SAN値ゼロから始める異世界召喚士ライフ 狂喜と混沌を呼ぶ召喚士   作:猫カイト

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一話 旅立ちとミ=ゴ

召喚士――魔物を呼び出し、戦わせる異世界の花形職。

そんな職業がある世界に転生したのに

俺が召喚できるのは、美少女でもドラゴンでもない。

 

「だからムーンビースト! 抱きつくなって言ってるだろ! 臭いが移る! 勝手に召喚されてくるのも禁止!!」

 

「ええ~、スキンシップは良い文明ですよ? ねぇ、ミ=ゴ?」

 

「私は止めません。面倒なので」

 

――なぜ、俺の召喚する魔物はクトゥルフ神話の連中だけなんだ?

 

「いやいやいや! 俺、もっとこう……美少女魔物とか、カッコいいドラゴンとか、そういうのを召喚する人生がよかったんだけど!?」

 

……というわけで、今回は俺・ラブが送る、召喚士学園での狂気と混沌の物語。

準備はいいか?

俺はできてない!!

 

 

 

 俺の名前は佐藤大吉。元・地球人、現・異世界転生者。

こっちでの名前は「ラブ」だ。恥ずかしいけど、大吉よりマシ。

 

なにせ前世では「大吉(笑)」とか言われるくらい、不運だったからな。

でも「ラブ」って案外悪くない。可愛い女の子に「ラブ♪」って呼ばれたら……って、妄想するだけ無駄か。この村、女の子いないし。子供も俺ひとり。

 

「ミー?」

 

そんな俺の落ち込みを察してか、シャンタク鳥のシャンちゃんが寄ってくる。

この子は俺が初めて召喚した魔物で、今ではパートナーみたいな存在だ。

 

「はあ~、癒される……。お前だけだよ、俺の味方は……」

 

手乗りサイズのシャンちゃんをもふりながら、俺は改めて思う。

たとえ見た目がクトゥルフ系でも、俺にとっては大事な存在だ。

 

「そろそろ料理できましたよ? 私にやらせておいて、あなたはのんびりして……これだから下等生物は」

 

「わっ、ごめんミラさん!」

 

ミラさんは、俺の世話をしてくれている魔物。羽の生えた虫みたいな外見の、ミ=ゴだ。虫って言うと怒るけど、いや、どう見ても虫だよね?

 

そんな彼女(?)だけど、俺の面倒を見てくれている親代わりでもある。

ちょっとツンだけど、根は優しい――ような気がする。

 

「ミラさん、今日はありがとうな。俺、学園行ってくる!」

 

そう、俺は今日から中央召喚士養成所――通称《サモナースクール》に入学するのだ!

 

 

 

 サモナースクールは、Bランク以上の召喚適性がないと入れない超エリート学園。

しかも俺の目標は、その学園を卒業して《一級召喚士》になること!

 

召喚士は最大5属性を同時に操れる、戦闘職の花形。

対して魔法使いは2属性が限界らしく、そりゃあ差が出るわけだ。

 

とはいえ、召喚士には避けて通れない壁がある。

それが《召喚適性レベル》だ。

 

レベルDなら1体、Cなら2体、Bなら3体――といった具合に、レベルによって扱える魔物の数が決まる。

当然、Bランクが最低ラインというこの学園のハードルは高い。

とはいえ、やっと小屋にこもりっきりの生活とはおさらばだ。

異世界ライフは楽しみだ…!

そんな学園生活に夢を持ちながら不安もある

 

 

「俺、不運だからなぁ。ギリCで落ちる未来しか見えない……」

 

そのときはそのときで、喫茶店でも開いてシャンちゃんとゆるく生きるのもアリか。

いや、それはそれで悪くないかもしれない。

 

「そろそろ行かないと間に合いませんよ?」

 

「うわっヤバ! ミラさん、後片付けお願いできる!?」

 

「仕方ありませんね。今日は特別です。……ですが私の役目も今日で終わりですから」

 

「うん、ありがとう……今まで育ててくれて、本当に感謝してる!」

 

俺はそう言って、走り出した。

 

もう戻らないかもしれないこの家。

だからこそ、感謝を伝えずにはいられなかった。

 

 

 

 「……まったく。あんなクサいセリフを恥ずかしげもなく……」

 

ミ=ゴのミラは、ため息をつく。

 

なぜ自分が彼を育ててきたのか。

愛? 同情? そんなものではない。

 

理由はひとつ。

『アレ』に命令されたから。

 

突如現れた『アレ』――理不尽の化身のような存在に逆らえる者など、ほとんどいない。

命じられたら、従うしかなかった。

 

「……けれど、彼の成長をもっと見ていたかったと思う自分もいます」

 

窓の外に、黒い影が現れる。

窓の外に誰か居るのか?と思い窓を覗く。

だがそこには何も存在しない

これは何か……

 

「虫が感情を持つなんて 虫は本能にだけ従って生きてろよー♪それが君たち虫でしょ?」

 

 

部屋に突如として現れたそれは、女とも男ともつかぬ姿

一体どこから入ったのか 何故ここまで接近されて気づかなかったのかという疑問は浮かんだがそれは無意味だと私は知っている。

私はだれが虫だと反論したかったが

ヤツが放つ空気でわかるほど異質なオーラで私は誰だか分かってしまった。

間違いない、あの忌まわしき“アレ”だ。

かつて、世界を灰に帰した“あいつ”の気配が、今ここにある

恐怖で私は震える。

言語の知性も失くなってきている。

 

逃げる? 今更だ。

無理だ。

戦うしかない。

勝てないとわかっていても――これしか道はない。

ヤツは私が戦うと考えただけで音速で何かを振るった。

私の腕は消し飛び地面へと落ちる。

血の熱が一瞬チリチリと冷気に変わる

腕が切り落とされた事に恐怖はない

アレと私の差はそれほどなのだ。

だが私が一番恐怖をもたらしたのは痛みが全く無いという事なのだ。

いくら剣の達人でもそんなことは不可能だ

ならこれは一体……

アレはそれを考える時間を与えない

 

 

「さて、次はどうしようか……。 彼は今までに無い存在 考えただけでわくわくしちゃう♪ とその前に虫は潰しとかなきゃね 虫は大嫌いなんだけど邪魔されても面倒だし私相手に戦うなんて不遜な考え もっと大嫌いだよ それにこれは戦いじゃなく駆除だよ~♪ 」

 

 

散々今まで彼の世話をさせてきて癖に仕事柄終わればこれだ。

アレに優しさや慈悲などありはしない。

今まで気まぐれに殺されなかっただけましだと言えるほど

アレの狂気は止まらない。

抵抗も意味を成さない

だが彼を守るため

私は自分らしさを捨てヤツに

動こうとした私にヤツは無慈悲にも蹴りを喰らわしてくる。

 

「あーあ 服に虫の汁が、この服燃やさなきゃね 気に入ってたのに このクソムシがぁ!!」

 

もう既に意識が事切れそうになっている自分にアレは怒って蹴り続ける。

 

まさに傍若無人 

これがアレだ。

こんなやつが飽きるまでついてくる彼の人生に、この世界に、祈りが届く神がいるのなら、彼にこそ、加護がありますように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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