金欠系派遣死神ハルヒコくんと見える子ちゃん   作:SUN'S

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霊食らいの悪霊

この街に転属して分かったことは一つ。

 

四谷みこの近くには必然的に大多数の幽霊あるいは悪霊化したものが引き寄せられる。そのおかげで貯金も溜まり、なんと500円も貯まった。

 

いずれ堕魔死神に奪われた全財産も実家も必ず取り返してみせる。そのためにも幽霊はできる限り大量に浄霊しなくてはいけない。

 

「ハルヒコ様、猫缶美味しいです!」

 

「そうか。良かったな」

 

おれの契約黒猫は四谷みこの通っている女子校に通っているおかげで食い扶持に困ることはなく。むしろ、おれの食い扶持は危機に瀕している。

 

如何に仕事をこなそうと借金の差し引きによって、おれの食事はごく僅かな量だ。たまに四谷みこが黒猫に差し入れを渡してくれるものの。

 

申し訳ない気持ちになる。

 

彼女のおかげでおれは仕事できるが、依然として彼女の不安や危険を取り除けずにいる。そもそも大前提として、あの幽霊の集まり具合は可笑しい。

 

なにか原因があるはずだ。

 

「ハルヒコ様、大物の手配書が来ましたけど。この幽霊って数日前に浄霊しましたよね?」

 

トコトコとおれの足元にやって来た黒猫の差し出す手配書を受け取り、今回の悪霊化した幽霊の人相を確かめる。確かに、おれが浄霊したはずのやつだ。

 

「まずは確認に行くぞ」

 

「はい!」

 

黄泉の羽織に袖を通して、死神のカマと黒猫を肩に担いで霊道を潜り抜ける。多少の近道にはなるが、あの悪霊は蠱毒のように他の幽霊を食らう。

 

急がなければ…!

 


 

「もーっ、どうしたの?みこってば変だよ?」

 

「そ、そうかな?」

 

ハナの真後ろに控えるように立つどす黒いオーラを発する悪霊に身体が竦み、今すぐ逃げ出したいと身体が震えている。ゆっくりと浅い呼吸を繰り返しながら、私はハナと会話しているけど。

 

ヘアゴムは弾け飛んだ挙げ句、なぜか燃えるし。悪霊はハナの身体に「小さなオジサン」をくっ付けて、パクパクと食べ続けている。

 

その悪霊は目を縫われているせいか。ズルズルと着物に似た服を引きずって、鋭い爪を巧みに操って足元を動く幽霊を捕らえる。

 

「呪いビルに行ったんだよね?」

 

「うん、暗いしジメジメして怖かったけど。チコちゃんはちゃんと救出したよ!」

 

フンスと胸を張って話すハナは可愛いけど。

 

その後ろにいる悪霊が怖くて苦笑いしかできない。

 

ハルヒコくん、ほんとうに早く来てくれないかな。さっきからハナの間食も増えてるのに、お腹の音がすごいことになってるの!

 

このままじゃハナが腹ペコ扱いされちゃう。

 

「次はケーキを食べに行こう!」

 

「でも、食べ過ぎには注意だよ?」

 

「うっ」

 

 

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