SAN値ゼロから始める異世界召喚士ライフ 狂喜と混沌を呼ぶ召喚士 作:猫カイト
私は強くなりたかった。
大切なものを守るために、もう二度と失いたくないから。
強ければ、奪われることも、傷つけられることもない。
弱い者は、すべてを失い、死んでいく。
それが世界のルールであり、現実だ。
だから、私は強くなる。
誰よりも、強く、強く、強く。
彼を傷つけさせないために、もう二度と。
私は、自分が異形であることを呪っていた。
黒い塊、触手、赤い瞳。
だれがそんな化物を愛するだろうか?
見た目のせいで、誰も私を好きにならない。
周りの目は冷たく、避けられるばかり。
それでも、私たちは強くなくてはならない。
神には勝てず、化身にも敵わない。
同じ神話生物すら、私たちを超えていく。
私たちは、無力で、ひとりひとりが消えていく。
だが、ある日、一人のショゴスが気づいてしまった。
どんなに研鑽を積んでも、世代を超えても、
ミ=ゴには勝てない。
それに気づいたからこそ、私たちは無駄を省けたのかもしれない。
でも、私たちの存在は何だったのか?
肉体も知識も、ミ=ゴに勝てない。
特徴的な変幻自在な肉体すら、混沌にはかなわない。
いつしか私たちは、何もせず、ただただ腐り落ちていく存在となった。
それがショゴスだ。
死んだも同然だ。
そんな私に、彼が現れた。
ラブ――
彼は、私に名前をくれた。
彼を守ることを、生きる意味を教えてくれた。
ミラという友も、私にくれた。
彼のために生きることが、私の唯一の幸せだった。
だが、忘れないでほしい。
私たちの根本は変わらない。
ショゴスとして生まれ、弱さが宿る限り、奪われていく。
その運命からは逃れられない。
彼を守れなかった。
ミラも守れなかった。
何のために生きているのか、わからなくなる。
どうすればよかったのか、わからないままだった。
『わかっているんだろう?』
うるさい、黙れ。
『君がそんな状態でどうするんだ?』
また、彼を利用するつもりか?
『君が僕を止められると思ってるのか?あの時、君は動けなかったじゃないか。』
――また、あの暗闇に戻るのか?
『戻りたくないだろう?ならば、君もわかっているはずだ。強くなるしかないんだ。』
わかってる。
もう、迷っている時間はない。
『弱さは罪。強ければ何も失わない。失うことがない世界へ、君も行け。』
私は触手を伸ばす。
もう迷わない。私は、強くなる。
例えそれが、滅びの道だとしても、構わない。
守りたいものがあるから。
『なるほど。面白い!』
アイツの高笑いが響く。
でも、もう知ったことじゃない。
私は彼を守る。
それが滅びの道だとしても。
私は歩こう
もう失わないために
『だが気づいていたか?いくら罪を犯そうが、強くなろうが根幹は変わらないという 残酷な現実に』