「ハルヒコくん、いる?」
ギイギイと錆びて軋んだ音を出すドアを開け、恐る恐る部屋の中を見ると新聞紙を束ねて布団にしているハルヒコくんを見つけた。
「四谷みこ、何か用か」
「みこお姉さん、こんにちはです!」
「あ、うん、こんにちは。えと映えスポットに行くんだけど、そこ有名な心霊スポットみたいだから、幽霊を捕まえられるんじゃないかなって、あとお弁当」
カバンを開けて、お弁当と猫缶を出すと土下座する勢いで拝んできた。此方はスカートだから足元に近寄るのはやめてくれるかな!?
「おお、1年と9ヶ月ぶりに油物を!」
「良かったですね、ハルヒコ様」
モシャモシャと唐揚げを食べて涙を流すハルヒコくん。もうちょっとボリュームあるやつにしてあげれば良かったかなと思ったりする。
一応、命の恩人……みたいな?
「御馳走様でした。ありがとう、四谷みこ」
「あ、うん。それで、どうかな?」
「オレとしては助かる話だが、怖がりのお前が心霊スポットに行こうとする理由はなんだ。見える人間は、そんなところに近付こうとはしないだろう」
「それは、成り行き…的な?」
ハナの買ったインスタントカメラもそうだけど。なんで、見えることで絡まれるんだろう?と悩む。こっちは見たくもない幽霊を見ているんだけど。
「とりあえず、分かった。お弁当を貰ってしまったからな、心霊スポットにはオレも着いていこう。ただ、数が多かったらお金を借りるかも知れない」
「(出すよ!怖いから出すよ!?お金で祓えるなら出すに決まってるよ!!)」
けど、砂時計みたいに高いのかな。
「ハルヒコ様、みこお姉さんにタカるのはやめましょうよ。こうしてハルヒコ様みたいな貧乏金欠死神に優しくしてくれるのは彼女だけですよ」
「ぐっ。確かに、そうだが。オレはもしもの事態を考えて、あの世への駄賃を借りようとしているのだ。支給用の鎌でどこまで戦えるのか分からないからな」
そう言うハルヒコくんは神妙な顔で空になったお弁当の容器を重ねて、ゴミ袋に分別して入れている。年下なのに偉いなと感心する。
「まあ、もしものために何か持っていくか」
「講習会の道具はまだまだありますよ!」
「そうなの?」
段ボールを漁るハルヒコくんの後ろに回り、段ボールの中を見ると小さな子供のオモチャ箱みたいに道具がごちゃごちゃと混ざっていた。
そんなにあるんだ。
「折り紙?」
「それは式神折り紙です!動物の形に折ると手助けしてくれるんですけど」
「勿体無くて使えん。四谷みこ、いるか?」
「くれるなら……折り紙なんて小学校以来だけど」