはまだ駆け出しの迷宮探索者だから、基本的には毎日迷宮に行ってお金を稼ぐことになる。改めて聞くが迷宮で戦うことは大丈夫か」

「は、い。私、いたところ、でも、メイズ、迷宮? あった。たまに、募集で入って、お金もらって、ました」

「なるほど、メイラがいた場所にも迷宮はあるんだな。そっちではメイズって呼ばれているのか? で、ギルドとかで臨時のパーティ募集とかあって、たまにアルバイトしていたってことか」

 

 メイラの話を補完してみたが、どうやら正解だったらしくメイラはこくこくと頷いている。見た目クール系お姉さんなのにちょっとあどけない仕草をされるのは癖に刺さるな。そうか、これがギャップ萌えというやつか。違うか? ま、まあいい。

 

「と、そうだ。ひとまず、パーティーには入っておいてくれ」

「はい」

 

 萌え萌えするのは家に帰ってからでいい。今ははぐれたりしても大丈夫なようにしっかりパーティーに入ってもらうのが優先だった。今後の育成方針を決めるにも取得ジョブも確認しておきたい。さくっと送ったパーティー申請に戸惑うことなく承諾して加入してくるのを見る限り迷宮でバイトをしていたというのは間違いないらしい。

 

 ではさっそくジョブを確認しようかというところで店に到着。ま、ジョブの確認は後でもいいか。まずは手前にある防具屋から。

 

 中に入ってみると、店内スペースはクラタールなんかと比べるとこじんまりとしているし、品数も少ないがクラタールの店舗よりもランクの高い装備が置いてあるっぽい。おそらくクラタールは迷宮に囲まれた立地から迷宮探索者になろうとする者が多く訪れて装備を買っていくため品数は多いが売れ筋としてはランクの低い初期装備に近い物が主流なのだろう。

 

「お、竜革装備がある」

 

 さっそく中を眺めていくと、カウンターの奥に置かれている装備の中に竜革のグローブと竜革の靴がある。スロットはグローブに三つ、靴には一つだが……双子たちが作れるようになるにはまだ先の装備だし、見つけた時に買っておきたい装備だ。

 

「ユータ様、もしかしてアレがあるのですか」

「ああ、靴は一つだが、グローブは三つだ。買っておこう」

 

 幸い欲しい物が二つなので、余計な買い物をしなくても三割引きが効く。それでも金貨が数枚飛んでいったが、メイラのおかげで購入代金が安く済んだから問題ない。他にもスロット付きの硬革装備もいくつかあったが、現段階ですでに俺たちの装備は攻略している階層に比べて良い物を装備しているらしい。となれば革から硬革程度なら無理に更新しなくてもいいか。

 

 それにクラタールの各迷宮は騎士団の管轄下でもあって治安が良いのであまり気にする必要はないが、場所によっては中途半端に下層でいい装備をしていると迷宮探索者を迷宮内で狙う盗賊に目を付けられる可能性もありそうだ。襲われればためらう気はないが、盗賊だからと言って好き好んで殺したい訳でもないので、遭遇しないことを祈る…………ん、もしかして今、フラグ立てた? 

 

 いやいや、そんな漫画や小説みたいに簡単にフラグなんて立つもんじゃないだろ……多分。

 

「次は武器屋だな。手ごろないい槍があるといいんだが、メイラは武器を持つなら何が使いやすいとかはあるか?」

「たくさん動く、ますので、大きな武器、重い武器、難しい、です」

「なるほど、軽戦士系なんだな……現状だとセリナが前衛で、俺が後衛、ファンナは中衛。だとするとメイラにはセリナと並んで前を頼む感じだな」

 

 そうするとメイラの迷宮での動き方次第だが、ジョブは《暗殺者》を目指してもらうのもありかも知れない。種族固有ジョブが有能ならそれでもいいが、原作に出てきていない種族になると条件から探さなきゃいけないんだよな。

 

 あとは、これから魔物が魔法を撃ってくることも増えることも考えると、そろそろ真面目に《巫女》を取りに行く必要があるか。となると、滝を探すか巫女ギルドに行くかだが、ギルドで《巫女》を目指すとなんか記録みたいのが残ったりすると嫌だな。滝も探すのは大変だろうが、ミッちゃんたちが使った滝がこの世界でもあるかも知れないからそっちを確認してみるか。ていうか悟りを開くなら座禅とかでなんとかならんかね。

 

 基本的に防具屋と武器屋は近いところにあることが多い、このボンデでもそれは変わらない。さて、何かいい武器はあるかな。

 

 武器屋に入店すると品物の傾向としてはやはり防具屋と変わらない。ランクは高め、数量少なめだ。まず槍は……スロット一つの鋼鉄とスロットなしのダマスカス鋼か、今の銅槍よりはもちろん戦力アップだけど、現状では俺の魔法で攻撃力は足りているからもう少しきつくなるまでは無理する必要はないか。

 他には何か……

 

「お? これは……あと、これもか。これなら有りか?」

「ご、ご主人様、良いのがありましたか?」

「ああ、えっとこれと、これだな」

 

 一応キープする意味で手元に持ってきて、三人と相談タイムだ。

 

「メイラには後で詳しく説明するから大きな声は出すな」

 

 こくんと頷くメイラは相変わらず綺麗なのに可愛いが、今は我慢。

 

「ありがとう、じゃあ話すが俺にはちょっと変わった能力があってな、その装備品にスキル結晶がいくつまで融合できるかというのが分かる」

「! マスター、それ、秘密、ゼッタイ、です」

「ああ、わかっている。他にもいろいろあるんだが、その辺は後でな」

 

 お決まりのセリフを言った後に、一瞬メイラの表情が曇ったように見えたような気がするが、言葉が難しかったか?

 

「あ、ユータ様の『後で』は、誤魔化してるのではなくて本当に後で話してくださるので安心してください」

「そう、なのです? わかり、ました」

 

 ちょっと安心したような素振りを見せるメイラ。あぁ、そうか、まだ信用されていないからはぐらかされたと思ったのか。それにすぐに気が付いてフォローを入れてくれるセリナはグッジョブと言わざるを得ない。まぁこっちとしては身内として受け入れる相手にいろいろなことをずっと秘密にしておくのはなんだかんだしんどいから、自分が受け入れると決めた相手にくらいは何でも話せる関係でいたいだけだがな。

 

「それで、このレイピアにはアレが三つ。つまり三種類の融合ができて、こっちのダマスカス鋼のステッキにはアレが四つ付いている。はっきり言ってめったに見ない出ものだと思うから購入しようと思うがどうだ?」

「ユータ様、それは絶対に買うべきです。アレが一つ付いているだけでランクが一つ上がったようなものです。それがその数なら絶対にワンランク上のアレ無しの装備よりパーティーの戦力になります」

「俺も同意見だから、これは購入しよう。これで武器が増えるから家に帰ったら全員のジョブと装備を一から見直すことにするから相談に乗ってくれ」

「「はい」」「は、い」

 

 さすがに双子と一緒というわけにはいかないメイラのちょっと遅れる返事もいいね。

 

次のメンバーはどんな人?

  • メイラ 索敵 長身細見長髪クール美女
  • シェリア 索敵 細見陽気軽妙元気少女
  • ロシー タンク 大柄繊細暢気愛され系
  • トモエ 後衛 色白獣耳獣尾クール美女
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