SAN値ゼロから始める異世界召喚士ライフ 狂喜と混沌を呼ぶ召喚士   作:猫カイト

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狩りと久々の食事

 過去は、どれだけ隠しても露見する。

それは当然の事だ。

何故なら過去を隠すのも、暴くのも人間だからだ。

人間は過去を隠しきれるほど完璧な生き物ではないのだから

だから我々が存在する。

協会の闇 

悪を知ったものを始末する我々が

───だが我々は忘れていた

闇は光が大きければ大きいほど強くなるが、

光がない暗闇には無力だと言うことを

 

 今回はいらなくなった粗大ゴミ(にんぎょう)の排除という楽な仕事の筈だった。

だが馬鹿の裏切り者のせいで楽な仕事とは行かなくなった。

粗大ゴミがスクールに保護されてしまった。

敵の領地の中での暗殺はどれだけ難しいか

馬鹿は同じ教育を受けていたのだから、

知っていて当然だ。

まったくめんどくさい

だが我々ハオスには失敗や任務の放棄は許されない

そんなことがあれば待っているのは死

自分の死は怖くない。

そう教育(拷問)されてきた。

だが我々は同じ教育を受けてきた仲間であるからか結束というか団結力が高い。

それを教会も知っている。

───失敗したら仲間が処刑される

それが我々ハオスの罰。

それだけは駄目だ。

だから我々ハオスはより本気になる。

奴らはそれを知っている。

いや、そうなるように育てたのが奴らだ。

まったく悪辣な思考だ。

それで神を信仰しているというのだから笑わせる。

だが今回だけは自分だけでどうにか出来る問題ではない。

 

スクール

そこは教会の宿敵の陣営の重要拠点のひとつだ。

そんな場所で中に潜入要因ももいない

どこにターゲットがいるかも分からない。

それがどれだけ不可能な暗殺なのか 

教会も分かってはいるのだろうが

みすみす教会の罪の証であるアレを渡すわけには行かないとお偉いさん方は焦っている。

それだけ焦るほどの物ならとっとと処分しておけばよかったものを

なまじ金がかかっているから捨てれずに居たというのが欲を捨てた筈の神の信徒なのだから皮肉だろう?

そんな皮肉の塊を排除するために苦労をするこっちの身にもなってほしい

だが愚痴だけを言っていても始まらない。

一人で無理なら、最悪の選択だがこれしかない。

一人で無理なら徒党を組む

簡単なことだ。

だがそれは大きな間違いだったと今になって分かる。

 

 

「はぁー 私の幸運が嫌になるわー 空腹で死にそうな時にちょうどいい餌がやってくるんだから」

 

触手が私の身体を這い回っている

それはまるで触って……品定めのような嫌な感触だ。

こんな存在がいるなんて聞いてなかったぞ!!

こいつはなんだ

この黒い触手はなんだ

この黒髪の女、いや化物はなんだ!?

まるで我々の攻撃が通用しない。

 

「一人だと思ってたのにこんなに大量の餌を連れてきてくれるなんてあの人形ちゃんがそれほど邪魔だったのねー まったくどんだけ嫌われてんのよあいつ でもそのおかげでしばらく食事は困らなそう」

 

食事といったのか!?

つまり私の選択はみすみす敵の餌を増やしただけ?

そんなの!!

私のせいで皆は

 

「はハハハは」

 

「あぁ、壊れちゃったかぁー まぁ、ごはんの味には影響ないしいいか そうだ 」

 

身体に纏わり付いていた触手が突然私を離す。

突然なんだ?

 

「君だけは生かしてあげる だから人形ちゃんやマスターには近づくなって君の上司に伝えてくれる? マスターのじゃまをするならコイツらのように食べちゃうゾッて 」

 

そういって触手は私の仲間を飲み込み始める。

仲間の叫びで頭が可笑しくなりそうだった。

私達は痛みの叫び程度ではどうにもならないほど教会の連中に教育されてきた。

だがそんな私でもこれは……

溶かされていく仲間達の声は気持ち良さそうな、快楽を得ているような声なのだ。

溶かされて骨になっている部位もあるというのに聞こえてくるのは歓喜の声

どうにかなりそうだ!!

一刻も速く逃げたかった。

身体中からありとあらゆる水分が、尿すら出ている。

ここから速く離れたいのに……足が動かない。

 

「あらら、腰抜けちゃったか そんなに怖かった?」

 

突然優しい声をかけてくるそれに震えた。

さっきまでの冷酷さとのギャップがさらに震えを

 

怖い?

これが恐怖なのか?

それがなくすように育てられたハオスの私に恐怖?

だがそう言われてしまえばもうそれしか……

初めての感覚を知った次の瞬間には気を失っていた。

 

 『なんで逃がしたの?』

 

うるさい

私とて悪魔ではない。

あんな怖がっている小さな女の子を食うほど飢えてもいない。

 

『嘘つき 本当は食べたくて食べたくて仕方なかったくせに』

 

黙れ

私はおまえとは違う。

 

『確かに違うね 私は食べるのに理由なんてつけないもん それに食べる相手を選んで飢えることもない もっと自由になりなよー』

 

おまえのそれは自由ではない。

悪そのものだ。

 

『何を今更 君だって悪じゃないか』

 

相変わらず口は立つ。

そう言うところが嫌いなんだ

 

『僕も君は嫌いさ でも君といるのは面白いって思えるよ』

 

なんじゃそりゃ

 

『さぁね 君の感じに当てられたのか

君のラブの感覚』

 

マスターの名前を口にするな

 

『痛い痛い 自分の身体を刺すことないだろ?

まったく君の彼への愛にはヘドが出るよ そういうところも嫌いなんだよ』

 

私もおまえのそういう心に無神経に入り込んでくるところが大嫌いだ。 

 

『無茶いうなよ 僕と君は』

 

分かっている。

もう黙っていろ

そろそろここにいれる最後の時間だ。

最後までおまえと話したくない。

 

『へいへい』

 

私は召喚のタイムリミットが迫り消えていく中、最後に上を見る。

そうしなければ自分から滴る血が見えてしまうから

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