パエトーン直属エージェントの日常   作:Kei0503

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メインストーリー
chapter00 商機×怪奇×仁義


「くあぁ〜…。」

 

…朝か。

スクラッチ削りにいかねぇと。

そこは六分街。

この都市、「新エリー都」で人気のベッドタウンだ。

…まぁその分家賃高いんだけど。

俺が家から出てニューススタンドに行くと

 

「あ!やっほー空!調子どう?」

 

と、話しかけて来る人が。

 

「あ、リンじゃん。」

 

それは向かいのビデオ屋の店長であるリンだった。

 

「まぁまぁってところかな。そっちはどうよ?」

「ビデオ屋しばらく閉めてただろ?」

「うん、そろそろまた復帰しようかなってお兄ちゃんと話してるよ。」

「ふーん、そっか。」

「ま、お互い元気に過ごそうぜ。」

「うん!またねー!」

 

そう言って俺とリンは別れた。

 

「おっと、鍛冶屋開かないとな。」

 

そう言いながら、俺は和服に着替え、自分の店へ向かった。

この時代になって、エーテルというハイリスクだが超ハイリターンの資源がホロウという特異的な場所から取れるようになった今でも、鍛冶屋というのは未だに必要とされている職だったりする。

仕事を選ぶ余裕はないけどな。

俺の店の名前は『鍛冶屋 夜月』。

ただの名字だが、結構気に入ってたりする。

そして、俺は店を開きしばらくの間暇な時間を過ごすのだった。

なんでかって?もともと俺は依頼専門なんだよ。

刃物の研ぎ、メンテナンス、オーダーメイド鍛造、オーダーメイド鋳造、電子機器の点検。

コレでも結構有名な店で、ある程度高めの金額でやらせてもらってるが、顧客が多い。

なんだ?『鍛冶に電子機器関係ないだろ』って?

しょうがねぇだろ客の武器の調整頼まれるから覚えるしかねぇんだよ。

そうして昼頃。

店に客がやってきた。

 

「いらっしゃい。何用で?」

「久しぶりだな。空よ。」

 

そう声をかけてくるのは対ホロウ6課課長、星見雅。

 

「おう、久しぶり。」

「武器のメンテナンスか?」

「あぁ。ここしばらく来ていなかったのでな。」

「そうだなぁ…。確か前回来たのは、1年ぐらい前か?」

 

いくら超合金といえど、流石に手入れがいる段階だな。

すると、俺のスマホにDMが飛んできた。

その相手は、同じく対ホロウ6課の副課長、月城柳だった。

 

"空さん、お久しぶりです。そちらに雅が来ていませんか?"

「…あー。雅?」

「む?」

「柳から連絡きたんだが。」

「…私は今、『柳にバレずに武器をメンテナンスに持っていく』修行をしていたのだが、バレているのならしょうがないな。」

 

そうしゅんとした顔をした。耳まで垂らして。

ぐうかわいい。

ただでさえシリオンは性癖なのによ。

 

「…はぁ、まぁいいよ、適当に返しておく。」

 

俺はそう言ってDMに

 

"いや、こっちには来てねぇな。"

"なんかあったのか?"

 

と送る。するとすぐに

 

"いえ、課長会議がある以外には特に何も。"

 

と返ってきた。

 

"いや重大じゃねぇか。いいのかよそれ。"

"問題ありません、また私が出席すればいいだけのことです。"

"…大変だな。"

"ふふっ、同情するなら定期的にH.A.N.Dに来て武器のメンテナンスをお願いしたいんですが。"

"それぐらいならやってやるよ。ただ移動費もあるからどうしても料金は割増になるぞ。"

"構いません。経費で落とすので。"

"じゃあこのあと向かう、それでいいか?"

"ええ、構いません。お願いします。"

"ん、承った。道中もし雅を見つけたら連れて行くよ。"

 

そう言って、DMを閉じた。

 

「さて、雅。柳には適当に言い訳しておいた。」

「ここでゆっくりしていきな。お茶ぐらいは出す。」

「誠か?助かる。」

「おう。とりあえずお茶もってくるから待ってろ。」

 

俺はそう言って、後ろに引っ込み、緑茶の茶葉を入れた急須、それと湯呑みを持ってきた。

 

「ありがとう。」

「コレぐらい別にいいっての。じゃ、無尾を見せてもらっていいか?」

「あぁ。」

 

そう言って、見せてもらった無尾は

 

「…まーたエーテルエネルギー増えてんな。」

 

まるでオーラのように冷たい怨念が纏わりついていた。

 

「まぁ、問題はなさそうだ。軽く研ぎ直して、少し毒抜きしてから渡そう。」

 

そう言って、俺は砥石を入れてある箱を持ってきた。

そうして研いでいる最中、雅はずっと俺の方を見ていた。

 

「…ふぅ。終わったぞ。あと毒抜きするからちょっと待っててくれよな。」

 

俺は無尾を軽く振るった。

すると俺の体に一気にエーテルエネルギーが流れ込んで来た。

しかし、それを受けても俺の体は何ともなく、そこにはオーラが収まった無尾があった。

 

「…いつ見ても奇っ怪だな。お前のその体質は。」

「ほんとになぁ。まぁ気にしたってしゃあないだろ。」

 

そう言いながら、俺は鞘の調整に移る。

 

「ふむ…封印機構はそんなに劣化してないな。」

「問題は無さそうだ。」

 

俺は無尾を鞘に仕舞い、雅に返した。

 

「はい、メンテ完了。それじゃ、H.A.N.Dに戻るぞ。」

「む?お前も来るのか?」

 

そう雅に聞かれた。

 

「あぁ、さっきDMで呼び出されたからな。『メンテナンスをしに来てくれ』って。」

「わかった。では共に参ろう。」

「あぁ。あ、砥石と作業キット積むから手伝ってくれ。」

「わかった。」

 

そうして、俺達はH.A.N.Dの対ホロウ6課のオフィスに向かった…のだが。

 

「申し訳ありませんが、部外者は立入禁止となっております。」

「えぇ…。俺、柳に頼まれてきたんだけど。」

「柳…6課の副課長殿でしょうか?」

「そうだぞ、ほら。」

 

そう言って、DMを見せる。

 

「…ですが、信用なりません。友人間で偽装している可能性がございますので。」

「うそぉん。」

 

んなことするファンいるの?こいつら大変やな…。

 

「…して、後ろで寝ている方は?」

「え、雅…星見 雅だけど。」

「!!!!6課の課長殿ですか!?」

 

あ。やな予感。

 

「誘拐犯だ!ひっ捕らえろ!!」

「やっぱりこうなった!!」

「雅!おい雅!!!起きて!!頼むから!!」

「…むぅ…。あと5分…。」

「んなこと言ってる場合じゃねぇって起きてくれって!!!!」

「おい!!さっさと車から降りてこい!!」

「あーもう!!!後で高級メロン10個奢ってやるから!!!」

「起きた。して、高級メロンを奢ってくれると言ったな?約束だぞ。」

「…あー、もういいです、いいから、説得してくれ頼む…。」

「…む?」

 

俺が呆れてそう言うと、雅は周りを見て

 

「…私は、対ホロウ6課課長、星見雅だ。こやつは私たちの武器をメンテナンスしている業者である。」

「街を放浪しているところで彼と出会い、ここまで送迎してもらっている。」

「すぐにこの車を通せ。」

 

と言った。その発言に兵士たちは

はっ!申し訳ありませんでした、えっと…。」

 

とどもり始めた。

あぁ、名前言ってなかったな。

 

「夜月。夜月 空だ。」

「夜月様!」

「…まぁ、柳や悠真、蒼角も待ってるだろうし、さっさと通してくれると助かるよ。」

「はっ!どうぞ!」

 

そう問答を繰り返し、俺はH.A.N.Dの6課オフィスに入った。

 

オフィス

 

「ぶっはっはっは!!!それは、災難だったねwwwwひー、お腹痛いwwww」

「…それ以上笑ったらメロンの支払い全部てめぇにさせるぞ悠真。」

えええぇぇ!?!?!?ちょっと、勘弁してくれよ!」

 

そういう悠真。

ったく、なんなんだこいつ…。

 

「空〜!」

「おぉ蒼角。」

「えへへ、今日はどうしたの?」

 

そう言って、抱きついてくる蒼角。かわいい。

 

「ん〜?お前さんらの副課長に、武器のメンテナンスを頼まれたんだよ。」

「そーなんだ!わかった!武器持ってくるね!」

「おー、ゆっくりでいいぞー。」

 

蒼角の武器重いし。

 

「お疲れ様です、空さん。」

「おぉ、柳。お疲れさん。」

「課長、見つかったんですね。」

「あぁ。丁度お前との連絡が終わった後に家に来てな。ついでにメンテナンスサクッとして来たって感じよ。」

「なるほど。そうだったのですね。」

「すぐに連れてきていただいてよかったのですが…。」

「それは…すまんな。次から気をつけるよ。」

 

そう雑談をする柳。

さて、仕事しないとな。

 

「じゃあ、3人とも。武器見せてくれ。」

「柳は書類もな。あ、機密は持ってくんなよ。」

「え?ですが…。」

「簡単な作業ぐらいなら手伝える。簡単でなくとも内容の要約ぐらいはできる。」

「…わかりました、お願いします。」

 

そう言って、俺は一気に作業を始めた。

 

「ふむ…。ブリザードシステムの霜が多くなってるな。これ取り除いておくぞ。歯ブラシとかで簡単に取れるから、たまにやっといてくれよな。」

「わかった!」

「ん。いい子だ。」

「悠真は電壺が結構摩耗してんな。最近戦闘多かったか?」

「うん。一応予備はあるよ。」

「わかった。こっちでも追加で用意しておく。」

「弓の方は斬れ味が悪くなってきてるみたいだな。研ぐから一旦渡してくれ。」

「えっと…?よし、内容はこんな感じか。」

「柳の武器も…。電気の発生部分が摩耗してんな。ここ新しいのに変えておくぞ。」

「刃も研いでおかないとな…。」

 

そうして時間が経って

 

「はい、こんなもんかな。」

 

俺は武器のメンテナンスと書類整理を終わらせた。

 

「ありがとうございます、助かりました。」

「いいよ、こんぐらい。とりあえず請求書がこんな感じな。」

 

そう言って、俺は手元にある請求書に金額を記載して渡した。

 

「え…。」

 

柳はその金額を見て驚いていた。

 

「なんだよぉ。高いってのか?移動費も入るから割増になるって」

「いえ、その逆です。安くないですか?」

 

そう柳に言われた。あそっち?

 

「いや、そんなもんだぞ?」

「4つの武器メンテナンス代に移動費。もともと1つ10万だったから移動費5万で45万。」

「いえ、でも、書類整理とか…。」

「あれはただの気分だ。請求するつもりはねぇよ。」

 

そう話していると、電話がかかってきた。

…パエトーン。

なるほど、あいつらか。

 

「すまん、追加の仕事だ。電話して帰るよ。悠真、砥石とか車積んどいてくれるか?」

「えぇ…。」

「今度飯奢るからよ。」

「わかった、やっとくよ。」

「頼むわ。これ鍵な。」

 

そう言って俺はオフィスから出て電話に出た。

 

「…どこだ?」

『十四分街の共生ホロウ。邪兎屋の依頼で、ビリー、アンビーの救出と物資の発見。』

「了解。」

「今出てるから、15分待て。」

『なる早で頼むよ。"銀狐"。』

「わーってるよ。」

 

電話を切って車に向かう。

 

「お、ナイスタイミング。全部積んでおいたよ。」

「ありがとな悠真。また空いた日教えてくれ。」

「わかったよ。お疲れ様。」

「おう。」

 

そう言って俺は車にエンジンを掛けてスピードを上げた。

法定速度ギリギリ。

こういう事があるから気が抜けないんだよなぁ。

 

十四分街

 

俺はパーキングに車を止め、袴に着替えた。

そして狐の半面をつける。

さて。仕事だ。

俺が打った刀『狐月「九尾」』とSMG…『uzi』を装備。

ホロウの入口に向かうと

 

「!銀狐…!」

「お前か。ニコ。」

「ふん!あんたみたいな狐に頼ることなくても家の社員は強いんだからね!」

「はいはい、俺は『パエトーン』の直属なんでね。そんなの関係ないんだわ。」

「報酬は何時もので頼むぞ、『パエトーン』。」

『わかってるって!いこ!』

 

そう言って01と書かれたスカーフを付けたボンプ…イアスは背中に乗ってくる。

 

ホロウ内

 

「…あぁ。やっぱりここは落ち着くな。」

『さて!案内するよ!急ご!』

「はいはい。」

 

俺はそう言って息を大きく吸って、エーテルを取り込む。

無尾のエーテルエネルギーも使い、一気に加速する。

そのまま案内の通りに走っていると

 

「…いた。」

 

眼の前で戦闘をしている赤い服を来た機械人と人間。

 

『くっそ、キリがねぇ、これじゃ弾代だけで大赤字だ!』

「来る、構えて!」

 

そう言って、構える2人に割り込んで

 

「下がれ、お前ら。」

 

そう言いながら刀を振るう。

そのまま近場のエーテリアスを切り裂き、uziでワームホールを射撃。撃墜した。

 

「『和服の狐面を付けた刀使い』…もしかして。」

『そ、私達が来たよ!』

『「『パエトーン』!」』

 

…美味しいとこ取られた。

その後邪兎屋の2人から状況を聞いた。

すると後ろからエーテリアスの声が聞こえた。

 

「さて、一度出るか。」

 

俺も車回収したいし。

 

『はやくね!?横になろうとしてたとこだったのによ!』

「あほたれ、ホロウ内活動時間来るだろお前ら。」

 

そう言って脱出しようとすると、後ろからエーテリアスが追ってきた。

 

「…さっさと行くぞ。」

 

数分後

 

かと言って、俺の出る幕がある訳では無い。

アンビーとビリーがエーテリアスを処理し、俺たちは脱出に向かう。

 

『店長!次はどの方向に向かえばいいんだ?』

『全速力で直進!』

『了解!全速力で直進!…待てよ…直進だと!?』

『けどよ、この先は壁だぜ!破れってか?壁をぶち破れってことなのか?銀狐の火力があればなんとかなると思うが…。』

「ビリー、お前は何いってんだ?」

「裂け目だろ。どう考えても。」

『その通り。リンの言う通りにすれば大丈夫だから。』

 

俺達が話していると、イアスから別の男の声…リンの兄貴、アキラの声が聞こえた。

 

『この声は…おぉ!もう一人の『パエトーン』か!』

『お兄ちゃんったら、急に私のチャンネルで話さないでよ!びっくりしたあ。』

『悪かったよ。でも、今の君はボンプに意識を移しているんだ。こんな形でしか通話できないだろう。』

 

と、イアスから2人の声が聞こえる。

ほんとこやつら仲いいよな。

 

『ビリー、アンビー、銀狐。聞こえているかい?とにかく、リンが言った進路については間違っていない。』

『知っての通り、ホロウの中は秩序のない混沌だ。つまり』

「生への道が死に見えたり、死への道が地獄に繋がってたりする。」

 

そうアンビーが言い出す。

…ん?

 

「…アンビー、貴重な常識をシェアしてくれてありがとうな。」

「それ、きれいな一本道だな。」

 

俺とビリーはそう同時に突っ込んでいた。

それを無視してアキラは

 

『それと、ホロウを出てからの脱出経路も手配してある。僕たちを信じて。』

 

と言ってきた。

…そういや物資の回収してねぇな。

 

「『パエトーン』、お前残れるか?」

『え、うん。残れるけど…どうして?』

「どうしてって…金庫の回収してねぇだろ。サクッと終わらせるぞ。」

『なるほど!わかった!』

『ちょっと待て、アレの周りには上級エーテリアスがいるんだぞ!?』

 

俺とリンが話しているとそうビリーが突っ込んできた。

 

「上級程度雑魚だろ。お前らは脱出して待ってろ。」

『じゃあね、2人とも!グッドラック!』

 

そう言って俺達は金庫の回収に向かった。

 

数分後

 

『銀狐、ニコからメモリディスクをもらった。これに金庫の解除コードが入っていたよ。』

「ナイス。」

『金庫は見つかりそうかい?』

「いや…そこまですぐには…わ〜お。」

 

俺が見つからない、と言おうとした時

 

『GYAAAAAAAAA!!!!!!!!!』

 

と、雄叫びが聞こえた。

 

『銀狐!気付かれたよ!』

 

その瞬間、目の前に剣が叩きつけられた。

 

「よっ。」

 

俺はすんなりバックステップして回避する。

 

『だ、大丈夫!?』

「当たり前だ、なんだと思ってんだ俺の事。」

「ほぼ最初から一緒に活動してるのに、そんなに信用ないなんて…泣けるぜ。」

 

そう俺は目を閉じる。

 

『ちょ、銀狐!?前、前!!』

 

それを隙と見たのか、エーテリアスは斬りかかってくる。

 

「ここらで、再確認が必要そうだな!」

 

そう言って、俺はエーテルエネルギーを活性化。

刀に紫の炎を纏わせ、エーテリアスを盾共々真っ二つにした。

 

「はい、終わり。」

「パエトーン、コード入力して中身確認してくれ。」

 

そう俺が言う。しかし、リンは黙ったままだった。

 

「あり?おーい。パエトーン?」

 

そう声をかけるも、喋らない。ただ真っ直ぐ歩くだけ。

…なんか起きたのか?

そう考えていると、バタバタと足音が聞こえた。

…チッ。治安局か…。運が悪い。

下手なことする訳にも行かねぇ。さっさと抱えてトンズラだな。

俺は金庫とイアスを抱えて、治安局から離れた。

 

1時間後

 

「…長引いてんなぁトラブル。」

 

まぁ、別に俺はホロウ内活動時間びっくりするほど長ぇから問題ないんだけど。

にしたって、鍛冶屋の車置きっぱなんだぞ…?

 

「駐車代どうすんだよ…。」

 

ただでさえでかい出費があるってのに…。

…ご飯、もやしかな。

 

「はああああぁぁぁぁぁぁ…。」

 

俺がでかいため息をつくと、また足音がした。

 

「!またかよ…。これぜってぇハッキングされてんだろあいつら…。」

 

しゃあねぇ。これも仕事の一環だ。

 

「5年だろうと、10年だろうと。エーテリアスになるまで護ってやんよ。」

『嬉しいこと言ってくれるね!銀狐!』

 

俺が言った言葉にそう返してくる言葉があった。

 

「当たり前だろ、ビジネスパー…トナー…。」

 

その声はイアスから鳴っていた。

 

『ただいま!銀狐!』

「…家に帰ったら覚悟しとけよ。」

『えええぇぇぇ!?』

 

恥ずかしい。っと、そんなこと言ってる場合じゃねぇ。

 

「一旦逃げるぞ…!ルート案内頼む!」

『それが…ホロウのデータ消されちゃったんだよね…。』

 

…あぁ。終わった。

俺はここで死ぬのか。

 

「…こんなことなら大将に二郎系ラーメン超マシマシ作ってもらうんだった…。」

 

俺がそうボヤくと

 

『ちょっとちょっと!諦めるのは早いよ!』

『その金庫の中に、ロゼッタデータ並に価値があるものが入ってるんだって!それがあればホロウへ自由に出入り出来るらしいの!』

『ニコから許可は貰ってるから、開けてイアスにダウンロードして!』

 

…ニコへの評価、改めよう。

 

「この通話、聞こえてんだろ?」

『え?うん。』

「ニコぉ…。てめぇ、食いたいもん考えとけ。奢りじゃ。」

『え!?ほんと!?』

「…お前の評価を改めなくちゃいけない礼だ。」

 

『銭ゲバ』から『有事の時には金を切れる銭ゲバ』に。

 

『やった!あんた達!今日は銀狐の奢りよ!!好きなもんたらふく食べなさい!!』

 

…今度こっそりエーテル採掘行こう。

そう考えながら、俺は金庫を開けて、中のメモリードライブをイアスに刺した。

するとイアスは光り輝いて動作が止まり、通信出来なくなった。

 

「…うへー。またですか。」

「!見つけました!」

 

げっ。治安局追いつきやがった。

 

「…すまないが、捕まる訳には行かないのでな。」

 

俺は来た時のようにエーテルを吸い込み活性化、超スピードで逃げた。

 

数分後

 

「パエトーン?パエトーンさん?起きてー?」

 

俺がそう呼びかけると

 

「…」

 

イアスは黙ったまま歩き始めた。

 

「…またハッキングかよ。今日は災難…ん?」

 

俺が呆れていると、そのイアスはこっちを見ていた。

 

「…着いてこい、ってか?」

 

俺がそう呟くと、また歩き始めた。

はぁ…。しゃあねぇ。着いてくしかなさそうだし。

そう言って、俺はイアスについて行き…

 

「…脱出、出来ちゃったよ。しかも、十四分街。」

 

いや、えぇ…?嘘やん。

と、とりあえず連れて帰るか…。

俺は車にイアスを乗せ、着替えて六分街に戻った。

 

random play

 

「アキラー。戻ったぞー。」

 

俺がそう声をかけると

 

「!空!?どうやって!?」

「は?いや…なんか喋んなくなったイアスに連れられて帰ってきたが…。」

 

そう言いながらイアスを台に置く。

…リンになんかあったか?

 

「そ、そうなのか…って、そんな場合じゃないんだ!

「リンが、目を覚まさないんだ!」

「…は?」

「今ニコが医者を呼びに行ってくれている…!とりあえず、システムから離さないと…!」

 

…おいおい、マジかよ。

 

「とりあえず、俺に出来ることは?」

「何が起きたか、教えてくれるかい?」

「あぁ、分かった。」

 

そうして、俺が起きた状況を話していると

 

「!あんた、誰?なんでこの部屋にいるわけ?」

 

と、邪兎屋の面々が帰ってきた。

思いっきり銃と剣向けながら。

 

「っと。怪しいもんじゃねぇよ。ニコ。」

「この服装では初めましてだな。」

「『パエトーン専属エージェント』"銀狐"…改め、鍛冶屋『鍛冶屋 夜月』の店主、夜月 空だ。」

 

そう言いながら、証明用に念の為持ってきた仮面を付ける。

 

「これで、証明になるか?」

「え、えぇ…すまなかったわ。」

「んにゃ、別にいい。案外義理堅いんだな、お前は。」

 

俺がそう褒めると

 

「え、えへへ…そんな事あるわよ!これでも私は、邪兎屋の社長なんだから!」

 

…ちょっっっろ。

何こいつちょろ過ぎん?

簡単に騙せそうなんだけど。

そう騒いでいると、いつの間にかニコ達が連れてきた闇医者がリンをシステムから離していた。

 

「終わりました。請求は?」

「あぁ、僕が」

 

そう言い出すアキラを止めて

 

「俺に渡してくれ。てか幾らだ?口座教えてくれ。今振り込む。」

「なっ、空!?」

「こいつは俺がやらかしたからだ。責任ぐらい取らせろ。」

 

俺はそう言い放って、闇医者に口座を聞き、お金を振り込んだ。

…はー。ほんま最悪。残金全部飛んだ。

 

「すまんお前ら。奢るのまた今度にしてくれ。」

 

稼いでこないと…。

 

「…分かったわ。でも、必ず奢ってもらうからね。」

「わーかってるよ。また連絡する。」

 

さてと…。

 

「じゃ、アキラ。報酬頂きたいんだが。」

「分かったよ。さて、君たちも来なよ。君の依頼がきっかけとは言え、僕たちも迷惑をかけた。詫びをさせてもらうよ。」

 

アキラがそう言うと

 

「し、仕方ないわね!行くわよ!2人とも!」

「うん。」

「おうよ!」

 

そう言って3人がついてきた。

そして俺たちが向かったのは…

 

『…はい?』

 

ラーメン屋だった。

 

「…空?あんたもしかして」

「大将!いつもの!」

 

俺はニコの言葉を無視してそう言う。

 

「おう!ほらよ!」

「いっただきまーす!」

 

俺は目の前に来た超大盛りの二郎系ラーメンを一気に食い始める。

それを見て、ニコたちはドン引きしていた。

どうやら、俺の体に入ることにびっくりしていたらしい。

失敬な。美味いんだぞこれ。

なぜ二郎と呼ぶかは知らん。

 

ニコ視点

 

パエトーンと狐に連れられて、報酬を受け取ろうと思ったら…。

なんか、特大のラーメンを啜ってるんですけどこの人。

まさか、これが報酬?

いやいや、だって彼、生活に困る実力してる訳じゃないじゃない。

しかも、『鍛冶屋 夜月』と言えば、この新エリー都で唯一生き残っている鍛冶屋よ?

 

「邪兎屋の皆も、座って。好きなものを頼んでいいよ。」

「これと、ニコの借金を半分取り消すって約束で今回のお互いの迷惑はチャラってことにしないかい?」

 

もちろんもう半分はきっちり返してもらうけど。と言いながらメニュー表を眺めるパエトーン。

 

「…分かったわ。交渉成立よ。後、別に借金の額は減らさないでいいから。その代わり、期限は無視しなさいよね。」

 

そう言って私も席に着いてラーメンを頼む…のだけど。

彼のやつ食べたくなってきたわね。

さすがに量が多いから減らさないとだけど…。

そう悩んでいると、パエトーンが

 

「大将、僕も二郎系ラーメンで。」

「あいよ!ニンニク入れるかい?」

「ニンニクヤサイマシアブラフツウカラメスクナメ。」

 

と、早口でまくしたてた。

 

「あいよ!」

 

店主はそれを聞き取っていたのか、ものすごいスピードで調理を行う。

 

「二郎系ラーメン、ニンニクヤサイマシアブラフツウカラメスクナメお待ちィ!」

「頂きます。」

「ちょ、ちょっと待ちなさい!何その注文、どういう事よ!」

 

私がそう大声で言うと

 

「あ?お前ら食ったことねぇの?」

 

そう空に聞かれた。

私たち3人が頷くと

 

「なら…はいこれ。」

 

と、空は手帳を見せてきた。

そこには「二郎系ラーメン注文方法」と書かれていた。

…なになに?

店主が「ニンニク入れますか?」と聞くタイミングでトッピングを伝える。

トッピングの内容はニンニク、ヤサイ、アブラ、カラメの4種類。

同じ量であれば続けてトッピングを伝えて、その後に量を伝える。

例(ニンニク、ヤサイを大盛り、アブラを通常、カラメを大盛りの場合、「ニンニクヤサイマシアブラフツウカラメマシ」

…と、二郎系ラーメンの注文方法が事細かに記されていた。

 

「で?そちらのお嬢さん方は?どうすんだい?」

「…じ、二郎系ラーメン!」

「あいよ、ニンニク入れるかい?」

「ニンニクヤサイアブラカラメマシ!」

「あいよ…嬢ちゃん。お残しは、厳禁だからな?」

 

私が頼んだ後、大将はそう圧をかけてきた。

 

「…え?」

 

私は知らなかった。

二郎系ラーメンの量を。

目の前に来たのは…。

 

「な、何よこれ!?」

 

とても1人で食べ切れるとは思えない量のラーメンだった。

 

「ふぅ。ご馳走さん!」

 

その量に唖然としていると、隣から空の元気のいい声が聞こえた。

 

「えぇ!?もう食べ終わったの!?」

「そりゃ、食べなれてるからな。二郎系ラーメン、全マシマシ。」

 

…な、なんですって…!?

マシでこの量なのに、全マシマシ…!?

 

「ほら、さっさと食えよ。伸びるぞ。」

「え、えぇ…。頂きます。」

 

そうして、私たちは二郎系ラーメンを3人で分け、必死に食べた。

もうコリゴリ。

 

空視点

 

ニコのやつ、失敗したなー?

二郎系ラーメンはそもそもの量が多い。

ニコが今食ってる量からして…精々食べられても麺少なめその他普通って所だろう。

ま、これを糧に、次は気をつけるんだな。

 

数十分後

 

「も、もう無理…。」

「俺もだぜ…。」

「私も、お腹がいっぱい。」

 

彼らは全部食べ切った。

もちろん、お腹は膨れ上がっている。おもろい。

 

「よく食ったな。ほら、挨拶は?」

『ご、ご馳走様でした…。』

 

俺が声を掛けると、3人で手を合わせてそう言っていた。

うんうん。挨拶大事。

 

「おう!おそまつさん!次からは、無理すんなよ!」

 

そう言って、俺たちはチョップ大将に見送られて解散した。

晩飯はもちろん奢ってもらった。

美味かった。

 

次の日

 

様子を見にビデオ屋を訪問すると…

 

「よーっす…。は?」

 

なんか、H.D.D.システムに目ん玉が浮かんでた。

 

「えっ何それ。」

「!?なんだ、空か…。」

「あ、空!大丈夫だった?」

 

俺は目覚めていたリンにそう言われながら急接近される。

 

「うん、大丈夫。あと近い。」

「あ、ご、ごめん!嫌だった?」

「嫌じゃない。でもやめて、恥ずかしい。」

 

俺は少し顔を赤くしながらそう言った。

 

「そ、そう?ごめんね。」

 

それにリンは疑問を浮かべながら離れた。

ふぅ…。びっくりした。

 

「で?それはなんだよ。明らかにH.D.D.が乗っ取られてないか?」

『否定。私はH.D.D.システムを乗っ取ってはいません。支配下においたのみです。』

「それを乗っ取ったって言うんだけど。」

「まぁいいや…喋るってことはAIか?」

 

俺が聞くと

 

「あぁ。"fairy"、自己紹介を頼むよ。」

『了解しました。助手二号。』

『初めまして。私はⅢ型総順式集成汎用人工知能"fairy"です。』

『マスターとの契約に基づき、その時まで、マスターのプロキシ業をサポート致します。』

『以後お見知り置きを。銀狐。』

 

おいおい、いきなり呼び捨てかよ。

ま、いいか。

 

「あぁ。よろしくな。で?プロキシ業を手伝うと言ってたが…。何が出来るんだ?アキラ。」

 

俺がアキラに聞くと

 

『私は新エリー都における全システムの80%にアクセス権限を保有しております。』

『よって、リアルタイムでのルート計算が可能です。』

 

…胡散臭!!

ま、確かめりゃいいことか。

 

「…ふーん。なら、依頼を出させてもらおうか。」

「今俺は金が無くてな。エーテル結晶を採掘に行きたいんだ。」

「依頼料は支払えんが…報酬は採掘したエーテル結晶の売上、その4割だ。」

「ちょ、空!?」

 

リンがそう驚いてこっちを見てくるが…

 

「丁度いいだろ?お前らもこいつの力が分かる。」

「なーに、責任は俺が被るから任せとけ。」

『了解しました。ルートを検索…』

『推奨、クリティホロウ。』

「分かった。じゃあ2人とも、すまんがガイドよろしく頼むよ。」

 

そう言って俺はビデオ屋を出発し、ホロウ内で大量のエーテル結晶を取ってきた。

さーてと。適当にブラックマーケットにほおり投げとくか。

 

3時間後

 

「てことで大量に取ってきたぞ。」

「「やっぱり空って異常。」」

 

そうビデオ屋の2人にジト目で言われた。

 

「うるさいが!?」

 

ったく…まぁいいわ。

 

「じゃ、売れたら金額伝えに来る。」

 

俺はそう言ってビデオ屋から出て家に帰った。

これから数ヶ月、目まぐるしい日々が待っていることを知らないで。

 

空がいる世界線のゼンゼロプレイヤー掲示板

01:何あいつ。化けもんでは?

02:もうその言葉だけでわかる。あの銀狐とかいうキャラだろ?

03:あいつだけチュートリアルのページ9ページあったよ馬鹿じゃねぇの?

04:今後出てくんのかな?

05:いやさすがにねぇだろ。ゲームバランス壊れるだろ。

06:でも報酬で二郎系ラーメン食ってるのは笑った。

07:わかる。

08:ほんそれ。

09:てかあの世界に二郎系あんのかよ。

10:銀狐、しっかり全マシマシのジロリアン。

11:いやぁ、でもさすがにもう出ねぇだろ?いくら専属とはいえ。

12:もしかしたらお助けキャラなのでは?

13:ま?

14:クエスト失敗しまくったら出てくる、お助けキャラ的な。

15:でもあの後ラーメン屋行ってみたら二郎系ラーメン20000ディニーだったぞ。

16:いや草。なんだよそのぶっ飛び金額。

17:効果は???????だったぞ。

18:いや絶対銀狐呼ぶためのアイテムで草。

19:実際どうなんだ?ガチャ排出ありうるのか?

20:いや、無いと思われ。あんな化けもん入れたら他キャラが霞む。

21:でも使いたいよな。普通に楽しい。

22:それな。

23:分かる。

24:分かりみすぎて禿げそう。

25:禿げんなカス。

ifストーリーやサイドストーリー欲しい?

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