ゼンレスゾーンゼロ 虚ろいを行く者達   作:清少納言

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いつの間にかUAが1000超えててビビりました。これからも皆様に面白いと思ってもらえるような小説を書いていきますので何卒宜しくお願い致します。


第四話  玉折

そんなこんな(とは言いたくないが)アルゴナウタイの一員となった俺は勤務初日から早速買い出しに行かされ、新人としてこき使われていた。

 

買い出しから戻り、アルゴナウタイのオフィスに戻ると、

 

「おいなんだこの報告書は‼」

 

と、フィンの怒鳴り声が響いた。

 

「実は、仕事の途中で車のタイヤがパンクしちまって」

 

照れくさそうに大盾の女、ヒストリアは笑った。

 

「しかもその理由が車を猛スピードでかっ飛ばしたからだ?万が一治安官に捕まってみろ、捜査の過程で違法にホロウに潜ってたことがばれてブタ箱行きだ。何度も言っただろ俺達は叩けば埃が出るなんだ、もっと慎重に行動してもらおうか」

 

「悪い悪い、ハンドルを握っていると郊外にいた時の記憶が」

 

「それで済む問題じゃないだろ」

 

フィンの説教が長引く事を察した俺は荷物を近くのテーブルに置いた。

 

「おい新入り、買い出しから戻ったか」

 

テレジアがコーヒーカップを片手に話しかけてきた。

 

「新入り新入りって、お前は俺とそんな歳変わらないだろ」

 

「でもここじゃあんたが一番の新入りなのは変わらないじゃない。後敬語」

 

テレジアはフィンの方を見る。

 

「あいつはここのナンバー2だって聞いていたんだが経理と顧問も兼ねてるのか」

 

「まあそうね。というかあいつ以外にできる奴がいないってだけだけど」

 

「おいテレジア!ヒストリアと一緒に依頼にあたってたのはお前だろ。何でハンドルを握らせたんだ」

 

フィンの怒声がこちらに響く。

 

「しょうがないじゃない。こっちだって免許持ってないんだから」

 

「それにしても......いやいい」

 

フィンは時計を見て立ち上がった。

 

「おい新入り、いや彦斎、ついてこい。依頼だ」

 

「依頼?」

 

「ある企業からの依頼だ。デットエンドホロウ内でエーテル物質の掘削工事をやりたいらしいんだが、その予定地に発生したエーテリアスのせいでその工事が実行できないためそいつらを討伐してほしいとのことだ」

 

そう言ってフィンは改造したさすまたを担いだ。

 

 

 

そうして向かったデットエンドホロウは恐ろしい程静まり返っており、とても噂で語られるような恐ろしい場所とは到底思えなかった。

 

「そう言えばトーマスの野郎、今朝から見かけないんだが一体どうしたんだ」

 

「トーマスの野郎は急用が入っただか言って朝からいない。全く、俺に仕事押し付けやがって」

 

フィンが頭を掻く。経理の仕事に加え顧問までやっているなら当然の反応だろう。

 

「一応言っておくが治安官には細心の注意を払え。山獅子組の件でホロウ内の犯罪への取り締まりが強化されているからな」

 

「そんなことは分かってる。とはいえそうそうホロウ内に治安官なんているのか」

 

「今やホロウは犯罪の温床だからな。それに今時ホロウ適性のない治安官の方が珍しいくらいだ。万が一会っても武器は向けるな、その行為自体が治安官への攻撃と見なされる」

 

そんな会話をしているうちに俺たちは依頼の場所に辿り着いた。そこにはエーテリアスの姿は見当たらない。

 

「いないな。環境の変化か」

 

「姿を隠している可能性もあるがな」

 

──その時、エーテリアスの鋭い腕がフィンを襲った。

 

「この野郎!」

 

フィンはさすまたを振り回し、エーテリアスをなぎ倒す。

 

それに反応したのか複数のエーテリアスが次々とその姿を現す。

 

「行くぞ」

 

「おう」

 

俺とフィンはエーテリアスに切りかかった。

 

まず目前のエーテリアスの胴体を袈裟斬りにし、背後から迫るエーテリアスの首を撥ねる。

 

そしてそのまま勢いで次々と現れるエーテリアスを切り伏せた。

 

しばらくすると犬のような姿のエーテリアス、ハティがその姿を現した。

 

「なかなかの大物だな」

 

フィンはハティの頭部にさすまたを叩き込む。だがその程度では倒されることなく、奴はその体をよじりフィンを弾き飛ばした。

 

俺はそのがら空きになった胴体に刀を振り下ろし、倒れ込んだ奴の首を切り飛ばした。

 

ハティの死体がエーテル物質の結晶となって消える。

 

「これで全部か?」

 

「そうだな。いくらエーテリアスとは言え限られた場所の中で発生するのには限界があるからな」

 

俺とフィンがその場を去ろうとした時、

 

「観念しろ悪人共‼」

 

その大声と共に警棒と盾を持った青年がこちらに迫ってきた。その頭には彼がオオヤマネコのシリオンであることを示すようにその耳が生えている。

 

彼の突進を躱すと、更に俺の頭上から三節棍が振り下ろされた。

 

俺はそれを紙一重で避ける。

 

「不意打ちを躱すか......二人共なかなかの手練れだと見受ける」

 

髪を二つ結びにした少女──その姿をした知能構造体は三節棍を構えながら言った。

 

「──武器を捨てて今すぐ投降してください。貴方たちには黙秘権があります」

 

後ろから凛とした女性の声が響く。

 

後方を振り返るとそこには治安官の制服に身を包み、朱色が混じった黒髪を後ろに束ねた背の高い女が銃を構えていた。

 

「逃げ出そうってもそうはいかないからな」

 

シリオンの男がそう言う。

 

「詳しいことは」

 

その時、女の説明が止まる。よく見るとその目は見開かれ、フィンの方を真っ直ぐ見ていた。

 

「──フィン、君?」

 

「朱鳶?」

 

数秒の間フィンと女──朱鳶はお互いを真っ直ぐに見つめあっていた。

 

「......逃げるぞ」

 

暫くの静寂を打ち破るようにフィンが呟いた。そして俺とフィンは同時にその場を離れる。

 

「逃がすか!」

 

シリオンの男がそう叫びながら迫ってくる。

 

「治安官......しかもそれなりの手練れだな」

 

一体彼らは何故こんな場所にいるのか、そんなことを考える暇もなく俺の眉間に三節棍が振り下ろされた。

 

咄嗟に刀を鞘ごと抜き、三節棍を受け止める。

 

「......何故獲物を抜かぬ。我々と敵対したと見なされたくないのか」

 

ロボットの女はこちらの心情を見透かしたかのように言った。

 

その直後、二発の弾丸がこちらに飛んできた。それを躱した隙を突くようにシリオンの男がこちらに盾を構え突撃してきた。

 

──まずい、躱せない。と覚悟した時、フィンが俺の前に立ち、さすまたでその盾を受け止めた。

 

そのままフィンは盾を蹴り飛ばし、男を後退させた。

 

「大丈夫かセス坊」

 

ロボットの女はシリオンの男に言葉をかける。

 

「心配はご無用です」

 

態勢を立て直すとシリオンの男──セスはこちらに目線を向けながら言う。

 

「観念してください。このデットエンドホロウにおける貴方達──ローズグループの犯行はこちらにばれています」

 

朱鳶が銃を向けながら言う。

 

「ローズグループ?なんだそれは」

 

「白を切るな!お前達の仲間は何人も逮捕されている、お前達も罪を償え!」

 

セスが警棒をこちらに向ける。

 

「俺達がこのホロウに入ったのは今日が初めてだし、ローズグループなんて奴らは知らない」

 

フィンが冷静に弁明する。

 

「百歩譲ってぬしらがローズグループではないとしても無資格者のホロウへの侵入は罪に問われる。神妙にお縄につけい」

 

ロボットの女も説得力に加わる。

 

「......青衣先輩の言う通りホロウへの侵入は違法、そしてこのデットエンドホロウは非常に危険です。どうか投降してください」

 

朱鳶は低い声で言った。

 

「俺達はアルゴナウタイの一員としてある企業からの依頼でここにきた。アルゴナウタイはホロウ専門の萬屋として行動しており、ホロウ内での行動も許可されているはずだ」

 

フィンは彼女たちにそう説明する。これがハッタリなのは言うまでもないが、逃げる隙を作るには十分だろう。

 

「噓をつけい。ホロウでの活動を許可されている組織にアルゴナウタイなどという名前はない」

 

青衣はすかさず指摘する。

 

「抜け目ないな......こうなったら」

 

俺は無意識に鯉口を握りしめていた。

 

「まだ抵抗するつもりか」

 

セスが盾を構える。

 

「......お願い、もうこんな事はやめて」

 

朱鳶が銃を構えながら言う。

 

「泣き落としで俺がなびく訳ないことはお前が一番知ってるだろ、朱鳶」

 

フィンはさすまたを構える。

 

全員が戦闘態勢に入り、一触即発の空気が流れだしたその時、ホロウの天井を割る程の轟音が鳴り響き、巻き起こった土煙が俺達の視界を遮った。

 

第四話  完




キャラクターファイル  02

トーマス・パンサー

陣営  アルゴナウタイ

身長  191cm

武器  双剣

役職  撃破   属性  物理

登場人物の過去を深く掘り下げたスピンオフ小説要りますか?

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