SAN値ゼロから始める異世界召喚士ライフ 狂喜と混沌を呼ぶ召喚士   作:猫カイト

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協定と捨てるもの

「協定を破るとはな!!教会もいつになっても変わらないな!!」

「よくいいますよ!!いつも協定違犯スレスレの事をやってるのはそっちっす!!」

 

 

教会と召喚士達

この国を代表とする二大組織とされているが

組織は大きくなれば成る程対立するものだ。

残念な事だが、それは歴史が証明している。

思想が同じなら別の組織なんて出来ないのだから

教会の思想は聖遺物や神の加護を頼っていた時代に戻ることこそ人類がとるべき道だとしている。

それに反して召喚士達は悪魔との契約から得た力 『召喚』といったものを用いてきた連中だ。

神の信仰と悪魔の利用

そのふたつは相反するもの

対立は無理もなかった。

 

対立が始まった時代を、師匠はこう語っていた

 

「まさに地獄だった」と

神の力を代弁する者と、悪魔の力を行使する者との戦いが只ですむわけがなかった。

地は荒れ果て、関係のない民までに犠牲もでたという。

それを許せなかったとしなかった15代目法王は協定を当時召喚士一大派閥の長であったクルナルドに送り、クルナルドも市民への被害は良く思っていなかったのか

それを了承したという。

師匠によれば政治も絡んでいたらしいが

そこはどうでもいい

今大事なのは協定に記されていた条約だ

『不可侵領域への攻撃を禁ずる』

 

これを教会側が破ったことである。

何故?

この条約は教会の神域を守るための物であり、教会から提案してきた条約だ。

8代も守られてきたそれを破ってまでなぜ今動く?

無謀とも言える一人での攻撃といい、

ますます理解できない。

 

「何考え込んでるんすか!!その召喚士特有の気質昔から大嫌いなんす!!」

 

サラは苛立った様子で暗器を投げる。

俺はそれを防御陣でガードする。

弾かれた暗器は床に接触すると同時に消える。

敵は考える時間も与えてくれないか。

 

 

「よくいう!!おまえだって……」

 

校長に指摘されて落ち込んでいた俺を

同じ穴の狢だと笑っていたのに……

 

「それも演技だったのか」

 

「私は生まれた時から人を欺く事を教え込まれてきたんすよ!!癖をあえて作るなんて楽勝っす!!」

 

「神を信仰する教会が人を欺くとはな!!

それを許す神と法王どもの顔をますます拝みたくなったよ!!」

 

「……罰はいずれ受けます!!」

 

「罪と感じながら、そこまでしておまえ達は何を望む!?」

 

「教えてやる義理はないっす!!あんたはもう先輩でも仲間でもないんっすよ!!」

 

 

「なら無理矢理にでも聞き出すまで!!」

そういって俺は杖を異空間から呼び出し召喚術式を組み上げる。

これは杖を使う分魔力消費が多いのだが背に腹は変えられん。 

 

「高速召喚っすか!?そんなの許すわけがない!!」

 

あぁ、教会の戦士ならそれを許さないために暗器を投げるだろうよ

だからその暗器を封じさせてもらった。

 

 

「魔術阻害!?……この一瞬で私の清算術式を解明して妨害したっていうんすか!?」

 

「教会の戦士との戦いは久々だし、阻害術式を作るのには時間がかかったよ」

 

「一瞬で私の術式を解明するなんて不可能っす!!我々は阻害対策として細部を個人個人で変えている!!そこまで見抜くのには時間が……まさか!?」

 

「やっと気付いたか? この眼に」

 

「オウルの眼……まさかその眼にそんな機能があるとは……でもどうやって眼だけをまさか親友の眼を奪ったわけでもないでしょ」

 

「これが師匠直伝 レオナルド式パーツ召喚術だよ 名前は安直すぎてもう少しどうにかならないかと思うがな」

 

「そういえばあんたはアイツの弟子でしたね

それぐらい出来て当然っすか……」

 

「降参しろ 今ならまだ間に合う この魔方陣から出てくるのは知っているだろう?」

 

「えぇ何度もソイツに命を救われましたから怖さも知ってるつもりっす」

 

「なら!」

 

「でもね 私にも退けない理由があるんす」

 

「教会はおまえ達を使い潰す事しか!!」

 

「そんなのとっくにしってます!!私は教会の為に戦ってるんじゃない すべては彼女のため!!存在のため!!証明のため!!そのためなら神なんて捨てますよ!!」

 

「それは!!やめろ!!」

 

サラが取り出したのは禁忌の代物だった。

魔獣の血

それは魔獣を顕現させるもの。

召喚士でも教会でも許されぬ罪の証だ。

それを取り込んだ人間は……

 

「がぁ!!やっぱり痛みはある……んすね」

 

「止めろ!!神を捨てるどころか人間性すら捨て去る気か!?」

 

「もう手遅れなのはわかってるでしょ先輩?そういう優しさ本当は大好きでした」

 

なんだその顔は

今までおまえは俺を大嫌いだと!!

その顔はまるで……

 

「ぐぅあぁ!!」

 

サラの身体は大きな躍動と共に骨は成長し皮膚にはもう収まらなくなり露出する。

次にその骨を隠すために背中から分泌された闇というのかヘドロのようなものが身体を覆い獣の皮膚へと変える。

爪も割れ人間の爪は全て地面に落ち獣の爪へと生え変わる。

最後に残っていた優しい眼も獣の赤い眼へと変わってしまう。

当たり前だ

人間という脆弱な生き物の肉体を神話レベルの怪物の化物へと変える呪いなのだから

こうなったら、いや本当はもうとっくに遅かった。

あの血を一滴でも取り込んだらどうなるかはおまえが一番しっていた筈だろうリオニス

 

「……また魔獣狩りの役目は俺かよサラ……全く自分でも最悪な運命だよ……安心しな魔獣狩りにはなれてる。すぐに終わらせてやる グリフォン完全顕現  」

 

これを使うのは何年ぶりか

グリフォンは登場してすぐに闇に飲み込まれていく。

闇は彼の羽根を真の形へと変えてくれる。

人間界に降り立つための制限を外す呪法

これは召喚士のルールでは許されていない。

だがそんなことはどうでもいい

彼女も罪を重ね何かを成すためにあの血を使ったのだから

それを終わらせるのも俺も罪を背負おう。 

友のためだ。

それぐらい許してください師匠

 

 

 

 

 

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