パエトーン直属エージェントの日常   作:Kei0503

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エージェント秘話 忌まれた星は月となり、皆を救う闇と為る。

夢を見る。

しかしそれは夢ではない。

いつかの地獄。

いつかの冷遇。

救われなかったあの日常。

あの日、俺は忌まれた星の名を捨て、夜空の月となった。

 

ある日の朝

 

「んー…。いい朝だな。」

 

俺は目を覚まし、キッチンに行く。

いつも通りの朝ご飯。

2人分作り、テーブルに並べる。

 

「猫又ー。ご飯だぞー。」

「ふああぁぁぁ…おはよぉそらー。」

「おう、おはよう。」

 

そう言いながら俺たちは席に座る。

 

「「いただきます。」」

 

いつも通りの朝。

日常の朝だった。

しかしそこで、電話がかかる。

 

「もしもし?」

『あっ、空。ごめんねー、朝から。』

 

…今日はゆっくりしようと思ってたのに。

 

「どうした?今度は何が起きた?」

 

俺がそう聞くと

 

『実は雅さんが空に会いたいって言ってて…』

『今うちにいるんだよね。』

 

…は??

待て待て待て待て。

メンテはやったはずだぞ?

なんで???

 

「…分かった、飯食ったら行く。」

『ごめんね、お願い!』

 

俺はそう言って通話を切る。

 

「……はあああああぁぁぁぁぁぁぁ……。」

 

そして特大のため息をついた。

 

「店長、どうしたんだ?」

「んー?いや、今日は休みにしようかって話してただろ?」

「うん。」

「リンたちのとこに雅が来てるらしい。しかも俺に会いたいって。」

「え。」

「な、なんで!?店長のことは、ホロウ6課も特例として…!」

 

猫又はそう焦り出す。

 

「大丈夫だ。いざとなったら逃げるさ。」

「とりあえず、行ってくる。」

 

俺がそう言って、席を立つと

 

「待って。あたしも行くぞ。」

 

と、猫又が言ってきた。

 

「…はー、ダメって言ってもお前着いてきそうだもんな。」

「分かった。ただし、仮に戦闘が始まったら逃げろよ?」

 

俺がそう忠告すると

 

「…分かったぞ。」

 

と不満そうに答えた。

…逃げなさそーこいつ。

ひとまず、俺は武装して、ビデオ屋に向かったのだった。

 

randomplay

 

「あ、空。」

「来たぞ。で?何用だ?雅。」

 

俺がそう目の前の人物に聞くと

 

…空。お前は、もしや私と、会ったことがあるか?

 

そう、確かめるような、怯えるような、複雑な表情で雅は聞いてきた。

…あぁ。なるほど。そういう事ね。

 

「…ないよ。声を聞いたことはあるがな。」

 

俺はそう、諦めた表情で言った。

それを見て、雅は顔色が悪くなる。

 

「…はは、おい。いつものポーカーフェイスはどうした?台無しだぞ。」

 

…ここは面倒だな。

 

「リン、『回線』繋げられるか?」

 

俺がそう隠語で聞くと

 

「誰と行くの?」

 

と、リンは聞いてきた。

…そうだな。身近なやつには伝えてもいいかもな。

 

「…ひとまず、雅と猫又と行く。」

「いいか?お前ら。」

 

俺がそう聞くと

 

「あぁ。もちろんだ。」

「大丈夫だぞ!」

 

と2人から返答があった。

 

「じゃ、行くか。」

 

俺はイアスを連れて、ホロウに向かった。

 

ホロウ内

 

俺たちはホロウ内を散歩していた。

 

「お前ら、時間が来たら言うんだぞ。」

「リン、出口付近まで案内を頼む。座れそうな場所があればなおいい。」

『任せて。もうfairyにお願いしてある。』

「流石。」

 

俺はそう話して…何も話さず進んだ。

2人はそれにずっと着いてきた。

ホロウの中は、何もいなかった。まるで、ただの廃墟となったかのように。

 

10分後

 

俺たちはそこに辿り着いた。

 

「さて。何から話そうか。」

「まず、雅。どこで気づいた?」

 

俺が雅に聞くと

 

「…一番最初に疑問に思ったのは、最初のメンテナンスの時だ。」

「元々、星見家には「もう1人」子供がいると言う噂が流れていた。そして、その彼は異常なエーテル適性を持っていると。」

「あの時に見せられたあの過剰なエーテル適性、そうそうあるものではない。」

「次に疑問に思ったのは、模擬戦の時だ。」

「あの時、私は本気でやっていた。」

「しかし、負けた。」

「そのような身体能力を、人間が持っているとは考えづらかった。」

「最後は…お前の、侵蝕化のときだ。」

「あの時、お前にはエーテル結晶ではあるものの、狐耳と尻尾が9本生えていた。」

 

なるほど、な。

そう考えると、結構ヒントはあったんだなぁ…。

 

「ど、どういうことだ?店長は、夜月なんじゃないのか?」

 

猫又がそう聞いてくる。

 

「…俺は、元々星見だ。」

「猫又。星見家は狐のシリオンの家系だって言うのは知っているよな?」

「もちろんだぞ。」

「じゃあ…『何で尻尾がない』?」

 

俺がそう言うと、猫又はハッとした様な顔で俺の方を見てきた。

 

「今まで、疑問にも思わなかったぞ。何でなんだ?」

「それはな。星見家の初代当主が尻尾を切り取り、それを刀にしたことによって一種の呪いが働いたんだ。」

「『尻尾という力を失う』というな。」

「その代わり、その刀は産まれてくる星見家の力である尻尾の力を引き継ぎ、年々強度を増している。」

「それが、星見家の尻尾がない理由。まぁただの伝承だがな。」

 

俺がそう話すと、雅は顔を伏せた。

…お前が聞いたんだ。背負ってもらうぞ。

 

「…俺は、『忌み子』だった。」

「尻尾が生えてこないはずなのに、『9本もの過剰な尻尾を生やして産まれた』から。」

「伝承を踏まえて考えるのであれば、このエーテル適性について、俺はこの尻尾を保有して生まれたからこそ、過剰なエネルギーに常時触れることでエーテル適性を伸ばしたんじゃないか。」

「そういう目測は経つが、実際は知らない。」

「まぁ…酷いものだったよ。」

「1歳の頃だったか?尻尾がはっきりと発現した時、すぐに牢にぶち込まれ、俺は絶望を味わった。」

「毎日毎日、食べられるのは1食。それもカビの生えかかったパンや生の肉の切れ端、野菜の芯なんかもあったか?」

 

話せば話すほど、雅の顔は暗くなっていく。

 

「最初の数日は、それはもう泣きわめいたさ。『何で』『どうして』『ごめんなさい』って。」

「でもな。それも1週間もしたら慣れてしまった。」

「毎日暗い暗い石に囲まれ、腐りかけたような物を食べ。」

「何度体調を崩したか分からない。」

「今でも、よく死ななかったと思うよ。」

「そして、時間感覚も忘れ、殆どの感情が抜け落ちた時。」

「外から、声が聞こえた。」

 

雅は、それを聞いて耳を塞ぎ出す。

…耐え切れないか。

俺は雅に近づき、耳を引っ張り上げ、無理やり耳を開けた。

聞かないなんて選択肢、取らせねぇよ。

 

「それは、俺の母親だった人物と、その言葉からして、俺の妹らしき人物だった。」

「や、やめ」

 

そう雅は目に涙を浮かべるが知ったこっちゃねぇ。

 

「久しぶりに感情を思い出したよ。」

「『どうして。』」

「俺は激しい憎悪に見舞われたさ。」

何でお母さんはあいつのことを見て、俺のことを見ない。

「何で。なんでなんでなんでなんでなんでなんで。」

 

俺は強く雅の耳を引っ張り上げた。

 

「い、痛…!」

 

雅はそう涙を流す。

 

「痛いか。そうか。」

 

俺はそのまま手を離した。

そして、顔を掴み上げる。

 

「じゃあお前に、俺の痛みが分かんのか。星見雅。」

 

俺はそう雅を睨んで言った。

雅の眼には、まるで鬼のような顔をした俺が映っていた。

…………

 

「って、何度詰め寄りたくなったか忘れたよ。」

 

俺はそう言って雅から手を離す。

雅は身体を震わせ、怯えたような顔でこっちを見てきた。

 

「俺はその後、牢でその憎悪だけで生きてきた。」

「『絶対に生き延びて、この家の奴らを全員皆殺しにしてやる。』」

「『悉くを切り刻んでやる。』」

「そう思って、ずっと生きてきた。」

 

雅は涙を流し、青い顔で震えながら話を聞いている。

 

「そして、旧都陥落の日。」

「俺は、全員から忘れられ、牢の中に閉じ込められたまま、ホロウに飲み込まれた。」

「でもな。ホロウに飲み込まれた後、俺は牢から出て来れた。」

「それは…母親が牢を開けてくれたからだ。」

「そしてあいつは…母親は『本当に、ごめんなさい。』と言って、エーテリアス化した。」

「俺には意味が分からなかった。」

「『今まで忘れていたんじゃなかったのか。』」

「『俺の事なんて、死んだと思っていたんじゃなかったか。』」

「その時、思い出したんだよ。」

「月に1度だけ、まともな食事を取ってたことを。」

「そしてその時は、必ず、この母親がいたこと。」

「とにかく泣いたさ。」

「『殺したいと思っていた相手』が『自分を愛していた』んだから。」

 

雅と猫又、リンは苦しそうな顔でこちらを見てくる。

 

「そして、俺はそこから出ていった。」

「その時不思議なことが起こった。」

「俺の尻尾に火がついた。」

「だがそれは、全く熱くなかった。それどころか、心地よかった。」

「そこから俺は彷徨い続けた。彷徨い、彷徨い…」

「ある時、ある女性に出会った。」

「その人の名前は、夜月華。」

 

…懐かしいな。

あの人に、俺は救われた。

 

「その時俺は、とてつもない人間不信だったさ。」

「だから、護身用として持っていた鉄パイプを振り下ろした。もちろん殺す気で。」

「だが、その人は避けなかった。それどころか、頭に振り下ろしたそれを受け、俺を抱いてくれた。」

「『大変な目に遭ったんだね。辛かったね。』」

「俺はその言葉に涙を流した。」

「泣いて泣いて、泣き疲れた時。」

「『君さえ良ければ、うちに来なよ。』」

「そう言ってくれた。」

「そして俺は、星見の苗字を捨て、夜月 空となった。」

「最初の数日こそ、遊び呆けたが、俺はその自分が許せなくなった。」

「そして、鍛冶を教えてもらうようになった。」

「そして数年後…彼女は死んだ。」

 

その言葉を聞いて、3人はさらに青ざめた。

 

「彼女は、強盗に襲われて死んだ。」

「最後の言葉を今でも覚えてる。」

「『一緒にいてくれてありがとう。』」

「そう言って彼女は息を引き取った。」

「彼女の遺品を整理していると、『空へ』と書かれた手紙があった。」

「そこに書かれていたのは、たった数行。だけど、大事な数行だった。」

「『また1人にしてごめんね。でも君は1人でも生きていけると思う。だって、君は強くて優しいから。きっと君の周りにはたくさんの人が集まる。元気でね。』」

「…そして、俺はその鍛冶屋を継いだ。」

「完全に彼女の息子となるために、俺は尻尾と耳を切り落とした。たまたま4つ耳だったから、聴力に不自由はなかった。」

「そしてそれを束ねて、熱し、鉄と合わせた。」

「それがこの刀。狐月「九尾」だ。」

「…まぁ、その後は簡単さ。ホロウに入るためにプロキシを雇い、それがたまたま新人だった2人だった。」

「そこから、俺は専属となって、今に至る。」

「…満足か?雅。」

 

俺がそう言うと、雅は泣きながら土下座した。

 

「ごめん、なさい…!本当に、ごめんなさい!!

ちょ、雅!?

 

俺が慌てるが雅は変わらず

 

「私が、星見家に代わって、謝る、何でもするから…!」

ごめんなさい、ごめんなさい…!

 

そう泣きながら言ってくる。

あーもう!!

 

「今はなんとも思っちゃいねぇよ!!」

「というか、もう思うのを辞めた!!尻尾と耳を切った時点でもう俺は星見について何も思っちゃいねぇ!!」

「だから顔を上げてくれよ、雅。」

 

俺はそう言って、雅の顔を上げさせた。

 

「…ま、こういうことだったわけさ。猫又、今まで言ってなくてすまんかったな。」

「…別にいいぞ。こんなの、そうそう話せる話じゃない。」

『空、大変だったんだね。』

 

そう猫又とリンに言われる。

 

「まぁな。ライカンは情報網が広すぎてこの情報を掴んでやがったから本当に困る。」

「ほら、出るぞ。」

 

そう言って出ようとした時、後ろから気配がした。

 

「先に行ってろ!」

 

俺はそう言って、裂け目に雅と猫又を投げ入れた。

 

「リン。隠れてろ。」

 

俺は目の前に現れた『俺たち』を睨んだ。

 

「10体…ねぇ。」

 

俺はその瞬間エーテル燃料10本分のタブレットを飲み込む。

過剰なエーテルによって、侵蝕が始まる。

闇を、纏う。

 

「覚悟しろ。貴様ら。」

 

我は、そう言ってドッペルゲンガー達を一撃で沈める。

 

「たわいもない。」

 

我はエーテルエネルギーを放出するために地面に手を付けて一気に流し込む。

 

「じゃ、リン出るよ。」

『う、うん。』

 

そう言って、俺たちはホロウを出た。

これが、俺の昔話。

俺は、忌まれた星見の名を捨て、夜空に輝く月の名前を手に入れた。

彼女の…母さんの真似でしかないが、俺は母さんのように、優しく生きたい。そのためには自分がどうなろうと構わない。

だからこそ、俺は皆を救える、闇となる。

……その後、雅から「兄様」と呼ばれるようになった。

6課のみんなからめっちゃジト目で見られた。

…………名前は捨てたっつっただろ!!!!

 

空がいる世界線のゼンゼロプレイヤー掲示板

01:重すぎます。

02:禿同。

03:タイトルからして不穏だったけどゴリゴリやばいじゃねぇか!!

04:え、よくあの父親あんなふうに喋れたな?

05:雅さんの泣き顔すっごくそそられた。

06:変態が湧いたんだけど。

07:でもまさかまさかだったよな。銀狐って名前とか、侵蝕化の時の狐耳とかから想像はされてたけど。

08:重すぎるって。何、運営はプレイヤーの胃をねじ切らせる気?

09:色んな配信者も結構黙っちゃってたね。

10:それこそ、空のあの憎悪の顔、凄かったもんな。

11:数日前に見たワイ、メンタルボロくそなり。

12:下手に雅と組んで雑強構成で殴れないって…!

13:それいるか?

14:まず銀狐をパーティーメンツに加算してる時点で終わってる。

15:うるせぇ!

16:まぁでも、鍛冶屋の先代当主まじGJ。

17:ほんそれ、あの人いなかったら絶対敵に回ってただろ。

18:空ぁ…重いよぉ…。

19:でも、あの後以外に笑えることあったぞw

20:は?お前何言ってんだ。

21:いやいや、マジの話これ!

22:吐け。こっちはメンタルグズグズなんだ。笑える話を吐け。

23:はいはい、分かりましたよ。多分隠しイベントなんだろうけどよ。空にキャラクター変えて対ホロウ6課のオフィスに行くとビクビクしてる雅がいる。雅に話しかけるとスペシャルイベントで銀狐のことを「兄様」って呼ぶようになって、甘える雅が見れる。ちなみに慌てる空に抱きついてる雅を見た6課ジト目の1枚絵付き。

24:おい最高じゃねぇかでかした。

25:全員今すぐ見に行け!

26:行ってくる。

27:letsgooooooo!!!!!!!

キャラ紹介(性能含め)欲しい?

  • 欲しいに決まってんだろ!?
  • キャラ設定だけ欲しいかなぁ。
  • 性能だけ欲しいわ。
  • どっちも要らねぇよばーか。
  • そんなことよりらあめん食べたい(閲覧用)
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