IS インフィニット・ストラトス~偽りの翼~   作:のろいうさぎ

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第5話~嵐のチャイニーズ・憂鬱のブリティッシュ~

まったく・・・・あの人,生徒を何だと思ってるんだろう・・・?

あの後結局間にあわなかった、僕と一夏と一部の女子はアリーナの一番外側を三十周させられた。

ただ、なぜだろうか罰を受けているはずなのに、後ろの女子たちは意外とにこやかだったのは。

そして、走り終えたらすぐにIS実習。

涙出てきた・・・・。

まぁ、いいや・・・もう終わったことだし。

どの道ようやくお昼なのだ。

疲れた体には食事、これ鉄則だね。

 

食堂に入ると、もう既に多くの生徒で、満席に近い状態だった。

食券を買って、食堂のおばさんに渡す。

今日は、趣向を変えて中華にしてみた。

ドーム型に盛られたチャーハン。野菜や細かく切った肉が、食欲をそそる。

さて問題は・・・座るところが無いことだ。

う~ん・・・・パンとかなら立って食べてもいいけど飯物だからなぁ。

下手にこぼしそうで怖い。

「あれ、アルディじゃないか、お~いこっち開いてるぜ?」

あれこれ考えていると、奥のテーブルから一夏の声がする。

そこには今朝、織斑先生に顔面クリーンヒットを貰っていた、鈴の姿もあった。

そしてソファを隔てて向こう側にセシリーと箒が、座っている。

セシリーも鈴の事が気になるようで、チラチラその様子を観察していたが、

箒は、完全にジト目で鈴を見ていた。

まぁ今回は、一夏に呼ばれたし、一夏の方のテーブルに行こう。

「助かったよ、満席で困ってたんだ」

「チャーハンか・・・・そう言えば、俺も鈴の家でよく食べたなぁ」

その一言が引き金で、箒が勢いよく立ちあがると、バンッとテーブルを叩く。

セシリーも立ってきたが、それを後ろから静観している。

「一夏、いい加減説明したらどうだ!?」

「説明って言うと・・・・?」

「この転校生の事だ、知り合いなのか?」

ジロッと睨むが鈴もそれに、不敵な笑みを浮かべ、睨み返す。

「知り合いって言うか、幼馴染だよ」

「それは私だろう!」

また大きくバンッとテーブルを叩く箒。

だいぶ苛立っているようだがそれに追い打ちをかける様に鈴が口を開く。

「どーも、一夏がお世話になってます」

「な、なな・・・ふざけるな!!」

妙に〝一夏が〟を強調して言った鈴。

あたかも、自分の物と言いたげな鈴に箒が、怒鳴る。

だがそんな空気を、全く感じていないのか一夏は、笑いながら説明をつけたした。

「いや、箒が引っ越しして、そのすぐ後に店越してきたのが鈴だよ、丁度入れ違いみたいな感じだな」

「ま、まぁ幼馴染と言うのは、もうどうでもいい。その・・・・食事をしたというのはどういうことだ!」

「食事したってそんなの、そう言うことじゃない。ねぇ一夏」

「そうだぞ、箒。丁度鈴の家が中華料理屋で、よく食べに行ってただけだ」

「・・・なるほど、店か、店なのだな。店なら、おかしくはないな・・・うん」

必死の形相から一転、安堵しうんうんと頷く箒。

一方鈴は、さっきまでと打って変わって、顔から余裕たっぷりの笑みが消え、

そっぽを向いてブツブツつぶやいている。

「一夏の馬鹿・・・・なにも、そこまで正直に話さなくてもいいじゃない・・・」

「あん?おい鈴何言ってるんだよ」

「べ、別に何でもない何でも!」

その間も僕は黙々とチャーハンを口に運んでいく。

「あ、セシリー、水ありがとう」

「いえ、いつも運んでくださいますしね、お礼ですわ」

静観していて状況が少しこう着した時に、セシリーが水を汲んできてくれたようだ。

ありがたいありがたい。

目を再び一夏方面へ移すと今度は鈴が、一夏に訪ねていた。

「で、この子誰?」

「だ、誰だとッ!さっきから言ってるだろう、おさな・・」

「もー、うるさいなぁ、あんたには聞いてないの」

「こ、こら!」

箒を片手で制すと、鈴は一夏を見やる。

「箒だよ、篠ノ之 箒って名前で俺の幼馴染。そうだなファースト幼馴染だな、で、お前がセカンド」

「ファースト・・・・そうか・・・うんうん、そうだな、初めての幼馴染は私だしな」

そう言って納得したようにうなずく箒に対して、今度は一変鈴の顔が悔しさににじむ。

「ちょっと一夏!なんであたしがセカンドなのよ!!一.五ぐらいにしなさい!!」

「やめろって、鈴!苦しいだろ、それに何だよ、一.五幼馴染って!?」

「お前!一夏から離れないか!!」

確かに謎だ。

まぁ、セカンドよりは確かにファースト寄りだけど。

そんな中、何を思ったかセシリーが、いつも通りの腰に手を当てたポーズで箒たちの間に割り込む。

「まぁまぁ、箒さん落ち着きなさいな。

よろしいではありませんかファーストなのですから。さて、鈴さんでしたわね。

何でも中国代表候補生だとか。箒さんなどは知らなくて当然ですけど、

私はご存知ですわよね?」

・・・・あぁ、なるほど。

初めはどうしたのかと思ったが、そうかセシリーは自分の知名度を、知らしめるいいチャンスだと思ったのか。

相手は注目の転校生だし。

多分セシリーの中ではこんな感じのシナリオを描いているんだろう・・・

自分が登場

  ↓

相手は転校生で代表候補生と注目の鈴

  ↓

鈴が「知ってるわよ、あんた確かイギリスの代表候補生のセシリアでしょ」的な事を言う

  ↓

自分は他国にも名の知れ渡った、代表候補生と言う事で株が上がる。

と、まぁこんな感じだろう。

セシリーが期待と自信に充ち溢れた顔で鈴の返答を待っている。

そして鈴から驚きの一言が!!

 

「誰あんた、あたし知らないよこんな金髪、そもそも何人?」

あ、固まった。

あまりのショックにそのままの表情で固まった。

そして数秒後、セシリーが涙目で帰ってきた。

よしよし、お兄さんが飴玉を上げようね。

 

・・・・・・っと、むっ!?

ここ数週間で、発達した織斑先生レーダーが警鐘を鳴らしている。

どこだ!?

辺りを見渡すと、食券の列に並ぶ鋭い眼光を確認した。

横を見る。一夏達はまだ気づいていない。

ぎゃあぎゃあと言い争いの真っ最中だ。

皿を見る。僕の皿は既に完食。

そして前には意気消沈のセシリー。

ここから導き出される答えは!!

〝救助できる人物セシリーを連れ、この場を緊急退避〟

それからは早かった。

「行こう、セシリー!」

「え!?、あ、アル?」

僕はセシリーを強引に引くと、そのまま食堂の出口に向かう。

その間にある返却口に皿を戻し、出口付近で織斑先生とすれ違った。

〝・・・・・命拾いしたな・・・・〟

あーあー何も聞こえませーん!!

なんとか食堂からの退避に成功した僕とセシリーはそのままふりかえらず教室方面へと走った。

その直後、鉄拳制裁と思われる、鈍い音が三つ、食堂の方から響いた。

 

 

はぁっはぁはぁ・・・・ここまでくれば大丈夫だろう。

僕は、教室のドア付近で立ち止まると、振り返りセシリーを見る。

「ごめんね、食後に走らせちゃって・・・」

「い、いえ・・・そのそれはよろしいのですが・・・・その・・・えっと」

ん、よく見るとセシリーの顔が心なしか赤い気がする。

息切れ・・・・ではない。肩で息もしてないみたいだし。

「その・・手を・・・」

「手?」

僕は視線を落とすと、そこにはしっかりと僕の手がセシリーのか細い手を握っていた。

一気に僕の顔が熱くなっていくのが分かる。

「わぁぁ、ご、ごめん!」

「・・・ぁ」

あわてて手を離す。セシリーが何かをつぶやいたようだったが、

それはよく聞き取れなかった。

・・・・・しばしの沈黙の後。

互いに顔を見合う。

僕もそしてセシリーも顔が真っ赤だった。

僕はそれを誤魔化すように、目線を下に向ける。

そこには、さっきまでセシリーの手を握っていた僕の手があった。

その手には、まだ微かにだが、セシリーの手の温もりが残っていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

わわわわ・・・・アルったら、いきなり手を!

セシリアの頭の中は、パニック寸前だった。

だが、食堂で意気消沈していた自分の手を、いきなり取られ、

状況を把握した段階では既に頭がオーバーヒート状態

だったのだから、それを思うと今の状態は、これでも落ち着いた方なのかもしれない。

でも・・・・・。あの時手を・・・と言った自分を今さらになって少し悔やむ。

もう少し繋いでいればよかったと。

それにセシリアは、どこか懐かしいものを感じていた。

確か・・・そう、あれはアルとサクラメントの、アルの地元を一緒に走り回っていたあの頃。

アルはあの時も、今日みたいに私の手を握ってくださっていましたわね。

 

「この路地に入るんですの?」

きょとんとした顔でアルディに言うセシリア。

お互いにあどけなさの残る、幼いあの頃。

「そうだよ、この先に階段があってね、その上から見る景色が綺麗なんだ」

気さくに笑う。その笑顔がセシリアは好きだった。

彼が笑うたびに、自分の心臓がドキンと跳ねあがるのが分かるぐらいだ。

「ですけど・・せ、狭いですわね」

「大丈夫さ、セシリーは小さいから」

「全く、レディに対して細いとおっしゃるならまだしも、小さいというのは、失礼では無くて?」

「ははっ、僕は別に何が小さいとまでは言ってないよ」

「な、そう言う事を言ってるんじゃありません!」

ボッと赤くなる顔だったが、それは彼に対してなのか、彼の言ったことに対してなのか。

「ほら、行こう!」

またセシリアの手を取って路地の奥へ進んでいく。路地の壁に擦れて汚れていくドレス。

だがセシリアにはそんな事気になど、ならなかった。

セシリアの気を引いていたのは、自分の手を握っている一人の少年だったのだから。

しばらく路地を、進むと彼の言った通り、階段が目の前に現れた。

それを一段一段登っていく。

かなり長い階段だ。

「もう、息切れ?」

「まだ・・大丈夫ですわ!」

彼なりの励ましもあって、二人はようやく屋上へ辿り着く。

彼が住んでいたのはサクラメント市内でも結構山寄りの小さな街だった。

そしてそこは、簡単に言えば低所得者の暮らす一昔前のNYのハーレムの様な場所だ。

そして、この場所は、その中でもまぁまぁ高い、建物の屋上。

今思い出してみると、多分それは高いと言っても、すべてが一望できるほどの高さは無かった。

自分の住んでいたお屋敷の屋上の方が高かったぐらいだ。

でもその景色は、それよりも低かったのに、とてもきれいだった。

既に傾き始めていた、太陽が遠くに見えるサクラメント中心部の摩天楼を美しく照らし出し、

サクラメント川に、夕日が映えるその光景は今でも鮮明に思い出せる。

「綺麗でしょ」

「えぇ・・・本当に」

「君と、どっちが綺麗かな」

「ちょっと、くさすぎですわよ」

「アメリカでは、意外とまだ主流なんだけどなぁ」

そう言って頭をかく彼を、私は優しく見る。

そして今度はまた、もと来た道を彼に手を引かれ帰るのだ。

帰れば、私は用意された部屋に通されて、彼とは別々になってしまう。

本気でいっそこのまま帰らなかったらどうなるのだろうと考えたこともあった。

だから少しでもその手を、握っていたくて帰りは決まってゆっくり歩いて帰った。

遅くなって、母親に怒られようともそれはそれで、よかった。

母親の仕事を心配しつつも、反対に交渉がもっと長引いてくれることを望んでいた。

 

懐かしいですわね。

本当に懐かしい。

いまだに、昨日の事を思い出しているのかと錯覚するぐらい鮮明なその記憶に思いをはせながら、

セシリアは、アルディと繋がっていた方の手を、もう片方の手でそっと包む。

そこには微かにアルディの温かさが残っていた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

ど、どうしよう。

セシリーが、何が引き金かわからないがトリップしてしまった。

時折、頬を染めて体をくねらせたり、そうかと思うとどこか懐かしそうな目で宙を見ていたり・・・・。

流石に声がかけづらい。

そして、何より周囲の目が痛い。

・・・これどうしよう。

いつも気丈にふるまうお嬢さんも、今はただの扱いに困る危険人物になり下がっている。

って、もうすぐ予鈴が鳴る時間じゃないか!

と、とにかくセシリーを教室の中に入れよう。そうだ、そうしよう。

僕はセシリーをとりあえず教室の中へ入れるべく後ろから押す。

その間も、お構いなしに色々考え事をしているようで、微妙に動くセシリー。

ちょっと、動くのだけはやめてほしいなぁ。

こっちもバランスを取るのが難かし・・・・!?

突然バランスが崩れる。

何が!?

一瞬足元を見ると、そこにはドアスライドの溝が。

・・・・嘘でしょ。

「え!?あ、アル、あなた何をって、きゃぁぁぁぁぁ!!!」

「うわっと!!」

ようやく我に返ったセシリーがこちらを振り向くが、それで体勢が立て直せるわけもなく、

そのまま一緒に盛大に倒れてしまった。

 

一瞬の衝撃の後、痛みと一緒に、何か手の下に柔らかい感触がが・・・・・。

ん?床にしては・・・あまりに・・・・・。

焦点がまだぼやけているが、セシリーに怪我は無いようだ。

少なくとも顔には。

・・・・さっきから何を、掴んで?

「わぁ・・・・アルディ君大胆・・・」

だい・・・何?

そりゃダイナミックに転んだけど。

そしてようやく、焦点が合って来た時、僕はその意味を理解する。

・・・・・こりゃあ。

柔らかいわけだ。

僕の右手は丁度セシリーの胸を・・・・。

そして目の前のセシリーは、ワン、ツー、スリィ、フォー・・・・少なくとも四つ以上額に、血管が浮き出ている。

「あの・・・・」

ニコッ♪

ドガンッ!

笑顔とほぼ同時に、ブルー・ティアーズを部分展開した右腕がさく裂。

僕は人生初体験の、天井にめり込むという貴重な体験をした。

 

 

「さて、それではSHRを始める・・・・・。どうしたサウスバードその怪我は」

「・・・・何というか、自業自得です・・はい」

昼からの授業も終わり、今は織斑先生のSHRの時間だ。

これが終われば、みんな大好き放課後が始まるのだが、どうもセシリーがあの件で、ご立腹なようで・・・・。

何度が話しかけてみたのだが、すべて追い返されてしまった。

 

「ふむ・・・まぁいい。それよりも来月・・・まぁもう残すところ数週間と言ったところだが、

いよいよクラス対抗戦が始まる。このクラスの代表は織斑お前だな」

「はい」

「しっかり準備して、挑めよ。私のクラスにいるという意味を、よく考えてな」

つまり勝てってことか。

姉とはいえ、もの凄いプレッシャーをかけるな、織斑先生も。

「それから、サウスバードもな」

「はい!?」

「うむ、言い返事だ」

声が裏返ったのに、何が良い返事だ!

って言うか僕が何?

「あの、先生・・・僕がなんです?」

「喜べサウスバード、お前はクラス代表選の補欠候補に選ばれたぞ」

選ばれた、じゃなくて選んだんでしょ!

「いや、そんないきなり、僕はそんな話聞いてませんよ!?」

「ヨカッタナァ、イヤァホントウニヨカッタ!」

一夏・・・・君か!!!

「何考えてるんだよ君は、代表らしく堂々と一人で挑みたまえよ!!」

「だって、お前俺は素人だぞ!?」

「そんなの、僕だってそうだよ!!」

「まぁそう、言うなサウスバード。私が許可したんだ。

織斑の場合練習中にも下手なミスを犯しそうだからな。それでもしもの事があれば一組は不戦敗だ。そんな情けない結果を出せると思うか?」

出せばいいじゃないかぁ。

見栄は張ると下手見るんだよ?

だが相手は織斑先生だ。

何を言っても、これが覆るなんて言うことは無いだろう。

「一夏・・・・怪我したら、本気で怒るからね」

諦めて、念だけは押しておいたが・・・・・。

まぁ、そうそう滅多な事は怒らないだろう。

 

 

放課後。

今日は、他の誰ともつるむことなく、一人部屋に帰ってきていた。

放課後すぐにセシリーを探したが、既にいなかったし、一夏は一夏で箒との自主練があるとのことで、アリーナへ行ってしまうし。

ってかよくよく考えたら、僕友達少ないねぇ・・・。

椅子に座りながら、考え事。

色々考えることが多すぎる。

ISの操縦もそうだし、今回のクラス対抗戦そしてセシリーの事もだ。

優先順位をつけるなら・・・

一:セシリー

二:ISの操縦

三:クラス対抗戦

と言ったところだが、最優先しなくちゃいけないセシリーが取り付く島もないのでは。

どうしたもんか・・・・。

その時、部屋にノック音が響いた。

ん、誰??

再び、響くノック音。

次第に音が大きくなってるような・・・。

ったく・・・わかった、わかりましたよ!

もぅ、誰だよ。

そして、僕がドアノブに手をかけた次の瞬間

バンッ!!

勢いよく開かれた、ドアが僕の顔面に直撃する。

「いったぁぁぁぁ!!!」

「ノックしたらすぐに出なさいよね、全く!!!」

その悪びれる様子もない、気丈で勝気な声・・・

「や、やぁ鈴・・・」

「やぁ、じゃないわよ!ちょっと来て」

「なんで?」

「いいから!」

無理やり僕の首根っこをつかむとそのまま部屋から引きずり出される。

この学園の女性は、首根っこを掴んで男子を引きずるのがトレンドらしい。

初めて知った。

 

鈴に引きずられ、連れてこられたのはアリーナだった。

放課後と言う事もあり、自主練に励む生徒たちが見受けられる。

その中に白い専用機〝白式〟を展開する一夏の姿もあった。

「準備してきなさい!」

「だから、なんで!」

「な、なんでって・・・そ、それは」

「それは?」

鈴は無言で、僕の頭をつかむと、一夏の方向へ顔を向けさせる。

「あそこに誰がいる?」

「一夏と箒だけど・・」

「そーよね、そう。あの女と一夏がいるわよね」

「それが僕と何の関係が・・・・」

全くわからない。

箒と一夏が自主練しようが、彼らの勝手だと思うのだが。

「どうして、一夏が、あの箒ってこと一緒に居るのかしら」

「自主練でしょ」

「あたしは何も聞いてないわよ!」

言う必要が無いだろう。って突っ込んだら、何されるかわからん。

「だから手伝いなさい」

「・・・・はい?」

「だから、手伝ってって言ってんの!」

何を手伝えと。この状況で僕が手伝わなきゃいけないことが、これまでの会話であっただろうか。

「あーもう、分かんないやつね。一夏とあいつが、

自主練してる所にあたし一人乗りこんだら、あたしががっついてると思われるじゃない!」

・・・・・あぁ、そうか。そう言うことか。

つまり鈴も。

「一夏が好きなのか」

「ばっ!声がでかいのよ!!なんでアメリカ人はそう言う事をズバッと言うかな!!」

真っ赤になって、詰め寄る鈴。

どうやら図星っぽい。

いいねぇ、一夏モテモテだ。

要は鈴が言いたいのはこういうことだろう。

箒と一夏が自主練しているのが気に入らない。でも、一人で出ていくと、なんだか一夏に、がっついているようで恥ずかしい。

だから僕と一緒にあたかも〝自主練習しに来ました〟という事を装って一夏に近づきたい。

多分そう言うことだ。

あの唐変木の一夏の事だ。

どれほどあからさまに近づこうと、自主練習で、たまたま出会ったという意見は通りやすい。

だけど・・・

なんだか、面白くない。

「なんか、それ僕にメリットでもあるの?」

「多分無いわよ」

「じゃあ、やだ」

「あんたねぇ・・・・立場わかってるのかしら、初めからあんたに・・・」

さっきとは比べ物にならないほどの剣幕・・・。

そうだ、さっきのトレンドに追加しておこう。

この学園では、蛇睨みも最近流行りのトレンドなんだな。

めっきり流行には疎いから知らなかったよ。

そして、僕が聞きたくないセリフが、容赦なく放たれた。

 

「拒否権なんて無いのよ」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

・・・・まぁ、あれは事故・・・みたいなものでしたし。

流石にあれは、やり過ぎたでしょうか・・・。

セシリアは教室に戻って、先ほどアルディに自分が取った行動を考えていた。

い、いやでも、あれぐらいは、危機感を持たせるには丁度いいのかも。

アルディは、自分では気が付いていないだろうが

一夏程では無いにしても、唐変木である。

まぁ、察しが良い分下手な事を言わないが、逆にそれがどこかさみしい時もある。

そうですわ、これぐらいなら大丈夫ですわよ!

きっと、しばらくすれば向こうの方から、またアクションがあるはずですし!

グッと拳を握って二度ほど頷くセシリアの耳に、少し気になる話し声が聞こえた。

「ねぇねぇ、専用機持ちがアリーナで自主練してるんだって!」

「マジで!?専用機って言うと・・・」

「何でも、うちのクラスの子と、転校生が一緒に自主練してるらしいよ」

え?

このクラスの?

一組の専用気持ちと言えば、一夏とアルそして自分だ。

初めは一夏が鈴と自主練をしているのかと思ったセシリアだったが、一夏は今日も箒と・・・・。

ま、まさか!

嫌な予感がする。

そう思うが早いかセシリアは、アリーナへ向かって走り出していた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

あぁ・・・・もう。

何だってこんなことに・・・。

アリーナへ入ると、ぶつかり合う音や掛け声の迫力に圧倒される。

「何ボケっと、突っ立ってんのよ」

声の方を見ると、ピンクのISスーツに身を包んだ鈴がそこにいた。

そして腕を組んで自信たっぷりな笑みを、浮かべている。

「ふふん、あそこに一夏達がいるのね」

渋々見やると、一夏達はアリーナの奥の方で打ち合っていた。

「良い自然に、近付くわよ」

「はぁ・・・・」

「あんたも、男ならここまで来たら、諦めなさい」

「諦めるの・・・?」

「とっととISを展開しろぉ!!」

鈴にせかされ僕は〝ストライク・バーディ〟を起動する。

いつも通り銃弾型のネックレスが光、一瞬の内に装甲が展開される。

「あ、あんたねぇ」

「今度は何!?」

ISを展開しろって言うから展開したのに、怒られる筋合いなど無い。

「なんでそんなに大きいのよ!!」

「そこは、僕の所為じゃないよ、アメリカに文句言って!」

やっぱりみんな言うことは同じ。

〝大きい〟

もう言われ慣れたが、こんな理不尽な言われ方は初めてで、ちょっと斬新・・・。

「もう、良いわよ。ほら行くわよ!」

鈴もISを展開する。

鈴のISは、赤みがかった黒色で、〝ストライク・バーディ〟ほどごつくはないものの、

アンロック・ユニットを持ち、肩には大型のスパイクアーマーが取り付けられている。

ストライク・バーディにその詳細が表示される。

「〝甲龍〟・・・・だめだ漢字は弱い」

続いてローマ字表記が記されてようやく読むことのできた僕だったが・・・・。

こ、これは・・・。

どうするかな。

「これなんて呼べばいい?」

「シェンロンでもコウリュウでも、どっちでもいいわよ」

こうりゅうか・・・うんそれで行こう。

「で、どうするのさ、展開はしたけど」

「ん~そうね。すぐに行ってもいいんだけど・・・・せっかくだし・・・」

「せっかくだし?」

また嫌な予感がするぞ。

「模擬戦しよう!」

やっぱり・・・、ほんと戦うのが好きだな・・・・・。

だけど、これはこれでいい経験かもしれない。これまでセシリーにばかり、頼って技術を教えてもらったけど、実際その技術がどれほど身についているのかまでは分からなかったし。

それに相手は、見た目からわかる近接型。

一夏との初陣では、接近を許しちゃったしなぁ。

それにISは戦い方や戦闘経験から学んで、自己発達していくものらしい。

こういう経験を積んでいくことは、デメリットにはならないはずだ。

「・・・・ふぅ、分かった」

「それじゃあ、準備しなさい」

鈴が一気に浮上する。だが僕はそれを追うことはしない。

このISの基本戦法は、〝フレキシブル・ターンを使った固定砲台〟なのだから。

しばしの沈黙の後、鈴が一気に間合いを詰めてくる。

「ハァァァァァッ!!」

僕は、落ち着いてセシリーの教えを、思い出す。

〝あなたのISは細かな射撃には向いていないと言う事ですわね〟

僕は、〝ファイアーフライ〟を構えると、狙いなど定めずその方向へ連射する。

荷電粒子砲は連射には向かないが、一発あたりの攻撃力は高い。

発射間隔があるとはいえ、直撃すれば大きなダメージを避けられない鈴は、一気に高度を下げ、

今度は、ほぼ真下から、こっちに接近する。

「威力は高いの揃ってるみたいでも、やっぱりその大きさ!早さは無いみたいねッ!」

それはどうかな

ハイパーセンサーで位置を瞬時に把握し、〝フレキシブル・スラスター〟が稼働。

素早く鈴を正面にとらえ同様に弾膜を張っていく。

「っく!なるほど、そう言う戦い方か!!」

「近づかれたら、手も足もでないんだよ!」

また再び、距離を取る鈴。一定の距離を取って言ったん動きを止める。

そしてこちらに、今までで初めて、笑顔を見せた。

「やるじゃない!」

「それはどうも」

と言っても、僕がここまで代表候補生とやりあえているのは、紛れもなくセシリーのおかげだ。

まぁ相手は本機の半分も出していないんだろうけど、それでも、何もレクチャーを受けなかったら、

恐らくはこの攻防などなく、一瞬で終わっていた。

僕は着実に、セシリーの教えが身についていることに喜びを覚えつつ、鈴との模擬戦に再び身を投じた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

アリーナの観客席からセシリアは二人を見ていた。

アルと、あの鈴という転校生が模擬戦をしている。

やはり、予想は的中していた。

・・・・はぁ、私馬鹿ですわね。

そう自分を自嘲する。

アルディは、私の態度に見切りをつけて、あの鈴との模擬戦の方を優先したのだ。

そう、自分によりメリットがあるから。

フフッ・・・。

今まで浮かれていた自分が馬鹿らしい。

何が危機感だ。

アルディには初めから私の事などどうでもよかったのだ。

あの笑顔を見てもわかる。あんな笑顔私の時には見せたことなど無かった。

きっと教えを受けられれば誰でもいい。

ほんと、馬鹿ですわね・・・・。

フラフラする足取りで、アリーナを出ていくセシリア。

その後、アルディが鈴によって撃墜されたが、それはもうどうでもいいことだった。

そう・・・

 

 

もう、どうでもいい。




セシリアさん可愛いなぁ~

声はあんまり好きではないけど(爆w
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