アンサラー 幻葬   作:月導

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二十六章~龍子~

狐、宝玉、鎖、神が幻葬の応接室のテーブルに広げられた筆文字の手紙を見ていた。

「今回こそは!認めてもらいますので覚悟してください!」

そんな文字を見た狐は荷をまとめ始めていた。

「なんでそんな慌てているの?」

神がそう問う。

「久々に会う友人だからだ。あまりに多忙な奴だからこれを逃せば次は何時になるか。」

「じゃ送るよ。私もその子に会ってみたいし。」

まるであやとりをするように手を動かす神。

「は?」

「ん-、この太い糸のどちらかだろうけど…確かアイア君との縁はやや冷たかったからこっちのピりつく振動の方かな。それじゃあなたたちを私と結び付けて、始まりを辿り端を見つけて。」

懐から取り出した針山と巨大な鋏で空を断ち縫い合わせる。

「じゃみんな立って。」

三人が立ったことを確認すると右手の縫い針を引っ張る。

「!待て!」

狐の制止は意味をなさなかった。

 

羅炎の依縁家があった広大な土地を眼前に二人の女性が立っていた。

一人は五尺の身長、もう一人は八尺ある。五尺は肩までの長さの黒髪とセーラー服に剣を背負っている。八尺は髪が腰まである黒に夜空色のメッシュ、白と薄い緑の漢服、右手に七尺の万年筆を模した槍を握っている。咥えていた葉巻を左手に移すと槍を握りなおす。

「忌まわしい。」

ひずみの音が出る程槍を握る。

「閉鎖的な教育の恐ろしさをまた一つ知れたよ。」

五尺が頭を振る。

「あ。」

二人の背後で狐が声を出す。

「!葛霧!」

先程まで無表情だった八尺が笑顔で振り返り鎖を蹴り飛ばす。

「ルグラ姉!」

宝玉が叫ぶが八尺はそれを気にせず鎖に槍を放る。

「よく顔を合わせられたね。なに?今度は葛霧を壊すの?」

片足で鎖を抑え付けながら胸に突き刺さした槍を捻る。同時に輪郭が何重にも重なる。

「その件は本当に悪かった、でもこの場面ではこの矛を収めてくれないか?さすがにあの子にこの光景は刺激が強すぎる。」

「知るか。」

「ルグラ姉から離れろ。」

かすかに指が擦れる音と同時に空からあの黒い棘が八尺に伸ばされる。

「横槍を入れるな。」

宝玉に突き刺さる八尺の脚。貫きはしない。硬いものがそれを阻んでいる。

「止めろ龍応、それ以上は度が過ぎる。」

狐が宝玉から脚を引っこ抜く。

「確かにこの小さな子にこれはやりすぎたかも。それじゃあこの分もついでにあいつに清算させるよ。」

「まあマテや、すでにその清算は付いている。それ以上はやりすぎだ。納得いかないかもしれんがこいつもこいつなりの後悔があったんだ。それを欠片でもいいから知ってくれ。」

鎖に更に復讐をしようと上げた脚を仮面が掴む。いくつも輪郭が重なって見える。

「アイア、でも」

「でもと言いたいのは分かる。ああよくわかる。ぶちまけたいことは俺に言え。それくらいししかできんが。」

「わかったよ。」

不貞腐れて仮面に覆いかぶさる八尺。

「葛霧、貴方たち三人の関係は?」

神の疑問。

「わっちとアイアは夫婦、あいつら二人は元許嫁だったがアイアの家はルグラが壊しもう片方の龍応は其れを受けてまた別の奴と政略結婚をさせようとする凝り固まった実家の奴らを悉く処した。」

「あれ、それじゃあドロドロの三角関係になっているの?」

「いや、夫婦と言っても形式的にあるもの。重婚も可能、多夫多妻の家もあったはずだ。」

「多夫多妻ねぇ。」

「なあルグラ、動けるか?」

「多分駆動部の中枢をヤられた。整備が必要。」

「ならわっちらは先に神社に行っている。後で狐雨に着いてゆけ。千景には伝えておく。」

「ありがとう。」

 

羅炎神社にて 

「話をまとめるとその四人が龍応へまとめて跳んで来た。龍応はルグラを殺そうとし、ヨブカは止めようとして蹴りを喰らい、葛霧が止めていたギリギリのところで俺が来たと。」

湯呑の茶を啜り八尺の頭を撫で続けながら一連の流れを把握した仮面。

「ひとまずこの問題の発端のあんた、本当にどうしてくれんだ。」

「え、私?」

問題の火は神に移した。

「あの、身内贔屓とかじゃなくて?」

「龍応がこうなったのはルグラが起こした事故でその事故は俺と会った時の偶然と依縁の旧体制な態度が原因だから…根幹は俺が生まれたこと、ひいては依縁家があったこと?」

「ん---!」

「ごめん今の言い方は無かったよな、もう二度と言わないから。」

「嘘、二年と四十三日前に一回、その八十二日前にも言ってる。」

「…。」

八尺と仮面は黙りこくってしまった。

「(ルグラ姉大丈夫かな。)」

宝玉は鎖の心配をしている。

「ほれアイア、更に撫でてやりな。」

狐は瓢箪の中身を流し込む。

「皆様、茶菓子をお持ちしました。」

籠に菓子を盛った五尺が入ってくる。

「…お前は誰じゃ!」

「そういえば何しれッとここに入っているんだ?」

「そういえば龍応様、説明をなさっていませんでしたね。」

「…フン。」

「いえ、説明をしろという意図ではないのですが。兄様と葛霧様にはお久しぶり、神様には初めましてですね。千那と申します。」

「「冗談だろ?」」

「兄様も龍応様も三重残響もつれを自力では止められませんでしたね。小生は未だ二重残影もつれも満足にできませんが。」

「もつれ?」

「彼女の言うもつれはわっちが教えた技術だ。端的に言えば一時的に分岐した自身を呼び出すものだが習得者が少ない。わっちが知る限り三重はわっちとあの二人しか身に着けていない。二重は色名とか呼ばれる連中になるための必須技能になっているそうだ。三重には遠く及ばぬがな。だが今はこいつの正体を決めなくては。千那は此方に来た時甘く見積もっても五歳の体だ。お前は十六はあるだろう。」

「確か、兄様たちがあの日帰ってから開けた酒には淀みもありましたね。瓶のみで六キロもある重い酒。狐雨が翌朝お二人の足首を噛み千切らんとしていました。その後の二日間は地脈の流れを統制することと空模様の調整に難儀しておりましたね。その後兄様が帰った後葛霧様は業務が終わるたび決まって兄様が渡した指輪を毎日撫で」

「黙れ。」

「あー、もうちょっとこっちに居ようか?」

「忘れろ!」

「あーあ、全員は粛清しない方が良かったかも。そしたらもっと君に会える時間が出来るのに。」

「止めろ!」

「白絹さん、これ私たち邪魔じゃない?」

「そう?かなり愉しいよ?」

「たのしいじゃなくて邪魔じゃないかって話なんだけど。」

「お、い、重、殴。」

「お前らいい加減にしないと三重もつれで殴るぞ、と仰りましたか。兄様、龍応様、線引きはしっかりとした方が身のためですよ。」

「おいお前は何故葛霧の短縮を訳せるんだよ。」

「少々の時を共にいたので当たり前ですよ。もしやこの姿がすべての誤解の原因でしょうか。少々お待ちください。」

五尺が席を外し十分弱経過してやってきたのは此方にやってきたときの千那の姿。

「どう?これで信じてくれる?」

「口調がまるっきり違うが?」

「ん-知能は変わりないけど精神面はこの姿に引っ張られているのかな。そんな感じ。」

再び引っ込み五尺になる。

「いかかでしたか。先ず間者がこの姿を取る利点が見えません。葛霧様はかなり狡猾であり同時に実力者。幼い小生の姿を取れば何も疑わずそやつ処しておりました。中には正面から殺しに来た狩人もいましたが。」

「それを知っているのは現場に居合わせていた狐雨とわっちと千那だけだ。ということはお前は本当に?」

「葛霧、あのイカレに襲われたのか?どうして言ってくれなかったんだ?」

「黙っていたらオレらに心配をかけないと思った?ねえ、何か言ってよ。」

先程までは狐の方が優勢だったがいつの間にか仮面と八尺が有利になっていた。

「ルグラ姉が来るまで外で待ってる。」

 

「ちょっと前にメンテしたのにまたこんなに大破して。蒼の涙がこぼれていなかったのはよかったが。」

練血工房でルグラは再び中身をすべて分解されてメンテナンスを受けていた。

「メンテ代が嵩むなぁ。多少の危険には目をつむるから今後の活動に響かない単価の高い仕事を回してくれない?あと水銀弾を十ダース分とマグナム弾を三十六発頼む。」

「はい、総額二十二万四千八百だ。仕事の方はあるにはあるがあまりお勧めしないぞ?」

「曰くつき?」

「毎度のように護衛が蒸発する。物理で。」

「そいつらは退熱装備を着ていないの?」

「本当はラッピングが何重にも巻かれていて熱が逃げないようになっているんだが襲撃によって周囲の感情が高まるとラッピングが溶けだして周囲を焼き尽くす。」

「どうしてそんなものを運ぶの?地下深くにでも埋めておけばいいじゃない。」

「上が管理、整備しているからやるしかないんだ。」

「でも運ばせるのは地上や地下の奴らなんだ。」

「上からの依頼とあまりにも危険な内容とのことで報酬額はかなり高い。中には前払い金を目当てに捨て駒を送る事務所もあるくらいだ。」

「そんな事務所は実力も低いんじゃないの?」

「大抵はそうだが中には実力はあるが問題を起こして格下げになった事務所もある。選ばれるのはそういうところだ。」

「そんな場所からも採用とはだいぶ切羽詰まっているんだね。…あなたからの推薦で紹介して。熱対策は色で行う。」

「焦げ付いたらまずこっちへ寄ってよ。予定日は二週間先になるから気長に待っていな。」

「因みに今のところの報酬はいくら?」

「前払いが二割五分だから八十万だな。」

「でもそっから税金でいくらか引かれるから手元には二百五十万しか残らないな。」

「そういえばお前はアンサラーの登録をしているのか?登録をしていれば今回の依頼は一割五分の危険手当が加算されるぞ。」

「昔登録していたと思うけど失効しているかもしれないから確認した上で申請しておくよ。ありがとう。」

 

練血工房前

「狐雨、待たせてごめん。」

「待つのはいいが出来れば縺れて拗れたあの龍との関係をせめて穏やかにしてくれ。」

「努力するよ。といっても話ができるかな?どうだった?」

「最悪奴が暴れようとするならアイアが頭を押さえるだろうな。膝枕状態だから逃げられないはずだ。」

「わかった。案内よろしく。」

 

山登り

「安全という意味では正しいけど神社というテキストを果たすのには極めて間違っていると思うのよ。」

鎖の雑談はそんな愚痴から始まる。

「羅炎と神社の成り立ちについてはこちらもあまり多く語れない。気づけば出来ていたとしか言えない。」

「気づいたらかぁ。私も気づいたらそこにいて、ニヘルと一緒にいたよ。でも君と同じだ。話せることがない。」

「まだ歩くがいけそうか?」

「歩けるけどいったん離れて。」

「どうしたんだ?」

「個人的に殺したい奴がいる。だから離れろ。」

鎖は冥鏡志酔を銃と短剣に分離させ背後の影に目をやる。

「狩人、私の家族を殺そうとしているがその芽を摘んでやる。出てこい。」

狂人は全身をぼろ布で覆い素顔は見えない。だが頭部の布同士の隙間からまるでイカの腕のようなものがちらちらしている。

「あんたは大分外道になっているね。どれ程望みどれ程満たした?」

狩人は何も言わずレイピアと散弾銃を取り出す。

「私も獲物か?いいのか道案内がいなくても。」

そうして互いは衝突した。

 

羅炎神社

「差支えなかったら龍応ちゃんとアイア君の慣れ初めを聞かせてくれない?」

乱闘寸前の三名はようやく止まる。

「なんで?」

八尺はとたんに警戒心を高める。

「元々私は縁結びの神として出来たんだ。だからかこういった話はとても好きでね。もちろん、君等が不快と感じるなら私も無理に聞き出すことはしないよ。でもしてくれたら嬉しいな。」

八尺は仮面の方を向く。表情は分からないが頷いたところを見るに喋ってもいいらしい。

「初めて挨拶をしたのはアイアが四歳の時。私の膝丈までしかなかったのに肝が据わっていた。そしてオレに微塵も関心を向けなかった。ただ幼かったから何もわかっていないわけじゃない。依縁家は末っ子である長男が異様に早く成長する。三年も経てば十五程度の精神になる。でもそれだけ早く育つということはもちろん対価もある。だから姉からの心臓を譲ってもらう。でも一番上の姉はその役目を捨て逃げ去った。そうして二つ目の姉が心臓を渡す齢になる前にあの鎖野郎が依縁家をアイアと一緒に壊し傷つけた。もしもあれがなければアイアはもっと生きれた。もっと長くそばに居れた。だからあの鎖だけは許せない。」

「そういった事だったんだね。因みにそれをアイア君と葛霧ちゃんはどう思っているの?」

「わっちは一時といえど共にいれるならよいと思っておる。」

「俺は家のことが嫌いだ。永生も不老も嫌いだ。ただそこに居続けて何が生まれる?だから俺はそれがなければあと数年で枯れるだろうな。」

「考えが真っ向から衝突しているけどそこはどうして仲良くなれるの?」

「考えるまでもない。彼が永生を求めたくなるものを見つけ出せばいい。私はそのために残った時間を使う。」

「…ちょっと待ってて。」

神は懐の巾着に手を入れると肘あたりまで飲み込まれる。

「祈梨、糸と編み棒を持ってきてくれる?色は一番鮮やかな紅で。太さ?百九十八本分。ありがとう。」

受け取った道具でミサンガを編み始める。蛇、狐、龍の模様が着いたものを三つずつ。

「悪いけど裁縫箱もくれる?そう、あの箱。」

仕上げにミサンガ同士を見えない糸で縫うように針を動かし狐、仮面、龍に渡す。

「これは?」

「龍応ちゃん達をより強く結んであげるお呪い。何かあったら模様が光るの。アイア君は蛇、葛霧ちゃんだったら狐、君だったら龍ね。あとそれがあれば私はそこに結べるから寂しくなったりお話ししたくなったらいつでも呼んでね。」

「ありがとう?」

「そこの二人にも渡しておくから。」

「神が作ったものか。貴重品だな。」

「俺は左腕に着けるか。」

「アイア!済まないが手を貸してくれ!ルグラが狩人に襲われている!」

「どういうことだ狐雨?」

「奴の道案内で後を付けられていた。あんたなら払うくらいはできるだろ?」

「わかった。向かう。」

「何で行くの?放っておけばいいでしょあんな奴。」

「…。」

「え、なんで担ぐの?」

「一回真面目に話をしな。ヨブカ、葛霧とここで待っていてくれ。」

「離して!離し」

仮面と龍は瞬き一つでいなくなってしまった。

 

「殺しただけだね、そうだったのか。粗製なんだよ、あんたの腕は。」

鎖が相手をしている狩人はコンティニューの利くキャラクターそのものだ。だからプレイスタイルにも差が出る。死なぬことを活かし歴戦を渡る者がいれば粗雑な死に戻りをする者もいる。今回は当たりの個体であった。…もっとも、イカレていることは変わらない。

「ああ、ダメだ。まだあの石炭が残ってやがる。」

鎖の眼球が赤黒く染まり頬を流れる。

「底の底にはこれが溜まっているのか。湧くな。」

垂れるその冥血を冥鏡志酔のナイフに塗りたくる。

「黒炎、腹が空くのは分かるが止まっていて。後であげるから。」

隙を見て突かれるレイピアを銃で弾きながらナイフを頭部に突き刺す。

「!」

よろめきに合わせ夜街で手に入れた仕込み杖にも纏わせ同に突き刺す。

「こいつは痛いだろ?大分な!」

鎖状に変形させ中身を引っ張り出した後も引き抜いたナイフで執拗に心臓部を突く。

「くたばるのは困るよ?君らは死ねばやり直せる。」

痙攣を続ける狩人の両手を切り落としケテルを弄るとワイルドハントの姿になる。コートを留めていた釘を一本引き抜くと狩人と共に大木に固定する。

「これでしばらくは何もできないだろうね。後悔していな。」

元の姿に戻ったと同時に仮面たちが到着した。

「アイア、来たんだね。」

「三行で頼む。」

「案内を受ける。

襲撃される。

拷問する。

君等が来る。」

「四じゃないか。」

「これって葛霧を襲った狩人?狐雨、そうなの?」

「間違いない。龍応、あまり手を出すなよ。」

「でもこいつは葛霧を」

「殺せばまたやってくるだろう。ルグラもそれを分かっているからこうして釘刺しにしているんだ。そうだろ?」

「そうだよ。ただ、このままにするわけにもいかないから夢雨に渡そうと思う。」

「夢雨にか?なんでだ?」

「壊れないおもちゃを欲しがっていたから。でもその前に龍応と話をしたい。」

「あんたなんかと何を話すというんだよ。この結晶女!」

「…米俵みたいに担いでいるのは見た目がよろしくないが離さない方がいいよな?」

「それが安全だな。」

仮面と分社がこっそりと話をしている裏で八尺は過熱していた。

「彼はオレだけが壊すんだ!なのになぜ!ふらりとやってきただけのあんたが壊して挙句の果てには被害者のように閉じこもったんだよ!」

「………?恋愛小説だと偏愛はよく見かけるが…壊す?」

「あっあの違くて」

「……」

「アイア?何故オレを降ろすの?」

「道は分かるから。あの、話は後で」

仮面は怯えた声で去る。

「私が言えた口じゃないけど大分捻じれてるね。」

「黙れ!あんたが…あんたが……オレが…おかしいの…?」

「うん、かなり特殊だと思う。」

「くそぉ。」

「弱弱しい声と対照的に拳一つで大木へし折らないでくれない?狩人は死んでないからしまっちゃうけど。」

霧を呼び狩人を押し込むと鎖は八尺に手を伸ばす。

「すべてを水にというわけではないけどこれからよろしくでもいい?」

「そうだな、これからは特殊癖二人、よろしくかな。」

 

「多少は話できたか?」

「うん。」

神社に着いてからの仮面と鎖、仮面に距離を置かれる八尺。

「そ、あ、伝?」

狐の短縮。

「そういえばあのことを伝えていなかったと仰っています。」

五尺の翻訳。

「伝言か?」

仮面。

「黒炎はルグラに預ける。」

「は?」

「え?」

「。」

「正気か?」

狐以外の羅炎は困惑。

「そこの神が言っていたがルグラの血は黒炎が契約を持ちかける程に執着する代物と聞いている。」

「でももしもがあったらどうするの!アイア達も燃えちゃうんだよ!」

「だが壺に入れても数年と持たない。先延ばしがいけないなら革新的な方法を取ろうじゃないか。」

「納得できるわけないでしょ!」

「なら、花火勝負をしようじゃないか。」

「それにはもう時間がない。そろそろ業務に戻らないと。」

「ならまた会えた時、ぶつかろうじゃないか。」

「わかったよ。でも最後に一ついい?」

「なんだ?」

「アイアは被虐趣味だよね?」

「違うが?」

「いい加減認めてよ。自分を痛めつけた奴のそばにいるなんてそれしかありえないじゃない!」

「あんたはそれしか引き出しがないのかよ!」

「じゃなんだっていうんだよ!」

「知るか俺はそういった特殊な作品は読まないんだよ!愛憎入り混じる姿は姿でいいが俺はそっち側じゃねえよ!今後の付き合いを真面目に迷うわ!」

「葛霧ちゃん、彼って恋愛小説が好きなの?」

「そうだな、仕事の休憩中はそういった作品を呼んでいると聞いている。(そういえばあの写真は龍応が射ったのか。)」

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