ゼンレスゾーンゼロ 虚ろいを行く者達   作:清少納言

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リュシアはすり抜けないでくれるよね・・・・・・?(トリガーすり抜け)あとゼンゼロって最近対人戦とか人型のエネミー増えてますけど対人戦って需要あるんですかね。需要があるならこちらも書いていきたいんですがね。あとゼロ号アンビーの強化モーションも戦闘に組み込みたかったです。


第十二話  討ち入り

目の前の岩から身を乗り出して見ると10メートル下には荒れ果てた研究所が広がっており、入口の手前にエーテリアスの群れがたむろしているのが見えた。

 

「想像以上に湧いてるな。こいつら全部を仕留めるのか」

 

「ええ、無論中にいるエーテリアスもね」

 

「周辺のエーテル物質の濃度から察するに、ここにいるエーテリアスは研究員達が変異したものだけでなく施設から漏れ出したエーテル物質に引き寄せられたものもいるでしょう」

 

トリガーは冷静に分析する。

 

「状況から考えて施設の外部に比べて内部のエーテリアスの数はかなり少ない、反乱軍の人間含め大多数が死んでいる以上は正面突破が最大の関門ね」

 

「そうですか、ならアンビーは裏手のエーテリアスを掃討し先に内部に行ってください。こちらは私と彦斎さんで引き受けます」

 

「分かった」

 

そう言ってアンビーは双剣を携え、裏手へ向かった。

 

「彦斎さん、私たちも行きましょう」

 

「ああ」

 

俺は刀を抜き、そのままトリガーと共に崖の下へと飛び降りる。

 

落下していく中で刀を両手で握りしめ、着地すると同時にその場に立つエーテリアスを一刀の元に両断する。

 

そのまま大地を踏みしめ、跳ねながら襲い掛かってくる奴らの攻撃を躱し、雷霆が如き斬り、雨垂れが如く突きで次々とエーテリアスを葬る。その刹那、不意をつくように唸り声と共に背後から伏兵が襲い掛かってきた。

 

だが奴らはその腕をこちらに伸ばす前にコアを撃ち抜かれ倒れた。

 

弾丸が飛んできた方を向くと、こちらの視線に気づいたトリガーが返事の代わりにとこちらにグーサインを向けてきた。どうやら後方を心配する必要はないらしい。

 

そのままエーテリアスをひたすらに斬り、最後の一体を斬り飛ばすと同時に入口を斬り飛ばして研究所の中へと乗り込んだ。

 

薄暗い通路を進んでいくと、その方々に白衣を纏った──恐らくは研究員と思われる遺体と反乱軍の人間がいくつか転がっているのが見える。

 

──今は自体の解決が先だ、と前へと進もうとしたその時、三体のエーテリアスが暗闇から襲い掛かってきた。だが俺たちが身構えるよりも早く組み合わさった双剣が奴らを集め、アンビーがそのうちの二体の首を断った。

 

俺も刀を抜き、残った一体のコアを斬る。

 

「......これで全部か?」

 

「ええ、さっきのでね」

 

アンビーは静かにそう言った。

 

「じゃあとっとと──」

「待って。まだそういうわけにはいかないの」

 

アンビーは遮るように言った。

 

「まだ何かあるのか」

 

「──ついて来て」

 

アンビーは踵を返し、廊下の奥に向かった。

 

彼女について行った先には入口が無残にも壊された研究室があり、そこからは強烈な血の匂いがしていた。

 

「どういう事だよ、これ......」

 

中には散らかった研究資料、銃弾がめり込み放射状に亀裂が入った壁、頭を薔薇のようにかっぴらいた研究員の遺体、恐らく反撃に遭っただろう胸を撃たれた反乱軍の雑魚の死体、

──そしてローズグループの制服に身を包み、銃を握りしめた死体が転がっていた。

 

「なんでHIAの研究所にギャングの、ローズグループの一員の死体が転がっているんだ?」

 

「......そもそもローズグループは旧都崩壊と共に壊滅したのではないでしょうか?」

 

トリガーは冷静に指摘する。

 

「私もそう思ってた。けどここでの戦闘でのやり取りはどう考えても素人ではできないし、他のところにも同じ格好で武装した遺体が幾つもあった」

 

「......公権力に犯罪者のコスプレをするアホがいるとも思えないしな」

 

だがそれでも疑問は残る。なぜこんな場所に──TOPSの息がかかったHIAの極秘の研究所に滅んだはずのギャングがいるのか。おそらくはアンビー、トリガーも同じ結論には辿り着いているだろう。

 

「彦斎さん、今この場で見た事は誰にも話さないと約束できるでしょうか」

 

トリガーはひどく暗い声でそう告げた。

 

「この事実を知ってしまった以上、私やアンビーは恐らく消されるでしょう。交渉に基づいて貴方は責任をもって同僚の元に送り返しますがそれでも運が悪ければ──」

 

「いや、言わなくていい」

 

俺はトリガーの言葉を遮る。外面こそ取り繕っていたものの、内心では俺も形容し難い恐怖に襲われていた。

 

恐らく俺が今触れているのは真実の末端、それも途轍もなくどす黒い真実の極々一部だろう。そしてそれはブラックホールのように凄ましい引力で俺を引きずり込んでいる、そんな気がしてならなかったからだ。

 

 

 

 

 

スロノス区の一角にそびえ立つ高層ビルの一室、TOPSの幹事長であるネロはデスク越しに一人の女と向き合っていた。

 

「これが約束の品、デットエンドブッチャーの生体データだ」

 

そう言ってネロはデスクの上に一つのUSBを置いた。

 

「今回も私達──讃頌会への協力感謝するわネロ幹事長」

 

女──讃頌会の敬虔なる信徒であるサラはそれを手に取り懐にしまう。

 

「サクリファイスの研究は順調に進んでいるのか?」

 

「ええ、今回も貴方とメームの協力のかいあってね。特に今回のサクリファイスの出来は司教様も太鼓判を押す程よ」

 

「なら良かった。こちらとしてもお前達には──讃頌会には成功してもらいたいからな」

 

「......そうね」

 

サラはばつが悪そうにしながら答える。ネロは讃頌会が多く抱える後ろ盾、協力者の中でも特に強力な存在であり、これまで讃頌会がその勢力を維持しつつサクリファイスの研究、製作を続けて来られたのは彼による資金の援助、技術提供があったことの影響も決して少なくない。

 

言わば「お得意様」であるネロは讃頌会との関わりが深く比較的高位の信徒であるサラでも気を遣う存在だ。

 

「まぁお互い様というやつだ。私がこの地位まで上り詰めたのはお前達讃頌会のおかげ、讃頌会が今日に至るまで勢力を保ちながらサクリファイスの研究を続けることが出来たのは私のおかげ、そしてお前たちローズグループが存続出来たのも私のおかげということだろう?」

 

ネロは後ろからこちらを見つめる白い軍服に身を包んだ男、ローズグループ首領に視線を向けながら言った。

 

「何がお前のおかげだ。茨木やメームなんてどこの馬の骨かわからない奴らを幹部にしやがって、統率するこちらの身にもなれ」

 

「まさか自分たちが誰の傘の下で生きているのか忘れたのか?それに茨木は役に立つしメームが来てから資金繰りに困ることはなくなっただろう。何と言っても彼はHIAの研究トップだからな」こちらとしても迎え入れる事が出来たのは幸福だよ、とネロは付け足す。

 

「デットエンドブッチャーの生体データも彼から手に入れたものだ。私としてもHIAへの影響力を高めることが出来て万々歳さ」

 

ネロは微笑みを浮かべ高級そうなチェアから身を起こす。

 

「相変わらず四方八方に根を張ることしか考えてないんだな。そこまでやってお前は一体何がしたいんだ」

 

「私のやりたい事は二つ、それもひどくシンプルなものだ」

 

ネロは机の端に置かれたダーツの矢を手に取りながら答える。

 

「一つはこの新エリー都の頂きに立つこと、もう一つは──」

 

ネロは壁にかけた的目掛け、ダーツの矢を投げる。

 

「シリオンという畜生もどきと知能機械人というガラクタを人間の座から引きずり降ろすことだ」

 

壁にかけられた的には対ホロウ6課の課長である星見雅の写真が貼り付けられており、その写真の顔にはダーツの矢が突き刺さっていた。

 

 

 

 

 

あのホロウでの出来事から一週間後、特に何も起きる事なく俺は代わり映えしない日常を送っていた。そして今は昼食のため行きつけのバーガーショップに立ち寄っている。

 

「こちらご注文の品となっております。店内でお召し上がりになりますか?それともお持ち帰りしますか?」

 

犬のシリオンである店員がにこやかに尋ねる。

 

「テイクアウトで頼む」

 

「かしこまりました。またのご利用をお待ちしております」

 

店員からセットを入れた紙袋を受け取り、カウンターから立ち去ろうとした時、入口にどこかで見たことのある白髪の少女が立っているのが見えた。

 

「......久しぶり、だな」

 

気まずい雰囲気に耐えられなかった俺は、意を決してアンビーに話しかけた。

 

「久しぶり、ね」

 

「それもそうだがなんでお前がここにいるんだ?」

 

「このお店は私の行きつけなの。もしかして貴方もここの常連?」

 

「偶々寄っただけだ。それ以上でもそれ以下でもない」

 

「......そう」

 

そう言うとアンビーはこちらを怪しむような目つきで見ながらカウンターに向かった。──全く、どうやら俺は隠し事に向いていないらしい。

 

そんな事を考えながら俺は店を後にした。

 

 

 

第十二話  完

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