SAN値ゼロから始める異世界召喚士ライフ 狂喜と混沌を呼ぶ召喚士 作:猫カイト
私はクラウ・ロイスは所謂陰キャの転生者である。
属性を盛り過ぎかと突っ込みたくなるが事実なのだから仕方ない。
気付いたらこの世界で生を受けていたのが私。
何故こんな私が選ばれたのか
私にもわからない。
特別な才なども力もない。
この世界に来てからもそれは変わらなかった。
前世?とまったく同じなのだから性格も変わるわけがなく、陰キャの女の子
それが私。
でも私はこの世界に転生できて嬉しく思う。
召喚獣といった魔物達がいるのだから
特別を求めるのは人間の性だと私は思う。
だから前世には無かった概念召喚を学ぶためにこの学園に入ったのも当然の事だろう。
もしかしたら私は凄い力を持っていて今までの弱い自分とはお別れ出来るかもしれない。
そんな願望もあった。
だが世界はそんなに甘くなかった。
私に与えられたのは必要最低限の魔力量。
やはり世界が変わってもモブはモブなのだろう。
でもその事実を受け入れられなくて色々行動しようと思ったが私にはそんな力もコミュ力もない。
悲しいがこれが私
だからあの時道に迷っている彼に出会ったのはまさにノアの方舟というのか救いの蜘蛛の糸だった。
だが忘れるな
糸とは軽く切れてしまうものだ。
私は彼の第一声に顔を赤くしてしまった。
私が女神?
こんなモブの私が?
まぁ、見た目ではなく困っている自分に話しかけてくれた優しさを言っているのだろうが、
私はそんな女神と言われるほどの聖人ではない。
悪い意味で評判の彼に話しかければ何か変わるかも?
イベントフラグがたつかも?と自分のことだけを考えて話しかけたのが私。
純粋な善意ではない。
動機ありまくりだ。
「!?め、女神!?そんな凄いものじゃありません!!」
とりあえず私は顔を赤くしながらそんな事はないと伝える。
まるでヒロインのように
自分でも演じている自分が嫌になる。
「き、急にごめん!! なんとなくそんな感じがしただけで……口説こうとかそんなんじゃないから!!」
彼は私以上に顔を赤くして走り出してしまう。
その方向は教室と真逆。
止めなければ。
「ちょ!どこに行くんですか!?教室はそっちじゃありませんよ!!」
私は急いで彼の肩に手を乗せて止める。
彼を止めようと身体に触れた時、世界は変わった。
またどこかが燃えている。
炎の香りと人が焼ける香り。
その二つが俺に変わらず嫌悪感と言えばいいのか、気持ち悪い感覚を俺に与えてくる。
これは夢だ。
俺はそう思うことにしている。
だって突然こんな光景を見せられて現実だと思うわけはないだろう?
それ以前にこんな光景を現実だと思いたくない。
あれ、俺は寝ていたっけ?
さっき、俺は糞恥ずかしい事を言って羞恥心に耐えられず逃げた筈。
眠った記憶はない。
ならこれはなんだ?
幻覚?
それとも何かで気を失った?
分からない。
俺は異様な周囲の光景といままで無かったパターンに混乱した。
この夢は何度も見てきたのに
俺は一刻も速く目覚めたかった。
一刻も速くこの悪夢から目覚めたかった。
根本はいつも見ている悪夢と変わらない。
なら覚める方法は変わらないだろう。
火の真ん中にいる彼女に触れようとする。
それが最悪な悪夢から目覚める唯一の方法。
いつも彼女に近づこうとすると夢から覚める。
この夢については何も分からないがそれだけは分かっている。
なら近づくのみ
俺は足を進める。
周りが、人が、自分が燃えている。
人の悲鳴 何かが燃える香り そして燃える私
まるで悪夢のような光景。
それなのに何故か痛みも恐怖も何も感じない。
それどころか何故か高揚感?というのか心がその匂いと音と光景に喜んでいる。
私はどうかしてしまったのか?
いや、元々これが私だったのか?
どっちにしても最低だ。
炎が揺れる中、ひとつの影が近づいてくる。
近づかないで燃えて灰になってしまう。
そう叫べたら良かった。
だが私の歓喜はそれを許さなかった。
もっと燃やしたい。
そう私の心がそう言っている。
やはり最低だ。
このまま自分が灰になればこんな悪は消える。
このまま燃え続ければ……
そう思った。
だが何かが私の身体に触れた時炎は消えてしまった。
それは誰かの手。
温かい。
いま思えばさっきまで炎で焼かれていた筈なのに熱いとか温かいとか思わなかった。
それなのにこの手は温かいと分かる。
私は何故かこの手を知っている。
この優しい手を。
だから私は気になった。
その夢の中心である筈の彼女に近づくことも許されぬ変な夢。
それはずっと俺が感じた事だった。
なのに今回は彼女に近づくどころか触れることすら出来た。
彼女は冷たい
温めたい。
何故かそう思ってしまった。
燃えているのに。
訳が分からなかった。
その訳が分からないまま世界は黒い闇、
いや、あれは手か?
なにかわからないものに俺は飲み込まれていく。
意識が戻った時、そこは廊下だった。
ここはさっきの廊下。
この手は彼女の手……
いつも悪夢から目覚めた時はベットだった。
何がなんだか分からなかった。
だが頭に浮かんできたのは。
「「あなたの(きみの)名前を聞かせて」」
二人が同じ疑問を……
あぁ、鐘の音が聞こえる。
「なにこれ?」
まるでラブコメだ。
あいつとわたしの○○が?
反吐が出る。
それが奴の狙いなら成功だろう。
悪趣味だ。
だから私は奴が大嫌い。
人の○○に干渉してくる癖に...…こんな糞みたいな光景を演出してくる。
干渉……なら今度は……
いや、止めておこう。
アイツと同じネタをやりたくない。
奴の二番煎じなんて死んでもごめんだ。