SAN値ゼロから始める異世界召喚士ライフ 狂喜と混沌を呼ぶ召喚士 作:猫カイト
「なぜ彼にあれを与えなかったか?」
私は母様のコップに紅茶を注ぎながら疑問を投げ掛ける
「えぇ気になりますわ母様 あれを与えていれば私たちの目的はもっと速く達成できたでしょうに」
「それだとつまらないじゃない?」
「つまらない?」
「いきなり最強なんてもう飽き飽きなのよ 皆」
「皆?」
「気にしない 気にしない とにかく彼には苦労や絶望を知って貰わなきゃ」
またこれだ。
母様のきまぐれで何度計画が挫折したことか
いつもその尻拭いのするのは私達なのに
「相変わらず悪趣味ですね母様。」
「そう? あなたもそういうのが好きでしょ?」
「そうですが……」
「もしかして彼の中に長くいたせいで情が沸いちゃった? 」
「そ、そんなわけ!!」
「そうだよね、私の娘がそんな柔なわけないよね。
もしも情をもっていたら……ね?」
母様はいつもこれだ。
私たちに自由を許さない
人間の母もそうなのだろうか?
まぁ、人間の母より怖いのは確かだ。
「それにしてもまさかおまえが最初に帰ってくるとは思っても見なかったよ」
「そうですか?私が一番弱いから順当では?」
「いやいや、戦闘狂いのあいつかと思ってた」
母様はいつもそうだ
私達を名前では呼ばない
いや名前など知らないのだろう。
何故なら私達は母様の目的のための駒なのだから。
「中姉様はああ、みえて冷静ですから私みたいにやられたりしませんよ」
姉は強くて冷静
上姉様より頼りになる存在だ
上姉様は強いのだが何を考えているかわからないというか天然と言うか
妹の私でもよくわからない
いま思えば上姉様は母様に一番近いのかもしれない
だから苦手なのかも……
「それよりあれの調子はどう?」
「順調のようですが、まだ速くないですか?彼はショゴスですらコントロールしきれていない……」
「母に逆らうのか?」
「めっそうもない」
冷たい視線が私を襲う。
まるでケツに氷柱がぶっさされたように空気が重くなる。
どれだけの不満があろうが母様にさかえられるものはこの世界にはいない……
まったく最悪な母をもったものだ……
こんな母様と長いこと二人きりだなんて、ますますじゃんけんの弱さが嫌になる
姉様達速く仕事を終わらせてくださいよ……
私は紅茶を飲みながらため息をつく。
「さぁ、君は何を選んでどう進む?楽しませてね人間」
そんな私と違い母様は彼を見て笑顔で紅茶を飲む。
呑気なものだ、……祈ってるわよ姉様達……ラブ……
ここに来た自分には祈ることしかできない。
あぁ、なんともどかしい
私も使途を作るべきだったか……今さらか